医師解説しわ・たるみヒアルロン酸

たるみ治療でヒアルロン酸が必要になる場面

たるみ治療でヒアルロン酸が必要になるのは、こめかみ・目の下・頬・口元・顎で骨格や深部脂肪の支えが減り、凹みや影が目立つ場面です。皮膚や筋膜のゆるみはHIFU・RF、強い余剰は手術と役割を分けます。

Medical Information

この記事について

監修日
2026年8月9日
公開日
2024年6月27日
実質更新日
2026年8月9日

Contents

目次

  1. 額から顎まで、支えが減る場所を地図にします
  2. ヒアルロン酸は、減った支持点へ1cc単位で配分します
  3. ヒアルロン酸・HIFU・RFは、治療する層が異なります
  4. 注入部位ごとに血管の地図を変えます
  5. 診療で確認するポイント
  6. 治療選択の比較
  7. 費用の目安
  8. リスク・副作用・注意点
  9. 関連記事
  10. 関連施術・関連症状のご案内
  11. 執筆・監修
  12. 参考にした一次情報・ガイドライン
  13. よくあるご質問

額から顎まで、支えが減る場所を地図にします

老化による顔の変化は部位ごとに異なります。額中央とこめかみは凹み、目の周囲はくぼんでクマやゴルゴラインが目立ちます。頬は下がりながら中央が凹み、コケとたるみが重なります。口元ではマリオネットラインが深くなり、顎の前方への突出が減るとフェイスラインも乱れます。

投稿では、顔をテントに例えています。皮膚と皮下組織が布、骨格と深部の支持が骨組みです。骨組みの高さや深部脂肪のボリュームが減ると、布に相当する皮膚を支えにくくなり、凹み、影、下垂が同時に現れます。診察では、皮膚余剰、真皮のゆるみ、脂肪の下垂・減少、骨格支持を正面と斜位で分けます。

ヒアルロン酸は、減った支持点へ1cc単位で配分します

画像2のピンク色は、額中央、こめかみ、目の下から頬、外側頬、口元、顎にある代表的な支持部位です。ヒアルロン酸で骨膜上や皮下の減少を補うと、支えを失っていた皮膚と皮下脂肪が再び骨組みに沿い、凹みと影を同時に整えやすくなります。

深い支持を補う部位では、弾性と形状保持力のあるジュビダームビスタ ボリューマXCを候補にします。国内の使用目的は、成人の中顔面・下顎部・こめかみで減少したボリュームを、皮下または骨膜上深部へ補うことです。1本1ccを単位に、最も影響の大きい支持点へ少量ずつ配分し、1ccを一か所へまとめて入れたり、図の全箇所を一度に埋めたりしません。額、目の下、口元は皮膚の厚さと血管走行が異なるため、部位に合う製剤と注入層へ切り替えます。

目の下から頬の支持を補うときに、製剤と注入層を部位別に決める根拠として、中顔面へのHA注入後は満足度が最長24か月まで高く、主な反応である内出血、腫れ、圧痛は通常2週以内で、上頬は筋下、下頬は皮下への注入が推奨されたとの報告がありました(参考文献1)。

ヒアルロン酸・HIFU・RFは、治療する層が異なります

ヒアルロン酸は、こめかみ、頬骨周囲、外側頬、顎などの凹みと支持不足を補う治療です。HIFUは深部真皮やSMAS付近へ点状に熱を加え、RFは真皮から皮下へ熱を広げて、軽度から中等度のゆるみと輪郭を引き締めます。皮膚余剰や組織の下垂が強い場合は、機器や注入だけでなく手術による切除・固定を比較します。

支持不足とゆるみが混在するときは、同じ場所へ治療を重ねるのではなく、先にHIFUまたはRFで皮膚・筋膜側を治療し、腫れが落ち着いた時点で残るこめかみ、頬、顎の凹みを再評価します。その後、骨膜上・皮下の支持点へヒアルロン酸を配分すると、熱治療で変わる輪郭と、注入で補うボリュームを分けて確認できます。

皮膚・筋膜のゆるみをHIFU、残る凹みをヒアルロン酸へ分ける根拠として、3.0mmと4.5mmのマイクロフォーカス超音波後は、6か月時に盲検評価者の93%が改善を認め、85%が結果に満足し、その評価は1年時にも維持されたとの報告がありました(参考文献5)。

注入部位ごとに血管の地図を変えます

こめかみでは浅側頭動脈、額では眼窩上・滑車上動脈、目の下から頬では眼窩下動脈と顔面動脈系、口元では上・下口唇動脈、顎ではオトガイ動脈を意識します。既往の注入、手術瘢痕、左右差を確認し、部位ごとに針またはカニューレ、注入点、方向、層を変え、少量ずつ進めます。

注入中と直後は、通常の圧痛・腫れと、血流障害の所見を分けます。急に強くなる痛み、皮膚の白色化、網目状の紫色変化、毛細血管再充満の遅れがあれば注入を止めます。視界のかすみ、視野欠損、眼痛などの視覚症状は、皮膚色が正常でも緊急対応が必要です。

部位ごとに製剤と注入手技を変え、通常の腫れと合併症を分けて診る理由として、ヒアルロン酸注入後の多くは自然に軽快する短期の注入部位反応でしたが、製剤と手技で発生頻度が異なり、まれな重篤事象は数か月続いて治療を要したとの報告がありました(参考文献2)。

額から顎まで複数の支持点へ注入するときに、注入点だけでなく血管の支配域を確認する理由として、HAによる血管閉塞の診療指針では、急に増す痛み、白色から網目状の紫色へ変わる皮膚色、毛細血管再充満の遅れを虚血の所見として評価し、疑った時点で注入を止め、影響範囲へ速やかにヒアルロニダーゼを投与するとの報告がありました(参考文献3)。

Clinical View

診療で確認するポイント

  • まず正面・左右斜位で、額中央、こめかみ、目の下、頬、口元、顎の凹みと影を記録し、皮膚余剰、真皮のゆるみ、脂肪の下垂・減少、骨格支持のどこが主因かを分けます。
  • こめかみ・中顔面・顎の支持不足が主なら、ボリューマXCを1本1cc単位で優先度の高い骨膜上・皮下の支持点へ配分します。皮膚・筋膜のゆるみが主ならHIFU、真皮から皮下の引き締めが必要ならRFを先に行います。
  • 機器治療後の腫れが落ち着いてから正面・斜位を撮り直し、残る凹みだけにヒアルロン酸を追加することで、過量注入を避けながら顔全体の骨組みを整えます。
  • 注入時は部位ごとの血管走行を地図化し、痛み、皮膚色、毛細血管再充満を確認しながら少量ずつ進め、血流障害を疑えば直ちに中止して治療へ移ります。

Comparison

治療選択の比較

治療・対応 向く状態 向かない/慎重な状態 回数の目安 ダウンタイム 費用(税込) 承認状況
ヒアルロン酸フィラー 支持・輪郭・局所的なボリューム不足 皮膚余剰や下垂が主体、過量で重くなる場合 1回後に段階評価 腫れ、内出血、凹凸、血管閉塞、視覚障害 1cc77,000円+部位別手技料 製剤・使用目的ごとに国内承認確認
RF・HIFU 軽度〜中等度の皮膚・支持組織のゆるみ ボリューム不足や強い皮膚余剰が主因 機器ごとに1回〜複数回 痛み、赤み、腫れ、熱傷、神経症状等 機器・範囲で異なる 機器・使用目的ごとに承認確認
フェイスリフト等手術 強い皮膚・支持組織の余剰や下垂 手術・麻酔・瘢痕を受け入れられない場合 通常1回 腫れ、出血、感染、瘢痕、神経障害等 術式・麻酔で異なる 術式と適応を個別確認

費用の目安

  • ヒアルロン酸1本(1cc)77,000円。残注入1回3,800円(6か月保管)。
  • カテラン針11,000円/前額施術料22,000円/涙袋・唇施術料11,000円。

必要本数、部位別手技料、修正・溶解の有無で総額が変わります。

リスク・副作用・注意点

  • 腫れ、内出血、痛み、凹凸、硬さ、左右差、むくみが生じます。
  • 感染、結節、遅発性炎症、アレルギーが起こることがあります。
  • まれに血管閉塞、皮膚壊死、失明を含む視覚障害が起こり得ます。

稀な重大合併症が過小評価されるため、血管閉塞ガイドラインを併記します。

Doctor Review

執筆・監修

執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)

References

参考にした一次情報・ガイドライン

  1. Trinh LN, Gupta A. Hyaluronic Acid Fillers for Midface Augmentation: A Systematic Review. Facial Plast Surg. 2021;37(5):576-584. doi:10.1055/s-0041-1724122.

    中顔面へのヒアルロン酸注入の系統的レビュー

    研究デザイン: 中顔面へのヒアルロン酸注入について、PRISMAに従って行われた系統的レビュー / 対象: 699報の検索結果に参考文献から12報を加え、68報を全文評価して採用した18論文。7種類のヒアルロン酸製剤を含む。 / 結果: 男女・複数年齢層で患者満足度は最長24か月まで高く、主な有害事象は内出血、腫れ、圧痛で通常2週以内だった。上頬は筋下、下頬は皮下への注入が推奨されたとの報告がありました。 / 限界: 製剤、注入手技、術者経験、評価尺度が不均一で、最適な製剤・量・配分を一つに決められない。ボリューマ1ccの全顔配分、HIFU・RFとの順序、額・こめかみ・顎を含む治療を直接評価していない。PubMed抄録を2026年8月8日に再確認し、原著全文は取得していない。

  2. Kyriazidis I, Spyropoulou GA, Zambacos G, Tagka A, Rakhorst HA, Gasteratos K, Berner JE, Mandrekas A. Adverse Events Associated with Hyaluronic Acid Filler Injection for Non-surgical Facial Aesthetics: A Systematic Review of High Level of Evidence Studies. Aesthetic Plast Surg. 2024;48(4):719-741. doi:10.1007/s00266-023-03465-1.

    顔面ヒアルロン酸フィラーの高水準試験レビュー

    研究デザイン: ヒアルロン酸注入の無作為化比較試験を中心とする高水準・低バイアスリスク研究の系統的レビュー / 対象: 症例報告・症例集積・観察研究を除外し、非外科的顔面美容のヒアルロン酸注入に関する高水準48研究を採用した。 / 結果: 多くの有害事象は自然に軽快する短期の注入部位反応で、製剤と注入手技により発生頻度が異なった。まれな重篤事象は数か月続き、積極的な治療を要したとの報告がありました。 / 限界: 稀な血管閉塞や視覚障害は、症例報告・観察研究を除外した無作為化試験中心のレビューでは過小評価されうる。部位別・製剤別の個人リスクを算出できず、血管閉塞時の対応手順を比較した研究ではない。PubMed抄録を2026年8月8日に再確認し、原著全文は取得していない。

  3. Murray G, Convery C, Walker L, Davies E. Guideline for the Management of Hyaluronic Acid Filler-induced Vascular Occlusion. J Clin Aesthet Dermatol. 2021;14(5):E61-E69.

    ヒアルロン酸フィラーによる血管閉塞の管理指針

    研究デザイン: 架橋ヒアルロン酸注入後の血管閉塞を認識し、虚血の段階と治療手順を示した診療指針 / 対象: 無作為化試験の対象集団ではなく、まれな血管閉塞について病態生理、症例経験、既報を基に作成された臨床指針。 / 結果: 急に増す痛み、白色から網目状の紫色へ変わる皮膚色、毛細血管再充満の遅れを評価し、血管閉塞を疑えば注入を止め、虚血範囲全体へヒアルロニダーゼを速やかに投与するとの報告がありました。 / 限界: 血管閉塞がまれであるため、高水準の比較試験ではなく理論と共有された臨床経験に大きく依存する。顔面各部位の血管モデル、至適投与量、各製剤別の溶解性には追加研究が必要である。PubMed抄録とJCAD公開全文を2026年8月8日に再確認した。

  4. PMDA

    ジュビダームビスタ ボリューマXC 添付文書

    承認番号・使用目的・注意事項の確認。

  5. Shome D, Vadera S, Ram MS, Khare S, Kapoor R. Use of Micro-focused Ultrasound for Skin Tightening of Mid and Lower Face. Plast Reconstr Surg Glob Open. 2019;7(12):e2498. doi:10.1097/GOX.0000000000002498.

    中・下顔面の皮膚引き締めに対するマイクロフォーカス超音波

    研究デザイン: マイクロフォーカス超音波による中・下顔面の引き締めを1年間追跡した前向き二重盲検研究 / 対象: 中・下顔面と頸部の軽度のたるみがある25〜55歳のインド人成人50人(女性26人、男性24人)。3.0mmと4.5mmのトランスデューサーを用いた。 / 結果: 6か月時に盲検評価者の93%が中・下顔面の改善を認め、85%が結果に満足し、その評価は1年時にも維持されたとの報告がありました。 / 限界: 単施設50人で、未治療対照群がなく、対象は軽度のたるみに限られる。使用機器と設定が特定され、RF、ヒアルロン酸、併用順序を比較した研究ではない。PubMed抄録とPMC公開全文を2026年8月8日に再確認した。

よくあるご質問

Q. どのようなたるみで、ヒアルロン酸が必要になりますか?

こめかみ・目の下・頬・口元・顎で骨格や深部脂肪の支持が減り、凹みや影として見える場合です。皮膚余剰や筋膜のゆるみが中心なら、HIFU・RFまたは手術の役割が大きくなります。

Q. 画像のピンク色の場所へ、すべて注入しますか?

ピンク色は代表的な支持部位です。正面・斜位で顔全体への影響が大きい場所を選び、額、こめかみ、目の下、頬、口元、顎のすべてへ一度に注入するわけではありません。

Q. ボリューマXCは何本必要ですか?

1本は1ccです。こめかみ・中顔面・顎のどこを優先するかを決め、1ccを複数の支持点へ少量ずつ配分します。複数部位の不足が大きい場合は、腫れが引いた後に次の1本を検討します。

Q. HIFUやRFとヒアルロン酸は、どの順番で行いますか?

ゆるみと支持不足が混在する場合は、先にHIFUまたはRFで皮膚・筋膜側を治療し、腫れが落ち着いてから残る凹みを再評価してヒアルロン酸を配分します。

Q. ヒアルロン酸治療後、すぐに連絡が必要な症状は何ですか?

通常より強い痛み、皮膚の白色化や網目状の色調変化、冷たさ、視界のかすみ・視野欠損・眼痛がある場合は、直ちに当院へ連絡してください。視覚症状は緊急対応が必要です。

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