口元のたるみをヒアルロン酸で支えて横顔のもたつきを整える考え方
口元のたるみが気になり、他院でハイフを数回受けていた方の症例です。口元へ直接足すのではなく、ボリューマ4本・計4ccを頬と顎の不足部へ配分し、頬の高い位置と顎先の支えを作って正面・左右斜位の輪郭を整えました。
Medical Information
この記事について
- 執筆医・監修医
- 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
- 監修日
- 2026年8月9日
- 公開日
- 2026年1月7日
- 実質更新日
- 2026年8月9日



Contents
目次
正面では、頬の高い位置と顎先を先に整えました
この症例は口元のたるみを主訴に、他院でハイフを数回受けていました。診察では口角横の線だけを治療せず、頬上部のボリューム不足と顎先の支持不足が、口元から下顔面のもたつきを強く見せていると判断しました。トータルフェイシャルトリートメントとして、ジュビダームビスタ ボリューマXCを4本、計4cc使用しました。
画像1の正面写真では、治療後に頬の高い位置が明確になり、口角横から下頬へ続く影が軽くなっています。顎先は中央の高さと縦方向の支えが加わり、左右の下顎線が顎へ集まる輪郭になりました。口元へ量を集中させず、頬と顎から支えたことで、顔全体が上向きに見える変化です。
右斜位では、頬を先に支えてから顎を整えます
画像2の右斜位では、治療前は頬前方の高さが低く、口角横から顎前方へ続く下顔面が一続きにもたついて見えます。治療後は頬の頂点が上外側にでき、口元の影と下頬の重さが軽くなり、顎先の前方投影も加わっています。
注入は、まず左右の頬骨周囲と外側頬へボリューマを配分し、正面・斜位で口元の影がどこまで変わるか確認します。次に顎先の骨膜上と下顎前方の不足を補い、オトガイ唇溝、顎先の前方・下方への長さ、下顎線とのつながりを整えます。1本1cc(製品表記1CC)の4本を、頬と顎へ合計4cc使用しました。
頬と顎・下顎線を同じ治療計画で支える理由として、CaHAとHAの混合製剤で中・下顔面を治療すると、下顎線評価が治療前2.12から3か月0.68、12か月1.27へ改善し、1段階以上の改善は3か月100%、12か月85%だったとの報告がありました(参考文献2)。
左斜位では、ハイフを重ねる部位と支えを足す部位を分けます
画像3の左斜位でも、治療後は頬前方の丸みと高い位置が戻り、口角横から顎へ続く影が短く見えます。顎先の投影が加わることで、口元だけを前へ出さずに、鼻・口唇・顎の前後関係とフェイスラインを整えています。左右斜位で同じ方向の変化を確認して、片側だけを足しすぎないようにします。
ハイフは深部真皮や筋膜付近を熱で引き締め、輪郭を明確にする治療ですが、照射層と設定によっては皮下脂肪の厚さも減ります。頬がこけやすく、すでに複数回受けている方では、同じ頬部へ繰り返す前にボリューム不足を確認します。当院ではこのような顔立ちでは年に1回程度を一つの目安とし、今回のように支持不足が主ならヒアルロン酸を先に選びます。
頬がこけやすい方でハイフを繰り返す前に、皮下脂肪とボリュームを確認する理由として、3か月時の下顔面体積は照射側−0.29mL、無照射側+0.42mLで、内側頬・オトガイ・下顔面・下顎部の皮下脂肪厚も照射側で有意に減少したとの報告がありました(参考文献5)。
頬と顎で血管の走行を分け、少量ずつ注入します
頬では眼窩下動脈、顔面動脈、横顔面動脈、顎先ではオトガイ動脈と顔面動脈の走行を意識します。過去の注入、手術瘢痕、左右差を確認し、頬骨周囲と顎の骨膜上・皮下で注入点、方向、針またはカニューレを変え、同じ位置へ多量を押し込まず少量ずつ進めます。
注入中と直後は、通常の腫れ・圧痛と血流障害を分けます。急に強くなる痛み、皮膚の白色化、網目状の紫色変化、毛細血管再充満の遅れがあれば注入を止めます。視界のかすみ、視野欠損、眼痛などの視覚症状は、皮膚色が正常でも緊急対応が必要です。
頬と顎で製剤の置き方を変え、通常の腫れと治療を要する合併症を分けて診る理由として、多くは自然に軽快する短期の注入部位反応でしたが、製剤と手技で発生頻度が異なり、まれな重篤事象は数か月続いて治療を要したとの報告がありました(参考文献1)。
頬と顎へ複数点注入するときに、注入点だけでなく血管の支配域を確認する理由として、HAによる血管閉塞の診療指針では、急に増す痛み、白色から網目状の紫色へ変わる皮膚色、毛細血管再充満の遅れを虚血の所見として評価し、疑った時点で注入を止め、影響範囲へ速やかにヒアルロニダーゼを投与するとの報告がありました(参考文献3)。
Clinical View
診療で確認するポイント
- まず正面・左右斜位で、口角横の影、頬の高い位置、下頬の重さ、顎先の前方投影、下顎線を一続きに確認し、口元へ直接注入する前に頬と顎の支持不足を評価します。
- 本症例ではボリューマXC 4本・計4ccを用い、頬骨周囲と外側頬を先に支え、口元の影の変化を確認してから顎先と下顎前方を整えました。
- 他院でハイフを数回受けていた経過から、頬の支持不足が残る状態へ熱治療を重ねず、ヒアルロン酸で頬の高い位置と顎先を作る治療を優先しました。
- 注入後は正面・左右斜位で頬の高さ、口元の影、顎先、左右差を見直し、同時に痛み、皮膚色、毛細血管再充満を確認します。
Comparison
治療選択の比較
| 治療・対応 | 向く状態 | 向かない/慎重な状態 | 回数の目安 | ダウンタイム | 費用(税込) | 承認状況 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 下顔面へのHA | 顎前方・口角横・下顎線の局所支持不足 | 脂肪・皮膚余剰が主体、過量で重くなる場合 | 1回後に三方向で評価 | 腫れ、凹凸、左右差、血管閉塞、視覚障害 | 1cc77,000円。必要本数で変動 | 製剤・使用目的ごとに国内承認確認 |
| RF・HIFU | 軽度〜中等度のゆるみ・一部脂肪の厚み | 骨格性の凹みや強い皮膚余剰 | 機器ごとに1回〜複数回 | 痛み、赤み、腫れ、熱傷、神経症状等 | 機器・範囲で異なる | 機器・使用目的ごとに承認確認 |
| フェイスリフト・脂肪治療等 | 皮膚余剰や脂肪量が主因で非手術治療の限界がある場合 | 手術・麻酔・瘢痕を受け入れられない場合 | 術式ごと | 腫れ、出血、感染、瘢痕、神経障害、左右差等 | 術式・麻酔で異なる | 術式・機器・薬剤ごとに適応確認 |
費用の目安
- ヒアルロン酸1本(1cc)77,000円。
- 必要本数は口角横、顎前方、下顎線の優先順位で変わります。付帯手技料は診察時に提示します。
リスク・副作用・注意点
- 腫れ、内出血、痛み、凹凸、硬さ、左右差、むくみが生じます。
- 感染、結節、遅発性炎症、アレルギーが起こることがあります。
- まれに血管閉塞、皮膚壊死、失明を含む視覚障害が起こり得ます。
下顔面の見た目だけでなく口唇運動・咬合の違和感も確認します。
Doctor Review
執筆・監修
執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
References
参考にした一次情報・ガイドライン
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顔面ヒアルロン酸フィラーの高水準試験レビュー
研究デザイン: ヒアルロン酸注入の無作為化比較試験を中心とする高水準・低バイアスリスク研究の系統的レビュー / 対象: 症例報告・症例集積・観察研究を除外し、非外科的顔面美容のヒアルロン酸注入に関する高水準48研究を採用した。 / 結果: 多くの有害事象は自然に軽快する短期の注入部位反応で、製剤と注入手技により発生頻度が異なった。まれな重篤事象は数か月続き、積極的な治療を要したとの報告がありました。 / 限界: 稀な血管閉塞や視覚障害は、症例報告・観察研究を除外した無作為化試験中心のレビューでは過小評価されうる。部位別・製剤別の個人リスクを算出できず、血管閉塞時の対応手順を比較した研究ではない。PubMed抄録を2026年8月8日に再確認し、原著全文は取得していない。
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CaHAとHAの混合製剤による下顔面輪郭の後ろ向き研究
研究デザイン: CaHAと凝集性多密度マトリックスHAの混合製剤で中・下顔面を治療した単施設後ろ向き診療録レビュー / 対象: 女性41人、平均47.5歳(21〜63歳)。頬を含む中顔面と顎・下顎線を治療し、3か月と12か月に評価した。 / 結果: 医師評価の下顎線スコアは治療前2.12から3か月0.68、12か月1.27へ改善し、1段階以上の改善は3か月100%、12か月85%だったとの報告がありました。 / 限界: 比較群のない女性41人の後ろ向き研究で、CaHAとHAの混合製剤を使用している。ボリューマ単独、4ccという量、頬から顎へ進む順序、この症例のリフト効果や安全性を直接示さない。PubMed抄録とPMC公開全文を2026年8月8日に再確認した。
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ヒアルロン酸フィラーによる血管閉塞の管理指針
研究デザイン: 架橋ヒアルロン酸注入後の血管閉塞を認識し、虚血の段階と治療手順を示した診療指針 / 対象: 無作為化試験の対象集団ではなく、まれな血管閉塞について病態生理、症例経験、既報を基に作成された臨床指針。 / 結果: 急に増す痛み、白色から網目状の紫色へ変わる皮膚色、毛細血管再充満の遅れを評価し、血管閉塞を疑えば注入を止め、虚血範囲全体へヒアルロニダーゼを速やかに投与するとの報告がありました。 / 限界: 血管閉塞がまれであるため、高水準の比較試験ではなく理論と共有された臨床経験に大きく依存する。顔面各部位の血管モデル、至適投与量、各製剤別の溶解性には追加研究が必要である。PubMed抄録とJCAD公開全文を2026年8月8日に再確認した。
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ジュビダームビスタ ボリューマXC 添付文書
承認番号・使用目的・注意事項の確認。
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3D画像で評価したマイクロフォーカス超音波による顔面引き締めの無作為化比較試験
研究デザイン: 中・下顔面と顎下の片側を無作為に照射し、3D体積、超音波による皮下脂肪厚、写真を比較した前向き無作為化左右比較試験 / 対象: 女性20人。4.5mmと3.0mmの複数トランスデューサーで中・下顔面と顎下の片側を照射し、3か月を中心に追跡した。 / 結果: 3か月時の下顔面体積は照射側−0.29mL、対照側+0.42mLで、内側頬、オトガイ、下顔面、下顎部の皮下脂肪厚も照射側で有意に減少したとの報告がありました。 / 限界: 女性20人の小規模試験で、機器と一律設定が特定され、個別に調整された一般的なHIFUすべてへ同じ体積変化を適用できない。年1回という施術間隔、ボリューマとの比較、この症例の頬こけを直接評価していない。PubMed抄録とPMC公開全文を2026年8月8日に再確認した。
よくあるご質問
Q. この症例では、どの製剤を何本使用しましたか?
ジュビダームビスタ ボリューマXCを4本、計4cc使用し、左右の頬と顎の不足部へ配分しました。
Q. なぜ口元ではなく、頬と顎へ注入したのですか?
頬の高い位置と顎先の支持が不足し、口角横から下顔面のもたつきを強く見せていたためです。頬を先に支え、残る口元の影を見てから顎を整えました。
Q. 写真では、どこが変化していますか?
正面では頬の高い位置、口角横の影、顎先と下顎線が変化しています。左右斜位では頬前方の投影、口元から顎へ続く影、顎先の前後位置を比較できます。
Q. ハイフを受けていても、ヒアルロン酸治療はできますか?
可能です。ハイフ後に皮膚・筋膜のゆるみが残るのか、頬や顎のボリューム不足が主なのかを分けます。こけやすい方では同じ頬部へハイフを重ねず、支持を補う治療を優先することがあります。
Q. 治療後、すぐに連絡が必要な症状は何ですか?
通常より強い痛み、皮膚の白色化や網目状の色調変化、冷たさ、視界のかすみ・視野欠損・眼痛がある場合は、直ちに当院へ連絡してください。視覚症状は緊急対応が必要です。
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