医師解説

589/1319nmデュアル波長レーザー(アドバテックス)の考え方

アドバテックスは、589nmで赤み・炎症・血管、1319nmで皮脂腺・真皮を狙うデュアル波長レーザーです。赤い丘疹が続く炎症性ニキビと、平らな赤みが残るニキビ後紅斑を分け、外用治療との併用、照射範囲、回数を組み立てます。

Medical Information

この記事について

監修日
2026年8月9日
公開日
2026年6月10日
実質更新日
2026年8月9日

Contents

目次

  1. 589nmは血管、1319nmは皮脂腺・真皮へ役割を分けます
  2. 炎症・皮脂・赤み・肌質の4項目から照射範囲を決めます
  3. 炎症性ニキビでは、外用治療にレーザーを加える範囲を決めます
  4. ニキビ後紅斑では、赤みの改善が始まる時期を追います
  5. 痛み・回復と、研究結果の読み方を治療目的ごとに分けます
  6. 炎症性ニキビとニキビ後紅斑で、治療の順序を組み替えます
  7. 診療で確認するポイント
  8. 治療選択の比較
  9. 費用の目安
  10. リスク・副作用・注意点
  11. 関連記事
  12. 関連施術・関連症状のご案内
  13. 執筆・監修
  14. 参考にした一次情報・ガイドライン
  15. よくあるご質問

589nmは血管、1319nmは皮脂腺・真皮へ役割を分けます

ADVATxは589nmと1319nmを備えた非蒸散性レーザーです。589nmはヘモグロビンへ吸収される性質を利用して赤み・炎症・血管を狙い、1319nmは水へ吸収されて生じる熱を真皮・皮脂腺へ届けます。同一施術で2波長を組み合わせ、赤み、活動性ニキビ、皮脂、肌の凹凸が重なる範囲を一つの治療計画に組み込めます。

赤い丘疹・膿疱がある部位では、まず炎症性皮疹の数と皮脂の広がりを記録します。丘疹が落ち着いた後も平らな赤みが残る部位では、圧迫で色が薄くなる範囲と毛細血管の見え方を確認します。茶色く残る色素沈着と深い陥凹は別の所見として追い、589nm、1319nm、外用治療、瘢痕治療をそれぞれの目的へ配分します。

米国FDAの機器資料では、589nmに炎症性ニキビや顔面毛細血管拡張、酒さなど、1319nmに軽症・中等症の炎症性ニキビや萎縮性ニキビ瘢痕などの使用目的が記載されています。日本でのADVATxは未承認医療機器であり、米国の510(k)クリアランスと国内承認は区別して案内します。

炎症・皮脂・赤み・肌質の4項目から照射範囲を決めます

治療目的は、活動性炎症を減らす/皮脂を整える/ニキビ後の赤みと色素沈着を追う/肌の凹凸・ざらつきを再評価する、の4項目です。赤い丘疹・膿疱と皮脂が顔全体にある場合は589nmと1319nmを広く使い、平らな赤みが限られる場合は血管性の範囲へ589nmを重点的に配分します。

外用治療は活動性ニキビを抑える土台として続けます。レーザーは、外用を続けても赤い丘疹が繰り返す部位、炎症後の赤みが残る部位、皮脂と肌質を同時に追いたい範囲へ追加し、毎回同じ照明・角度の写真と炎症性皮疹数で反応を比べます。

炎症性ニキビでは、外用治療にレーザーを加える範囲を決めます

赤い丘疹・膿疱が続く場合は、面皰、炎症性皮疹、皮脂、赤みを分けて数えます。BPOやレチノイドなどの外用治療で新しいニキビを抑えながら、炎症と赤みが重なる部位へ589nm、皮脂と真皮の所見が重なる範囲へ1319nmを組み合わせます。

照射後は、新しい丘疹の数だけでなく、赤み・褐色の色残り、凹み、ざらつきを同じ時点で比べます。活動性炎症が減るほど色残りと凹凸の評価がしやすくなるため、4回の照射後も3か月まで変化を追った報告を治療計画の参考にします。

赤い丘疹・膿疱が続き、BPOだけでは炎症と色残りが残る部位へレーザーを補助する根拠として、4回照射の3か月後、炎症性皮疹数はBPO+レーザー側で46%、BPO単独側で29%減少し、群間差は有意でなかったとの報告がありました(参考文献1)。

ニキビ後紅斑では、赤みの改善が始まる時期を追います

ニキビ後紅斑は、丘疹の盛り上がりが落ち着いた後に平らな赤みが残る状態です。圧迫で退色する範囲、ヘモグロビン由来の赤み、同時に残る活動性ニキビを確認し、赤みが主な範囲へ589nmを使います。皮脂や新しい炎症も続く場合は1319nmと外用治療を同じ計画へ加えます。

再評価では、赤みの段階、改善が始まった時期、痛み、治療後の熱感を記録します。改善の開始時期と最終到達点を分けて解釈し、2週後の立ち上がりと、6回後8週の到達点をそれぞれ説明します。

平らなニキビ後紅斑へレーザーを選ぶ根拠として、レーザー側は2週後、アロエベラジェル側は4週後から改善し、8週後の1段階以上改善は72%と69%で最終群間差は有意でなかったとの報告がありました(参考文献2)。

痛み・回復と、研究結果の読み方を治療目的ごとに分けます

炎症性ニキビの報告では平均疼痛が3.4/10、ニキビ後紅斑の報告では1.52/10で、いずれも重篤な有害事象は認められませんでした。一方、乾燥、赤み、皮むけ、温感などの軽い反応はあり、活動性ニキビの報告では両側に軽い乾燥・紅斑・皮むけが出た方もいました。

炎症性ニキビの数値は外用治療への補助、ニキビ後紅斑の数値は赤みの早期変化を考える材料です。診療では、活動性ニキビへの補助、平らな赤みの早期変化、皮脂・肌質の再評価という目的を先に決め、外用治療を続ける範囲とレーザーを加える範囲を分けます。

炎症性ニキビとニキビ後紅斑で、治療の順序を組み替えます

炎症性ニキビを繰り返す方、ニキビ後の赤みが残りやすい方、外用治療に赤み・皮脂・肌質の治療を加えたい方が検討しやすい施術です。茶色い色素沈着が主な部位や、深い陥凹が主な部位は、その所見に合う色素・瘢痕治療へ分岐します。

治療の流れは、診察で炎症性皮疹・赤み・皮脂を記録し、2週ごとの照射を行い、必要な外用治療を続ける形が一例です。掲載している目安は1回約15〜20分、メイクは当日からで、4回・6回はそれぞれの臨床報告で用いられた回数です。当院では各回の反応を比べて次の照射範囲と回数を決めます。

診察では、活動性ニキビへの外用治療、ニキビ後紅斑への589nm、皮脂・真皮所見への1319nmを一枚の写真上で対応させます。相談・予約は関連施術ページと予約画面から確認できます。

Clinical View

診療で確認するポイント

  • 当院では、赤い丘疹・膿疱、平らなニキビ後紅斑、茶色い色素沈着、陥凹を同じ照明と角度で別々に記録します。
  • 活動性ニキビではBPOやレチノイドなどの外用治療を土台にし、炎症と赤みが重なる部位へ589nm、皮脂と真皮の所見が重なる範囲へ1319nmを追加します。
  • 炎症が落ち着いて平らな赤みが残る場合は589nmを主にし、新しいニキビや皮脂が続く範囲だけ1319nmと外用治療を組み合わせます。
  • 各回の炎症性皮疹数、赤みの段階、痛み・熱感・乾燥を比べ、4回または6回の報告を目安にしながら継続、範囲変更、別治療への分岐を決めます。

Comparison

治療選択の比較

治療・対応 向く状態 向かない/慎重な状態 回数の目安 ダウンタイム 費用(税込) 承認状況
ADVATx 589+1319nm全顔 炎症性ニキビ、ニキビ後紅斑、皮脂、肌質の所見が同じ範囲へ重なる状態 茶色い色素沈着または深い陥凹だけが主、強い日焼け・皮膚炎・感染がある状態 2週ごと4回・6回の臨床報告あり。各回の反応で再評価 痛み、熱感、赤み、乾燥、皮むけ、腫れ、色素変化、水疱、やけど スポット照射込み1回30,000円/5回139,000円 要確認
ニキビの外用・内服治療 面皰、赤い丘疹・膿疱、新しい炎症性ニキビが続く状態 平らな赤み、褐色の色素沈着、陥凹瘢痕だけが残る状態 数週ごとに炎症性皮疹数と副反応を再評価 薬剤により乾燥、刺激、赤み、皮むけ、アレルギーなど 保険・自費、診断と処方内容により異なる 要確認
赤みを標的にする血管レーザー・光治療 炎症が落ち着き、平らなニキビ後紅斑や毛細血管拡張が主に残る状態 活動性ニキビの新生が多い、褐色の色素・陥凹が主、機器条件と肌色が合わない状態 複数回。赤みの段階と前回反応で再評価 痛み、赤み、紫斑、腫れ、乾燥、色素変化など 機器・照射範囲により異なる 要確認
色素沈着・陥凹瘢痕の治療 茶色い色残り、アイスピック・ボックスカー・ローリング型の陥凹が主な状態 赤い丘疹・膿疱が増えている急性炎症期 色素の深さ・瘢痕型ごとに複数回。炎症を抑えた後に再評価 方式により赤み、痂皮、腫れ、色素変化、出血など 施術・範囲・回数により異なる 要確認

費用の目安

  • ADVATx 589+1319nm全顔・スポット照射込み:1回30,000円/5回139,000円(税込)
  • ADVATx 顎下オプション:1回6,000円(税込)

すべて自由診療・税込です。2026年7月20日改定のローカル料金正本と現行料金ページを2026年8月9日に照合しました。

リスク・副作用・注意点

  • 照射中の痛み・熱感、照射後の赤み、ほてり、乾燥、刺激感、皮むけ、腫れが生じることがあります。
  • まれに色素沈着、水疱、やけど、炎症性ニキビの一時的な増加が生じることがあります。
  • 妊娠中、強い日焼け・皮膚炎・感染がある方、光過敏を起こす薬を使用中の方などは照射できない場合があります。
  • 国内承認・適応: ADVATxは日本国内で医薬品医療機器等法上の承認を受けていない医療機器です。当院では医師の責任のもと、適法な輸入手続きにより入手しています。米国FDAのK250189では、589nmについて顔面毛細血管拡張・酒さ・炎症性ニキビなど、1319nmについて軽症・中等症の炎症性ニキビ・萎縮性ニキビ瘢痕などの使用目的で510(k)クリアランスを取得していますが、米国でのクリアランスは日本の承認とは異なります。未承認医療機器による健康被害は、医薬品副作用被害救済制度等の対象外となる場合があります。

参考文献にある4回・6回、疼痛、改善率は当院の照射回数・設定・変化を示すものではありません。院内では前回反応に合わせて次の照射を組みます。

Doctor Review

執筆・監修

執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)

References

参考にした一次情報・ガイドライン

  1. Boonpethkaew S, Ratanapokasatit Y, Chirasuthat S, Wattanakrai P. Efficacy and safety of the 589/1319 nm solid-state dual-wavelength laser combined with topical benzoyl peroxide for inflammatory acne vulgaris: a split-face randomized controlled trial. Arch Dermatol Res. 2025;317(1):635. doi:10.1007/s00403-025-04146-6. PMID:40140055. PMCID:PMC11947063.

    Efficacy and safety of the 589/1319 nm solid-state dual-wavelength laser combined with topical benzoyl peroxide for inflammatory acne vulgaris: a split-face randomized controlled trial

    研究デザイン: 単盲検・無作為化の左右比較試験。2.5%BPOを全顔へ1日1回18週間使用し、無作為に割り付けた片側へ589/1319nmレーザーを2週ごとに計4回照射。最終照射後3か月まで追跡した。 / 対象: 両側顔面に少なくとも2個ずつの炎症性丘疹または膿疱がある、18〜50歳の軽症〜中等症ニキビ患者18人。タイの単一施設・単一民族集団。 / 結果: 最終照射3か月後、炎症性皮疹数はBPO+レーザー側で46%、BPO単独側で29%減少したが、群間差は有意でなかったとの報告がありました。平均疼痛は3.4/10で、重篤な有害事象はなく、3人に両側の軽い乾燥・紅斑・皮むけが生じ2週間以内に自然軽快した。 / 限界: 18人の小規模・単一施設・単一民族研究で、両側へBPOを使用しておりレーザー単独効果は評価していない。炎症性皮疹数の群間差はp=0.9200で有意ではなく、メラニン・凹み・粗さは炎症性皮疹数との相関または傾向で、各平均値の改善を示した結果ではない。最適設定と他のニキビ治療との併用は未確立。研究費はMahidol大学病院皮膚科、機器はタイの販売会社から貸与され、著者は他の利益相反なしと記載。原著全文を2026年8月9日に確認した。

  2. Boonpethkaew S, Anansiripun P, Maitrisathit W, et al. Efficacy and Safety of a Dual-Wavelength 589/1319 nm Laser for the Treatment of Acne Erythema: A Split-Face Randomized Controlled Trial. J Cosmet Dermatol. 2026;25:e70894. doi:10.1111/jocd.70894. PMID:42087432. PMCID:PMC13145309.

    Efficacy and Safety of a Dual-Wavelength 589/1319 nm Laser for the Treatment of Acne Erythema: A Split-Face Randomized Controlled Trial

    研究デザイン: 単盲検・無作為化の左右比較試験。片側へ589/1319nmレーザーを2週ごとに計6回、反対側へ87.4%アロエベラジェルを1日2回18週間使用し、最終照射後8週まで追跡した。研究中は一部の外用ニキビ治療を継続可能としていた。 / 対象: 両側顔面にニキビ後紅斑がある18〜50歳の30人が登録され、29人が完遂。27人が女性で、Fitzpatrick III型19人、IV型10人。タイの単一施設集団。 / 結果: 1段階以上の紅斑改善はレーザー側で21/29側(72.40%)、アロエベラジェル側で20/29側(68.97%)だったとの報告がありました。群間差はなく、ベースラインからの有意な改善はレーザー側で2週、ジェル側で4週から始まり、レーザー側の満足度は最終照射後4週まで高かった。平均疼痛は1.52/10で、重篤な有害事象はなかった。 / 限界: 29人の小規模・短期・単一施設・単一民族研究で、27人が女性、皮膚型III〜IVが中心。追跡中の新規ニキビが紅斑評価へ影響し、2人は両側に重症ニキビを生じた。最終時点の群間差はなく、事後検出力は約74%。最適設定と長期成績は未確立。研究費はMahidol大学病院皮膚科、機器はタイの販売会社から短期貸与され、販売会社は研究工程へ関与せず、著者は他の利益相反なしと記載。原著全文を2026年8月9日に確認した。

  3. PMDA

    医療機器の承認審査に関する情報

    販売名、承認番号、承認範囲を確認する公的情報です。

  4. 厚生労働省

    医療広告ガイドライン

    自由診療の費用、主なリスク・副作用、未承認機器等の表示を確認する公的資料です。

よくあるご質問

Q. 589nmと1319nmは同じ日に使いますか?

同一施術で両方の波長を組み合わせられます。赤み・血管には589nm、皮脂・活動性ニキビ・真皮の所見には1319nmという役割を置き、所見が重なる範囲を中心に配分します。

Q. 炎症性ニキビはレーザーだけで治療しますか?

活動性ニキビはBPOやレチノイドなどの標準的な外用治療を土台にします。外用を続けても赤い丘疹が繰り返す部位や、赤み・皮脂が重なる範囲へADVATxを補助として加えます。

Q. 赤いニキビ跡と茶色いニキビ跡は同じ治療ですか?

平らな赤みは圧迫で退色する範囲と血管の見え方を確認して589nmを検討します。茶色い色素沈着はメラニンの分布、深い陥凹は瘢痕の深さを確認し、それぞれ色素・瘢痕治療へ分けます。

Q. 何回、どのくらいの間隔で受けますか?

紹介した臨床報告では2週ごとに4回または6回照射しています。当院では1回ごとの炎症性皮疹数、赤み、皮脂、痛み・熱感・乾燥を比べ、次の範囲と回数を決めます。

Q. 費用と国内の承認状況を教えてください。

589+1319nm全顔はスポット照射込みで1回30,000円、5回139,000円、顎下オプションは1回6,000円です。ADVATxは米国FDAで波長ごとの使用目的について510(k)クリアランスを取得していますが、日本では未承認医療機器で、健康被害時に公的救済制度の対象外となる場合があります。

ご予約・ご相談はこちら

気になる症状や治療方法について、初診予約・再診予約・お問い合わせからご相談いただけます。