シミ・赤み・毛穴・ほくろを分けて治療した複合症例
シミ、赤み、毛穴、ほくろが同時に気になる肌でも、原因ごとに治療を分けると全顔の変化を整理できます。この症例ではルビー5回、ADVATx 5回、CO2レーザーを組み合わせました。
Medical Information
この記事について
- 執筆・監修
- 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
- 公開日
- 2026年8月10日
- 確認日
- 2026年08月13日
3つの治療で担当する悩みを分けた症例
この症例は、ルビーレーザー5回、ADVATx 5回、ほくろへのCO2レーザーを行った経過です。1種類の機器にすべてを任せず、茶色い色素、赤み・毛穴、隆起した病変を分けて治療しています。
写真では、頬を中心とする細かな褐色斑、面として見える赤み、毛穴がつくる陰影、点在する隆起性病変を順に見ます。治療後は同じ4項目をたどり、どの悩みが残っているかを次の診療へつなげます。
全顔の細かな色素斑にはルビー、赤みと毛穴にはADVATx、隆起したほくろにはCO2レーザーを使い、同じ顔の中でも病変ごとに治療を担当させます。

ルビーはメラニンを含む色素斑を担当
694nmのルビーレーザーはメラニンへの吸収を利用し、診断した色素斑へ照射します。肝斑や炎症後色素沈着が混在すると刺激で濃くなることがあるため、茶色い病変を一括して照射しません。
色素斑を診断してルビーを割り当てる判断を補う資料として、QSRLは外用3剤より有意に色調を改善(p=0.01)し、効果発現も速かった。一方、痂皮と色素沈着はレーザー側で有意に多かった(参考文献1)。
ADVATxは赤みと炎症、毛穴の見え方を担当
ADVATxは589nmと1319nmを使い、血管性の赤み、炎症、皮脂や真皮の状態を見ながら照射します。ルビーと同日に行うか、肌の反応を分けて確認するかは、赤みと色素沈着の活動性から順番を決めます。
顔面色素沈着と肌質をADVATx後に分けて追う判断を補う資料として、589nm・1319nmを最大3回照射した女性17人で、最終照射4週後と12週後に医師評価の色素沈着と肌質が治療前より改善し、有害事象は一過性紅斑でした(参考文献2)。
CO2レーザーは診断したほくろを個別に処置
CO2レーザーは水分への吸収を利用して病変を蒸散します。色や形が不均一、急に大きくなった、出血するなど悪性を疑う所見があれば、美容目的のレーザーより病理診断を優先します。
処置では、病変の盛り上がりと深さを見ながら周囲皮膚への熱影響を抑えます。治療後は創部を保護し、上皮化、赤み、色素沈着、へこみや盛り上がりを順に確認します。
複数治療後は、レーザーごとの赤み・痂皮・色素沈着を分けて観察し、同じ部位へ刺激を重ねる時期を調整します。
当院での診療の考え方
- 細かなシミ・くすみには694nmのルビーフラクショナルを5回行い、顔全体の色むらを低出力の分散照射で少しずつ整えます。
- 赤み・毛細血管・皮脂・毛穴にはADVATxを5回行い、589nm・1319nmの全顔照射に必要部位のスポット照射を組み合わせます。
- ほくろは形成外科医が形・色・隆起・経過を診断し、CO2レーザーで個別に処置します。悪性を疑う所見があればレーザーより切除・病理検査を優先します。
治療の比較
| ADVATx | 赤み・血管・炎症・真皮の所見 | 強い日焼け・皮膚炎・光過敏 | 5回(当該症例) | 赤み、熱感、乾燥、水疱、熱傷 | ADVATx 全顔5回139,000円(スポット込) |
| ルビー | 診断したメラニン性の色素斑 | 肝斑活動期・強い日焼け・皮膚炎 | 5回(当該症例) | 赤み、痂皮、炎症後色素沈着、色素脱失 | ルビーフラクショナル 看護師施術 1クール目5回66,000円 |
| CO2レーザー | 診断した隆起性病変 | 病理診断を優先する病変 | 病変ごとに個別処置 | 出血、感染、色素沈着、陥凹、瘢痕 | CO2レーザー ほくろ・いぼ5mmまで1個5,500円。大きさ・個数で加算 |
費用・リスク・承認状況
費用
- ルビーフラクショナル 看護師施術 1クール目5回66,000円
- ADVATx 全顔5回139,000円(スポット込)
- CO2レーザー ほくろ・いぼ5mmまで1個5,500円。大きさ・個数で加算
主なリスク
- ルビー:痛み、赤み、腫れ、痂皮、炎症後色素沈着、色素脱失、熱傷、瘢痕
- ADVATx:赤み、腫れ、熱感、乾燥、刺激感、色素沈着、水疱、熱傷
- CO2レーザー:痛み、出血、感染、赤み、色素沈着、陥凹、肥厚性瘢痕、再発
当院のQスイッチルビーレーザーは国内承認機器ですが、全顔フラクショナル照射は承認された使用方法の範囲を個別に確認して行う自由診療です。ADVATxは国内未承認医療機器です。未承認機器・承認範囲外の使用による健康被害は救済制度の対象外となる場合があります。CO2レーザーの承認状況は使用する販売名・型式により異なるため、該当機器の添付文書に基づき説明します。
よくある質問
ルビー5回・ADVATx 5回・CO2レーザーは何を分担しますか?
ルビーは診断した色素斑、ADVATxは赤み・炎症・毛穴、CO2レーザーは診断した隆起性病変を担当します。
3つの治療は同日に行いますか?
色素沈着、赤み、創部の反応が重ならないよう、病変の位置と回復状況から実施日を分けます。
ほくろはすぐCO2レーザーで処置しますか?
色・形・境界・増大・出血歴を診察し、病理検査を優先する所見がないか確認してから決めます。
5回後は何を見直しますか?
シミ、赤み、毛穴、隆起性病変を同じ写真で別々に評価し、残る所見へ次の方法を割り当てます。
参考文献
参考文献1:A Prospective Trial Comparing Q-Switched Ruby Laser and a Triple Combination Skin-Lightening Cream in the Treatment of Solar Lentigines
- 研究デザイン
- 前向きopen-label左右比較。右手背をQスイッチルビー1~2回、左手背をハイドロキノン5%+トレチノイン0.03%+デキサメタゾン0.03%で7週治療。20週まで評価。
- 対象
- 左右対称性の老人性色素斑15例、Fitzpatrick I~IV。
- 主な結果
- QSRLは外用3剤より有意に色調を改善(p=0.01)し、効果発現も速かった。一方、痂皮と色素沈着はレーザー側で有意に多かった。
- 限界
- n=15、非盲検、左右割付が固定でランダム化なし、手背病変で顔面への外挿に限界、20週まで。
- COI・資金
- PubMed/抄録に資金・COI記載なし。
参考文献2:A Single-Center, Open-Label, Prospective Study of a 589/1319 nm Dual Wavelength Laser for the Treatment of Facial Hyperpigmentation
- 研究デザイン
- 単施設・非盲検・前向き単群研究。3〜5週間隔で最大3回照射し12週後まで評価。
- 対象
- Fitzpatrick II〜IVで顔面色素沈着のある女性17人。
- 主な結果
- 589nm・1319nmを最大3回照射した女性17人で、最終照射4週後と12週後に医師評価の色素沈着と肌質が治療前より改善し、有害事象は一過性紅斑でした。
- 限界
- 小規模、単施設、対照群なしで、肝斑・血管腫の治療効果や4〜5回の併用治療を評価していません。
- COI・資金
- PubMed抄録の範囲で資金・利益相反の詳細を詳細記載なし。
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