ADMへルビーフラクショナル5回と外用治療を併用した症例
頬から額のADMへルビーフラクショナルトーニングを5回行い、自宅でスキンブライセラム1.0とミラミンを併用した症例です。正面・斜位で青褐色斑と顔全体の色調を比較し、照射と外用の順序を解説します。
Medical Information
この記事について
- 執筆医・監修医
- 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
- 監修日
- 2026年8月9日
- 公開日
- 2026年1月30日
- 実質更新日
- 2026年8月9日

Contents
目次
頬から額のADMを、正面と斜位で比較します
上段は正面、下段は斜位で、いずれも左がBefore、右がAfterです。頬から額にかけてADMがみられ、ルビーフラクショナルトーニングを5回行い、自宅ではスキンブライセラム1.0とミラミンを使用しています。
Afterでは頬骨部から額へ並ぶ青褐色の斑点が薄く見え、顔全体の色調も明るく見えます。正面で左右の分布と額までの広がりを確認し、斜位で頬骨部に重なる点状斑の濃さを追いました。
ADMの青褐色斑を、肝斑・日光黒子・炎症後色素沈着と分けます
ADMは頬骨部を中心に、灰褐色から青褐色の細かな斑点が左右へまとまり、額やこめかみまで広がることがあります。この症例では、正面と斜位で頬から額へ続く点状の分布を追っています。
肝斑は淡褐色から褐色の面として左右へ広がり、日光黒子は境界が比較的明瞭な孤立斑として見えます。照射や皮膚炎の後に新しく濃くなった色は炎症後色素沈着として別に記録し、ADMの残りと混ぜずに次の照射を決めます。
ADMと肝斑を分ける手掛かりとして、青褐色・灰色の色調と均一な点状模様はADMで多く、淡褐色、毛包・汗腺開口部を避ける色素は肝斑で多かったとの報告がありました(参考文献1)。
ルビーフラクショナル5回は、毎回の残存斑と皮膚反応を見て積み重ねます
ADMは真皮側にメラニンを持つため、当院では694nmのQスイッチルビーを候補にします。この症例は全顔のルビーフラクショナルトーニングを5回行い、頬骨部、こめかみ、額の順に青褐色斑の残り方を見直しました。
各回の後は、元のADM、照射直後の赤み、痂皮後に生じる炎症後色素沈着を別々に比べます。次回はADMが残る位置へ照射を続け、色素沈着や刺激が残る部位は皮膚反応が落ち着くまで待ちます。
ADMへルビー照射を複数回に分ける理由として、評価可能例では全例で色素が消失し、長期的な色素脱失が一部にみられた一方、追跡期間中に再発はなかったとの報告がありました(参考文献2)。
スキンブライセラム1.0とミラミンは、表皮側の色むらを整える役割です
自宅では、レチノールを配合するスキンブライセラム1.0と、ハイドロキノン4%を配合するミラミンを使用しています。真皮側のADMへ行うレーザーとは役割を分け、顔全体の色むらと表皮側のメラニン、肌表面の状態を整えます。
照射後の赤み、乾燥、微細な痂皮が残る間は外用の刺激を重ねず、保湿と遮光を続けます。皮膚反応が落ち着いてから外用を戻し、レチノールによる乾燥・皮むけと、レーザー後の炎症後色素沈着を別々に確認します。
レーザーと外用の役割を分ける理由として、外用で表皮色素を整えてからQスイッチルビーを行う併用で、2〜3回後に全例が良好以上の改善を示し、炎症後色素沈着は10.5%だったとの報告がありました(参考文献3)。
5回後は、ADMの残りと顔全体の色調を分けて再評価します
5回後は、正面で左右のADMと額までの分布、斜位で頬骨部の青褐色斑を再評価します。同時に、面状の肝斑、境界明瞭な日光黒子、新しく生じた炎症後色素沈着がないかを確認します。
残る点状のADMには次の照射を検討し、面状の色むらは遮光と外用を続け、孤立した日光黒子は病変単位のスポット照射を検討します。この症例では、ADMの色と顔全体の色調の両方を、照射5回と外用を併用した一連の経過として追っています。
Clinical View
診療で確認するポイント
- 素顔を正面と左右斜位で撮影し、頬骨部から額へ並ぶ青褐色の点状斑、面状の褐色斑、境界明瞭な孤立斑を別々に記録します。
- ADMの真皮色素には694nmルビーを複数回に分け、表皮側の色むらにはスキンブライセラム1.0とミラミン、日常の再増悪予防には遮光を組み合わせます。
- 各照射後はADM、赤み、痂皮、炎症後色素沈着を同じ順に確認し、皮膚反応が落ち着いてから外用を再開します。
- 5回後は正面・斜位を撮り直し、残るADM、肝斑様の面状色調、日光黒子を再分類して、次の照射・外用・局所治療を選びます。
Comparison
治療選択の比較
| 治療・対応 | 向く状態 | 向かない/慎重な状態 | 回数の目安 | ダウンタイム | 費用(税込) | 承認状況 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ルビーフラクショナルトーニング | 頬骨部から額へADMの青褐色斑が広がり、面として段階的に治療したい状態 | 活動性の皮膚炎、強い日焼け、肝斑や炎症後色素沈着が強く先に炎症を整えたい状態 | 複数回。本症例は5回後に正面・斜位で再評価 | 痛み、赤み、熱感、腫れ、乾燥、微細な痂皮、炎症後色素沈着、色素脱失、熱傷、まれに瘢痕 | 全顔看護師施術1回16,500円/1クール目5回66,000円/2クール目以降5回55,000円 | NanoStar Rは国内承認機器(22900BZX00055000)。全顔低出力フラクショナルトーニングという照射法・5回計画は個別に承認された使用方法ではない |
| スキンブライセラム1.0・ミラミン | 表皮側の色むらと肌表面を整え、レーザー治療中のホームケアを続けたい状態 | 赤み、皮むけ、湿疹、刺激性皮膚炎が続く状態。レチノールは妊娠中・授乳中 | 肌反応に合わせて継続。レーザー後は刺激が落ち着いてから再開 | 乾燥、赤み、皮むけ、かゆみ、刺激感、接触皮膚炎、色調変化 | スキンブライセラム1.0 18,480円/ミラミン14,300円 | いずれも化粧品。ADM・肝斑治療薬として承認された医薬品ではない |
| 遮光・保湿 | 照射と外用に伴う炎症を抑え、紫外線による色素増加を避けたい状態 | 日焼け止めや保湿剤で接触皮膚炎が出ている状態 | 毎日。照射前後も継続 | 製品によって刺激、かゆみ、接触皮膚炎 | 使用製品により異なる | 化粧品。製品ごとの表示と使用方法に従う |
費用の目安
- ルビーフラクショナル全顔 看護師施術:1回16,500円/1クール目5回66,000円/2クール目以降5回55,000円(税込)
- ルビーフラクショナル全顔 医師施術:1回27,500円(税込)
- スキンブライセラム1.0:18,480円(税込)
- ミラミン:14,300円(税込)
レーザー料金に外用製品代は含まれません。5回コースの区分、外用製品の購入本数により総額が変わります。
リスク・副作用・注意点
- Qスイッチルビー:痛み、赤み、熱感、腫れ、乾燥、痂皮、炎症後色素沈着、色素脱失、熱傷、まれに瘢痕
- ADM:複数回治療後の残存色素。肝斑・炎症後色素沈着が重なる場合の色調増悪
- スキンブライセラム1.0:乾燥、赤み、皮むけ、刺激感
- ミラミン:赤み、かゆみ、乾燥、刺激性皮膚炎、色調変化
- 国内承認・適応: 当院が使用する販売名ナノスターアールは、色素性皮膚疾患の治療を使用目的とする国内承認Qスイッチルビーレーザーです(承認番号22900BZX00055000)。一方、全顔へ低出力で行うフラクショナルトーニングという照射方法と5回計画が個別に承認されたわけではなく、自由診療として行います。スキンブライセラム1.0とミラミンは化粧品で、ADM・肝斑治療薬として承認された医薬品ではありません。承認範囲外の使用方法による健康被害は、医薬品副作用被害救済制度等の対象外となる場合があります。
照射後の水疱、強い痛み、治癒しないびらん、急に広がる色素変化は早めに連絡してください。外用による強い赤み、腫れ、かゆみ、皮むけが続く場合は使用を中止して診察します。
Doctor Review
執筆・監修
執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
References
参考にした一次情報・ガイドライン
-
A Comparative Study of Dermatoscopic Features of Melasma and Hori's Nevus in Asian Patients
研究デザイン: 肝斑とHori母斑のダーモスコピー画像を、診断を伏せた皮膚科専門医2人が比較した横断比較研究 / 対象: 肝斑50人、Hori母斑46人のアジア人患者 / 結果: Hori母斑では青褐色・灰色の色調63%、均一な点状模様52.2%が多く、肝斑では淡褐色98%、毛包・汗腺開口部を避ける色素98%、毛細血管拡張52%などが多くみられました / 限界: 単施設の比較研究で、対象は臨床診断されたアジア人です。病理診断との一致や治療結果、ルビーレーザーの適応・回数を検証した研究ではありません。PubMed抄録とPMC原著全文を2026年8月9日に確認しました。 / 利益相反: 著者は本研究に関連する利益相反なしと申告しています。
-
Q-Switched ruby laser therapy of acquired bilateral nevus of Ota-like macules
研究デザイン: Qスイッチルビーレーザーを1〜6回行い、治療後6か月から4.3年追跡した単群臨床研究 / 対象: 19〜62歳の女性140人。追跡完了は131人、平均治療回数2.3回 / 結果: 追跡完了した131人で病変消失を認め、長期的な色素脱失が3人に生じました。平均2.5年の追跡で再発はありませんでした / 限界: 対照群がなく女性のみで、1999年の研究です。2〜4mm、7〜10J/cm2というスポット照射であり、今回の全顔低出力フラクショナルトーニング5回と同一条件ではありません。PubMed抄録を2026年8月9日に確認しました。 / 利益相反: PubMed抄録に資金提供・競合利益の記載はありません。原著全文は購読制限のため、抄録と書誌情報の範囲で確認しました。
-
Combined therapy using Q-switched ruby laser and bleaching treatment with tretinoin and hydroquinone for acquired dermal melanocytosis
研究デザイン: 外用を4〜6週先行し、その後Qスイッチルビーを照射する工程を2〜3回繰り返した単群併用治療研究。6例で組織学的評価を実施 / 対象: ADM患者19人。治療期間3〜13か月、平均8.3か月 / 結果: 全例で2〜3回後に良好から著明な色素消退を認め、炎症後色素沈着は10.5%でした。外用後の組織では表皮色素が大きく減少しました / 限界: 対照群がない小規模研究です。外用は0.1%トレチノイン水性ゲルと5%ハイドロキノン・7%乳酸軟膏で、今回の化粧品レチノール製品・ハイドロキノン4%製品とは濃度・剤形が異なります。レーザーも今回の全顔フラクショナルトーニングと同一条件ではありません。PubMed抄録を2026年8月9日に確認しました。 / 利益相反: PubMed抄録に資金提供・競合利益の記載はありません。原著全文は購読制限のため、抄録と書誌情報の範囲で確認しました。
-
医療広告ガイドライン
自由診療の費用、主なリスク・副作用、未承認機器等の表示を確認する公的資料です。
よくあるご質問
Q. この症例では何回治療し、何を併用しましたか?
ルビーフラクショナルトーニングを5回行い、自宅でスキンブライセラム1.0とミラミンを併用しました。正面と斜位で、頬から額のADMと顔全体の色調を比較しています。
Q. ADMは肝斑や日光黒子とどのように分けますか?
ADMは頬骨部を中心とした灰褐色・青褐色の点状斑、肝斑は両頬や額へ面状に広がる褐色斑、日光黒子は境界が比較的明瞭な孤立斑として、色、分布、境界、左右差を確認します。
Q. レーザーとスキンブライセラム1.0・ミラミンは、同じ色素を治療しますか?
ルビーレーザーはADMの真皮側メラニンを狙い、二つの外用は表皮側の色むらと肌表面を整える役割です。レーザー後の赤みや乾燥が落ち着いてから外用を戻します。
Q. ルビーフラクショナル5回と外用の費用はいくらですか?
看護師施術は1クール目5回66,000円、2クール目以降5回55,000円です。スキンブライセラム1.0は18,480円、ミラミンは14,300円で、外用製品代はレーザー料金に含まれません。
Q. NanoStar Rは国内承認機器ですか?
NanoStar Rは色素性皮膚疾患の治療を目的とする国内承認Qスイッチルビーレーザーです(承認番号22900BZX00055000)。全顔へ低出力で行うフラクショナルトーニングという照射方法と5回計画は個別に承認された使用方法ではなく、自由診療として行います。
ご予約・ご相談はこちら
気になる症状や治療方法について、初診予約・再診予約・お問い合わせからご相談いただけます。