トライフィルプロしわ瘢痕モードの考え方
トライフィルプロのしわ・瘢痕モードは、固定した深いしわ、線状瘢痕、局所の陥凹を医師が1か所ずつ治療するモードです。頬のニキビ跡へジュベルックを併用した症例では、2回後に両頬の凹みが浅く見えます。診察から炭酸ガスによる剥離、薬剤注入、薬剤拡散、次回評価までを解説します。
Medical Information
この記事について
- 執筆医・監修医
- 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
- 監修日
- 2026年8月9日
- 公開日
- 2025年5月5日
- 実質更新日
- 2026年8月9日

Contents
目次
両頬のニキビ跡へしわ・瘢痕モードを2回行った症例です
症例は、両頬に赤みと萎縮性ニキビ跡が混在し、斜めからの光で複数の凹みが見える方です。トライフィルプロのしわ・瘢痕モードで凹みを1か所ずつ治療し、ジュベルックを併用しました。施術は計2回です。
左右それぞれの治療前後写真では、2回後に頬の目立っていた凹みと影が浅く見えます。写真に写る赤みや毛穴も同時に記録しますが、この症例で行った局所治療は、凹みを引き込む瘢痕組織とその周囲を狙う治療です。
しわ・線状瘢痕・陥凹は、動き・方向・引き込みで見分けます
しわは、表情を動かしたときだけ深くなる線と、安静時にも溝として残る固定した線を分けます。しわ・瘢痕モードの候補になるのは、動きを止めても残り、皮膚の浅い層に硬さや引き込みが触れる局所の溝です。
線状瘢痕は、外傷や手術の方向に沿う線、周囲との色差、盛り上がりまたは陥没、皮膚をずらしたときの硬さを確認します。陥凹性ニキビ跡は、縁がはっきりしたボックスカー型、なだらかに引き込むローリング型、狭く深いアイスピック型を、斜光、皮膚伸展、触診で分けます。
浅く局所的な癒着にはしわ・瘢痕モード、広く深い引き込みには手動サブシジョン、狭く深いアイスピック型にはTCA CROSSなど、凹みの形に合う治療へ分岐します。表情の動きが主体のしわは、筋活動を調整する治療を先に検討します。
瘢痕型に合わせて局所治療を選ぶ理由として、ニキビ跡を扱った文献ではローリング型とボックスカー型は改善が大きく、アイスピック型は治療抵抗性だったとの報告がありました(参考文献1)。
炭酸ガスで剥離し、ジュベルックを注入して周囲へ広げます
医師が凹みの下へ針先を留め、最初の炭酸ガスを真皮内へ注入します。ガス圧で浅い層の瘢痕組織や癒着を水平方向へ剥離し、引き込まれた皮膚の下に微細な空間を作ります。
次に、その空間へジュベルックを注入します。最後に再び炭酸ガスを加え、注入した薬剤を凹みの周囲へ広げます。局所の機械的な剥離と、PDLLAによる真皮再構築を同じ部位へ重ねる3段階の順序です。
しわ・瘢痕モードでは、1か所ずつの形、硬さ、深さを見ながら医師が治療点を決めます。全顔へ均一に行う薬剤導入モードとは、狙う範囲と治療設計が異なります。
局所剥離後にジュベルックを併用し、時間をおいて凹みを評価する理由として、PDLLAを真皮内へ届けると、最終評価でECCAが36.99%改善し、5か月後の組織でコラーゲンと弾性線維が増加したとの報告がありました(参考文献2)。
腫れが引いた後の影と硬さで、追加する治療を決めます
施術直後は、炭酸ガス、注入液、腫れによる一時的な膨らみが重なります。赤みと腫れが落ち着いた後に、正面・左右斜位・斜光で凹みの影を撮影し、皮膚を伸ばしたときの段差と触診での硬さを再評価します。
局所に浅い引き込みが残ればしわ・瘢痕モードを追加し、深く広い癒着が残れば手動サブシジョンへ切り替えます。赤みや色素沈着が主に残った部位は、剥離を重ねず色調に合う治療へ分けます。
ジュベルックによる真皮の変化は、直後の膨らみではなく時間をおいて評価します。治療間隔は一律に設定せず、前回の腫れ、内出血、硬結が落ち着き、同じ条件の写真と触診で変化を比べられる時点に合わせます。
広く深い癒着へ手動サブシジョンを選ぶ場合は2×2cm 33,000円または5×5cm 66,000円、併用するジュベルックは1cc 33,000円または3cc 55,000円です。局所のしわ・瘢痕モードは1か所・ジュベルック込み18,000円で、凹みの範囲と形から治療法と必要量を分けます。
Clinical View
診療で確認するポイント
- 当院では、安静時と表情時、正面と斜位、斜光と皮膚伸展で、固定したしわ、線状瘢痕、ローリング・ボックスカー・アイスピック型の陥凹を描き分けます。
- 浅く局所的な癒着にはトライフィルプロのしわ・瘢痕モードを選び、炭酸ガスによる剥離、ジュベルック注入、炭酸ガスによる拡散を1か所ずつ行います。
- 腫れが引いた後に影、段差、硬さを再評価し、局所モードの追加、深い層の手動サブシジョン、アイスピック型へのTCA CROSS、色調治療のどれを次に行うかを決めます。
Comparison
治療選択の比較
| 治療・対応 | 向く状態 | 向かない/慎重な状態 | 回数の目安 | ダウンタイム | 費用(税込) | 承認状況 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| トライフィルプロ しわ・瘢痕モード | 固定した深いしわ、線状瘢痕、浅く局所的なローリング・ボックスカー型の引き込み | 活動性ニキビ・感染、広く深い癒着、アイスピック型、色や赤みだけが主な状態 | 1回ごとに腫れが引いた後の影と硬さを再評価し、必要時に追加 | 赤み、腫れ、内出血、色素沈着、かさぶた、熱感、針跡、点状出血、皮下気腫、硬結、感染 | 1か所・ジュベルック込み18,000円 | 要確認 |
| 手動サブシジョン | 広く深いローリング型、強く硬い癒着を深い層で剥離する状態 | 浅い局所瘢痕、アイスピック型、赤み・色素だけが主な状態 | 1回後に皮膚伸展と斜光で再評価し、必要時に追加 | 赤み、腫れ、内出血、疼痛、硬結、感染、血管・神経損傷、色素沈着 | 2×2cm 33,000円/5×5cm 66,000円、薬剤は別途 | 要確認 |
| TCA CROSS | 狭く深いアイスピック型、深く縁のある小さなボックスカー型 | 広いローリング型、固定したしわ、活動性炎症・びらんがある状態 | 回復後の深さを確認し、必要時に追加 | 白変、赤み、かさぶた、疼痛、色素沈着、色素脱失、瘢痕悪化 | 20か所まで22,000円 | 要確認 |
| トライフィルプロ 薬剤導入 | 浅い凹凸、毛穴、ハリ不足が広い範囲にある状態 | 一点の深い癒着だけが主な状態、活動性炎症・感染がある状態 | 全顔1回ごとに広い凹凸と肌質を再評価 | 赤み、腫れ、内出血、針跡、点状出血、皮下気腫、色素沈着、硬結、感染 | 全顔・300ショットまで・ジュベルック込み99,000円 | 要確認 |
費用の目安
- トライフィルプロ しわ・瘢痕治療:1か所・ジュベルック込み18,000円
- トライフィルプロ 薬剤導入:全顔・300ショットまで・ジュベルック込み99,000円
- 手動サブシジョン:2×2cm 33,000円/5×5cm 66,000円
- ジュベルック:1cc 33,000円/3cc 55,000円
- TCA CROSS:20か所まで22,000円
すべて税込・自由診療です。治療する箇所数、範囲、使用薬剤量で総額が変わります。
リスク・副作用・注意点
- 赤み、腫れ、内出血、色素沈着、かさぶた、熱感、針跡、点状出血、皮下気腫、疼痛、硬結、感染が生じることがあります。
- 妊娠中、患部に強い炎症・感染・新鮮な傷がある場合、使用薬剤への過敏症がある場合は施術できません。
- 国内承認・適応: トライフィルプロは日本国内未承認の医療機器、ジュベルックは日本国内未承認の医薬品です。医師が個人輸入して使用します。重篤な副作用が生じた場合、国内の医薬品副作用被害救済制度等の対象外となる場合があります。
洗顔は当日から、メイクは翌日から可能です。当日は飲酒、激しい運動、サウナ、入浴を避け、シャワー浴にしてください。
Doctor Review
執筆・監修
執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
References
参考にした一次情報・ガイドライン
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Microneedling for the Treatment of Scars: An Update for Clinicians
研究デザイン: ヒト瘢痕に対するマイクロニードリングまたはRFマイクロニードリングを扱った58研究の系統的レビュー。 / 対象: 治療と追跡を完了した計1,845人。ニキビ跡、肥厚性・ケロイド、手術・外傷、感染後瘢痕を含み、ニキビ跡を扱った研究は43件。 / 結果: ニキビ跡ではローリング型とボックスカー型の臨床的改善が大きく、アイスピック型は治療抵抗性で、併用治療が単独治療を上回る報告があった。 / 限界: 対象、機器、針深度、治療間隔、併用治療、評価法が不均一で、効果量を統合したメタ解析は行われていない。トライフィルプロやCO2ガスサブシジョンを直接評価したレビューではない。研究費はなく、著者1人はRF機器メーカーLutronicのコンサルタント・臨床研究参加を開示。原著全文を2026年8月8日に再確認した。
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Intradermal Injection of Poly-D,L-Lactic Acid Using Microneedle Fractional Radiofrequency for Acne Scars: An Open-Label Prospective Trial
研究デザイン: PDLLAをRFマイクロニードリングで真皮内へ導入した単施設・オープンラベル前向き試験。 / 対象: Fitzpatrick III〜IV型の韓国人42人。頬の萎縮性ニキビ跡へ4週間隔・計4回治療し、組織評価は上腕へ1回治療した2人。 / 結果: 最終評価でECCAは初期評価から36.99%改善し、2人の上腕組織では5か月後にコラーゲン・弾性線維の数と厚さが増加したとの報告がありました。 / 限界: 単施設、韓国人のみで、対照群・split-face比較はない。組織評価は上腕の2人で、頬の変化を直接示さない。RFマイクロニードリングによる導入であり、トライフィルプロのCO2ガスによる剥離・拡散を評価した研究ではない。著者は商業的支援者との重大な利害関係なしと申告。原著全文を2026年8月8日に再確認した。
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医療機器の承認審査に関する情報
販売名、承認番号、承認範囲を確認する公的情報です。
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医療広告ガイドライン
自由診療の費用、主なリスク・副作用、未承認機器等の表示を確認する公的資料です。
よくあるご質問
Q. この症例では何を何回行いましたか?
両頬のニキビ跡へ、トライフィルプロのしわ・瘢痕モードとジュベルックを併用して計2回治療しました。治療前後写真では、両頬の凹みと影が浅く見えます。
Q. しわ・瘢痕モードはどのような凹みに向きますか?
安静時にも残る固定した溝、線状瘢痕、浅く局所的に引き込まれたボックスカー型・ローリング型の凹みが候補です。表情時だけのしわ、広く深い癒着、狭く深いアイスピック型は別の治療を選ぶことがあります。
Q. 炭酸ガスとジュベルックはどの順で使いますか?
最初の炭酸ガスで浅い瘢痕組織を剥離し、できた空間へジュベルックを注入します。最後に炭酸ガスを加えて薬剤を凹みの周囲へ広げます。
Q. 何回くらい受ける必要がありますか?
掲載症例は2回後です。赤みと腫れが落ち着いてから、同じ斜光で見た影と触診での硬さを再評価し、浅い癒着へ局所モードを追加するか、深い癒着へ手動サブシジョンを行うかを決めます。
Q. 料金と国内承認状況を教えてください。
しわ・瘢痕治療は1か所・ジュベルック込み18,000円です。トライフィルプロとジュベルックは国内未承認で、医師が個人輸入しています。重篤な副作用が生じた場合、国内の医薬品副作用被害救済制度等の対象外となる場合があります。
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