頬コケとフェイスラインをヒアルロン酸4本で整えて自然なリフト感を考える
この症例では、たるみは少ないものの顔の脂肪が少なく頬コケが気になる方に、ボリューマXC 3ccとボラックスXC 1ccを使用しました。頬の支えを先に整え、残る口横と下顎縁を補い、正面・左右斜位で3か月後の自然なリフト感を確認しています。
Medical Information
この記事について
- 執筆医・監修医
- 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
- 監修日
- 2026年8月9日
- 公開日
- 2026年3月3日
- 実質更新日
- 2026年8月9日



Contents
目次
ボリューマXC 3ccとボラックスXC 1ccを使用した3か月後の正面
頬とフェイスラインへ、ヒアルロン酸製剤のジュビダームビスタ ボリューマXCを3本、ボラックスXCを1本(1本1CC、総量4cc)使用した症例です。注入前と3か月後を正面で比べると、前頬の高さが出てチークトップが上がり、頬コケと口横の影がやわらいで、顔全体が自然に引き上がったように見えます。
治療前は皮膚のたるみが少ない一方、顔の脂肪が少なく、頬骨下から外側頬にかけてのコケ感が主な悩みでした。正面では、前頬のふくらみ、頬外側の輪郭、口横から下顎縁へ続く影を分けて記録し、頬を補った変化が下顔面へどうつながるかを見ます。
前頬・外側頬・頬骨下の影を左斜位で分けます
左斜位では、目の下から前頬へ続く面、頬骨外側の輪郭、頬骨下のくぼみを見ます。前頬の支えが不足するとチークトップが低く見え、外側頬の容量が少ないと頬骨下の影が長く見えるため、二つの影が同時に軽くなる位置からボリューマXCを配分します。
頬を補った後は、正面へ戻って頬幅が広く見えないかを確かめ、反対側の斜位で左右の曲面を比べます。頬の支えを先に整えることで口横の影がどこまで変わったかが分かり、フェイスラインへ追加する範囲を絞れます。
前頬と外側頬をボリューマXCで補った後は、正面と斜位の頬容積を経過で見ます。中顔面の1段階以上の改善は6か月時85.6%、24か月時67.1%との報告がありました(参考文献1)。
前頬から頬骨下を補う範囲では、中顔面の血管走行を同時に確認します。眼窩下動脈の枝は一般的な中顔面の注入範囲を走り、滑車上動脈・鼻背動脈・角動脈へつながるとの報告がありました(参考文献2)。
頬を整えた後、口横から下顎縁に残る支持不足を右斜位で見ます
右斜位では、頬の支えを補った後に残る口横の影、下顎前方の段差、下顎縁の連続を見ます。この症例ではボラックスXC 1ccをフェイスラインの設計に使用し、頬から下顎へ視線が途切れない輪郭を目標にしました。
3か月後は、正面と左右斜位を同じ順で比べ、チークトップ、頬骨下の影、口横から下顎縁の線が保たれているかを確認します。写真では頬コケと口元の影が軽くなり、下顎縁が自然につながる変化が維持されています。
頬を整えた後に残る下顎の支持不足へボラックスXCを使い、3か月後も輪郭を見直します。下顔面・下顎輪郭の満足度は3か月時95.3%、12か月時86.3%、18か月時78.2%との報告がありました(参考文献3)。
口横から下顎縁を整えるときは、顔面動静脈が下顎下縁を越える位置を治療範囲へ重ねます。下顎下縁における顔面動脈と顔面静脈の間隔は平均6.20mmとの報告がありました(参考文献4)。
頬の支えを先に作り、フェイスラインへ必要な分を配分します
当院では、前頬・外側頬・頬骨下の影を正面と斜位で照合し、まずボリューマXCで中顔面の支えを整えます。その変化を正面で確認してから、口横から下顎縁に残る支持不足へボラックスXCを配分します。
注入直後は皮膚色、痛み、左右差と輪郭を確認し、腫れが落ち着いた時点でも同じ三方向を撮影します。この症例の総量4ccは、ボリューマXC 3ccとボラックスXC 1ccという製剤別の使用量で、前頬・外側頬など各部位への細かな配分は診察所見と注入中の変化を見ながら決めます。
Clinical View
診療で確認するポイント
- 正面では前頬の高さ、外側頬の輪郭、口横の影を記録し、左右斜位では頬骨下のくぼみと下顎縁の連続を確認します。
- 頬の脂肪が少なくコケ感が主な場合は、ボリューマXCで前頬と外側頬の支えを先に整え、口横の影がどこまで変わるかを見ます。
- 頬を補っても残る下顎前方の段差とフェイスラインへボラックスXCを配分し、頬だけが膨らまず、下顎だけが直線的にならない全顔のつながりを作ります。
- 3か月後も正面・左右斜位を同じ条件で見直し、チークトップ、頬コケ、口横の影、下顎縁の四点を次回の追加判断に使います。
Comparison
治療選択の比較
| 治療・対応 | 向く状態 | 向かない/慎重な状態 | 回数の目安 | ダウンタイム | 費用(税込) | 承認状況 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ボリューマXC(頬・中顔面) | 脂肪が少なく、前頬・外側頬の支持不足や頬骨下の影が主な状態 | 活動性の炎症・感染、成分またはアミド型局所麻酔薬への過敏症歴、容量を足すと頬幅が強調される状態 | 1回後に正面・左右斜位で再評価し、必要時のみ追加 | 痛み、腫れ、内出血、左右差、凹凸・硬結。まれに血管閉塞、壊死、視覚障害 | 1本1cc 77,000円。使用量に応じる | 中顔面は国内承認。承認番号22800BZX00338000 |
| ボラックスXC(フェイスライン) | 頬を補った後も、下顎前方の段差や下顎縁の支持不足が残る状態 | 活動性の炎症・感染、成分またはアミド型局所麻酔薬への過敏症歴、輪郭追加で下顔面が重く見える状態 | 1回後に正面・左右斜位で再評価し、必要時のみ追加 | 痛み、腫れ、内出血、硬化・圧痛、左右差。まれに血管閉塞、壊死、視覚障害 | 1本1cc 77,000円。使用量に応じる | 成人の顔面ボリューム回復・増大で国内承認。承認番号30200BZX00254000 |
| 頬を先に整え、フェイスラインを追加 | 頬コケと下顎支持不足が併存し、頬の変化を見て下顎への配分を決めたい状態 | 強い痛み、皮膚色の変化、視覚異常など緊急評価が必要な状態 | 頬の変化を確認後に下顎を整え、同じ三方向で経過を再評価 | 各部位に痛み、腫れ、内出血、左右差、凹凸・硬結など | 使用本数×1本1cc 77,000円。カテラン針使用時は11,000円 | 使用するボリューマXCとボラックスXCはいずれも国内承認製剤 |
費用の目安
- ジュビダームビスタ ボリューマXC 1本1cc:77,000円(税込)
- ジュビダームビスタ ボラックスXC 1本1cc:77,000円(税込)
- 本症例と同じ4ccの製剤費:308,000円(税込)
- カテラン針を使用する場合:11,000円(税込)
本症例と同じ4ccでは製剤費308,000円です。カテラン針を使用する場合は11,000円が加わります。
リスク・副作用・注意点
- 内出血、一時的な腫れ・痛み、圧痛、左右差、凹凸、硬結、アレルギー、遅発性反応・遅発性結節、感染が起こることがあります。
- 血管内への誤注入または血管・神経の圧迫により、血管閉塞、皮膚壊死、視力・視野障害、失明、脳卒中が起こる可能性があります。
- 通常と異なる強い痛み、皮膚の青白化・紫色または網目状の変化、視力・視野の異常がある場合は、直ちに注入を止めて緊急対応します。
- 国内承認・適応: ジュビダームビスタ ボリューマXCは、成人の中顔面・下顎部・こめかみの減少したボリュームを増大する目的で国内承認されています(承認番号22800BZX00338000)。ジュビダームビスタ ボラックスXCは、成人の顔面のボリューム回復・増大を目的に国内承認され、口唇・眉間・眼窩周囲は適応に含まれません(承認番号30200BZX00254000)。
Doctor Review
執筆・監修
執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
References
参考にした一次情報・ガイドライン
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ジュビダームビスタ ボリューマXC 電子添文
研究デザイン: PMDA公開の国内医療機器電子添文。米国で行われた多施設共同・単盲検・無作為・未処置対照の前向き中顔面試験を収載 / 対象: 中顔面のボリューム不足がある成人。処置群235人を24か月まで追跡し、6か月時の評価は処置群208人、未処置対照36人だった。 / 結果: MFVDSで1段階以上改善した割合は6か月時に処置群85.6%、未処置対照38.9%だった。処置群では12か月85.2%、18か月71.5%、24か月67.1%だった。 / 限界: 中顔面の承認試験で、本症例のボリューマXC 3ccとボラックスXC 1ccの併用、頬から下顎への順序、各部位への配分、3か月写真の個別変化を検証していない。
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The infraorbital artery: Clinical relevance in esthetic medicine and identification of danger zones of the midface
研究デザイン: 眼窩下動脈、その主要分枝と吻合を剖出し、着色したヒアルロン酸の模擬注入を行った新鮮献体解剖研究 / 対象: 新鮮献体18体。生体患者へのフィラー治療を追跡した研究ではない。 / 結果: 眼窩下動脈とその枝は一般的な注入範囲にあり、鼻枝を介して滑車上動脈、鼻背動脈、角動脈と吻合していた。中頬部の浅い範囲と眼窩下溝の骨膜近傍に危険域を示した。 / 限界: 献体解剖と模擬注入の結果で、実際の患者における閉塞率、安全な注入量・器具・層、ボリューマXC 3ccの臨床成績を比較していない。PubMed抄録で確認し、原著全文は取得していない。
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ジュビダームビスタ ボラックスXC 電子添文
研究デザイン: PMDA公開の国内医療機器電子添文。欧州で行われた前向き多施設・単盲検・無作為化比較対照の下顎先端・下顎部試験を収載 / 対象: 22〜75歳の成人120人を無作為化し、被験群90人と、3か月後に処置を受けた対照群29人がボラックスXCによる処置を受けた。 / 結果: 被験群の医師GAIS改善率は3か月100.0%、12か月83.5%、18か月52.5%だった。FACE-Qの下顔面・下顎輪郭満足度は3か月95.3%、12か月86.3%、18か月78.2%で改善していた。 / 限界: 下顎先端・下顎部の承認試験で、本症例におけるボリューマXCとの同時使用、頬から下顎への順序、ボラックスXC 1ccの部位別配分、3か月写真の個別変化を検証していない。
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Mapping the localization of the facial artery and vein at the inferior border of the mandible for clinical applications
研究デザイン: ホルマリン固定献体で、下顎下縁における顔面動脈・静脈と顔面基準点の位置を測定した横断的解剖研究 / 対象: 献体21頭40側。平均年齢72.92歳で、女性11人、男性10人だった。 / 結果: 顔面動脈と顔面静脈の間隔は平均6.20±2.97mmだった。耳珠間切痕と口角を結ぶ線からの最短距離は、動脈38.63±4.86mm、静脈37.78±5.28mmだった。 / 限界: 高齢のホルマリン固定献体を用いた解剖研究で、生体での血管位置変化、フィラー注入後の閉塞率、安全な注入量・器具・層、ボラックスXCの臨床結果を検証していない。PubMed抄録で確認し、原著全文は取得していない。
よくあるご質問
Q. この症例では、どの製剤を何cc使いましたか?
ジュビダームビスタ ボリューマXCを3本3cc、ボラックスXCを1本1cc、合計4cc使用しました。写真は注入前と3か月後の正面・左斜位・右斜位です。
Q. なぜフェイスラインより頬を先に整えるのですか?
前頬と外側頬の支えを補うだけで、チークトップ、頬骨下の影、口横の見え方まで変わるためです。その変化を確認してから、下顎前方と下顎縁に残る支持不足へ必要な分を配分します。
Q. 頬コケにはヒアルロン酸4ccが標準ですか?
4ccはこの症例で使用した総量です。顔の脂肪量、頬の幅、頬骨下の影、下顎支持を正面と左右斜位で見て、製剤と量を決めます。
Q. ボリューマXCとボラックスXCの国内承認範囲を教えてください。
ボリューマXCは成人の中顔面・下顎部・こめかみの減少したボリュームを増大する目的で国内承認されています。ボラックスXCは成人の顔面のボリューム回復・増大を目的に国内承認され、口唇・眉間・眼窩周囲は適応に含まれません。
Q. この症例と同じ4ccの料金と、すぐに連絡が必要な症状を教えてください。
現在の通常料金では4ccの製剤費は308,000円です。カテラン針を使用する場合は11,000円が加わります。通常と異なる強い痛み、皮膚の青白化・紫色または網目状の変化、視力や見え方の異常がある場合は、直ちにご連絡ください。
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