症例紹介眼瞼下垂

まつ毛が隠れる上まぶたへ二重切開を行った術後3か月症例

上まぶたでまつ毛が隠れ、目が細く見えていた方に二重切開を行った術後3か月の症例です。開眼ではまつ毛の見え方と目の開き、閉眼では二重線と切開線の経過を確認し、皮膚余剰・挙筋機能・上まぶたの厚みに応じた術式の分け方を解説します。

Medical Information

この記事について

監修日
2026年8月9日
公開日
2025年9月27日
実質更新日
2026年8月9日
まつ毛が隠れていた上まぶたの二重切開前と術後3か月を開眼正面で比較した症例写真(上段が術前、下段が術後)

Contents

目次

  1. 術後3か月、まつ毛の見え方と目の開きを確認します
  2. 閉眼では、二重線と切開線の落ち着きを見ます
  3. まつ毛が隠れる原因を、皮膚・開瞼機能・厚みに分けます
  4. 3か月時も、閉じやすさと眼表面の状態を確認します
  5. 診療で確認するポイント
  6. 治療選択の比較
  7. 費用の目安
  8. リスク・副作用・注意点
  9. 関連記事
  10. 関連施術・関連症状のご案内
  11. 執筆・監修
  12. 参考にした一次情報・ガイドライン
  13. よくあるご質問

術後3か月、まつ毛の見え方と目の開きを確認します

上段が術前、下段が二重切開の術後3ヶ月です。術前は上まぶたがまつ毛に重なり、目が細く見えています。術後はまつ毛が見え、目の開きが改善し、自然な二重線になっています。

正面では、黒目の見える縦幅だけでなく、まつ毛の根元がどこまで見えるか、二重線が左右で同じ高さから始まるか、眉を上げずに目を開けられるかをそろえて確認します。

術後3か月に切開線と左右差を一緒に見る理由として、切開法後は91.36%が傷あとを目立たない、またはほぼ見えないと回答し、主な形の問題は左右差12.35%と二重幅の狭小化8.64%だったとの報告がありました(参考文献1)。

閉眼では、二重線と切開線の落ち着きを見ます

開眼と閉眼を切り替える症例映像では、術前と術後3か月を同じ正面構図で比較できます。閉眼時には、二重線の高さ、切開線の赤みや盛り上がり、左右の線が目頭側から外側へどう続くかを確認します。

術後3か月は強い腫れが落ち着いて二重線を評価しやすくなる時期です。開眼時の幅だけで結論を出さず、閉眼時の切開線、目を閉じ切れるか、左右差が時間とともに縮まっているかも追います。

まつ毛が隠れる原因を、皮膚・開瞼機能・厚みに分けます

まつ毛が隠れる上まぶたでは、二重線より下へかぶさる皮膚、まぶたを持ち上げる挙筋機能、眉を上げる代償、眼窩脂肪やROOFによる厚みを順に確認します。眉を脱力した正面でMRD1と左右差を測り、上方視・下方視で挙筋機能を見ます。

皮膚と二重線が主な課題であれば二重切開を選び、開瞼機能の低下が主であれば眼瞼下垂手術を組み合わせます。眼窩脂肪やROOFは厚みへの関与を触診し、必要な部位だけを手術計画へ加えます。

皮膚と開瞼機能を分けて術式を選ぶ理由として、上眼瞼形成の20.5%で眼瞼下垂修正が併用され、再手術率は上眼瞼形成のみ3.8%、併用9.2%だったとの報告がありました(参考文献2)。

3か月時も、閉じやすさと眼表面の状態を確認します

術後は、開眼時の二重線と同時に、瞬きが最後まで閉じるか、乾燥感・異物感・充血がないかを確認します。コンタクトレンズの使用状況や術前からのドライアイも合わせて記録し、角膜が乾きやすい場合は保護を優先します。

術後3か月でも閉じにくさや角膜痛が続く場合は、二重幅や傷あとだけでなく眼表面を診察します。急に強くなる痛み、片側だけの急速な腫れ、止まりにくい出血、視力・視野の変化は早期の診察が必要です。

術後3か月に瞬きと乾燥症状を確認する理由として、1週・1か月はドライアイ症状、マイボーム腺機能、不完全瞬目率が悪化したものの、3か月にはいずれも術前と差のない水準へ戻ったとの報告がありました(参考文献3)。

Clinical View

診療で確認するポイント

  • 眉を脱力した開眼正面で、まつ毛の見え方、MRD1、二重線の始点、眉の高さと左右差を記録します。
  • 閉眼で皮膚余剰、予定する二重線、眼窩脂肪・ROOFの厚み、目を閉じ切れるかを確認します。
  • 皮膚と二重線が主なら二重切開、挙筋機能の低下が主なら眼瞼下垂手術を選び、厚みの処理は診察所見に応じて加えます。
  • 術後3か月は開眼・閉眼を同じ条件で撮影し、まつ毛、切開線、左右差、瞬きと乾燥症状を一緒に再評価します。

Comparison

治療選択の比較

治療・対応 向く状態 向かない/慎重な状態 回数の目安 ダウンタイム 費用(税込) 承認状況
二重埋没法 皮膚余剰と上まぶたの厚みが少なく、切開せず二重線を作りたい状態 皮膚のかぶさり、厚い瞼板前組織、開瞼機能低下が二重線を妨げる状態 通常1回。線が緩んだ場合は再治療を検討 腫れ、内出血、左右差、糸の露出、感染、二重線の消失 両目4点88,000円、6点110,000円 手術手技。自由診療
二重切開法 皮膚のかぶさりと二重線を直接整え、まつ毛の見え方と開眼時の形を調整したい状態 希望する幅が定まっていない、切開線と数週間の腫れを受け入れにくい状態 通常1回。術後3か月以降も切開線と左右差を追跡 腫れ、内出血、傷あと、左右差、多重線、線の消失、閉瞼不全 両目275,000円 手術手技。自由診療
眼瞼下垂手術 MRD1、挙筋機能、視野から開瞼機能の低下を認める状態 開瞼機能が保たれ、二重線と皮膚余剰だけを整えたい状態 通常1回。腫れが落ち着いた後も高さと閉瞼を再評価 腫れ、内出血、低矯正・過矯正、左右差、閉瞼不全、ドライアイ、角膜障害 機能障害の診断と術式により保険診療。整容目的は自費 手術手技。診断・術式により保険適用

費用の目安

  • 二重埋没法4点止め(両目):88,000円(税込)
  • 二重埋没法6点止め(両目):110,000円(税込)
  • 二重切開法(両目):275,000円(税込)
  • ROOF切除オプション:110,000円(税込・診察所見に応じて併用)

本症例で確認できる術式は二重切開法です。眼窩脂肪・ROOF処理や眼瞼下垂修正を行ったとの記載はありません。

リスク・副作用・注意点

  • 二重切開では、腫れ、内出血、痛み、感染、傷の離開、傷あとの赤み・硬さ、左右差、多重線、二重線の消失、希望幅との差が起こることがあります。
  • 眼窩脂肪・ROOFを調整する場合は、外側の腫れ、知覚変化、左右差、上まぶたのくぼみ、血腫が起こることがあります。
  • 眼瞼下垂手術では、低矯正・過矯正、左右差、閉瞼不全、ドライアイ、角膜障害、再手術が必要になることがあります。
  • 急な視力・視野の変化、強くなる痛み、急速な片側の腫れ、止まりにくい出血、目が閉じにくく角膜が痛む症状は、直ちに連絡が必要です。
  • 国内承認・適応: 二重埋没法、二重切開法、ROOF切除、眼瞼下垂手術はいずれも手術手技で、医療機器の承認番号を付す治療ではありません。二重形成と整容目的のROOF切除は自由診療です。挙筋機能・視野などの機能障害を伴う眼瞼下垂手術は、診断と術式により保険診療となる場合があります。

Doctor Review

執筆・監修

執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)

References

参考にした一次情報・ガイドライン

  1. Zhang T, Liu L, Fan J, et al. Upper blepharoplasty in Asian population: A novel technique based on functional zoning and dynamic reconstruction with anatomical structure. J Cosmet Dermatol. 2024;23(11):3684-3692. doi:10.1111/jocd.16444. PMID:39092866.

    Upper blepharoplasty in Asian population: A novel technique based on functional zoning and dynamic reconstruction with anatomical structure

    研究デザイン: 特定の眼輪筋処理を用いた二重切開法の傷あと、機能、形態、満足度を調べた単施設後ろ向き研究 / 対象: 18〜39歳の86人が手術を受け、追跡できた81人を解析した。全手術を同じ術者が行った。 / 結果: 91.36%が傷あとを目立たない、またはほぼ見えないと回答した。主な問題は左右差12.35%と二重幅の狭小化8.64%で、95.1%が良好または非常に良好と回答した。 / 限界: 単一術者による特定術式の後ろ向き研究で、対照群がなく、5人が追跡不能だった。本症例の切開幅、固定法、切除組織、術後3か月の個別結果を直接検証していない。PubMed書誌・抄録を2026年8月9日に確認し、原著全文は取得していない。

  2. Falcon Rodriguez L, Kuruoglu D, Salinas CA, et al. Eyelid and Brow Rejuvenation: Technical Pearls and Outcomes of Upper Blepharoplasty with or without Ptosis Correction and Brow Lift. Plast Reconstr Surg. 2024;154(6):1199-1207. doi:10.1097/PRS.0000000000011324. PMID:38315110.

    Eyelid and Brow Rejuvenation: Technical Pearls and Outcomes of Upper Blepharoplasty with or without Ptosis Correction and Brow Lift

    研究デザイン: 上眼瞼形成単独と眼瞼下垂修正併用の治療内容・再手術を診療録から検討した後ろ向きコホート研究 / 対象: 上眼瞼形成を受けた278人・533件。平均年齢67.3歳、平均追跡8.3か月で、109件に眼瞼下垂修正が併用された。 / 結果: 眼瞼下垂修正は20.5%に併用された。再手術率は上眼瞼形成単独3.8%、眼瞼下垂修正併用9.2%で、3か月以上続く新たなドライアイは0.8%に生じ全例で改善した。 / 限界: 高齢者を中心とする単施設の後ろ向き研究で、アジア人の二重形成を対象とした比較試験ではない。本症例に眼瞼下垂修正を併用したかは示さない。PubMed書誌・抄録を2026年8月9日に確認し、原著全文は取得していない。

  3. Pan S, Chen Y. The Impact of Full-Incision Double-Eyelid Blepharoplasty on Dry Eye: Association with Short-Term Meibomian Gland Dysfunction and Increased Incomplete Blinking. Aesthetic Plast Surg. 2026 Jun 12. Online ahead of print. doi:10.1007/s00266-026-06052-2. PMID:42286332.

    The Impact of Full-Incision Double-Eyelid Blepharoplasty on Dry Eye: Association with Short-Term Meibomian Gland Dysfunction and Increased Incomplete Blinking

    研究デザイン: 二重全切開の術前、術後1週・1か月・3か月に眼表面とマイボーム腺機能を測定した自己対照観察研究 / 対象: 二重全切開を受けた50人・100眼。 / 結果: 1週・1か月はOSDI、マイボーム腺脂質の質と圧出性、不完全瞬目率が有意に悪化した。3か月には変化していた全項目が術前と統計学的な差のない水準へ戻った。涙液層破壊時間、角膜染色、Schirmer I、脂質層厚、腺脱落は全時点で有意差がなかった。 / 限界: 対照群のない短期自己対照研究で、特定施設の50人に限られる。本症例の眼表面所見、切開幅、閉瞼機能を示すものではない。PubMed書誌・抄録を2026年8月9日に確認し、原著全文は取得していない。

  4. 厚生労働省

    医療広告ガイドライン

    自由診療の費用、主なリスク・副作用、未承認機器等の表示を確認する公的資料です。

よくあるご質問

Q. 術後3か月でどのように変わっていますか?

術前は上まぶたでまつ毛が隠れ、目が細く見えていました。術後3か月はまつ毛が見え、目の開きが改善し、自然な二重線になっています。

Q. 術後3か月で完成ですか?

強い腫れは落ち着いて形を評価しやすくなりますが、切開線の色や硬さ、二重幅、左右差はその後も変化します。開眼と閉眼の両方で経過を追います。

Q. まつ毛が隠れる場合は全員が二重切開になりますか?

皮膚余剰、挙筋機能、眉の代償、眼窩脂肪・ROOFの厚みを分けます。二重線と皮膚が主なら二重切開、開瞼機能低下が主なら眼瞼下垂手術を選びます。

Q. 閉眼写真では何を確認しますか?

二重線と切開線の高さ、赤み・盛り上がり、左右差、目を閉じ切れるかを確認します。開眼時に自然でも、閉眼時の傷あとと閉じやすさを別に評価します。

Q. 術後にすぐ連絡が必要な症状はありますか?

急な視力・視野の変化、強くなる痛み、急速な片側の腫れ、止まりにくい出血、目が閉じにくく角膜が痛む症状は早期の診察が必要です。

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