深いニキビ跡へポテンツァ薬剤導入とサブシジョンを併用した症例
他院でダーマペンを10回受けても残ったこめかみ・頬の深いニキビ跡に、ポテンツァのマックーム導入6回、サブシジョン1回、ゼオスキンの高濃度ビタミンAを組み合わせた症例です。4枚の斜位写真で凹凸の影を比べます。
Medical Information
この記事について
- 執筆医・監修医
- 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
- 監修日
- 2026年8月9日
- 公開日
- 2023年9月6日
- 実質更新日
- 2026年8月9日

Contents
目次
4枚の斜位写真で、こめかみ・頬の凹凸を比べます
4枚の斜位写真では、こめかみから頬にかけての治療前後を比べています。治療前は、頬全体へ広がる細かな凹凸に加え、光の向きが変わっても影が残る深い陥凹が複数みられます。
治療後は広い範囲の凹凸感と影が減り、頬の肌印象がなめらかに見えます。一方で、こめかみと頬には深い凹みが残っているため、完全に平らになったかではなく、面状の凹凸と残る局所の陥凹を分けて次の治療を決めます。
ダーマペン10回後に残った、こめかみと頬の深い瘢痕を地図にします
この症例では、他院でダーマペンを10回受けた後も、こめかみと頬に頑固な瘢痕が残っていました。斜めから光を当て、頬全体へ続く細かな凹凸と、一定方向から深い影を作る局所の凹みを別々に記録します。
診察では皮膚を軽く横へ伸ばしたときの変化と触診を加えます。伸ばすと浅くなる面状の凹凸は広い範囲の治療で追い、動きにくい陥凹は皮下の癒着を伴う部位として印を付けることで、同じニキビ跡へ一つの手技だけを繰り返さない計画にします。
サブシジョン1回は、癒着した深い凹みへ局所で使います
サブシジョンは、皮膚表面だけを刺激するのではなく、凹みを下へ引く線維性の癒着へ皮下からアプローチする治療です。この症例では1回行い、こめかみ・頬のすべてを均一に剥離するのではなく、横へ伸ばしても動きにくい深い凹みを局所の対象にしました。
剥離後は腫れや内出血が引いてから同じ斜光で撮影し、凹みの底が動くようになったか、硬い癒着と深い影が残るかを確認します。
皮膚を横へ伸ばしても残る広い凹みへサブシジョンを選ぶ理由として、ローリング型では瘢痕の大きさと深さの減少がTCA CROSS側より大きかったとの報告がありました(参考文献2)。
ポテンツァのマックーム導入6回は、頬全体の凹凸を面で追います
ポテンツァの薬剤導入は、マイクロニードルによる穿刺とRF照射を行い、針を抜くときの陰圧を利用して薬剤を皮膚へ届けます。この症例ではマックームを用いて6回行い、こめかみから頬へ広がる凹凸を斜位写真で繰り返し追いました。
6回を通して同じ範囲を観察し、浅い面状の影が減っているか、局所の深い凹みが残っているかを分けます。残る癒着を薬剤導入だけで追わず、サブシジョン後の変化と照合します。
頬全体の凹凸へRFマイクロニードリングとポリ乳酸製剤の導入を重ねる理由として、治療後に瘢痕評価スコアが36.99%改善し、満足度評価は79.65%だったとの報告がありました(参考文献1)。
高濃度ビタミンAは、施術後のホームケアとして継続します
治療期間中は、ゼオスキンの高濃度ビタミンAを併用しました。ビタミンA外用は毎日の肌表面を整える役割とし、皮下の癒着を剥がすサブシジョンや、面状の凹凸へ行うポテンツァの代わりにはしません。
今後も高濃度ビタミンAによるホームケアを続けます。施術後の赤み、熱感、乾燥、痂皮が残る間は刺激性のある外用を休み、皮膚反応が落ち着いてから処方された製品と頻度で再開します。
6回+1回後は、残る深い凹みを斜光で再評価します
ポテンツァのマックーム導入6回とサブシジョン1回後は、斜位写真で凹凸感が減り、肌印象も変化しています。治療直後の腫れではなく、皮膚反応が落ち着いた時点で同じ方向から撮影し、広い範囲の影と深い凹みを別々に比較します。
次の診察では、面状の細かな凹凸が主ならポテンツァの追加、横へ伸ばしても残る局所の癒着が主ならサブシジョンの追加という順に候補を絞ります。赤み、色素沈着、活動性ニキビがある部位は先に整え、残った形に合わせて治療範囲を更新します。
Clinical View
診療で確認するポイント
- 初診ではダーマペン10回の治療歴を確認し、こめかみ・頬を同じ斜位と照明で撮影して、広い凹凸と深い局所の影を分けます。
- 皮膚を横へ伸ばしたときの動きと触診で癒着部位を地図にし、深く動きにくい凹みはサブシジョン、面として続く凹凸はポテンツァのマックーム導入へ配分します。
- この症例ではポテンツァ6回とサブシジョン1回を行い、施術後の皮膚反応が落ち着いてから高濃度ビタミンAのホームケアを継続しました。
- 再評価では凹凸感の減少と残る深い陥凹を同じ斜位で比べ、次に面の治療を重ねるか、局所の癒着へ追加するかを一つずつ決めます。
Comparison
治療選択の比較
| 治療・対応 | 向く状態 | 向かない/慎重な状態 | 回数の目安 | ダウンタイム | 費用(税込) | 承認状況 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ポテンツァ薬剤導入(マックーム) | こめかみから頬へ広がる萎縮性ニキビ跡、面状の凹凸や肌表面を複数回で追いたい状態 | 活動性の感染・強い炎症がある部位、ケロイド傾向、強い外用刺激や施術後反応が残る状態 | 本症例は6回。各回の凹凸と皮膚反応を斜位で再評価 | 痛み、赤み、腫れ、点状出血、針跡、乾燥、痂皮、炎症後色素沈着、感染、まれに熱傷・瘢痕 | 全顔1回66,000円/3回188,100円。マックームは各回+22,000円 | ポテンツァとマックームはいずれも国内未承認。自由診療で使用 |
| サブシジョン | 皮膚を横へ伸ばしても動きにくい、癒着を伴う局所の深いローリング型・一部のボックスカー型瘢痕 | 癒着のない浅い凹凸、細いアイスピック型だけの部位、活動性感染、出血リスクが高い状態 | 本症例は1回。内出血と硬さが落ち着いた後に残る癒着を再評価 | 痛み、腫れ、内出血、血腫、硬結、炎症後色素沈着、感染、血管・神経損傷、瘢痕 | 2×2cm 33,000円/こめかみ片側55,000円/片頬半分55,000円/片頬88,000円/おでこ110,000円 | 皮下の癒着を剥離する自由診療の手技。範囲ごとに術式と費用を提示 |
| ゼオスキン高濃度ビタミンA | 施術後の反応が落ち着き、肌表面の質感と毎日のホームケアを継続したい状態 | 強い赤み、乾燥、皮むけ、湿疹がある状態。妊娠中・授乳中 | 製品ごとの使用頻度で継続。施術後は皮膚反応が落ち着いてから再開 | 赤み、乾燥、皮むけ、ひりつき、かゆみ、刺激性皮膚炎 | ARナイトリペア25,300円/Wテクスチャー24,640円/スキンブライセラム0.25〜1.0 14,300〜18,480円 | 化粧品。深いニキビ跡の治療薬として承認された医薬品ではない |
費用の目安
- ポテンツァ 瘢痕治療・薬剤導入 全顔:1回66,000円/3回188,100円(税込)
- 薬剤マックーム:1回につき+22,000円(税込)
- ポテンツァ+マックーム6回:1回料金で6回行う場合528,000円/3回コースを2回用いる場合508,200円(税込)
- サブシジョン:2×2cm 33,000円/こめかみ片側55,000円/片頬半分55,000円/片頬88,000円/おでこ110,000円(税込)
- ゼオスキン高濃度ビタミンA:ARナイトリペア25,300円/Wテクスチャー24,640円/スキンブライセラム0.25〜1.0 14,300〜18,480円(税込)
6回のポテンツァ費用はコースの利用方法で変わります。サブシジョンは治療範囲、高濃度ビタミンAは使用製品により総額が変わります。
リスク・副作用・注意点
- ポテンツァ:痛み、赤み、腫れ、点状出血、針跡、乾燥、痂皮、炎症後色素沈着、感染、まれに熱傷・瘢痕
- サブシジョン:痛み、腫れ、内出血、血腫、硬結、炎症後色素沈着、感染、血管・神経損傷、瘢痕
- 高濃度ビタミンA化粧品:赤み、乾燥、皮むけ、ひりつき、かゆみ、刺激性皮膚炎。妊娠中・授乳中は使用しない
- 国内承認・適応: ポテンツァは国内未承認医療機器で、Jeisys Medical Inc.から医師が個人輸入しています。米国FDA 510(k)クリアランスK201685等の海外認可は、日本国内の承認を意味しません。マックームも国内未承認の薬剤・製品です。未承認医療機器・薬剤による健康被害は、医薬品副作用被害救済制度等の対象外となる場合があります。サブシジョンは皮下癒着を剥離する自由診療の手技です。ゼオスキンの高濃度ビタミンA製品は化粧品で、深いニキビ跡の治療薬として承認された医薬品ではありません。
強い痛み、増える腫れ・出血、白色または暗紫色の皮膚変化、膿、発熱がある場合は予定日を待たず連絡してください。
Doctor Review
執筆・監修
執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
References
参考にした一次情報・ガイドライン
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Intradermal Injection of Poly-D,L-Lactic Acid Using Microneedle Fractional Radiofrequency for Acne Scars: An Open-Label Prospective Trial
研究デザイン: マイクロニードルRFでポリD,L乳酸製剤を皮内導入し、4週間隔で4回治療した前向き非盲検単群試験 / 対象: 萎縮性ニキビ跡のある患者42人(男性23人、女性19人。Fitzpatrick III型20人、IV型22人) / 結果: ECCAスコアは治療前より36.99%改善し、満足度VASは79.65%でした。組織学的評価を行った2人では5か月後にコラーゲン・エラスチンの増加が確認されました / 限界: 対照群のない非盲検試験で、組織学的評価は2人のみです。研究製剤はJuvelook volumeで、本症例のマックームとは異なります。4回治療の結果であり、本症例の6回、サブシジョン、高濃度ビタミンAとの併用効果を示しません。原著PDF全文を2026年8月9日に確認しました。 / 利益相反: 原著には、著者らは本研究の商業的支援者に関する重要な利害関係を有しないと記載されています。
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Subcision versus 100% trichloroacetic acid in the treatment of rolling acne scars
研究デザイン: 顔の左右にあるローリング型ニキビ跡へ、片側に100%TCA CROSS、反対側にサブシジョンを1〜3回行った左右比較研究 / 対象: Fitzpatrick III〜IV型で両側性ローリング型ニキビ跡のある20人 / 結果: 両側で瘢痕サイズと深さが減少し、減少幅はサブシジョン側で有意に大きく、色素変化はTCA CROSS側で多く認められました / 限界: 小規模で、サブシジョン単独とTCA CROSSの短期比較です。本症例のサブシジョン1回とポテンツァ・マックーム6回、高濃度ビタミンAの組み合わせを検証した研究ではありません。PubMed抄録と書誌情報を2026年8月9日に確認し、原著全文は購読制限のため確認できませんでした。 / 利益相反: PubMed抄録に資金提供・競合利益の記載はありません。
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医療機器の承認審査に関する情報
販売名、承認番号、承認範囲を確認する公的情報です。
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医療広告ガイドライン
自由診療の費用、主なリスク・副作用、未承認機器等の表示を確認する公的資料です。
よくあるご質問
Q. この症例では何回治療し、何を併用しましたか?
他院でダーマペンを10回受けた後も残ったこめかみ・頬の瘢痕に、ポテンツァのマックーム導入を6回、サブシジョンを1回行い、ゼオスキンの高濃度ビタミンAを併用しました。治療後は凹凸感が減り、肌印象が変化しています。
Q. ポテンツァとサブシジョンはなぜ両方使うのですか?
ポテンツァの薬剤導入はこめかみから頬へ広がる面状の凹凸を追い、サブシジョンは皮膚を横へ伸ばしても動きにくい深い凹みの癒着を局所で剥離します。凹みの形と動きに合わせて役割を分けます。
Q. ダーマペンを10回受けても残ったニキビ跡は治療できますか?
10回という回数だけで次の治療を決めず、残る瘢痕を面状の凹凸と癒着した深い凹みに分けます。この症例では前者へポテンツァのマックーム導入、後者へサブシジョンを配分し、斜位写真で再評価しました。
Q. ポテンツァ6回とサブシジョン1回の費用はいくらですか?
ポテンツァ全顔+マックームは1回88,000円で、6回を1回料金で行う場合は528,000円、3回コースを2回用いる場合は508,200円です。サブシジョンは2×2cm 33,000円、こめかみ片側55,000円、片頬半分55,000円、片頬88,000円で、治療範囲により加算されます。
Q. ポテンツァ、マックーム、高濃度ビタミンAは国内承認されていますか?
ポテンツァは国内未承認医療機器、マックームは国内未承認の薬剤・製品です。ポテンツァはJeisys Medical Inc.から医師が個人輸入しています。ゼオスキンの高濃度ビタミンA製品は化粧品で、深いニキビ跡の治療薬として承認された医薬品ではありません。
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