医師解説しわ・たるみヒアルロン酸

ヒアルロン酸8ccで輪郭と顔全体の印象を整える考え方

骨格感が強く見える輪郭をなだらかにし、目元と口元へ華やかさを加えるため、おでこ・こめかみ・頬・ほうれい線・顎・涙袋・唇を治療した症例です。ボリューマXC 6cc、ボルベラXC 1cc、ボラックスXC 1ccの合計8ccを使用し、正面と左右斜位で顔全体のつながりを確認しました。

Medical Information

この記事について

監修日
2026年8月9日
公開日
2021年11月28日
実質更新日
2026年8月9日

Contents

目次

  1. 正面では、上・中・下顔面を一つの輪郭として見ます
  2. 左斜位では、額・こめかみ・頬の連続を確認します
  3. 右斜位では、頬から顎と目元・口元の仕上がりを見ます
  4. 7部位では、血管の走行と注入方向を部位ごとに変えます
  5. 診療で確認するポイント
  6. 治療選択の比較
  7. 費用の目安
  8. リスク・副作用・注意点
  9. 関連記事
  10. 関連施術・関連症状のご案内
  11. 執筆・監修
  12. 参考にした一次情報・ガイドライン
  13. よくあるご質問

正面では、上・中・下顔面を一つの輪郭として見ます

この症例の治療目標は、目立って見える骨格の角をなだらかにつなぎ、女性らしいやわらかさを引き出すことでした。さらに涙袋と唇へ立体感を加え、目元と口元の華やかさも整えています。

治療部位は、おでこ、こめかみ、頬、ほうれい線、顎、涙袋、唇の7部位です。使用製剤はジュビダームビスタ ボリューマXC 6cc、ボルベラXC 1cc、ボラックスXC 1ccで、総量は8ccです。正面の治療後は、額からこめかみ、頬から顎へ続く外側輪郭がなだらかになり、涙袋と唇の存在感が加わっています。

診察では、まずおでことこめかみの丸み、次に頬の前方投影とほうれい線、最後に顎・涙袋・唇を見ます。8ccという数字から始めるのではなく、顔全体でどの境界をなだらかにし、どの部位に華やかさを加えるかを先に決めます。

全顔を一つの仕上がりとして見ながら部位ごとの経過を追う理由として、注入後12週の体積維持は全顔65.5%、頬・中顔面79.2%、上口周囲62.7%、唇37.2%と部位で異なり、顔貌満足度と心理・社会機能も改善したとの報告がありました(参考文献1)。

左斜位では、額・こめかみ・頬の連続を確認します

左斜位の治療前後を比べると、治療後は前額中央から外側、こめかみ、頬へ続く曲線がなだらかです。正面で輪郭の幅を確認し、斜位では額と頬の前方投影、こめかみの境界、頬から口元へ落ちる影を見分けます。

本症例ではボリューマXCを合計6cc使用しています。7部位への配分は、正面で左右差を整え、斜位で額・こめかみ・頬の各部位を少量ずつ再評価しながら決めます。部位別の量を先に固定せず、輪郭の境界がなだらかにつながる所で止めます。

中顔面の前方投影を斜位でも追う理由として、ボリューマによる頬のボリューム変化は6か月時に1.83mLで無治療の0.11mLを上回り、医師評価98.2%、本人評価93.8%が改善したとの報告がありました(参考文献2)。

右斜位では、頬から顎と目元・口元の仕上がりを見ます

右斜位でも、治療後はこめかみから頬、頬から顎へ続く輪郭がやわらかく見えます。顎先の投影だけを強くせず、中顔面から下顔面へつながる線として確認し、涙袋と唇は顔全体の変化に対して目立ちすぎない高さを見ます。

ボルベラXCは1cc、ボラックスXCは1ccを使用しています。涙袋・唇・顎を含む複数部位では、形状保持性、皮膚の薄さ、表情時の動きに合わせて製剤と量を配分します。仕上げは正面と両斜位を並べ、左右差、口を閉じた状態、表情時の動き、顎先と唇の前後関係を確認します。

口唇は直後の腫れだけで完成を決めず経過を追う理由として、ボルベラの口唇充足度改善は1か月86.2%、3か月80.3%、1年65.3%で、1年後の再処置1か月後は94.3%だったとの報告がありました(参考文献3)。

7部位では、血管の走行と注入方向を部位ごとに変えます

おでこ・こめかみ・涙袋は眼動脈系との交通、頬・ほうれい線・唇・顎は顔面動脈系の走行を部位ごとに確認します。過去の注入歴、手術歴、傷あと、左右差を把握し、同じ深さや同じ進入方向を全顔へ当てはめず、皮膚色と痛みを見ながら少量ずつ進めます。

注入後は腫れ、内出血、圧痛、左右差、凹凸に加え、硬さやしこり感を確認します。掲載時の説明では、注入部のしこり感が1〜2か月ほど続くことがあります。急に強くなる痛み、皮膚の白色化や網目状の色調変化、見え方の異常がある場合は、血流障害を疑い直ちに対応します。

注入部位ごとに進入方向と深さを組み替える理由として、全顔の解剖では必要な到達深度が上顔面から中顔面・下顔面・こめかみへ向かって深くなり、血管は多層に分布し、眉間・鼻背・こめかみで吻合が多かったとの報告がありました(参考文献4)。

Clinical View

診療で確認するポイント

  • 正面で顔幅と左右差を確認し、両斜位でおでこからこめかみ、頬、顎へ続く投影を見ます。本症例では、骨格感の強い境界をなだらかにつなぐことを最初の目標にしました。
  • 輪郭を整えた後に、涙袋と唇の高さを顔全体へ合わせます。上顔面・中顔面・下顔面を別々に完成させず、一段階ごとに三方向を撮り直して次の部位へ進みます。
  • ボリューマXC 6cc、ボルベラXC 1cc、ボラックスXC 1ccは本症例の製剤別総量です。部位別配分、注入層、器具は固定せず、診察所見と注入中の変化に合わせます。
  • 治療後は腫れが落ち着いた時点でも正面・左右斜位を見直し、輪郭の連続、表情時の動き、左右差、硬さを確認して追加の要否を決めます。

Comparison

治療選択の比較

治療・対応 向く状態 向かない/慎重な状態 回数の目安 ダウンタイム 費用(税込) 承認状況
ボリューマXC 6cc(掲載症例) 中顔面・下顎部・こめかみなど、広い範囲で減少したボリュームと輪郭の連続を整える設計 涙袋・唇のように薄く動く部位だけを整えたい場合、または局所を少量だけ補う場合 掲載症例の製剤別総量は6cc。部位別配分は診察所見と変化を見ながら決定 腫れ、内出血、圧痛、硬さ、しこり、左右差。まれに血管閉塞 6本・合計6cc 462,000円(税込) 要確認
ボルベラXC 1cc(掲載症例) 顔面のしわ・へこみや口唇の輪郭・ボリュームを細かく整える設計 強い骨格支持や下顎輪郭の形状保持を主目的とする場合 掲載症例の製剤別総量は1cc。薄さと動きに合わせて配分 腫れ、内出血、圧痛、硬さ、しこり。口唇は一時的に腫れやすい 1本1cc 77,000円(税込)。涙袋・唇施術料11,000円が別途 要確認
ボラックスXC 1cc(掲載症例) 顔面の深い支持や顎・下顎輪郭の投影を整える設計 口唇、眉間、眼窩周囲など電子添文の適応に含まれない部位 掲載症例の製剤別総量は1cc。支持不足と輪郭を見ながら配分 腫れ、内出血、圧痛、硬さ、しこり、凹凸。まれに血管閉塞 1本1cc 77,000円(税込) 要確認

費用の目安

  • ヒアルロン酸 1本1cc:77,000円(税込)
  • 8本・合計8cc:616,000円(税込)
  • 前額施術料:22,000円(税込)
  • 涙袋・唇施術料:11,000円(税込)
  • 掲載症例と同じ本数・追加施術料による現在料金例:649,000円(税込)

現行院内料金表の単価で計算した例です。カテラン針を使用する場合は11,000円(税込)が別途かかります。

リスク・副作用・注意点

  • 痛み、発赤、腫れ、内出血、圧痛、硬さ、しこり、凹凸、左右差、修正不足・過修正、感染、アレルギー、遅発性炎症が生じることがあります。
  • 掲載時の説明では、注入部に1〜2か月ほどしこり感が続くことがあります。
  • まれに血管閉塞、皮膚壊死、視力障害・失明、脳卒中など重い合併症が起こることがあります。
  • 国内承認・適応: ジュビダームビスタ ボリューマXCは成人の中顔面・下顎部・こめかみの減少したボリューム増大を目的とする国内承認製品です(承認番号22800BZX00338000)。ボルベラXCは顔面のしわ・へこみ修正と口唇増大を目的とする国内承認製品で、眼瞼への使用は適応に含まれません(承認番号23000BZX00331000)。ボラックスXCは成人の顔面のボリューム回復・増大を目的とする国内承認製品で、口唇・眉間・眼窩周囲への使用は適応に含まれません(承認番号30200BZX00254000)。おでこ・涙袋など、使用製剤の電子添文の使用目的に含まれない部位への注入は適応外使用です。

急に強くなる痛み、皮膚の白色化・網目状変化、見え方の異常は直ちに連絡が必要です。

Doctor Review

執筆・監修

執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)

References

参考にした一次情報・ガイドライン

  1. Davis HD, Mazzaferro D, Habarth-Morales TE, et al. A Large Prospective Volumetric and Patient-Reported Outcome Analysis of Hyaluronic Acid Facial Fillers. Plast Reconstr Surg. 2025;156(4):550-559. doi:10.1097/PRS.0000000000012135.

    A Large Prospective Volumetric and Patient-Reported Outcome Analysis of Hyaluronic Acid Facial Fillers

    研究デザイン: 部位別の三次元体積測定とFACE-Qを行った前向き臨床研究 / 対象: 40〜65歳の女性101人。ほうれい線・マリオネットライン、頬、中顔面、口唇周囲、顎周り、口唇を対象に、注入直後、2週、4週、12週を追跡した。 / 結果: 12週の体積維持は全顔65.5%、頬・拡張中顔面79.2%、上口周囲62.7%、唇37.2%で、顔貌、治療部位、心理・社会機能の患者報告アウトカムが改善したとの報告がありました。 / 限界: 使用製剤はRestylane-L、Restylane-L Lyft、Restylane Silkで、ジュビダーム3製剤や本症例の8cc、額・こめかみ・涙袋を含む7部位を直接評価していない。追跡は12週で、部位別の長期持続を示さない。PubMed抄録を2026年8月9日に再確認し、原著全文は取得していない。利益相反はPubMed抄録に記載されていない。

  2. Li D, Wang X, Wu Y, et al. A Randomized, Controlled, Multicenter Study of Juvéderm Voluma for Enhancement of Malar Volume in Chinese Subjects. Plast Reconstr Surg. 2017;139(6):1250e-1259e. doi:10.1097/PRS.0000000000003355.

    A Randomized, Controlled, Multicenter Study of Juvéderm Voluma for Enhancement of Malar Volume in Chinese Subjects

    研究デザイン: 未治療対照を置いた前向き多施設無作為化比較試験 / 対象: 18歳以上の中国人146人。ボリューマ処置群119人、無治療対照群27人。中顔面への注入量中央値は2mLで、三次元画像を用いて6か月評価した。 / 結果: 6か月時の頬部体積変化は処置群1.83mL、対照群0.11mLで、GAIS改善率は医師98.2%、本人93.8%だったとの報告がありました。 / 限界: 中国人の中顔面にボリューマを用いた研究で、本症例のボリューマXC 6cc、他製剤との同日使用、額・こめかみ・頬・ほうれい線への配分を検証していない。PubMed抄録を2026年8月9日に再確認し、原著全文は取得していない。著者に製造企業関係者を含むが、資金・利益相反の詳細はPubMed抄録に記載されていない。

  3. Rivkin A, Weinkle SH, Hardas B, et al. Safety and Effectiveness of Repeat Treatment With VYC-15L for Lip and Perioral Enhancement: Results From a Prospective Multicenter Study. Aesthet Surg J. 2019;39(4):413-422. doi:10.1093/asj/sjy019.

    Safety and Effectiveness of Repeat Treatment With VYC-15L for Lip and Perioral Enhancement

    研究デザイン: ボルベラ(VYC-15L)の初回・タッチアップと1年後の再処置を追跡した前向き多施設研究 / 対象: 口唇充足度が最小〜中等度の124人。初回・タッチアップ後から1年まで追跡し、1年後に再処置した。 / 結果: 口唇充足度改善率は1か月86.2%、3か月80.3%、1年65.3%、再処置1か月後94.3%で、初回・タッチアップ時の中央値2.6mLに対し再処置時は1.5mLだったとの報告がありました。 / 限界: 口唇・口周囲を対象とした研究で、本症例のボルベラXC 1cc、涙袋への使用、ボリューマXC・ボラックスXCとの同日併用を検証していない。PubMed抄録を2026年8月9日に再確認し、原著全文は取得していない。著者に製造企業関係者を含むが、資金・利益相反の詳細はPubMed抄録に記載されていない。

  4. Zhang L, Zhao Y, Gu Q, et al. A roadmap for safety during facial filler injections: A fresh frozen cadaver study. J Plast Reconstr Aesthet Surg. 2023;86:155-164. doi:10.1016/j.bjps.2023.06.029.

    A roadmap for safety during facial filler injections: A fresh frozen cadaver study

    研究デザイン: 新鮮凍結献体の全顔7領域14注入点を解剖した原著研究 / 対象: 新鮮凍結頭部30顔面。刺入深度を測定し、骨膜上へHAを注入後に解剖して製剤位置と血管・周囲構造の関係を確認した。 / 結果: 刺入深度は上顔面から中顔面、下顔面、こめかみへ向かって増し、HAはSMASと骨膜・深部筋膜間の疎性結合組織へ逆行性に広がった。血管の多層分布と吻合は眉間、鼻背、こめかみで目立ったとの報告がありました。 / 限界: 献体解剖であり、生体の拍動・血流、個人別の安全な注入量、血管閉塞率、8cc全顔注入、各製剤の臨床成績を示さない。PubMed抄録を2026年8月9日に再確認し、原著全文は取得していない。浙江省の研究助成を受け、著者はその他の利益相反なしと申告している。

よくあるご質問

Q. この症例では、どの製剤を何cc使用しましたか?

ジュビダームビスタ ボリューマXCを6cc、ボルベラXCを1cc、ボラックスXCを1cc、合計8cc使用しました。治療部位は、おでこ・こめかみ・頬・ほうれい線・顎・涙袋・唇です。

Q. 顔全体の治療には、全員8ccが必要ですか?

8ccは掲載症例の量です。正面と左右斜位で輪郭の境界と投影を確認し、変えたい部位と変化量に合わせて製剤と本数を決めます。

Q. なぜ正面だけでなく左右斜位も確認するのですか?

正面では顔幅と左右差、斜位では額・こめかみ・頬・顎の前方投影と部位間の段差を確認できるためです。涙袋や唇も、斜位で前へ出すぎていないかを見ます。

Q. 同じ8ccで治療した場合の現在の料金はいくらですか?

ヒアルロン酸8本8ccは616,000円、前額施術料22,000円、涙袋・唇施術料11,000円で、現在の料金表による計算例は合計649,000円(税込)です。使用本数と追加施術料で変わります。

Q. 使用した3製剤は国内承認製品ですか?

3製剤はいずれも国内承認製品です。ボリューマXCは中顔面・下顎部・こめかみ、ボルベラXCは顔面のしわ・へこみと口唇、ボラックスXCは顔面のボリューム回復・増大が承認目的です。おでこ・涙袋など、各製剤の電子添文の使用目的に含まれない部位への注入は適応外使用です。

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