医師解説

ニキビ跡で治療をカスタマイズするときの考え方

ニキビ跡は、アイスピック型・ボックスカー型・ローリング型が同じ頬に混在します。活動性ニキビと赤みを先に整え、凹みの深さと皮下の癒着を診察して、面状治療と局所治療を組み合わせます。

Medical Information

この記事について

監修日
2026年8月9日
公開日
2025年7月28日
実質更新日
2026年8月9日

Contents

目次

  1. 凹凸・毛穴・赤みを分けて治療目標を決める
  2. 活動性ニキビと長く残る赤みを先に治療する
  3. アイスピック・ボックスカー・ローリング型で治療を分ける
  4. 3回後は面状の凹凸と局所の引き込みを別々に再評価する
  5. 診療で確認するポイント
  6. 治療選択の比較
  7. 費用の目安
  8. リスク・副作用・注意点
  9. 関連記事
  10. 関連施術・関連症状のご案内
  11. 執筆・監修
  12. 参考にした一次情報・ガイドライン
  13. よくあるご質問

凹凸・毛穴・赤みを分けて治療目標を決める

頬のニキビ跡では、ぼこぼことした凹みだけでなく、毛穴、赤み、色素沈着が同時に気になることがあります。初診では斜めから光を当てた写真と正面写真を撮り、皮膚表面の粗さ、影の幅、深い点状の凹みを別々に記録します。

治療候補は、POTENZA薬剤導入、トライフィルプロのシワ・瘢痕治療、サブシジョン、TCA CROSSです。四つを一律に重ねるのではなく、面状に広がる所見と一か所ずつ狙う所見を分けて選びます。

三つの瘢痕型を分けて治療を組み合わせる理由として、補助治療は瘢痕の型・重症度・数に応じて選び、併用治療は単独治療より良好な結果を示す傾向があるとの報告がありました(参考文献1)。

活動性ニキビと長く残る赤みを先に治療する

毛穴に皮脂と角質がたまり、赤く腫れた病変が続くと、膿、赤み、色素沈着を経て凹みが残ることがあります。炎症が2週間以上続く病変は、触ったりつぶしたりせず、新しい瘢痕を増やさないためのニキビ治療を優先します。

診察では、白ニキビ・赤ニキビ・膿疱の数、赤い斑と褐色の色素沈着、皮脂、使用中の洗顔・外用薬を確認します。新しい炎症が落ち着いてから、残った凹みを三つの瘢痕型に分けます。

活動性ニキビと長く残る赤みを先に治療する理由として、一次病変から生じた瘢痕の83%は赤い斑または色素沈着を経て形成され、6か月後にも残った瘢痕の81.7%が2年後も残存したとの報告がありました(参考文献2)。

アイスピック・ボックスカー・ローリング型で治療を分ける

アイスピック型は入口が狭く深い点状の凹み、ボックスカー型は縁が比較的明瞭なくぼみ、ローリング型は皮下の癒着に引かれて緩やかな影をつくる凹みです。同じ頬に三型が混在するときは、瘢痕ごとに深さ、縁の硬さ、皮膚を伸ばしたときの影の変化を確認します。

POTENZA薬剤導入は、図表ではアイスピック型とボックスカー型が○、ローリング型が△です。細い針からRFを届ける面状治療として、頬全体に広がる浅い凹凸や毛穴を治療し、導入する薬剤は目的と製剤を分けて選びます。

トライフィルプロのシワ・瘢痕治療は、図表ではボックスカー型が◎、ローリング型が○、アイスピック型が△です。炭酸ガスによるマイクロサブシジョンで一か所ずつ狙うため、浅く硬いボックスカー型など、面状治療後にも残る局所の凹みに配分します。

手動サブシジョンは、図表ではローリング型が◎、ボックスカー型が○、アイスピック型が×です。大きめのボックスカー型やローリング型で、皮膚を伸ばしても残る皮下の癒着を切離し、再陥凹を抑える目的でヒアルロン酸を併用することがあります。

TCA CROSSは、図表ではアイスピック型が◎、ボックスカー型が△、ローリング型が×です。狭く深いアイスピック型や小型ボックスカー型へ薬剤を局所塗布し、白変、痂皮、赤み、色素沈着の経過を病変ごとに追います。

浅い凹凸と毛穴へRFマイクロニードリングを選ぶ根拠として、治療後にニキビ跡と毛穴の評価が70%以上で改善し、皮脂量には変化がなかったとの報告がありました(参考文献3)。

癒着性の凹みでサブシジョン後にヒアルロン酸を併用する根拠として、併用側はサブシジョン単独側より医師評価が改善し、重い有害事象はなかったとの報告がありました(参考文献4)。

狭く深い凹みへTCA CROSSを局所的に用いる根拠として、医師・患者評価の66%で50%を超える改善がみられ、81.1%が満足または非常に満足したとの報告がありました(参考文献5)。

3回後は面状の凹凸と局所の引き込みを別々に再評価する

掲載した院内症例は、上段と中段がPOTENZA薬剤導入3回、下段がトライフィルプロのシワ・瘢痕治療3回の斜位比較です。POTENZAの2症例では頬全体の凹凸と毛穴、トライフィルプロの症例では局所に残る凹みの影を治療前後で確認しています。

3回後の写真では、頬全体の粗さ、広い影、深く狭い凹み、赤みを分けて見直します。面状の凹凸が残ればRFマイクロニードリング、硬い局所が残ればトライフィルプロ、広い癒着が残れば手動サブシジョン、点状の深い凹みが残ればTCA CROSSへ、次の治療範囲を絞ります。

Clinical View

診療で確認するポイント

  • 正面と左右斜位を同じ照明で撮影し、活動性ニキビ、赤み・色素沈着、毛穴、凹みの影を別々に記録します。
  • 凹みは、入口が狭く深いアイスピック型、縁のあるボックスカー型、皮下癒着で面状に引かれるローリング型に分け、皮膚を伸ばしたときの動きも確認します。
  • 頬全体の浅い凹凸にはPOTENZA薬剤導入、浅く硬い局所にはトライフィルプロ、広い癒着にはサブシジョン、狭く深い凹みにはTCA CROSSを割り当てます。
  • 回復後に同じ斜位で再撮影し、面状の粗さと一か所ずつ残る影を分け、次回は残った瘢痕型だけを治療します。

Comparison

治療選択の比較

治療・対応 向く状態 向かない/慎重な状態 回数の目安 ダウンタイム 費用(税込) 承認状況
POTENZA薬剤導入 頬全体に広がる浅い凹凸、毛穴、アイスピック型・ボックスカー型が混在する状態 広く深い皮下癒着だけが主な状態、活動性の感染・強い炎症 掲載症例は3回後に面状の凹凸を再評価 赤み、腫れ、点状出血、針跡、痂皮、乾燥、色素沈着 全顔1回66,000円/3回188,100円(税込、薬剤・麻酔別) 要確認
トライフィルプロ シワ・瘢痕治療 浅く硬いボックスカー型など、一か所ずつ狙う局所の凹み 頬全体の色むら・毛穴だけが主な状態、活動性の感染・強い炎症 掲載症例は3回後に局所の影を再評価 赤み、腫れ、内出血、疼痛、針跡、皮下気腫、硬結、色素沈着 1か所・ジュベルック込み18,000円(税込) 要確認
手動サブシジョン 大きめのボックスカー型、面状に引き込まれるローリング型 アイスピック型、赤み・色素・毛穴だけが主な状態 切離後に皮膚の動きと残る影を再評価 腫れ、内出血、疼痛、血腫、硬結、感染、色素沈着 2×2cm 33,000円/5×5cm 66,000円、ヒアルロン酸オプション55,000円(税込) 要確認
TCA CROSS 狭く深いアイスピック型、小型ボックスカー型 広いローリング型、活動性の感染・びらん、強い炎症後色素沈着が続く状態 病変ごとに痂皮と色素の回復後に再評価 白変、灼熱感、赤み、痂皮、色素沈着、びらん、瘢痕 20か所まで22,000円(税込) 要確認

費用の目安

  • POTENZA 瘢痕治療・薬剤導入 全顔:1回66,000円/3回188,100円(税込)
  • POTENZA導入薬剤 マックーム・ボトックス・ジュベルック:各1回+22,000円、麻酔1回6,600円(税込)
  • トライフィルプロ シワ・瘢痕治療:1か所・ジュベルック込み18,000円(税込)
  • 手動サブシジョン:2×2cm 33,000円/5×5cm 66,000円、ヒアルロン酸オプション55,000円(税込)
  • TCA CROSS:20か所まで22,000円(税込)

画像掲載時のモニター30%オフは2025年の募集案内のため、現行料金には反映していません。POTENZA薬剤導入の合計は選ぶ薬剤と麻酔回数、トライフィルプロは治療か所数で変わります。

リスク・副作用・注意点

  • POTENZA・導入薬剤:痛み、赤み、腫れ、点状出血、針跡、痂皮、乾燥、色素沈着、感染、薬剤による腫れ・硬結
  • トライフィルプロ・ジュベルック:赤み、腫れ、内出血、疼痛、熱感、針跡、皮下気腫、色素沈着、硬結・結節、感染
  • 手動サブシジョン・ヒアルロン酸:赤み、腫れ、内出血、疼痛、血腫、硬結、感染、血管・神経損傷、皮膚壊死、視覚障害
  • TCA CROSS:灼熱感、白変、赤み、腫れ、びらん、痂皮、炎症後色素沈着、色素脱失、感染、瘢痕
  • 国内承認・適応: POTENZAとトライフィルプロは日本国内未承認の医療機器です。POTENZAはJeisys Medical Inc.から医師が個人輸入し、米国FDA 510(k) K201685等の海外認証を取得していますが、日本の承認ではありません。トライフィルプロはメトラス社から医師が個人輸入し、韓国MFDS承認21-4246を取得しています。ジュベルックなどの導入薬剤は国内未承認医薬品を含みます。TCA CROSSと、サブシジョン後の再陥凹予防を目的としたヒアルロン酸使用は国内承認範囲外の使用を含みます。未承認・適応外の医療機器・医薬品による健康被害は、医薬品副作用被害救済制度等の対象外となる場合があります。

複数施術は同日に一律に重ねず、赤み、腫れ、痂皮、内出血が回復してから、残った瘢痕型を再評価します。

Doctor Review

執筆・監修

執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)

References

参考にした一次情報・ガイドライン

  1. Bhargava S, Cunha PR, Lee J, Kroumpouzos G. Am J Clin Dermatol. 2018;19(4):459-477. doi:10.1007/s40257-018-0358-5. PMID:29744784.

    Acne Scarring Management: Systematic Review and Evaluation of the Evidence

    研究デザイン: MEDLINEとEMBASEを検索し、萎縮性ニキビ跡治療のエビデンスを評価した系統的レビュー。 / 対象: レーザー、RF、ニードリング、サブシジョンなどを扱った89研究。 / 結果: レーザーとRFには複数の比較・観察研究があり、補助治療は瘢痕の型・重症度・数に応じて選択され、併用治療は単独治療より良好な結果を示す傾向があった。 / 限界: 高品質研究が少なく、設定、皮膚型、瘢痕分類、併用方法、評価尺度が研究間で異なる。本文の4施術を直接比較した研究ではない。PubMed抄録と書誌を2026年8月9日に再確認し、原著全文は取得できなかった。 / 利益相反: PubMedレコードに利益相反欄はなく、個別開示の詳細は今回確認できなかった。

  2. Tan J, Bourdès V, Bissonnette R, et al. J Drugs Dermatol. 2017;16(6):566-572. PMID:28686774.

    Prospective Study of Pathogenesis of Atrophic Acne Scars and Role of Macular Erythema

    研究デザイン: 顔面左右を自己対照として一次病変と二次病変を6か月追跡し、その後2年時点も確認した前向き研究。 / 対象: 中等症の顔面ニキビと10個以上の萎縮性瘢痕がある32人。最初の2か月は週2回、その後は2週ごとに病変を記録した。 / 結果: 一次病変から瘢痕へ進んだ割合は5.7%。形成された瘢痕の83%は赤い斑または色素沈着を経由し、16%は丘疹・膿疱から直接生じた。6か月後に残った瘢痕の81.7%は2年後も残存した。 / 限界: 32人の顔面ニキビを対象とした観察で、図解の『2週間以上』という境界や、瘢痕形成を完全に予測する所見は検証していない。掲載本文・PubMed抄録・書誌を2026年8月9日に確認し、原著全文は取得できなかった。 / 利益相反: PubMedレコードに利益相反欄はない。著者所属にGalderma R&Dが含まれるが、本研究への資金提供・利益相反の詳細は今回確認できなかった。

  3. Cho SI, Chung BY, Choi MG, et al. Dermatol Surg. 2012;38(7 Pt 1):1017-1024. doi:10.1111/j.1524-4725.2012.02402.x. PMID:22487513.

    Evaluation of the clinical efficacy of fractional radiofrequency microneedle treatment in acne scars and large facial pores

    研究デザイン: 分割RFマイクロニードリング後の写真評価、皮膚表面粗さ、真皮密度、皮脂量などを追った介入研究。 / 対象: ニキビ跡と毛穴を有する30人。 / 結果: ニキビ跡のグレードと毛穴の医師評価は70%以上の参加者で改善し、皮膚表面粗さと真皮密度も改善した。経皮水分蒸散量と皮脂量には変化がなかった。 / 限界: 対照群がなく、研究機器・設定・導入薬剤は本記事のPOTENZA薬剤導入と同一ではない。瘢痕型別の結果や薬剤上乗せ効果は示していない。PubMed抄録と書誌を2026年8月9日に確認し、原著全文は取得できなかった。 / 利益相反: PubMedレコードに利益相反欄はなく、資金提供・機器提供の詳細は今回確認できなかった。

  4. Abdelwahab AAA, Omar GAB, Hamdino M. Lasers Med Sci. 2023;38(1):20. doi:10.1007/s10103-022-03677-y. PMID:36564573; PMCID:PMC9789008.

    A combined subcision approach with either fractional CO2 laser (10,600 nm) or cross-linked hyaluronic acid versus subcision alone in atrophic post-acne scar treatment

    研究デザイン: 顔面左右にサブシジョンを行い、片側へ架橋ヒアルロン酸またはフラクショナルCO2レーザーを追加して比較した無作為化比較試験。 / 対象: 萎縮性ニキビ跡のある40人。月1回、改善までまたは最大3回治療した。 / 結果: 架橋ヒアルロン酸併用側はサブシジョン単独側より盲検医師評価が改善した(p=0.015)。重い有害事象は報告されなかった。 / 限界: 参加者は複数群に分かれ、製剤、手技、瘢痕型、最大3回という条件は当院の全症例へ一般化できない。TCA CROSS、POTENZA、トライフィルプロとの比較ではない。PMC原著全文、書誌、利益相反を2026年8月9日に確認した。 / 利益相反: 著者は競合する利益なしと申告。オープンアクセス費用はSTDFとEgyptian Knowledge Bankが提供した。

  5. Agarwal N, Gupta LK, Khare AK, Kuldeep CM, Mittal A. Dermatol Surg. 2015;41(5):597-604. doi:10.1097/DSS.0000000000000355. PMID:25899884.

    Therapeutic response of 70% trichloroacetic acid CROSS in atrophic acne scars

    研究デザイン: 70% TCAを2週間隔で局所塗布し、医師評価、患者評価、満足度を3か月追跡した臨床試験。 / 対象: ニキビ後の萎縮性瘢痕がある53人。 / 結果: 医師・患者評価の66%で50%を超える改善がみられ、81.1%が満足または非常に満足した。ボックスカー型主体と治療前重症度が高い症例で反応が良好だった。 / 限界: 対照群のない単施設研究で、70%という研究濃度の結果である。当院の使用濃度、アイスピック型だけの結果、色素沈着リスクを直接確定するものではない。PubMed抄録と書誌を2026年8月9日に確認し、原著全文は取得できなかった。 / 利益相反: PubMedレコードに利益相反欄はなく、資金提供の詳細は今回確認できなかった。

よくあるご質問

Q. ニキビ跡の治療は、なぜ一つの施術だけでは決められないのですか?

アイスピック型、ボックスカー型、ローリング型では、凹みの深さと皮下癒着の有無が異なるためです。頬全体への面状治療と、一か所ずつ狙う局所治療を分けて組み合わせます。

Q. 新しい赤ニキビがある状態でも凹み治療を始めますか?

赤ニキビや膿疱が続く部位は、新しい瘢痕を増やさない治療を先に行います。炎症が落ち着いた後、残る赤み・色素沈着と凹みを分けて治療します。

Q. POTENZAとトライフィルプロはどう使い分けますか?

POTENZA薬剤導入は頬全体に広がる浅い凹凸や毛穴へ、トライフィルプロのシワ・瘢痕治療は浅く硬いボックスカー型など局所の凹みへ配分します。

Q. サブシジョンでヒアルロン酸を併用することはありますか?

大きめのボックスカー型やローリング型の癒着を切離した後、持ち上げた状態を支える目的で併用することがあります。ヒアルロン酸はオプションで、範囲と製剤を別に説明します。

Q. 現在の代表的な料金はいくらですか?

税込で、POTENZA瘢痕治療・薬剤導入は全顔1回66,000円・3回188,100円、トライフィルプロのシワ・瘢痕治療は1か所ジュベルック込み18,000円、サブシジョンは2×2cm 33,000円、TCA CROSSは20か所まで22,000円です。POTENZAの導入薬剤と麻酔は別料金です。

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