医師解説シミルビーフラクショナル

ルビーフラクショナルトーニングの特徴と治療間隔の考え方

ルビーフラクショナルトーニングは、694nmのQスイッチルビーレーザーを細かな点状に分けて全顔へ照射し、薄いシミ、そばかす、くすみを複数回で整える治療です。当院では2〜3週間隔で5回を1クールとし、外用を組み合わせて色調と質感を追います。

Medical Information

この記事について

監修日
2026年8月9日
公開日
2024年12月6日
実質更新日
2026年8月9日

Contents

目次

  1. 694nmのルビー光を点状に分けて全顔へ照射します
  2. 3〜4回目で変化を比べ、5回後に次の間隔を決めます
  3. 肝斑が見えてきたときは、写真比較から治療計画を切り替えます
  4. スポット、フラクショナル、医師施術を色素の濃さで選びます
  5. ビタミンAとハイドロキノンは少量から段階的に増やします
  6. 色素の分布、5回の変化、外用反応の順に次の治療を決めます
  7. 診療で確認するポイント
  8. 治療選択の比較
  9. 費用の目安
  10. リスク・副作用・注意点
  11. 関連記事
  12. 関連施術・関連症状のご案内
  13. 執筆・監修
  14. 参考にした一次情報・ガイドライン
  15. よくあるご質問

694nmのルビー光を点状に分けて全顔へ照射します

Qスイッチルビーレーザーの694nmはメラニンへの吸収が高く、シミやそばかすの色素を狙う波長です。フラクショナルトーニングでは、この光を細かな点状に分けて全顔へ照射し、濃さの異なるシミと顔全体のくすみを、回数を重ねながら整えます。当院ではNanoStar Rを使用しています。

当院の初期コースは2〜3週間に1回、5回です。照射直後の赤みは当日のうちに治まりやすく、通常は保護シールを使わないため、季節を問わず予定へ組み込みやすい全顔治療です。

YAGレーザーやピコトーニングとは波長と光の届け方が異なります。ルビーの694nmはメラニンを主な標的とし、浅い色素とやや深い色素が混在するシミ・くすみに、同じ写真条件で変化を追いながら照射します。

3〜4回目で変化を比べ、5回後に次の間隔を決めます

画像のQ&Aでは、トーンアップやシミの薄まりを3〜4回目から感じる方が多く、5回終了時に写真でも変化を比べやすいと案内しています。ビタミンAとハイドロキノンの外用を併用するときは、レーザーの経過と外用による色調変化を同じ時期に記録します。

5回後は、残る色素と各回の反応に合わせて出力を段階的に調整します。当院の案内では8〜9割の方が治療を継続し、2クール目はより深い色素も見ながら進めています。初期コース後のメンテナンスは、1か月〜1か月半に1回が目安です。

定期照射は、残る色素と各回の反応を比較し、再び濃くなる変化を早めに捉える目的で行います。色調に加えて毛穴、小じわ、ハリ、ほうれい線周囲の質感も同じ照明で比べ、メンテナンスを続けるかを決めます。

肝斑が見えてきたときは、写真比較から治療計画を切り替えます

シミと肝斑が同じ頬に重なると、治療開始時には淡い肝斑が目立たず、経過写真で左右対称のもやっとした色調が明らかになることがあります。当院の案内では肝斑がみられる方を8〜10%としており、3〜5回の写真を比べて肝斑の分布が見えた時点で、照射の続け方と外用を肝斑治療へ組み替えます。

次回までに戻る色、赤み、炎症後色素沈着を記録し、ルビーを続ける部位と外用・遮光を優先する部位を分けます。顔全体の色調を追いながら、肝斑の刺激を抑える照射計画へ切り替えます。

肝斑が混在する部位で、短期の薄まりだけでなく色戻りと炎症後色素沈着を追う理由として、694nmのQスイッチルビーフラクショナルでは、最終照射4〜6週後にMASIが6.54から1.98へ低下した一方、3か月後に炎症後色素沈着28%、再発44%との報告がありました(参考文献1)。

左右対称の肝斑様色素が見えた時点で照射計画を切り替える根拠として、低出力1064nm QスイッチNd:YAGではMASI低下がみられた一方、フラクショナルレーザーは対照を有意に上回らなかったとの報告がありました(参考文献2)。

スポット、フラクショナル、医師施術を色素の濃さで選びます

画像の比較表では、スポット/フラクショナルトーニング/医師施術の順に、濃いシミは◎/○/◎、薄いシミは△/◎/○、肝斑は×/△〜×/×としています。濃く境界が明瞭な一個のシミはスポット、淡い色素が広く散在する肌はフラクショナル、深さや反応を見ながら医師が照射する色素は医師施術という使い分けです。

同じ表で、そばかすは○/○/○、くすみは×/◎/○、ハリと毛穴はそれぞれ×/△/△です。全顔のくすみを面で整えたいときはフラクショナルを軸にし、濃い斑点が残ればスポットまたは医師施術を追加します。ハリや毛穴は色素の変化とは別に写真で判定します。

ビタミンAとハイドロキノンは少量から段階的に増やします

画像で示した開始例では、スキンブライセラム0.25(レチノール)を夜1プッシュ、週2回で2週間続けます。その後、洗顔・化粧水の後にミラミン(ハイドロキノン)を毎夜0.5プッシュから数日間加えます。

刺激が強く出ていなければ、ミラミンを毎夜1プッシュへ増やし、さらに数日後から朝・夜1プッシュへ進めます。ミラミンの連続使用は最大6か月とし、その後は3か月の休薬期間を設けてから再開します。

スキンブライセラム0.25は、週3回、4回、5回、6回、毎日へと夜の使用日を段階的に増やします。使い切った時点で肌が安定していればスキンブライセラム0.5へ濃度を上げます。レーザーの2〜3週間隔と外用の増量日を記録し、赤みや皮むけが出た原因を分けて調整します。

色素の分布、5回の変化、外用反応の順に次の治療を決めます

最初に、濃く境界が明瞭なシミ、淡く散在する色素、そばかす、くすみ、左右対称の肝斑様色素を同じ照明で撮影します。淡い色素とくすみが主なら全顔フラクショナルを2〜3週間隔で進め、濃い斑点はスポットまたは医師施術へ分けます。

3〜4回目と5回目に、色素の濃さ、くすみの面積、赤み、外用による皮むけを別々に比べます。5回後も残る色素は治療方法を見直し、全顔の変化が安定した場合は1か月〜1か月半隔のメンテナンスへ移ります。

Clinical View

診療で確認するポイント

  • 全顔写真では色素の濃淡と左右対称性を別々に記録し、単発の濃い病変と広く散在する色素を照射方法の選択へつなげます。
  • 淡い色素とくすみには全顔フラクショナルを2〜3週間隔で5回進め、濃い斑点はスポットまたは医師施術へ分け、肝斑の分布が見えた場合は照射と外用の組み方を変更します。
  • 3〜4回目と5回目に色素、赤み、毛穴・ハリ、外用反応を別々に比べ、5回後は残る所見に応じて再治療または1か月〜1か月半隔のメンテナンスへ移ります。

Comparison

治療選択の比較

治療・対応 向く状態 向かない/慎重な状態 回数の目安 ダウンタイム 費用(税込) 承認状況
ルビーフラクショナル 顔全体の色むら・細かな色素を段階的に治療したい 肝斑活動性や強い日焼け、PIHが強く残っている 初期は複数回、反応後に間隔を再設定 赤み・熱感・痂皮・炎症後色素沈着 全顔1回16,500円/5回66,000円(施術者・クールにより異なる) 使用機器・目的の国内承認範囲と未承認表示を確認
ルビースポット照射 少数の境界明瞭な色素斑 顔全体の肝斑・びまん性色むら 通常1回後に色調とPIHを再評価 痂皮・赤み・炎症後色素沈着 1cm×1cmまで6,600円、超過は1cm²ごと4,400円 使用機器・目的の国内承認範囲と未承認表示を確認
外用・遮光 肝斑、炎症後色素沈着、照射後の維持 悪性を疑う色素病変 毎日のケアとして8〜24週を目安に評価 乾燥・赤み・皮むけ・刺激感 製品・処方内容により異なる 化粧品と医薬品を分け、医薬品は承認適応・禁忌を確認

費用の目安

  • 全顔(看護師施術)1回 ¥16,500 / 1クール目5回 ¥66,000 / 2クール目以降5回 ¥55,000 / 医師施術 1回 ¥27,500

公式料金表を2026-07-06に取得して整理しています。回数、施術者、適応によって費用は変わることがあります。

リスク・副作用・注意点

  • 照射後1週間以内に、照射部位にかさぶたができることがあります。
  • 炎症後色素沈着が生じることがあり、元の肌状態に戻るまで3カ月以上かかることがあります。
  • 国内承認・適応: 製品・機器と使用目的により異なるため、販売名・承認番号・承認範囲をPMDAで照合

紫外線対策、保湿、摩擦予防などのアフターケアが大切です。実際の注意点は診察時の説明もご確認ください。

Doctor Review

執筆・監修

執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)

References

参考にした一次情報・ガイドライン

  1. Hilton S, Heise H, Buhren BA, et al. Eur J Med Res. 2013;18:43. doi:10.1186/2047-783X-18-43.

    Treatment of melasma in Caucasian patients using a novel 694-nm Q-switched ruby fractional laser

    研究デザイン: 単施設の後ろ向き症例集積。694nm Qスイッチルビーフラクショナルを1〜3回、必要時は4週間隔で照射し、盲検評価者3人がMASIを評価 / 対象: Fitzpatrick skin type I〜IIIの白人女性肝斑患者25人、平均39.8歳。平均照射回数1.4回 / 結果: 最終照射4〜6週後にMASIは6.54から1.98へ72.3%低下した。3か月後の炎症後色素沈着は7人(28%)、再発は11人(44%)だったとの報告がありました。 / 限界: 無作為化・対照群がなく、白人女性25人の単施設研究で追跡は3か月。Tattoostar FRxを4〜8J/cm2で用いた結果で、当院のNanoStar R、2〜3週間隔、5回コースの成績ではない。原著全文を2026年8月8日に確認した。

  2. Aljoaib NN, et al. Cureus. 2026;18(3):e106154. doi:10.7759/cureus.106154.

    Efficacy and Safety of Laser-Based Therapies for Melasma: A Systematic Review and Meta-Analysis

    研究デザイン: 肝斑へのレーザー治療を扱う無作為化比較試験・左右比較試験52件のシステマティックレビュー・メタ解析 / 対象: 52研究、計1,058人。複数の波長、フラクショナル方式、併用治療、評価時点を含む / 結果: 全レーザーの統合差は有意ではなく、低出力1064nm QスイッチNd:YAGのみMASI低下が有意だった。フラクショナルレーザーは対照を有意に上回らなかったとの報告がありました。 / 限界: 異質性はI2=96.2%と高く、盲検不足などにより主要評価の確実性はvery low。694nm Qスイッチルビーフラクショナルや当院のコースを単独評価した結果ではない。原著全文を2026年8月8日に確認した。

  3. PMDA

    医療機器の承認審査に関する情報

    販売名、承認番号、承認範囲を確認する公的情報です。

  4. 厚生労働省

    医療広告ガイドライン

    自由診療の費用、主なリスク・副作用、未承認機器等の表示を確認する公的資料です。

よくあるご質問

Q. 何回・どのくらいの間隔で受けますか?

当院では2〜3週間に1回、5回を1クールとしています。3〜4回目からトーンアップやシミの薄まりを感じる方が多く、5回後は残る色素と肌反応を比べ、2クール目または1か月〜1か月半に1回のメンテナンスへ進みます。

Q. スポット照射、フラクショナル、医師施術はどう違いますか?

濃く境界が明瞭な一個のシミはスポット、薄いシミ・そばかす・くすみが顔全体に広がる場合はフラクショナルが中心です。深さのある色素や濃いシミを医師が反応を見ながら治療する場合は医師施術を選びます。

Q. ダウンタイムと主な副作用は何ですか?

全顔フラクショナルの赤みは当日のうちに治まりやすく、通常は保護シールを使いません。赤み、熱感、乾燥、ひりつき、点状のかさぶた、炎症後色素沈着、色素脱失、熱傷、瘢痕、肝斑の色調変化が起こることがあります。

Q. レチノールやハイドロキノンで赤み・皮むけが出たらどうしますか?

新しく増やした製品をいったん休み、保湿とUV対策を続けます。刺激が落ち着いた後は、使用回数または量を一段階前へ戻して再開します。強い痛み、腫れ、水疱、じゅくじゅくした皮膚炎がある場合は使用を中止してください。

Q. 料金と使用機器の承認状況を教えてください。

全顔は看護師施術1回16,500円、1クール目5回66,000円、2クール目以降5回55,000円、医師施術1回27,500円です。当院では色素性皮膚疾患の治療を目的として国内承認されたQスイッチルビーレーザーNanoStar Rを使用しています。外用製品は別料金です。

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