医師解説

シミ・赤み・ニキビ跡が混在するときの治療の考え方

濃淡のシミと毛穴・小じわにはルビーフラクショナル、赤ら顔・ニキビ跡の赤み・皮脂・反復するニキビにはADVATxを使い分けます。炎症と赤みを整えてから残る色素や凹凸を再評価し、5回1クールを目安に治療を組み立てます。

Medical Information

この記事について

監修日
2026年8月9日
公開日
2026年2月15日
実質更新日
2026年8月9日
シミ、赤み、ニキビ跡が混在する肌で治療の優先順位を整理した図

Contents

目次

  1. シミ・赤み・ニキビ跡を、見えている所見ごとに分けます
  2. 濃いシミと薄いシミが混在するときは、ルビーフラクショナルで色素を段階的に減らします
  3. 赤ら顔・ニキビ跡の赤み・皮脂には、ADVATxの2波長を使います
  4. 炎症と赤みを先に整え、残るシミと凹凸を次の治療へつなげます
  5. 診療で確認するポイント
  6. 治療選択の比較
  7. 費用の目安
  8. リスク・副作用・注意点
  9. 関連記事
  10. 関連施術・関連症状のご案内
  11. 執筆・監修
  12. 参考にした一次情報・ガイドライン
  13. よくあるご質問

シミ・赤み・ニキビ跡を、見えている所見ごとに分けます

顔全体に複数の悩みがあるときは、茶色い色素、血管性の赤み、活動性のニキビ、ニキビ跡の凹凸を同じ写真上で分けて記録します。色素にはルビーフラクショナル、赤み・皮脂・炎症にはADVATxを対応させ、凹凸が残れば瘢痕治療を別に組みます。

治療案はどちらも5回1クールです。ルビーフラクショナルは2〜3週ごと・5回66,000円、ADVATxは3〜4週ごと・5回139,000円で、色素と赤みを同じ日に一括処理するのではなく、毎回の反応を見ながら次の照射を決めます。

濃いシミと薄いシミが混在するときは、ルビーフラクショナルで色素を段階的に減らします

ルビーフラクショナルは、694nmのQスイッチルビーレーザーを細かな点状に照射する治療です。濃淡のシミが顔全体に散らばり、毛穴や小じわも一緒に気になる肌へ、正常皮膚を残しながら治療密度を積み重ねます。

全顔のトーニングは赤みを抑え、シールを使わず、当日からメイクできる設計です。2〜3週ごとに照射し、同じ明るさ・角度の写真で残る色素と照射後反応を比べながら、5回をひと区切りにします。

日光黒子へルビー694nmを選ぶ根拠として、Qスイッチルビーレーザーでは1回後に75%を超える改善が59.34%で得られ、2回後に全例で病変が消失したとの報告がありました(参考文献1)。

赤ら顔・ニキビ跡の赤み・皮脂には、ADVATxの2波長を使います

ADVATxは、589nmを赤みや血管反応へ、1319nmを皮脂腺や真皮の熱反応へ使うデュアル波長レーザーです。赤ら顔、赤いニキビ跡、皮脂の多さと反復するニキビが重なる肌では、赤みだけでなく新しい炎症が生じる流れも同時に抑える目的で選びます。

赤みと肝斑が重なる場合も、まず炎症と血管反応を穏やかにし、色素の濃さを追って次の治療を決めます。ADVATxは3〜4週ごとに行い、5回をひと区切りに赤み、皮脂、炎症性ニキビの変化を記録します。

ニキビ跡の赤みへ589nmと1319nmを組み合わせる根拠として、照射側は2週から改善し、8週時点の反応率は照射側72%、アロエベラ側69%、平均疼痛は1.52/10との報告がありました(参考文献2)。

炎症と赤みを先に整え、残るシミと凹凸を次の治療へつなげます

炎症性ニキビと赤みが強い時期はADVATxから始め、肌が落ち着いた時点で残る茶色い色素へルビーフラクショナルを組みます。色素が主で炎症が落ち着いている肌では、ルビーフラクショナルから始め、途中で赤みや皮脂が目立てばADVATxを差し込みます。

ニキビ跡の赤みが薄くなった後も、斜光で影が残り、皮膚を伸ばしても戻らない凹みは萎縮性瘢痕として別に評価します。凹凸にはRFマイクロニードリングなど真皮を再構築する治療を選び、色調治療と同じ効果判定に混ぜません。

ニキビ跡の赤みが薄くなった後に残る凹凸を別の治療へ切り替える根拠として、RFマイクロニードリング後に萎縮性ニキビ跡が改善したとの報告がありました(参考文献3)。

Clinical View

診療で確認するポイント

  • 正面・左右斜位を同じ照明で撮影し、茶色い色素、血管性の赤み、活動性ニキビ、陥凹の影を別々に記録します。
  • 炎症と赤みが強ければADVATx、炎症が落ち着き濃淡の色素が主体ならルビーフラクショナルから始めます。
  • 各治療の1クール後に残る色素、赤み、皮脂、陥凹を再評価し、同じ機器を続けるか、色素治療または瘢痕治療へ切り替えます。

Comparison

治療選択の比較

治療・対応 向く状態 向かない/慎重な状態 回数の目安 ダウンタイム 費用(税込) 承認状況
ルビーフラクショナル 濃淡の日光黒子・色むらが広がり、毛穴や小じわも伴う状態 活動性ニキビや血管性の赤みだけが主、強い炎症が続く状態 2〜3週ごと、5回1クール 赤み、ほてり、かさぶた、炎症後色素沈着 全顔看護師施術1回16,500円/1クール目5回66,000円 要確認
ADVATx 赤ら顔、ニキビ跡の赤み、皮脂、反復するニキビ、赤みを伴う肝斑 茶色い色素だけが主、陥凹性ニキビ跡だけが主 3〜4週ごと、5回1クール 一時的な赤み、ほてり、腫れ、乾燥、刺激感 全顔1回30,000円/5回139,000円 要確認
POTENZA瘢痕治療 赤みが落ち着いた後も斜光で影が残る萎縮性ニキビ跡 活動性ニキビや赤みだけが主、茶色い色素だけが主 1回後の凹凸と皮膚反応を確認し、必要時に複数回 赤み、腫れ、針跡、かさぶた、内出血、炎症後色素沈着 全顔1回66,000円/3回188,100円 要確認

費用の目安

  • ルビーフラクショナル 全顔看護師施術1回16,500円/1クール目5回66,000円/2クール目以降5回55,000円/医師施術1回27,500円
  • ADVATx 589+1319nm 全顔・スポット照射込み1回30,000円/5回139,000円
  • POTENZA 瘢痕治療・薬剤導入 全顔1回66,000円/3回188,100円

表示価格は自由診療・税込です。

リスク・副作用・注意点

  • ルビーフラクショナル:赤み、ほてり、かさぶた、乾燥、炎症後色素沈着。元の肌状態に戻るまで3か月以上かかることがあります
  • ADVATx:一時的な赤み、ほてり、腫れ、乾燥、刺激感、色素沈着、水疱、熱傷
  • POTENZA:赤み、腫れ、熱感、針跡、点状出血、かさぶた、内出血、炎症後色素沈着、感染
  • 国内承認・適応: ルビーフラクショナルでは厚生労働省承認機器NanoStar Rを使用します。ADVATxとPOTENZAは国内未承認医療機器で、医師の責任のもと適法な輸入手続きにより入手しています。未承認機器による治療は医薬品副作用被害救済制度等の対象外となる場合があります。

照射後は保湿と紫外線対策を行い、強い摩擦を避けてください。

Doctor Review

執筆・監修

執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)

References

参考にした一次情報・ガイドライン

  1. Mardani G, Nasiri MJ, Namazi N, et al. J Cosmet Dermatol. 2025;24:e70133. doi:10.1111/jocd.70133.

    Treatment of Solar Lentigines: A Systematic Review of Clinical Trials

    研究デザイン: 日光黒子の治療を扱った41臨床試験のシステマティックレビュー / 対象: 24〜92歳の計3,234人 / 結果: Qスイッチレーザーの成功率は36.36〜76.6%、IPLは74.6〜90%、ピコ秒レーザーは67.9〜93.02%で、694nm Qスイッチルビーレーザーを扱った研究では1回後に75%超の改善が59.34%、別研究では2回後に全例で病変消失との報告がありました。 / 限界: 研究デザイン、機器、照射条件、対象、評価尺度が不均一で、メタ解析は行われていない。日光黒子の研究であり、肝斑や炎症後色素沈着、当院のフラクショナルトーニング5回コースの結果を直接示さない。原著全文を2026年8月8日に確認した。

  2. Boonpethkaew S, Anansiripun P, Maitrisathit W, et al. J Cosmet Dermatol. 2026;25:e70894. doi:10.1111/jocd.70894.

    Efficacy and Safety of a Dual-Wavelength 589/1319 nm Laser for the Treatment of Acne Erythema: A Split-Face Randomized Controlled Trial

    研究デザイン: 顔の左右を589/1319nmレーザーとアロエベラゲルへ割り付けた無作為化比較試験 / 対象: 試験を完了した29人 / 結果: レーザー側は2週からベースライン比で改善し、8週時点の反応率はレーザー側72%、アロエベラ側69%だった。平均疼痛は1.52/10で重篤な有害事象はなかったとの報告がありました。 / 限界: 小規模、単一民族で長期追跡がなく、新しいニキビの発生を完全には統制できず、検出力は約74%。8週時点では群間差を示しておらず、肝斑や陥凹性ニキビ跡への効果を評価した研究ではない。原著全文を2026年8月8日に確認した。

  3. Niaz G, Ajeebi Y, Alshamrani HM, et al. Clin Cosmet Investig Dermatol. 2025;18:19-29. doi:10.2147/CCID.S502295.

    Fractional Radiofrequency Microneedling as a Monotherapy in Acne Scar Management: A Systematic Review of Current Evidence

    研究デザイン: RFマイクロニードリング単独治療を扱った16研究のシステマティックレビュー / 対象: 前向き研究6件、無作為化比較試験6件、後ろ向き研究3件、比較研究1件の計481人 / 結果: 収載された全研究でRFマイクロニードリング単独治療後に萎縮性ニキビ跡の改善があったとの報告がありました。 / 限界: 評価尺度と治療設定が不均一でメタ解析は行われず、Fitzpatrick VI型は含まれず、追跡期間は最長6か月。色素・赤み治療後の切り替え順序や特定のRF機器の優越性を直接比較していない。原著全文を2026年8月8日に確認した。

  4. PMDA

    医療機器の承認審査に関する情報

    販売名、承認番号、承認範囲を確認する公的情報です。

  5. 厚生労働省

    医療広告ガイドライン

    自由診療の費用、主なリスク・副作用、未承認機器等の表示を確認する公的資料です。

よくあるご質問

Q. シミと赤みが同時にある場合、どちらから治療しますか?

炎症性ニキビ、赤ら顔、ニキビ跡の赤みが強ければADVATxから始め、落ち着いた後に残るシミへルビーフラクショナルを組みます。炎症がなく色素が主体なら、ルビーフラクショナルから始めます。

Q. 治療回数と間隔はどのくらいですか?

どちらも5回1クールが目安です。ルビーフラクショナルは2〜3週ごと、ADVATxは3〜4週ごとに行い、毎回同じ条件の写真で色素、赤み、皮脂、ニキビの変化を比較します。

Q. ダウンタイムと主な副作用を教えてください。

ルビーフラクショナルの全顔トーニングは当日からメイクできますが、照射後1週間以内のかさぶたや炎症後色素沈着が起こり、元の肌状態に戻るまで3か月以上かかることがあります。ADVATxでは一時的な赤み、ほてり、乾燥が起こることがあります。

Q. ADVATxでニキビ跡の凹みも治療できますか?

ADVATxは主にニキビ跡の赤み、皮脂、反復するニキビへ使います。赤みが薄くなった後も斜光で影が残る凹みには、RFマイクロニードリングなどの瘢痕治療を別に組みます。

Q. 料金と国内承認状況を教えてください。

ルビーフラクショナルは全顔看護師施術1回16,500円、1クール目5回66,000円で、厚生労働省承認機器NanoStar Rを使用します。ADVATxは全顔1回30,000円、5回139,000円で、国内未承認の医療機器です。未承認機器による治療は医薬品副作用被害救済制度等の対象外となる場合があります。

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