眉間のアイスピック型・小型ボックスカー型ニキビ跡をTCAクロスで治療した症例
眉間に集まる狭く深い凹みへ、TCAクロスを20か所・1回行った症例です。治療後の点状の赤みを経て、5か月後には赤みが引き、治療前より凹みの影が浅く見えます。高濃度ビタミンA外用も併用しています。
Medical Information
この記事について
- 執筆医・監修医
- 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
- 監修日
- 2026年8月9日
- 公開日
- 2023年12月21日
- 実質更新日
- 2026年8月9日

Contents
目次
眉間へTCAクロス20か所を1回行い、5か月後まで追いました
三段の写真は同じ眉間を比べたもので、上段が治療前、中段がTCAクロス後、下段が5か月後です。治療前は眉間の中央から両眉頭の間へ小さな凹みが集まり、正面光でも点状の影が見えます。
TCAクロスは20か所へ1回行いました。中段では処置部位に点状の赤みがあり、5か月後は赤みが引いて、治療前より凹みの輪郭と影が浅く見えます。この症例ではZO Skinの高濃度ビタミンA外用も併用しています。
入口が狭い凹みと、縁のある小さな凹みを選びます
アイスピック型は入口が小さく、奥へ細く深く続く凹みです。小型ボックスカー型は入口がやや広く、縁と底を見分けられる小さな凹みです。眉間を斜めから照らし、入口の幅、底の影、縁の角度を一つずつ記録します。
TCAクロスは、薬剤を凹みの内側へ限局できるアイスピック型と小型ボックスカー型へ割り当てます。皮膚を横へ伸ばすと浅くなるローリング型は皮下癒着を触診し、サブシジョンなど別の治療へ分けます。
小型ボックスカー型も形を選んで候補にする根拠として、70% TCAを点状に用いた治療では66%が50%を超えて改善し、ボックスカー型が主体の症例で良好な反応と関連したとの報告がありました(参考文献3)。
濃度を上げるより、凹みの内側へ処置を限定します
TCAは凹みの底と内壁へ少量ずつ置き、周囲の平らな皮膚へ広げないようにします。処置部位の白色変化、痛み、赤みを見ながら、一回に扱う凹みを決めます。
濃度は瘢痕の深さ、皮膚の厚さ、炎症後色素沈着の既往、前回の治癒反応を合わせて選びます。高い濃度を一律に使うのではなく、正常皮膚を守りながら狙った凹みへ必要な反応を得ることを優先します。
濃度を上げる判断を慎重にする理由として、50%と80%のTCAは4回後に双方で瘢痕スコアが改善し、改善幅に差はありませんでしたが、80%側で有害事象が強かったとの報告がありました(参考文献1)。
点状の赤みが引いた後、5か月後の凹みを比べます
TCAクロス後は白色変化から痂皮へ進み、その後に赤みが見える時期があります。この症例では1〜3ヶ月の赤みを経過の目安として説明し、5か月後の写真では赤みが引いた状態で凹みを比べています。
高濃度ビタミンA外用は、使用製品、頻度、乾燥・刺激の有無、TCA前後の休止と再開日を別に記録します。外用による刺激が残る間は処置を重ねず、表面が回復してから同じ照明で入口、底の影、縁を再評価します。
回復後まで凹みと色調を追う根拠として、4回治療後に評価できた全例で50%以上改善し、8例は70%を超えて改善する一方、一時的な色素沈着と色素脱失が各1例にみられたとの報告がありました(参考文献2)。
5か月後に残る凹みを、次の治療法へ振り分けます
5か月後は、処置した20か所を治療前と同じ範囲で見直します。入口が残る細い凹みはTCAクロスの追加候補とし、縁が広い凹みは局所の炭酸ガス剥離やRFマイクロニードリング、牽引で浅くなる凹みはサブシジョンの対象として分けます。
次回は前回の赤みと痂皮が続いた期間、色素沈着の有無、5か月後に残る深さから、処置する個数と治療法を更新します。眉間全体を同じ方法で処置せず、残った凹みの形に合わせて選び直します。
Clinical View
診療で確認するポイント
- 眉間を正面と斜光で撮影し、入口の幅、底の影、縁の角度から、TCAを内側へ限定できる凹みを20か所以内で選びます。
- 治療後は白色変化、痂皮、点状の赤みを順に記録し、赤みが残る期間には高濃度ビタミンA外用の刺激も重ねて確認します。
- 5か月後に治療前と同じ眉間を比べ、入口が残るアイスピック型、小型ボックスカー型、癒着を伴う凹みへ再分類します。
- 追加のTCAクロス、局所の炭酸ガス剥離・薬剤導入、RFマイクロニードリング、サブシジョンは、5か月後に残る凹みの形から順番を決めます。
Comparison
治療選択の比較
| 治療・対応 | 向く状態 | 向かない/慎重な状態 | 回数の目安 | ダウンタイム | 費用(税込) | 承認状況 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| TCAクロス | 入口が狭く深いアイスピック型、薬剤を内側へ限定できる小型ボックスカー型 | 広いローリング型、活動性ニキビ・感染、皮膚炎、前回の赤みや痂皮が残る部位 | 症例は20か所・1回。5か月後に残る凹みを再評価 | 刺激痛、白色変化、痂皮、赤み、炎症後色素沈着。まれに感染、色素脱失、化学熱傷、瘢痕拡大 | 20か所まで1回22,000円(税込) | 要確認 |
| トライフィルプロ瘢痕モード | 硬い縁や癒着を伴う小型ボックスカー型、局所の凹み | 癒着のない細いアイスピック型だけが主体、感染、出血リスクが高い状態 | 凹みの反応を見て1回または複数回 | 痛み、腫れ、内出血、点状痂皮、色素沈着、感染、しこり | 1か所18,000円(税込、ジュベルック込み) | 要確認 |
| RFマイクロニードリング(POTENZA) | 眉間より広い範囲に浅いボックスカー型、毛穴、肌理が混在する状態 | 孤立した細く深い凹みだけが主体、活動性の感染・皮膚炎 | 全顔1回または3回コースから反応を評価 | 痛み、赤み、腫れ、点状出血、痂皮、乾燥、色素沈着 | 瘢痕治療・薬剤導入 全顔1回66,000円/3回188,100円(税込) | 要確認 |
| サブシジョン | 皮膚を伸ばすと浅くなり、触診で皮下癒着を確認できるローリング型 | 癒着のないアイスピック型、感染、出血リスクが高い状態 | 癒着の反応を見て1回または複数回 | 腫れ、内出血、痛み、血腫、感染、色素沈着 | 2×2cm 33,000円(税込) | 要確認 |
費用の目安
- TCAクロス 20か所まで:1回22,000円(税込)
症例画像に記載された治療はTCAクロス20か所・1回と、高濃度ビタミンA外用の併用。外用製品名が特定できないため、その料金は合算していない。
リスク・副作用・注意点
- TCAクロス:刺激痛、白色変化、赤み、腫れ、痂皮、炎症後色素沈着、色素脱失
- 感染、治癒遅延、化学熱傷、凹みの拡大・瘢痕悪化
- 高濃度ビタミンA外用:製品により乾燥、赤み、皮むけ、刺激、接触皮膚炎など
- 国内承認・適応: TCAクロスで用いるトリクロロ酢酸のニキビ瘢痕への局所使用は、国内承認された効能・使用法ではない自由診療です。医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。症例資料にTCA濃度・製剤名・入手経路の記載はないため、症例固有値として補っていません。併用したZO Skin高濃度ビタミンA外用も製品名が特定できないため、製品区分・成分濃度・承認状況を断定していません。
赤みが強まる、膿・滲出が出る、痛みが増す、ただれが周囲へ広がる場合は早期連絡の対象とする。
Doctor Review
執筆・監修
執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
References
参考にした一次情報・ガイドライン
-
Comparing the Use of 80% Trichloroacetic Acid and 50% Trichloroacetic Acid for the Treatment of Ice Pick Acne Scars
研究デザイン: 非無作為化・単盲検・同一患者内比較試験。左顔面に50%、右顔面に80%のTCA CROSSを4回実施 / 対象: アイスピック型ニキビ跡の31人 / 結果: 4回後、両側でECCAスコアが有意に低下。治療前後の改善幅は50%側と80%側で有意差がなく、80%側で有害事象が強かった。 / 限界: 非無作為化で左右の濃度が固定され、31人の短期研究。本症例の眉間20か所、1回、5か月後の結果や使用濃度を示す研究ではない。出版社全文は購読制限があり、PubMed抄録を2026年8月9日に確認した。 / 利益相反: PubMed抄録・書誌から資金提供と利益相反の詳細は確認できなかった。
-
An Assessment of the Efficacy and Safety of CROSS Technique with 100% TCA in the Management of Ice Pick Acne Scars
研究デザイン: 前向き単群パイロット研究。100% TCA CROSSを2週間隔で4回行い、最終治療3か月後と6か月後まで評価。治療前2週間はトレチノイン0.025%、遮光剤、4%ハイドロキノンを使用し、トレチノインは処置1週間後から再開 / 対象: アイスピック型ニキビ跡が主体の12人。10人が4回治療を完了し評価対象となった。年齢14〜42歳、女性10人・男性2人 / 結果: 評価できた10人のうち8人は70%を超える改善、残る2人は50〜70%改善。一時的な色素沈着と色素脱失を各1人に認めた。 / 限界: 対照群がなく評価対象は10人。TCAは100%で4回行い、全員がトレチノイン、遮光剤、ハイドロキノンを併用したため、TCA単独や本症例の高濃度ビタミンA製品、1回治療の効果は示さない。PMC原著全文を2026年8月9日に確認した。 / 利益相反: 著者は利益相反なしと申告した。
-
Therapeutic response of 70% trichloroacetic acid CROSS in atrophic acne scars
研究デザイン: 70% TCAを2週間隔で点状塗布し、3か月後まで評価した単群臨床研究 / 対象: 萎縮性ニキビ跡の53人 / 結果: 医師・患者評価の双方で66%が50%を超えて改善し、81.1%が満足または非常に満足と回答。ボックスカー型主体と治療前重症度が高いことが良好な反応と関連した。 / 限界: 対照群がなく、複数の萎縮性瘢痕型を含む3か月の評価。本症例の眉間に限った小型ボックスカー型、1回治療、5か月後の結果を示さない。出版社全文は購読制限があり、PubMed抄録を2026年8月9日に確認した。 / 利益相反: PubMed抄録・書誌から資金提供と利益相反の詳細は確認できなかった。
-
医療広告ガイドライン
自由診療の費用、主なリスク・副作用、未承認機器等の表示を確認する公的資料です。
よくあるご質問
Q. この症例では何回、何か所を治療しましたか?
眉間へTCAクロスを20か所・1回行い、5か月後まで経過を比べています。高濃度ビタミンA外用も併用しています。
Q. TCAクロスは、どのニキビ跡に向きますか?
入口が狭く深いアイスピック型と、薬剤を底・内壁へ限定できる小型ボックスカー型が候補です。皮下癒着が主体のローリング型は別の治療へ分けます。
Q. TCAは濃いほど効果が高いですか?
濃度だけでは決まりません。50%と80%はいずれも改善がみられ、改善幅に差はなく、80%で有害事象が強かったとの報告がありました。瘢痕の深さと治癒反応に合わせて選びます。
Q. 赤みはどのくらい続きますか?
この症例では1〜3ヶ月を経過の目安として説明し、5か月後には赤みが引いた状態を確認しています。赤みが強まる、膿や滲出が出る、痛みが増す場合は早めにご連絡ください。
Q. TCAクロスの料金はいくらですか?
20か所まで1回22,000円(税込)です。併用する外用製品や別の瘢痕治療の費用は含みません。
ご予約・ご相談はこちら
気になる症状や治療方法について、初診予約・再診予約・お問い合わせからご相談いただけます。