4年間の美容医療を「戻す治療」と「維持する治療」で振り返る
数年単位の美容医療は、毎回多くの施術を足すより、最初に必要な変化を整え、その後は治療履歴を引き継ぎ、表情・輪郭・肌で戻った変化だけを整えることが大切です。4年間の治療履歴から、追加量より前回からの変化を読む方法を整理します。
Medical Information
この記事について
- 執筆・監修
- 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
- 公開日
- 2026年7月26日
- 確認日
- 2026年08月13日
4年間の治療歴を時系列で整理
この症例では、ボトックスを4〜5か月ごと、ヒアルロン酸を合計2回、レーザーを不定期に行い、DENSITY 1回、直近半年以内にAlltite、ホームケアにZO SKIN HEALTHを取り入れています。
4年間で、表情じわ、顔の支え、色調、皮膚のゆるみへ少しずつ治療を重ねています。施術ごとの役割と実施時期を時系列で整理します。


最初は支え・表情・肌の優先順位を決める
凹みや骨格の影にはヒアルロン酸、強い表情じわにはボトックス、色調・赤みにはレーザー、皮膚のゆるみにはRFというように、原因と治療の役割を対応させます。
維持期は追加量ではなく前回からの変化を見る
ヒアルロン酸は合計2回であり、見た目を保つために頻回追加した症例ではありません。前回から戻った部位、残っている効果、過剰なボリューム、表情の動きを確認して必要な治療だけを選びます。
ボトックスは表情が戻る時期、RFは皮膚のゆるみ、ホームケアは刺激と継続性を評価し、同じ間隔を全員に当てはめません。
RF後の下顔面の引き締まりを評価する資料として、全例完遂。6か月まで多くが軽度~中等度改善、1・3・6か月で有意改善(p<0.01)。平均疼痛3.13/10、重篤な有害事象なし(参考文献1)。
数年後に治療履歴を説明できる記録を残す
製剤名・注入量・部位、照射機器・ショット数、写真、合併症を時系列で残すと、重複治療や過剰な追加を避けやすくなります。治療しない期間も比較材料です。
DENSITY 1回後の輪郭変化と短期の皮膚反応を評価する資料として、15/16例で有意改善。平均tightening distance 0.82±0.36 mm、下顔面厚-0.89±0.40 mm。平均疼痛1.4/5、重篤な有害事象なし(参考文献2)。
当院での診療の考え方
- 最初の治療では、表情じわにボトックス、凹みや支持不足にヒアルロン酸、皮膚・脂肪のゆるみにDENSITYやAlltiteを割り当てます。
- 維持期は施術を一律に足さず、表情の戻り、注入部位の支持、皮膚のハリ、フェイスラインの変化から、戻った要素だけを補います。
- 過去の製剤・注入量・機器・治療時期を引き継ぎ、約2週間後のボトックス調整や数か月後の熱治療など、施術ごとの評価時期に合わせて次回を決めます。
治療の比較
| DENSITY | 皮膚のゆるみ・ハリ・小じわ | 脂肪・骨格・容量不足が主な影 | 1回(掲載経過) | 赤み、熱感、むくみ、水疱、熱傷 | DENSITY 全顔250ショット99,000円 |
| Alltite | 深部の引き締めと輪郭 | 頬こけ・熱治療直後 | 1回(掲載経過) | 赤み、熱感、腫れ、熱傷 | Alltite 300ショット55,000円 |
| ボトックス | 筋肉の動きによる表情じわ・緊張 | 対象筋以外の原因が主な状態 | 4〜5か月ごと(掲載経過) | 内出血、左右差、対象外筋への作用 | ボトックス 表情じわ1部位33,000円から |
費用・リスク・承認状況
費用
- ボトックス 表情じわ1部位33,000円から
- ヒアルロン酸1本1cc 77,000円(部位により施術料)
- DENSITY 全顔250ショット99,000円
- Alltite 300ショット55,000円
主なリスク
- 注入:内出血、腫れ、左右差。ヒアルロン酸ではまれに血管閉塞
- RF:赤み、熱感、腫れ、熱傷、知覚変化
- レーザー・外用:赤み、乾燥、刺激、色素沈着
製剤・機器ごとに国内承認範囲が異なります。DENSITYとAlltiteは国内未承認医療機器で、未承認機器による健康被害は救済制度の対象外となる場合があります。
よくある質問
4年間の経過では何を記録しますか?
製剤名、注入量、照射機器、部位、時期、有害反応を時系列に整理します。
若々しい印象はどの部位で評価しますか?
こめかみ、頬、口元、下顎縁を正面・斜位で分け、容量と皮膚のゆるみを見ます。
維持治療は毎年同じ内容ですか?
残った変化を診察し、注入・RF・レーザー・ホームケアから必要な役割だけを選びます。
過去の治療履歴が必要なのはなぜですか?
同じ部位への熱や注入の重なりを避け、前回の反応と有害事象を次の設計へ反映するためです。
参考文献
参考文献1:Efficacy and Safety of Monopolar Radiofrequency for Treatment of Lower Facial Laxity in Asians
- 研究デザイン
- 前向き単群コホート。monopolar RFを1回施行、2名の盲検皮膚科医が6か月まで評価。
- 対象
- Fitzpatrick III~V、軽度~中等度下顔面弛緩30例。
- 主な結果
- 全例完遂。6か月まで多くが軽度~中等度改善、1・3・6か月で有意改善(p<0.01)。平均疼痛3.13/10、重篤な有害事象なし。
- 限界
- 無対照、n=30、機器固有、主観評価を含み、他のRF機器へ直接一般化できない。
- COI・資金
- Siriraj Hospitalが研究支援、Quantum Healthcare Thailandが機器提供、Won Tech Koreaが迅速審査料・OA費を負担。著者は個人的COIなしと申告。
参考文献2:The Safety and Efficacy of the Mono-Bi CrossLIFT Technique Utilizing Capacitive-Coupled Sequential Monopolar and Bipolar Pulsed Radiofrequency for Simultaneous Facial Skin Tightening and Contouring: A Clinical Case Series
- 研究デザイン
- DENSITYを用いた前向き単群症例系列。monopolar/bipolar sequential RFを1回、3D画像で24週評価。
- 対象
- 36~59歳、Fitzpatrick II~IV、軽度~中等度顔面弛緩16例。
- 主な結果
- 15/16例で有意改善。平均tightening distance 0.82±0.36 mm、下顔面厚-0.89±0.40 mm。平均疼痛1.4/5、重篤な有害事象なし。
- 限界
- n=16、対照なし、単施設・単著、術式と機器効果を分離できない、24週。
- COI・資金
- 著者はCOIなしと申告。本文に特定の資金提供記載なし。
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