シミ・肝斑・赤みが混在する頬へアドバテックス5回を行った症例
頬にシミ・肝斑・赤みが重なる症例では、まず左右対称の面状の色調と血管性の赤みを整え、残った境界明瞭なシミを別治療へ分けます。本症例ではADVATxを5回行い、面状の色調と赤みが目立ちにくくなり、濃いシミは残りました。
Medical Information
この記事について
- 執筆医・監修医
- 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
- 監修日
- 2026年8月9日
- 公開日
- 2026年3月16日
- 実質更新日
- 2026年8月9日

Contents
目次
ADVATx 5回前後を正面・斜位で比較
治療前の正面では、両頬へ左右対称に広がる面状の褐色調に、頬中央から鼻周囲の赤みが重なっています。斜位では、頬骨部の色むらの中に、境界が比較的はっきりした濃い褐色斑が点在しています。
アドバテックス(ADVATx)レーザーを5回行った後は、正面・斜位とも頬全体の面状の色調と赤みが目立ちにくくなりました。一方、点在する濃い褐色斑は残っており、肝斑と赤みを整えた後に、残存斑を別の標的として再評価する経過です。
血管性の赤みへ589/1319nmを反復する際、赤みはレーザー側で2週後から改善し、最終照射8週後の1段階以上改善は72.4%だった一方、外用側も69.0%で最終差は有意でなかったとの報告がありました(参考文献1)。
褐色斑・肝斑・血管性の赤みを地図にします
頬の色を、境界明瞭な点状の褐色斑、左右対称に広がる面状の褐色調、面状の赤み、細い線状血管へ分けます。正面で左右差と分布を見た後、斜位で頬骨部の濃淡と血管の走行を確認します。
面状の褐色調は肝斑の活動性、点状斑は日光黒子やADMなどを候補にし、ダーモスコピーと経過を合わせます。赤みは軽い圧迫で薄くなる範囲と線状に残る血管を記録し、色素と血管の治療範囲を決めます。
肝斑は遮光と外用を土台にします
両頬へ面状に広がる褐色調には、毎日の紫外線・可視光対策と、摩擦を抑えた洗顔を続けます。外用は色素の分布と刺激反応に合わせ、赤みや皮むけが増えない頻度から始めます。
肝斑の面状色調を整えてから血管性の赤み、最後に残る濃い斑へ進むと、同じ写真上で何が変わったかを判定しやすくなります。褐色調、赤み、点状斑を別々に記録し、次の治療を一段ずつ選びます。
肝斑治療を遮光と外用から始める理由として、トリプル配合外用の色素改善は約6週で最大に達し、週2回の維持療法は漸減法と同等以上に再燃を遅らせたとの報告がありました(参考文献2)。
589nmは赤み、1319nmは皮脂・肌質を見て使い分けます
この症例では、肝斑に重なる面状・線状の赤みを先に扱いました。589nmはヘモグロビンへ反応しやすく、頬の面状紅斑と細い血管を照射範囲として、同じ撮影条件で変化を追います。
全顔のADVATxでは589nmと1319nmを組み合わせます。1319nmは真皮と皮脂腺へ熱を加える波長で、皮脂や毛穴、肌の質感も同時に扱うときに役割を持たせます。肝斑の褐色調、血管性の赤み、皮脂・質感を別の指標で確認します。
5回後に残る濃いシミは色素治療へ分けます
5回後も残る境界明瞭な濃い斑は、日光黒子、ADM、炎症後色素沈着などを改めて見分けます。日光黒子であれば694nmのスポット照射、広い範囲の細かな色素ならフラクショナル照射を候補にし、肝斑の面状色調とは治療範囲を分けます。
残存斑へ進む時点では、正面・斜位で色素の深さと境界を見直し、前回照射後の赤みや色素沈着が落ち着いていることを確認します。肝斑の遮光・外用を続けながら、濃い斑だけに必要な照射を選びます。
残った日光黒子へスポット照射を選ぶ際、病変の消失率に差はない一方、ルビー照射後のPIHは強い白色反応を終点とした場合33.33%、軽い白色反応では7.47%だったとの報告がありました(参考文献3)。
Clinical View
診療で確認するポイント
- 当院では、正面で両頬の左右対称な面状色調と赤み、斜位で頬骨部の点状斑と細い血管を記録します。
- まず遮光と外用で肝斑の土台を整え、血管性の赤みへ589nmを配分し、皮脂・毛穴・質感も対象になる範囲では1319nmを組み合わせます。
- 5回後は褐色調、赤み、点状斑を同じ写真条件で再評価し、残る境界明瞭なシミを色素レーザーのスポットまたはフラクショナル治療へ分けます。
Comparison
治療選択の比較
| 治療・対応 | 向く状態 | 向かない/慎重な状態 | 回数の目安 | ダウンタイム | 費用(税込) | 承認状況 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 遮光・肝斑外用 | 両頬へ左右対称に広がる面状の褐色調 | 盛り上がり、出血、急な形の変化がある病変 | 毎日継続し、数週単位で色調と刺激を再評価 | 外用による赤み、乾燥、皮むけ、刺激性皮膚炎 | 処方・製品により異なる | 要確認 |
| ADVATx 589+1319nm全顔 | 肝斑の褐色調に面状の赤み、細い血管、皮脂・毛穴・質感変化が重なる状態 | 日焼け直後、強い皮膚炎・感染、血管性の赤みがなく濃い色素斑だけが主な状態 | 本症例は5回。通常は前回反応を見て複数回 | 痛み、赤み、ほてり、腫れ、乾燥、刺激感、色素沈着、水疱、熱傷 | 全顔・スポット照射込み 1回30,000円/5回139,000円 | 要確認 |
| Qスイッチルビーのスポット・フラクショナル照射 | 肝斑と赤みを整えた後に残る、診断済みの境界明瞭な日光黒子や広い範囲の細かな色素 | 活動性の肝斑、強い炎症、診断未確定の色素病変 | スポットは通常1回後に経過評価。フラクショナルは複数回を前回反応で調整 | 赤み、痂皮、炎症後色素沈着、色素脱失、水疱、熱傷 | スポット1cm×1cmまで6,600円/フラクショナル全顔1回16,500円 | 要確認 |
費用の目安
- ADVATx 589+1319nm全顔・スポット照射込み:1回30,000円/5回139,000円(税込)
- Qスイッチルビー・スポット照射:1cm×1cmまで6,600円/1cm×1cm以上は1cm²ごと4,400円(税込)
- ルビーフラクショナル・全顔看護師施術:1回16,500円/1クール目5回66,000円(税込)
自由診療・税込です。肝斑の処方薬・外用製品の費用は含みません。照射範囲、回数、併用治療により総額が変わります。
リスク・副作用・注意点
- ADVATxでは、照射中の痛み、照射後の赤み、ほてり、腫れ、乾燥、刺激感が生じることがあります。
- ADVATxでは、色素沈着、水疱、熱傷が起こることがあります。日焼け直後、照射部位に感染や強い皮膚炎がある場合は照射できないことがあります。
- 肝斑の外用では、乾燥、赤み、皮むけ、かゆみ、刺激性皮膚炎が生じることがあります。
- Qスイッチルビーでは、赤み、腫れ、痂皮、水疱、炎症後色素沈着、色素脱失、瘢痕が生じることがあります。
- 国内承認・適応: ADVATxは日本国内で医薬品医療機器等法上の承認を受けていない医療機器です。当院では医師の責任のもと、適法な輸入手続きにより入手しています。米国FDAのK250189では、589nmについて顔面毛細血管拡張・酒さ・炎症性ニキビなど、1319nmについて軽症・中等症の炎症性ニキビ・萎縮性ニキビ瘢痕などの使用目的で510(k)クリアランスを取得していますが、米国でのクリアランスは日本の承認とは異なります。未承認医療機器による健康被害は、医薬品副作用被害救済制度等の対象外となる場合があります。QスイッチルビーのNanoStar Rは承認番号22900BZX00055000の国内承認医療機器ですが、個々の色素病変への使用目的と照射方法は添付文書の承認範囲を確認します。
面状の褐色調、赤み、点状斑を同じ撮影条件で追い、刺激反応が残る間は次の治療を強めません。
Doctor Review
執筆・監修
執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
References
参考にした一次情報・ガイドライン
-
Efficacy and Safety of a Dual-Wavelength 589/1319 nm Laser for the Treatment of Acne Erythema: A Split-Face Randomized Controlled Trial
研究デザイン: 単盲検・左右比較の無作為化比較試験。顔の片側へ589/1319nmレーザーを2週ごとに6回、反対側へ87.4%アロエベラゲルを1日2回18週使用し、最終照射8週後まで評価。 / 対象: 両側のニキビ後紅斑がある18〜50歳30人を登録し、29人が完遂。女性27人、Fitzpatrick皮膚型IIIが19人、IVが10人、年齢中央値29歳。 / 結果: 赤みの改善はレーザー側で2週後、外用側で4週後から現れ、最終照射8週後の1段階以上改善はレーザー側21/29人(72.4%)、外用側20/29人(69.0%)で、最終時点の群間差は有意ではなかったとの報告がありました。平均疼痛は1.52/10で、重篤な有害事象はなかった。 / 限界: 小規模・短期で、タイのFitzpatrick III〜IV型と女性が中心。ニキビ後紅斑を対象とし、肝斑、日光黒子、この症例のADVATx 5回を直接検証していない。機器はタイの販売代理店から提供されたが、研究への関与はなく、著者は他の利益相反なしと申告。原著全文を2026年8月9日に再確認した。
-
Topical and Systemic Therapies in Melasma: A Systematic Review
研究デザイン: 肝斑の外用・内服治療を扱った比較研究・無作為化比較試験174件を評価し、Oxford Centre for Evidence-Based Medicineの基準で推奨度を判定した系統的レビュー。 / 対象: 研究ごとに対象数、皮膚型、重症度、治療期間が異なり、レビュー本文では総人数を集計していない。 / 結果: SPF30以上でUVA・UVB・可視光を覆う日焼け止めと、ハイドロキノン、トリプル配合外用などが初期治療として推奨された。トリプル配合外用の色素改善は約6週で最大に達し、週2回の維持療法は漸減法と同等以上に重症肝斑の再燃を遅らせたとの報告がありました。 / 限界: 病型、肌色、評価尺度、追跡期間、再発評価、外用成分と濃度の異質性が大きい。ADVATx、589nm・1319nm照射、この症例の治療順を直接比較していない。研究費・支援なし、著者は利益相反なしと申告。原著全文を2026年8月9日に再確認した。
-
Comparative study of treatment efficacy and the incidence of post-inflammatory hyperpigmentation with different degrees of irradiation using two different quality-switched lasers for removing solar lentigines on Asian skin
研究デザイン: Qスイッチルビーと周波数倍化Nd:YAGを、強いまたは穏やかな白色反応を終点として1回照射した4群無作為化比較試験。4週後に評価した。 / 対象: Fitzpatrick皮膚型III〜Vのアジア人193人、日光黒子355病変。 / 結果: 4群の病変消失率に有意差はなく、PIHはルビーの強い白色反応群33.33%、軽い白色反応群7.47%だったとの報告がありました。 / 限界: 日光黒子の単回スポット照射を4週後まで評価した試験で、肝斑、ADM、ADVATx後の残存斑、この症例へ数値を直接適用できない。PubMed抄録を2026年8月9日に確認し、原著全文へアクセスできなかったため、研究資金・利益相反は抄録で確認できる範囲に限られる。
-
医療広告ガイドライン
自由診療の費用、主なリスク・副作用、未承認機器等の表示を確認する公的資料です。
よくあるご質問
Q. この症例ではADVATxを何回行いましたか?
ADVATxを5回行い、正面・斜位で治療前後を比較しています。頬全体の面状の色調と赤みが目立ちにくくなり、点在する濃いシミは残りました。
Q. 589nmと1319nmは何が違いますか?
589nmはヘモグロビンへ反応しやすく、面状の赤みや細い血管を対象にします。1319nmは真皮と皮脂腺へ熱を加え、皮脂、毛穴、肌の質感も同時に扱う範囲で組み合わせます。
Q. ADVATx 5回後も濃いシミが残るのはなぜですか?
この治療順では肝斑の面状色調と血管性の赤みを先に扱っています。残る境界明瞭な褐色斑は日光黒子やADMなどを見分け、694nmのスポット照射やフラクショナル照射など、メラニンを標的とする治療へ分けます。
Q. 肝斑の治療中に続けるホームケアはありますか?
紫外線・可視光対策と摩擦を抑えた洗顔を毎日の土台にします。外用は色素の分布と刺激反応に合わせ、赤みや皮むけが増えない頻度で続けます。
Q. ADVATxの料金と承認状況を教えてください。
589+1319nmの全顔治療はスポット照射込みで1回30,000円、5回139,000円です。ADVATxは国内未承認医療機器で、米国FDA 510(k) K250189のクリアランスは日本の承認とは異なります。未承認機器による健康被害は救済制度の対象外となる場合があります。
ご予約・ご相談はこちら
気になる症状や治療方法について、初診予約・再診予約・お問い合わせからご相談いただけます。