クマ・ほうれい線|HIFUとヒアルロン酸の症例
この症例では、顔の皮膚・脂肪のたるみにHIFUリニア3回とHIFUリフトを先行し、残った目の下の凹みとほうれい線へボリューマXCを合計2cc注入しました。正面と2方向の斜位で、クマとほうれい線の影が浅くなった経過を示します。
Medical Information
この記事について
- 執筆医・監修医
- 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
- 監修日
- 2026年8月9日
- 公開日
- 2022年8月21日
- 実質更新日
- 2026年8月9日




Contents
目次
正面:クマとほうれい線の影が浅くなった経過
正面の治療前後を比べると、治療後は目の下の凹みがつくるクマの影と、鼻翼から口角へ伸びるほうれい線の影が浅くなっています。顔の内側にあった濃い影が減り、頬から口元へ続く面がなめらかに見えます。
治療は、顔の皮膚と脂肪のたるみに対するHIFU(ハイフ)リニア3回とHIFUリフトを先に行いました。その反応後に残った目の下とほうれい線の凹みへ、ジュビダームビスタ ボリューマXCを合計2cc配分しています。たるみを先に整えたことで、残る影へ注入する場所と量を絞りました。
HIFU後に残る目の下の凹みへヒアルロン酸を使う根拠として、3か月時点の改善率は注入群87.4%、無治療群17.7%で、12か月時点も63.5%が改善を保ち、76%以上が目の下の影の減少を自覚したとの報告がありました(参考文献1)。
赤い補助線で、写真サイズを変えずに比較
2枚目は、治療前後の眉、目、口元、あごの高さへ赤い補助線を引いた比較です。写真の顔サイズを縮小して見せたのではなく、同じ倍率のまま治療後の顔が小さく見えることを示しています。
目の下とほうれい線の凹みは、顔の中央に暗い境界線をつくります。HIFUで皮膚・脂肪のもたつきを整えた後、残る凹みをヒアルロン酸で補うと、頬から口元の面が連続し、顔の凹凸による影が減るため、同じ大きさの写真でも全体がコンパクトに見えます。
ヒアルロン酸の前にHIFUで顔のたるみを治療する根拠として、医師評価による改善率は治療90日後77%、180日後69%だったとの報告がありました(参考文献2)。
斜位:目の下から前頬へ続く段差を整える
一方の斜位では、治療前に目の下から前頬へ続く凹みと、鼻翼基部からほうれい線へ落ちる影が見えます。治療後は下眼瞼から頬の移行がなめらかになり、ほうれい線上部の影も浅く見えます。
クマは、眼窩脂肪の膨らみ、涙溝と前頬の凹み、皮膚の色素や血管が重なって見えます。この症例では、HIFUで顔の皮膚・脂肪のたるみを先に治療し、斜位で残る涙溝から前頬の段差をヒアルロン酸で支える順序としました。
目の下とほうれい線で刺入点・注入層を分ける根拠として、眼窩下動脈には眼瞼枝・鼻枝・口唇枝があり、外側鼻部では57.1%で顔面動脈と吻合し、左右の顔面動脈の優位差も19.4%にみられたとの報告がありました(参考文献5)。
反対側の斜位:2ccを目の下とほうれい線へ配分
反対側の斜位でも、治療後は目の下から前頬へつながる影と、鼻翼基部から口元へ続く溝が浅くなっています。正面だけでなく左右の斜位を並べることで、一方向の光だけではなく中顔面の立体的な変化を追えます。
使用製剤はジュビダームビスタ ボリューマXC、使用量は目の下のクマとほうれい線を合わせて2ccです。注入後は内出血が約1週間、触れたときのしこり感が約1〜2か月続くことがあります。
目の下・前頬・鼻翼周囲へ安全に注入するため、血管閉塞ガイドラインでは、強く増す痛み、白色化から紫色の網状変化、毛細血管再充満の遅延を確認し、閉塞が疑われた時点で注入を止め、速やかにヒアルロニダーゼを用いる必要があるとの報告がありました(参考文献3)。
ボリューマXCの国内添付文書では、承認目的は中顔面・下顎部・こめかみの減少したボリュームを皮下または骨膜上深部から補う使用で、眼窩周囲には注入しないこと、血管内への誤注入を避けるため顔面解剖を理解し、少量ずつゆっくり注入することが示されています(参考文献4)。
Clinical View
診療で確認するポイント
- 正面と左右の斜位で、クマを眼窩脂肪の膨らみ、涙溝、前頬の凹み、皮膚の色素・血管に分け、ほうれい線は鼻翼基部の支持と頬のたるみから見ます。この症例では皮膚・脂肪のたるみをHIFUリニア3回とHIFUリフトで先に治療しました。
- HIFUの反応後に残った涙溝から前頬の段差とほうれい線へ、ボリューマXCを合計2cc配分しました。正面で影の濃さ、斜位で下眼瞼から頬・鼻翼基部の連続性を比べ、追加量を決めます。
- 眼窩下動脈、顔面動脈、眼角動脈の走行と吻合を踏まえ、目の下とほうれい線では刺入点・注入層を別々に設計します。注入中は痛み、皮膚色、毛細血管再充満、視機能を確認し、異常があれば直ちに注入を中止して血管閉塞の処置へ移ります。
Comparison
治療選択の比較
| 治療・対応 | 向く状態 | 向かない/慎重な状態 | 回数の目安 | ダウンタイム | 費用(税込) | 承認状況 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| HIFU/HIFUリニア | 軽度〜中等度のゆるみ・脂肪の厚みを機器で治療 | 凹み・色素・眼窩脂肪突出が主因、強いたるみ | 1回後、数か月評価 | 痛み、赤み、腫れ、知覚変化、まれに熱傷・神経症状 | 頬33,000円/目周り27,000円 | 機器・照射目的ごとに承認確認 |
| 眼窩下へのHA | 骨格性・加齢性の凹みが影を作る場合 | 眼窩脂肪突出、強いむくみ、色素・血管だけが主因 | 少量ずつ1回後に評価 | むくみ、青白い透見、凹凸、血管閉塞、視覚障害 | 1cc77,000円。使用量で変動 | 製剤・部位・目的ごとに国内承認確認 |
| 中顔面・ほうれい線へのHA | 支持不足や直接補正余地がある場合 | 皮膚余剰が主体、過量で重くなる場合 | 段階的に1回ずつ | 腫れ、内出血、凹凸、血管閉塞等 | 1cc77,000円。使用量で変動 | 製剤・目的ごとに国内承認確認 |
費用の目安
- HIFUリニア 頬33,000円/目周り27,000円。
- ヒアルロン酸2本(2cc)154,000円。
リスク・副作用・注意点
- HIFUでは痛み、赤み、腫れ、知覚変化、まれに熱傷・神経症状があります。
- 眼窩下HAではむくみ、青白い透見、凹凸、内出血、感染、結節があります。
- まれに血管閉塞、皮膚壊死、失明を含む視覚障害が起こり得ます。
HIFU後の症状と注入後の緊急血管症状を分けて説明します。
Doctor Review
執筆・監修
執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
References
参考にした一次情報・ガイドライン
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A Multicenter, Randomized, Evaluator-Blinded Study to Examine the Safety and Effectiveness of Hyaluronic Acid Filler in the Correction of Infraorbital Hollows
研究デザイン: 多施設無作為化・評価者盲検・無治療対照試験 / 対象: 中等度〜重度の眼窩下凹み333人。Restylane Eyelightを針またはカニューレで注入し、必要時は1か月時点で追加注入 / 結果: 3か月時点の改善率は注入群87.4%、無治療群17.7%。12か月時点は63.5%が改善を保ち、76%以上が目の下の影の減少を自覚し、40人(12.7%)に主に軽度の有害事象があったとの報告がありました。 / 限界: Restylane Eyelightを用いた企業支援試験で、ボリューマXCやHIFUとの併用、2ccの部位別配分、色素・血管・眼窩脂肪によるクマは評価していない。
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A Systematic Review and Meta-Analysis of the Clinical Efficacy and Patients' Satisfaction of Micro-focused Ultrasound Treatment for Facial Rejuvenation and Tightening
研究デザイン: 系統的レビュー・メタ解析 / 対象: 顔の若返り・引き締めを目的とした13研究、477人 / 結果: GAISによる統合改善率は治療90日後77%、180日後69%で、10点法の統合疼痛スコアは3.10だったとの報告がありました。 / 限界: 機器、カートリッジ、照射部位、出力、研究デザインが不均一で、大規模多施設無作為化試験が不足する。HIFUリニア3回とHIFUリフトの順序、ヒアルロン酸併用量は評価していない。
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Guideline for the Management of Hyaluronic Acid Filler-induced Vascular Occlusion
研究デザイン: 専門家による血管閉塞の診断・対応ガイドライン / 対象: 架橋ヒアルロン酸注入後の血管閉塞。患者比較試験ではない / 結果: 強く増す痛み、白色化、網状皮斑、毛細血管再充満の遅延から虚血を評価し、閉塞が疑われれば注入を中止し、ヒアルロニダーゼを速やかに使用することを推奨している。 / 限界: 血管閉塞はまれで無作為化試験が困難なため、病態生理、症例経験、専門家合意に基づく。視覚障害は別の緊急連携を要する。
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ジュビダームビスタ ボリューマXC 添付文書
研究デザイン: 国内承認医療機器の添付文書 / 対象: 成人の中顔面・下顎部・こめかみにおける減少したボリュームの補整 / 結果: 皮下または骨膜上深部へ使用する承認製剤。眼窩周囲には注入しないこと、血管内注入を避け、広範囲へ0.1〜0.2mL程度ずつゆっくり注入することなどを警告・注意として記載している。 / 限界: 添付文書は承認範囲と安全上の注意を示す資料であり、この症例の目の下・ほうれい線への配分量やHIFU併用効果を検証した臨床試験ではない。
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Topographic Anatomy of the Infraorbital Artery and Its Clinical Implications for Nasolabial Fold Augmentation
研究デザイン: 解剖学的研究 / 対象: 眼窩下動脈の分枝・走行層と顔面動脈との関係を標本で検討 / 結果: 眼窩下動脈の眼瞼枝は34.7%、鼻枝と口唇枝は100%で確認され、外側鼻部では57.1%で顔面動脈との吻合がみられ、左右の顔面動脈の優位差は19.4%だったとの報告がありました。 / 限界: 標本を用いた解剖研究で、個々の患者の血管位置、使用製剤、注入手技ごとの合併症率を示す臨床試験ではない。
よくあるご質問
Q. この症例では、HIFUとヒアルロン酸をどの順番で行いましたか?
顔の皮膚・脂肪のたるみにHIFUリニアを3回行い、HIFUリフトも先行しました。その反応後に残った目の下の凹みとほうれい線へヒアルロン酸を注入しています。
Q. 使用したヒアルロン酸の製剤、量、部位はどこですか?
ジュビダームビスタ ボリューマXCを、目の下のクマをつくる凹みとほうれい線へ合計2cc使用しました。記事では2部位を合わせた総使用量として示しています。
Q. どのタイプのクマにヒアルロン酸を使いますか?
涙溝や前頬の凹みが影をつくるクマが対象です。眼窩脂肪の膨らみが強ければ手術、色素や血管が主であれば外用・レーザーなど、原因に合う治療を選びます。
Q. ボリューマXCは目の下やほうれい線に承認されていますか?
現在の国内承認範囲は、成人の中顔面、下顎部、こめかみの減少したボリュームを皮下または骨膜上深部から補う使用です。眼窩周囲への直接注入は添付文書で警告され、ほうれい線への直接注入も承認範囲外です。中顔面を支えて目の下の影を整える場合と、承認範囲外の部位へ使用する場合を分け、製剤・注入部位・層と代替治療を説明します。
Q. 注入後に、すぐ連絡が必要な症状はありますか?
内出血は約1週間、触れたときのしこり感は1〜2か月続くことがあります。一方、強く増す痛み、皮膚の白色化や紫色のまだら、見えにくさ・視野異常が出た場合は血管閉塞の可能性があるため、直ちに連絡が必要です。
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