ルビーフラクショナルはなぜ回数を重ねるのか
ルビーフラクショナルは、レーザーを点状に分散し、毎回の色素と炎症反応を見ながら顔全体の治療量を段階的に積み上げます。当院では2〜3週間に1回を5回行い、照射の経過に合わせて外用・保湿・UVケアも調整します。
Medical Information
この記事について
- 執筆医・監修医
- 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
- 監修日
- 2026年8月9日
- 公開日
- 2026年4月26日
- 実質更新日
- 2026年8月9日

Contents
目次
点状照射では、正常皮膚を間に残して治療します
フラクショナル照射は、照射面を細かな点へ分け、微小な照射部位の間に非照射部位を残します。図の赤い点が照射部位、白い枠が正常皮膚です。点状に光を届けることで、照射部位の周囲に皮膚が回復する余地を確保します。
この配置により、各回の赤みや熱感を確認しながら治療量を加えられます。残った色素は次の回で位置と濃さを見直し、複数回で顔全体を整えます。
2〜3週間隔で5回、反応を見ながら出力を調整します
当院では2〜3週間に1回、5回を1クールとしています。最初は弱めの出力から開始し、各回で赤み、かさぶた、炎症後色素沈着、残るシミの濃さを比べて、次回の出力と照射範囲を調整します。
図の1回目から5回目までの上昇線は、前回の反応が治まった範囲に次の治療量を加える経過を示しています。濃く残る部分と薄くなった部分を分け、各回の出力と照射範囲を調整しながら色素を段階的に減らします。
前回の反応を見て次の治療量を決める理由として、694nmのQスイッチルビーフラクショナルでは、最終照射4〜6週後にMASIが6.54から1.98へ低下した一方、3か月後に炎症後色素沈着28%、再発44%との報告がありました(参考文献1)。
ルビーフラクショナルを複数回で積み上げる判断の根拠として、694nmの低出力Qスイッチルビーフラクショナルを2週間隔で6回行い、MASIが治療前15.1から最終照射16週後10.6へ低下したとの報告がありました(参考文献3)。
繰り返す照射刺激で、色ムラと肌質の変化も追います
図では、表皮、基底膜、真皮浅層、真皮深層を分け、点状の照射刺激を複数回加えるイメージを示しています。1クールでは色素の減り方を中心に見て、2クール目以降はターンオーバー、くすみ、色ムラ、ハリの変化も同じ照明の写真で追います。
各回で増やすのは回数だけではなく、前回の反応を踏まえた総治療量です。毛穴やハリの変化を評価するときも、色素が薄く見える効果と分け、輪郭の影や照明条件をそろえて比べます。
レーザー、レチノール、保湿、UVケアを同じ期間に組みます
レーザーは色素へ直接アプローチし、レチノールを含む外用はターンオーバーと色素排出を支えます。美白・保湿ケアは炎症とバリア低下を抑え、UVケアは治療中の色戻りと悪化を防ぎます。5回の照射期間を通して、この4項目を並行して管理します。
レチノールは頻度を急に増やすと赤み、皮むけ、乾燥が続き、レーザー反応との区別が難しくなります。照射日と外用日を記録し、新しく増やした後に刺激が出た場合は一段階前の頻度へ戻します。
紫外線対策は照射当日だけでなく、次回まで毎日続けます。日焼け止めに加えて帽子や日傘を使い、頬骨部など紫外線を受けやすい部位の色戻りを減らします。
照射間も毎日遮光を続ける理由として、4%ハイドロキノンを併用した肝斑患者では、可視光も防ぐ日焼け止め群がUVのみを防ぐ群より、8週後のMASIで15%、色彩計で28%、メラニン評価で4%大きく改善したとの報告がありました(参考文献4)。
通院ごとに、色素、炎症、外用反応の順で次回を決めます
診察では、最初に前回照射したシミの濃さと範囲を同じ写真条件で比べます。次に赤み、かさぶた、炎症後色素沈着が残っていないかを見て、最後にレチノールによる皮むけと乾燥、保湿、UVケアの継続状況を確認します。
反応が治まっていれば残る色素へ次の治療量を加え、赤みや色素沈着が残る部位は回復を待って照射間隔を延ばします。肝斑様の左右対称な色調が見えてきた場合は、外用と遮光を中心とする治療へ組み替えます。
肝斑様の色調が見えた時点で照射計画を切り替える根拠として、低出力1064nm QスイッチNd:YAGではMASI低下がみられた一方、フラクショナルレーザーは対照を有意に上回らなかったとの報告がありました(参考文献2)。
Clinical View
診療で確認するポイント
- 初回は濃いシミ、淡い色ムラ、肝斑様色素を同じ照明で撮影し、フラクショナルで治療する範囲を決めます。
- 2〜3週間ごとに色素の残り方、赤み・かさぶた・炎症後色素沈着、レチノールの皮むけを順に見て、次回の出力、照射範囲、外用頻度を調整します。
- 5回後は、色素の減少が続いている部位、反応が頭打ちの部位、肝斑様の色調を分け、2クール目、メンテナンス、外用中心の治療へ振り分けます。
Comparison
治療選択の比較
| 治療・対応 | 向く状態 | 向かない/慎重な状態 | 回数の目安 | ダウンタイム | 費用(税込) | 承認状況 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ルビースポット照射 | 少数の境界明瞭な色素斑を1回単位で治療したい | 顔全体の色むら・肝斑 | 通常1回後に色調とPIHを再評価 | 痂皮・赤み・炎症後色素沈着 | 1cm×1cmまで6,600円、超過は1cm²ごと4,400円 | 使用機器・目的の国内承認範囲と未承認表示を確認 |
| ルビーフラクショナル | 広い色むらを反応を見ながら複数回で積み上げたい | 前回の炎症・PIHが残っている | 初期は複数回、反応後に間隔を再設定 | 赤み・熱感・痂皮・炎症後色素沈着 | 全顔1回16,500円/5回66,000円(施術者・クールにより異なる) | 使用機器・目的の国内承認範囲と未承認表示を確認 |
| 外用・遮光 | 照射間の肌管理、肝斑・PIH・再発予防 | 悪性を疑う色素病変 | 毎日のケアとして8〜24週を目安に評価 | 乾燥・赤み・皮むけ・刺激感 | 製品・処方内容により異なる | 化粧品と医薬品を分け、医薬品は承認適応・禁忌を確認 |
費用の目安
- 全顔(看護師施術)1回 ¥16,500 / 1クール目5回 ¥66,000 / 2クール目以降5回 ¥55,000 / 医師施術 1回 ¥27,500
公式料金表を2026-07-06に取得して整理しています。回数、施術者、適応によって費用は変わることがあります。
リスク・副作用・注意点
- 照射後1週間以内に、照射部位にかさぶたができることがあります。
- 炎症後色素沈着が生じることがあり、元の肌状態に戻るまで3カ月以上かかることがあります。
- 国内承認・適応: 製品・機器と使用目的により異なるため、販売名・承認番号・承認範囲をPMDAで照合
紫外線対策、保湿、摩擦予防などのアフターケアが大切です。実際の注意点は診察時の説明もご確認ください。
Doctor Review
執筆・監修
執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
References
参考にした一次情報・ガイドライン
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Treatment of melasma in Caucasian patients using a novel 694-nm Q-switched ruby fractional laser
研究デザイン: 単施設の後ろ向き症例集積。694nm Qスイッチルビーフラクショナルを1〜3回、必要時は4週間隔で照射し、盲検評価者3人がMASIを評価 / 対象: Fitzpatrick skin type I〜IIIの白人女性肝斑患者25人、平均39.8歳。平均照射回数1.4回 / 結果: 最終照射4〜6週後にMASIは6.54から1.98へ72.3%低下した。3か月後の炎症後色素沈着は7人(28%)、再発は11人(44%)だったとの報告がありました。 / 限界: 無作為化・対照群がなく、白人女性25人の単施設研究で追跡は3か月。Tattoostar FRxを4〜8J/cm2で用いた結果で、当院のNanoStar R、2〜3週間隔、5回コースの成績ではない。原著全文を2026年8月8日に確認した。
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Efficacy and Safety of Laser-Based Therapies for Melasma: A Systematic Review and Meta-Analysis
研究デザイン: 肝斑へのレーザー治療を扱う無作為化比較試験・左右比較試験52件のシステマティックレビュー・メタ解析 / 対象: 52研究、計1,058人。複数の波長、フラクショナル方式、併用治療、評価時点を含む / 結果: 全レーザーの統合差は有意ではなく、低出力1064nm QスイッチNd:YAGのみMASI低下が有意だった。フラクショナルレーザーは対照を有意に上回らなかったとの報告がありました。 / 限界: 異質性はI2=96.2%と高く、盲検不足などにより主要評価の確実性はvery low。694nm Qスイッチルビーフラクショナルや当院のコースを単独評価した結果ではない。原著全文を2026年8月8日に確認した。
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Efficacy of 694-nm Q-switched ruby fractional laser treatment of melasma in female Korean patients
研究デザイン: 694nm低出力Qスイッチルビーフラクショナルを用いた単群臨床研究。治療前、各回前、最終照射4週・16週後に評価 / 対象: 韓国人女性の肝斑患者15人。全顔へ2週間隔で6回照射 / 結果: 平均MASIは治療前15.1±3.3から最終照射16週後10.6±3.9へ低下し、色彩計のL値は56.6±3.5から59.9±2.8へ上昇したとの報告がありました。 / 限界: 15人の小規模単群研究で対照群がなく、肝斑患者と特定機器・設定の結果。当院のNanoStar R、5回コース、老人性色素斑・そばかす全体の成績ではない。PubMed抄録を2026年8月8日に確認した。
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Near-visible light and UV photoprotection in the treatment of melasma: a double-blind randomized trial
研究デザイン: 可視光も防ぐUV-VL日焼け止めとUVのみを防ぐ日焼け止めを比較した二重盲検無作為化試験、8週間。両群とも4%ハイドロキノンを併用 / 対象: 強い日射環境にいる肝斑患者68人を無作為化し、61人が完遂。両製品ともSPF50以上 / 結果: UV-VL群はUVのみの群に比べ、8週後のMASIで15%、色彩計で28%、組織学的メラニン評価で4%大きな改善があったとの報告がありました。 / 限界: 全員が4%ハイドロキノンを併用した肝斑研究で、ルビーフラクショナル後の再発率を直接評価していない。製品組成と生活環境が当院患者と異なる。PubMed抄録を2026年8月8日に確認した。
よくあるご質問
Q. なぜ1回で強く照射せず、5回に分けるのですか?
点状照射では正常皮膚を間に残し、前回の炎症が治まった後に残る色素へ次の治療量を加えます。毎回の色素と皮膚反応に合わせて照射範囲と出力を調整し、顔全体の色素を段階的に減らします。
Q. 治療間隔は必ず2〜3週間ですか?
当院の初期コースは2〜3週間に1回が目安です。赤み、かさぶた、炎症後色素沈着、強い乾燥が残っているときは、皮膚が回復するまで間隔を延ばします。
Q. 照射後にはどのような反応が出ますか?
赤み、熱感、ひりつき、乾燥、点状のかさぶたが出ることがあります。炎症後色素沈着、色素脱失、水疱、熱傷、瘢痕、肝斑の色調変化が起こることもあるため、かさぶたをはがさず、保湿とUVケアを続けます。
Q. レチノールで赤みや皮むけが出た場合はどうしますか?
新しく増やした外用をいったん休み、保湿を続けます。刺激が治まった後は、使用量または週の回数を一段階前へ戻して再開します。痛み、腫れ、水疱、じゅくじゅくした皮膚炎がある場合は使用を中止してください。
Q. 料金と使用機器の承認状況を教えてください。
全顔は看護師施術1回16,500円、1クール目5回66,000円、2クール目以降5回55,000円、医師施術1回27,500円です。当院では色素性皮膚疾患の治療を目的として国内承認されたQスイッチルビーレーザーNanoStar Rを使用しています。外用製品は別料金です。
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