アドバテックスの589nm・1319nmを症状別に使い分ける考え方
ADVATx(アドバテックス)は、589nmを酒さ・赤ら顔・ニキビ・毛細血管、1319nmを皮脂・毛穴・肥厚性瘢痕・肝斑へ使い分ける2波長レーザーです。8つの治療経過から、症状別の照射目的と治療順を解説します。
Medical Information
この記事について
- 執筆医・監修医
- 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
- 監修日
- 2026年8月9日
- 公開日
- 2025年8月22日
- 実質更新日
- 2026年8月9日











Contents
目次
589nmと1319nmを、赤み・ニキビ・皮脂の重なりに合わせます
アドバテックスは2つの波長で治療します。589nmは酒さ・赤ら顔・ニキビ・毛細血管拡張、1319nmは皮脂・毛穴・肥厚性瘢痕・肝斑を治療計画へ加えるときに用い、改善しにくいニキビや酒さでは両方の波長を組み合わせます。
589nmはヘモグロビンへ熱を伝え、顔全体の赤み、微小血管、炎症後の赤みに用います。1319nmは真皮の水分へ熱を加え、皮脂腺周囲、毛穴、瘢痕の質感を扱います。赤みと皮脂が同じ部位に重なるときも、それぞれを別の評価項目として記録します。
院内では3〜4週間に1回を目安に、皮脂は施術直後からの変化、赤みは2〜3回後からの変化を比較しています。2025年1月の国内導入時から使用し、院長はKOLとして国内外の学会で照射設計を発表しています。
顔全体の赤ら顔は、面状の赤みと色むらを追います
顔全体に赤みがあった症例を、アドバテックス4回前後の正面と斜位で比べています。4回後は頬から鼻周囲へ広がっていた赤みが軽くなり、顔全体の色むらが整った経過です。
診察では、面状に続く紅斑、線状に見える毛細血管、ほてり、赤い丘疹・膿疱を分けます。面状の赤みには全顔の589nm、目立つ血管には589nmのポイント照射を加え、皮脂も重なる場合は1319nmを組み合わせます。
面状の赤みへ血管治療を選ぶ具体的な比較として、IPLと595nm PDLでは50%超の改善率と紅斑指数の変化に有意差はなく、75%超の改善はIPLで77.78%、PDLで66.67%、施術時の疼痛はPDLの方が低かったとの報告がありました(参考文献1)。
ニキビとシミでは、先に治療する所見を分けます
10年間繰り返していたニキビと顔全体の赤みの症例では、ポテンツァ2回とアドバテックス3回を組み合わせています。治療後は頬と顎の炎症性皮疹が減り、顔全体の赤みも軽くなった経過で、再発を抑える目的でアドバテックスを継続する計画です。
シミ、毛細血管拡張、くすみ、たるみ・小じわが重なった症例では、黒いシミをルビーフラクショナル5回で先に治療し、赤みと混ざって残るくすみへアドバテックスを5回行っています。濃い色素を先に減らし、残る血管性の赤みを589nmで扱う順序です。
鼻・顎のニキビと皮脂・毛穴には、589nmと1319nmを重ねます
鼻と顎に繰り返すニキビと赤みの症例では、アドバテックス2回後に炎症性皮疹とニキビ周囲の赤みが減り、顔全体の赤みも軽くなった経過です。589nmで炎症性の赤みを扱いながら、1319nmで皮脂の多い鼻・顎を同時に追います。
赤み、皮脂、毛穴、テカリが重なった症例では、アドバテックス4回後に頬の赤みとテカリが軽くなり、毛穴の見え方も変化しています。皮脂量と毛穴は同じ照明・同じ部位で比べ、赤みの変化とは別に評価します。
活動性ニキビでは、白い面皰、赤い丘疹・膿疱、皮脂、ニキビ後の赤みを数えます。ベンゾイル過酸化物などで新しい炎症を抑える治療を続け、589nmと1319nmを加えた後も皮疹数で次の回数を決めます。
炎症性ニキビへ外用と2波長を組み合わせた結果、2.5%ベンゾイル過酸化物に589/1319nmを2週間隔で4回加えた側は、最終照射3か月後の炎症性皮疹数が46%、外用のみの側は29%減少し、群間差は有意ではなかったとの報告がありました(参考文献2)。
肝斑と面皰性ニキビでは、見る変化が異なります
肝斑の症例は、アドバテックス1回前後の正面・斜位比較です。頬の網目状の赤みと褐色調が軽くなった経過を示し、1回ごとの色調を見ながら悪化がないことを確認して治療を継続する計画です。
肝斑へ用いるときは、褐色の色素だけでなく、同じ範囲に重なる赤みと慢性炎症を治療目標に加えます。589nmで赤み、1319nmで真皮の熱反応を扱い、外用・遮光と同じ時期に色調を記録します。
白く詰まった面皰と炎症性ニキビの症例では、アドバテックス5回後に面皰が減り、新しく生じる赤いニキビも少なくなった経過です。面皰と炎症性皮疹を別々に数え、皮脂と赤みのどちらが先に戻るかを次回の波長選択へ反映します。
頬のもやっとした赤みと顎ニキビは、6回の経過で追います
頬全体のもやっとした赤みと顎周りのニキビが重なった症例では、アドバテックス6回後に頬の赤みと色むらが軽くなり、顎周りの炎症性皮疹がみられなくなった経過です。
赤みが先に変化しても、顎の面皰・丘疹や皮脂が残れば1319nmを含む治療を続けます。3〜4週間ごとに同じ条件で撮影し、赤み、皮疹数、皮脂、乾燥を一項目ずつ比べて回数と範囲を調整します。
Clinical View
診療で確認するポイント
- 赤みを面状の紅斑、線状の毛細血管、ニキビ後紅斑、赤い丘疹・膿疱に分け、皮脂、面皰、毛穴、褐色色素、瘢痕の盛り上がりを同じ診察で記録します。
- 血管性の赤みには589nm、皮脂・毛穴・真皮の質感には1319nmを割り当て、黒いシミはルビーフラクショナル、広い凹凸や肌質はポテンツァを先に行う順序も考えます。
- 3〜4週間ごとに正面・斜位写真と皮疹数を比べ、赤み、皮脂、面皰、色素のうち戻り始めた所見に合わせて次の波長・範囲・併用治療を変えます。
Comparison
治療選択の比較
| 治療・対応 | 向く状態 | 向かない/慎重な状態 | 回数の目安 | ダウンタイム | 費用(税込) | 承認状況 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ADVATx 589+1319nm 全顔 | 面状の赤み、炎症性ニキビに皮脂・毛穴・肌質の変化が重なる状態 | 感染、強い皮膚炎、日焼け直後、診断が定まっていない色素・血管病変 | 症例では1〜6回後を比較。3〜4週間ごとに再評価 | 痛み、赤み、ほてり、腫れ、乾燥、刺激感、色素沈着、水疱、やけど | 全顔・スポット照射込み 1回30,000円/5回139,000円 | 要確認 |
| ADVATx 589nm スポット | 鼻周囲などの細い毛細血管、限局した赤み、目立つ赤い丘疹 | 皮脂・毛穴・凹凸だけが主な状態、顔全体へ均一に広がる複合所見 | 血管の色・太さ・照射後反応を見て再評価 | 局所の赤み、ほてり、腫れ、乾燥、色素沈着、水疱、やけど | 1cm×1cmまで6,600円/1cm×1cm以上は1cm2ごと4,400円 | 要確認 |
| ポテンツァ 赤ら顔・ニキビ・毛穴治療 | 活動性ニキビ、赤み、毛穴、肌質をRFで広く治療する状態 | 感染や強い皮膚炎がある状態、血管性の赤みだけが主な状態 | 組み合わせ症例は2回後を比較。料金表には1回・3回設定あり | 痛み、点状出血、赤み、腫れ、ざらつき、角質の脱落、針跡 | 全顔1回55,000円/3回156,750円 | 要確認 |
| ルビーフラクショナル | 細かな黒いシミ、そばかす、褐色の色むらを先に減らす状態 | 赤み・毛細血管だけが主な状態、刺激で肝斑が動きやすい状態 | 組み合わせ症例は5回後を比較。1クール5回 | 赤み、腫れ、乾燥、かさつき、色素沈着、まれに水疱・やけど | 全顔看護師施術1回16,500円/1クール5回66,000円 | 要確認 |
費用の目安
- ADVATx 589+1319nm 全顔・スポット照射込み:1回30,000円/5回139,000円
- ADVATx 589nmスポット・医師施術:1cm×1cmまで6,600円/1cm×1cm以上は1cm²ごと4,400円
- ポテンツァ 赤ら顔・ニキビ・毛穴治療 全顔:1回55,000円/3回156,750円
- ルビーフラクショナル 全顔看護師施術:1回16,500円/1クール5回66,000円
照射範囲、麻酔、追加施術、2クール目以降の料金により総額が変わります。
リスク・副作用・注意点
- ADVATxでは、照射中の痛み、照射後の赤み、ほてり、腫れ、乾燥、刺激感、色素沈着、水疱、やけどが起こることがあります。
- ポテンツァでは、痛み、点状出血、赤み、腫れ、ざらつき、角質の脱落、針跡が生じることがあります。
- ルビーフラクショナルでは、赤み、腫れ、乾燥、かさつき、色素沈着、まれに水疱・やけどが起こることがあります。
- 国内承認・適応: 本施術で使用するADVATxと、当院で現在ポテンツァ治療に用いるPOTENZA Primeは、日本国内で医薬品医療機器等法上の承認を受けていない医療機器です。医師の責任のもと適法な輸入手続きにより入手しています。製造元はADVATxについて米国FDA 510(k) K250189、POTENZAについてK201685などの海外認証を公表しています。国内未承認医療機器による健康被害は、医薬品副作用被害救済制度等の対象外となる場合があります。
589/1319nmレーザーの平均疼痛は3.4/10で重篤な有害事象はなく、16.7%に軽い乾燥・赤み・落屑が生じ、2週間以内に自然軽快したとの報告がありました。
Doctor Review
執筆・監修
執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
References
参考にした一次情報・ガイドライン
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Meta-Analysis of the Efficacy of Intense Pulsed Light and Pulsed-Dye Laser Therapy in the Management of Rosacea
研究デザイン: Web of Science、PubMed、Embase、Cochrane Libraryを2024年3月1日まで検索したシステマティックレビュー・メタ解析。IPLと595nm PDLを直接比較した前向き左右比較3研究と後ろ向き研究1件を統合 / 対象: 酒さ患者を対象とした4研究・計141人。使用したIPLの波長帯・設定と595nm PDLの設定は研究ごとに異なる / 結果: 50%超のクリアランス率と紅斑指数の変化に有意差はなかったとの報告がありました。75%超のクリアランスはIPL 77.78%、PDL 66.67%でIPLが高く、VAS疼痛はPDLが低い結果でした。 / 限界: 4研究・141人の小規模な統合で、疼痛解析の異質性はI2=93%、出版バイアスの可能性があります。ADVATx、589nm、1319nmを評価した研究ではなく、症例写真の回数・効果を裏付けません。著者は利益相反なし、特定資金なしと記載しています。原著全文を2026年8月8日に確認しました。
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Efficacy and safety of the 589/1319 nm solid-state dual-wavelength laser combined with topical benzoyl peroxide for inflammatory acne vulgaris: a split-face randomized controlled trial
研究デザイン: タイ単施設・単盲検の左右比較無作為化試験。顔全体へ2.5%ベンゾイル過酸化物を18週間外用し、無作為に選んだ片側へ589/1319nmレーザーを2週間隔で4回追加、最終照射後3か月追跡 / 対象: 18〜50歳で、左右それぞれに2個以上の炎症性丘疹・膿疱がある軽症〜中等症ニキビ18人 / 結果: 最終照射3か月後の炎症性皮疹数はレーザー併用側46%、ベンゾイル過酸化物単独側29%減少したが、群間差は有意ではなかったとの報告がありました。平均疼痛は3.4/10で重篤な有害事象はなく、3人に両側の軽い乾燥・赤み・落屑が生じ2週間以内に自然軽快しました。 / 限界: 18人・タイ単施設の小規模試験で、両側ともベンゾイル過酸化物を使用しておりレーザー単独効果を示しません。群間の皮疹数、重症度、満足度に有意差はなく、酒さ、毛細血管拡張、肝斑、肥厚性瘢痕、各波長単独の結果ではありません。原著全文を2026年8月8日に確認しました。
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医療機器の承認審査に関する情報
販売名、承認番号、承認範囲を確認する公的情報です。
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医療広告ガイドライン
自由診療の費用、主なリスク・副作用、未承認機器等の表示を確認する公的資料です。
よくあるご質問
Q. 589nmと1319nmはどの症状で使い分けますか?
589nmは酒さ・赤ら顔、毛細血管、ニキビ周囲の赤みなど、血管と炎症性の赤みへ用います。1319nmは皮脂、毛穴、真皮の質感、肥厚性瘢痕などを治療計画へ加えるときに用い、両方が重なる場合は2波長を組み合わせます。
Q. 何回、どのくらいの間隔で受けますか?
院内では3〜4週間に1回を目安にしています。この記事の症例は1〜6回後まであり、2〜3回で赤みの変化を確認しながら、皮脂、面皰、毛穴、乾燥も同じ時点で比べます。
Q. ポテンツァやルビーフラクショナルを先に行うことはありますか?
あります。広いにきび跡・肌質にはポテンツァ、黒いシミにはルビーフラクショナルを先に行い、その後に残る赤み、皮脂、毛穴へアドバテックスを加える治療順があります。
Q. 肝斑にはどのように使いますか?
褐色調だけでなく、頬の同じ範囲に赤みや慢性炎症が重なるときに589nmと1319nmを検討します。1回ごとの色調と赤みを同じ条件で記録し、外用・遮光を続けながら経過を追います。
Q. アドバテックスは国内承認機器ですか?
ADVATxは国内未承認医療機器です。医師の責任で適法に輸入して使用します。国内未承認医療機器による健康被害は、医薬品副作用被害救済制度等の対象外となる場合があります。
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