にきび跡の種類と治療の組み立て方
にきび跡は、赤み・色素沈着と、アイスピック・ボックスカー・ローリングの凹みに分けると、治療の役割が見えます。ポテンツァ、サブシジョン、トライフィルプロ、コラーゲンブースター、TCAクロスを、広さ・深さ・癒着に応じて組み合わせる当院の考え方を解説します。
Medical Information
この記事について
- 執筆医・監修医
- 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
- 監修日
- 2026年8月9日
- 公開日
- 2024年5月16日
- 実質更新日
- 2026年8月9日


Contents
目次
赤み・色素沈着と、皮膚の凹みを分けます
にきびが治った後に残る変化は、赤み、茶褐色の色素沈着、皮膚がへこむ萎縮性瘢痕に分けて記録します。色素沈着にはピーリングを軸に、シナール・トラネキサム酸の内服やハイドロキノン・トレチノインの外用を組み合わせ、赤みにはポテンツァを選択肢とします。
凹みは、入口の幅、底の広さ、深さ、皮下への引き込みで三型に分けます。一方、皮膚表面より盛り上がる肥厚性瘢痕は、以下の萎縮性瘢痕の治療表とは分けて診察します。
三つの瘢痕型を、深さと癒着から治療表へ当てはめます
画像1では、入口が狭く真皮へ深く延びるアイスピックスカー、縁と底が見えるボックスカー、皮下の癒着で広く波打つローリングスカーを、表皮・真皮・皮下組織のどこまで及ぶかで並べています。見た目が似ていても、深い一点を治療するのか、硬い陥凹底を治療するのか、皮下の引き込みを外すのかで選択が変わります。
比較図で示す適合度は、ポテンツァ/トライフィルプロ薬剤導入がアイスピック○・ボックスカー○・ローリング△、サブシジョンが×・○・◎、トライフィルプロのシワ瘢痕治療が△・◎・○、コラーゲンブースター注入が△・○・△、TCAクロスが◎・△・×です。◎は主な選択、○は組み合わせる選択、△は補助的な選択、×はその型を主対象にしない、という読み方で治療の役割を分けます。
混在する瘢痕は、面の治療と一点の治療を組み合わせます
画像2では、アイスピックスカーにTCAクロスを中心としてポテンツァを加え、ボックスカーにはトライフィルプロのシワ瘢痕治療を中心にポテンツァ、サブシジョン、注入治療を組み、ローリングスカーにはサブシジョンを中心にトライフィルプロと注入治療を組み合わせています。三型を一つの施術で同じように治療せず、凹みごとに主役を決めるのがこの図の要点です。
複数の型に毛穴の開き、皮脂の多さ、新しいにきび、赤みが重なる場合は、広い範囲を扱うポテンツァをベースにし、深い一点や癒着へ局所治療を加えます。施術時の痛みや術後の赤み・腫れを抑えたい場合には、トライフィルプロ薬剤導入を全顔治療の候補とします。
ローリングスカーの癒着へサブシジョンを先に組み込む理由として、ニードルRF単独より、サブシジョン後にニードルRFを3回行う方が、盲検医師評価(p=0.009)と患者満足度(p=0.001)が有意に高かったとの報告がありました(参考文献1)。
深い一点と広い面で治療を分ける背景として、4回治療後の瘢痕重症度は100%TCA CROSSで平均75.3%、マイクロニードリングで平均68.3%改善し、両治療に有意差はなかったとの報告がありました(参考文献1)。
5つの治療は、作用する範囲と深さが異なります
ポテンツァは、細い針先から高周波を流し、真皮へ点状に熱を加える治療です。広範囲の浅い凹凸に加え、皮脂、毛穴、赤みが混在するときのベース治療として用い、マックームを導入してコラーゲン再構築を促します。
サブシジョンは、大きめのボックスカーやローリングスカーを皮下へ引く瘢痕線維を切り離す処置です。再癒着を抑え、持ち上げた状態を支える目的でヒアルロン酸を併用することがあります。トライフィルプロは炭酸ガスによるマイクロサブシジョンを用い、薬剤導入モードでは全顔へ、シワ瘢痕治療モードでは浅く硬いボックスカーを一つずつ狙います。
コラーゲンブースターは、ポテンツァでマックームを導入する方法、トライフィルプロまたは手打ちでジュベルックを注入する方法を使い分けます。顔全体や浅い凹凸には面として導入し、深さのある局所瘢痕には一点ずつ注入します。TCAクロスは、アイスピックスカーと小さく深いボックスカーの内側へ酸を点状に作用させ、表皮・真皮の再構築を促す局所治療です。
広い範囲の萎縮性にきび跡へニードルRFを置く背景として、ニードルRF単独後に萎縮性にきび跡が改善したとの報告がありました(参考文献2)。
色、面、癒着、深い一点の順に治療計画を組みます
最初に新しいにきびと赤み・色素沈着を記録し、次に斜めからの光で凹みの影を出し、皮膚を伸ばしたときの変化と触診で三型を地図にします。混合型では、ポテンツァやトライフィルプロ薬剤導入で広い範囲を扱い、ローリングの癒着にはサブシジョン、硬いボックスカーにはトライフィルプロのシワ瘢痕治療や局所注入、狭く深いアイスピックにはTCAクロスを重ねます。
再診では、同じ向きの光で赤み、面状の凹凸、皮下の引き込み、深い一点を別々に比較します。改善した型は治療を減らし、残った型だけを次の局所治療へつなげることで、同じ施術を全ての凹みに反復しない計画にします。
Clinical View
診療で確認するポイント
- 正面光で赤み・色素沈着・活動性ニキビを分け、斜光、皮膚伸展、触診でアイスピック、ボックスカー、ローリングを写真上へ記録します。盛り上がる肥厚性瘢痕は、凹みの治療表から分けます。
- 混合型は、毛穴・皮脂・赤みを含む広い範囲へポテンツァを置き、ローリングの癒着へサブシジョン、硬いボックスカーへトライフィルプロや局所注入、狭く深い瘢痕へTCAクロスを加えます。
- 再診では同じ斜光と伸展で、面の凹凸、皮下の引き込み、深い一点を別々に比べ、残った型だけに次の治療を追加します。
Comparison
治療選択の比較
| 治療・対応 | 向く状態 | 向かない/慎重な状態 | 回数の目安 | ダウンタイム | 費用(税込) | 承認状況 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ポテンツァ | 診察で主因と治療層が一致し、期待できる変化と限界を理解できる状態 | 活動性炎症・感染、強い日焼け、妊娠等で安全条件を満たさない場合 | 施術内容と反応により1回または複数回 | 施術により赤み・腫れ・内出血・痂皮など | ポテンツァ 瘢痕治療・薬剤導入 全顔 1回 ¥66,000 / 3回 ¥188,100 | 国内未承認。医師の個人輸入等による使用。入手経路・海外承認・救済制度の対象外となる可能性を表示 |
| 標準的な外用・内服/炎症治療 | 活動性ニキビが残る状態 | 陥凹瘢痕だけが残り炎症がない状態 | 数週〜数か月 | 刺激・乾燥など | 保険診療は処方内容により異なる | 国内承認薬でも適応・用法を確認 |
| 治療を急がず経過観察 | 診断が未確定、症状が軽い、生活要因の調整を先に評価できる状態 | 急速な悪化、出血・潰瘍、感染、視機能障害など早期評価が必要な状態 | 必要時に再診 | なし | 診察料・検査料は診療区分により異なる | 医薬品・医療機器を使用しない場合は該当なし |
費用の目安
- ポテンツァ 瘢痕治療・薬剤導入 全顔 1回 ¥66,000 / 3回 ¥188,100
- トライフィルプロ・薬剤導入 全顔(〜300Shotsジュベルック込) 1回 ¥99,000
- トライフィルプロ・シワ瘢痕治療 1箇所(ジュベルック込み) ¥18,000
- TCAクロス 20箇所まで ¥22,000
瘢痕の深さや範囲によって、サブシジョンや局所注入を追加することがあります。実際の組み合わせは診察で決定します。
リスク・副作用・注意点
- RFマイクロニードリングや薬剤導入では、赤み、腫れ、点状出血、乾燥、かさぶたがみられることがあります。
- トライフィルプロやサブシジョンを含む局所治療では、赤み、腫れ、内出血、圧痛、色素沈着、感染などが起こることがあります。
- TCAクロスでは、一時的な赤み、かさぶた、色素沈着が出ることがあり、経過は瘢痕の型や深さで異なります。
- 国内承認・適応: 国内未承認。医師の個人輸入等による使用。入手経路・海外承認・救済制度の対象外となる可能性を表示
実際のダウンタイムや注意点は、施術の組み合わせと肌状態を確認したうえで診察時にご案内します。
Doctor Review
執筆・監修
執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
References
参考にした一次情報・ガイドライン
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Microneedling in the treatment of atrophic scars: A systematic review of randomised controlled trials
研究デザイン: マイクロニードリング単独6研究、RF併用3研究を含む9件の無作為化比較試験の系統的レビュー。本文中の個別試験結果を原著PubMed抄録でも再確認 / 対象: 9試験341人、22人脱落。個別のサブシジョン併用試験は25人、100%TCA CROSSとマイクロニードリングの比較試験は30人 / 結果: 25人の左右比較試験では、サブシジョン後にニードルRFを3回行った側がRF単独側より盲検医師評価(p=0.009)と患者満足度(p=0.001)で優れた。30人の比較試験では4回後の瘢痕重症度がマイクロニードリング68.3%、100%TCA CROSS 75.3%改善し、群間差はなかった。 / 限界: 研究ごとに針深度、回数、評価法、瘢痕型、追跡期間が異なる。TCA比較試験はアイスピックスカーだけを対象にしておらず、100%TCAの結果を他濃度や自己施術へ転用できない。Europe PMC原著全文と個別試験のPubMed抄録を2026年8月8日に確認した。
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Fractional Radiofrequency Microneedling as a Monotherapy in Acne Scar Management: A Systematic Review of Current Evidence
研究デザイン: RFマイクロニードリング単独治療を評価した16研究の系統的レビュー / 対象: 前向き研究6件、無作為化比較試験6件、後ろ向き研究3件、比較研究1件の計481人 / 結果: 収載された全研究でRFマイクロニードリング単独治療後の萎縮性にきび跡改善が報告された。 / 限界: 評価尺度と照射条件が不均一でメタ解析はなく、Fitzpatrick VI型を含まず、追跡は最長6か月。特定のポテンツァ設定、活動性ニキビ・赤み・毛穴への効果、サブシジョンや薬剤導入との併用を評価していない。Europe PMC原著全文を2026年8月8日に確認した。
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医療機器の承認審査に関する情報
販売名、承認番号、承認範囲を確認する公的情報です。
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医療広告ガイドライン
自由診療の費用、主なリスク・副作用、未承認機器等の表示を確認する公的資料です。
よくあるご質問
Q. アイスピック、ボックスカー、ローリングはどう見分けますか?
入口が狭く深い孔状の凹みはアイスピック、縁と底が見える凹みはボックスカー、皮膚を伸ばすと浅くなる広い波状の凹みはローリングとして、斜光と触診を合わせて記録します。
Q. 一つの治療ではなく、組み合わせるのはなぜですか?
広い範囲の浅い凹凸、皮下の癒着、硬い陥凹底、狭く深い孔では、治療する範囲と深さが異なるためです。面の治療をベースに、残る型へ局所治療を加えます。
Q. 赤みや色素沈着も凹みと同時に治療しますか?
赤み、色素沈着、凹みを分けて計画します。色素沈着にはピーリング、内服、外用を、赤みにはポテンツァを候補とし、内服薬は既往歴・併用薬、外用薬は刺激反応を確認して処方します。
Q. ポテンツァの痛みやダウンタイムが気になる場合はどうしますか?
比較図では、全顔の治療としてトライフィルプロ薬剤導入を候補にしています。ただし、深いアイスピックや強い癒着まで同じ役割で置き換えるのではなく、瘢痕型ごとに必要な局所治療を組みます。
Q. 料金、主な副作用、承認状況はどう確認しますか?
現在の料金表では、ポテンツァ瘢痕治療・薬剤導入全顔は1回66,000円・3回188,100円、トライフィルプロ薬剤導入全顔は1回99,000円、シワ瘢痕治療は1か所18,000円、TCAクロス20か所まで22,000円です。赤み、腫れ、点状出血、内出血、圧痛、痂皮、色素沈着、感染などが起こることがあります。機器・薬剤の承認状況は販売名、承認番号、承認範囲をPMDA情報と現物表示で確認します。
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