にきび跡の治療と瘢痕タイプ別の組み立て方
にきび跡は、赤み・色素沈着・アイスピック型・ボックスカー型・ローリング型が混在します。斜光・伸展・触診で型と深さを分け、ポテンツァ、サブシジョン、コラーゲンブースター、TCAクロスを使い分けます。
Medical Information
この記事について
- 執筆医・監修医
- 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
- 監修日
- 2026年8月9日
- 公開日
- 2023年5月6日
- 実質更新日
- 2026年8月9日





Contents
目次
にきび跡は、4つの治療を瘢痕ごとに配置します
当院のにきび跡治療は、ポテンツァ、注入治療、サブシジョン、TCAクロスの4つを基本にします。1つの施術を顔全体へ繰り返すのではなく、同じ頬の中でも赤み、浅い凹凸、皮下の癒着、狭く深い穴を分けます。
正面では赤みと色素を、斜めから光を当てた状態では凹みの縁と影を見ます。皮膚を横へ伸ばしたときの変化と、触れたときの硬さを加え、治療する層と順番を決めます。
炎症が続くにきびは、凹みを治す前に新しい瘢痕を防ぎます
毛穴に皮脂・角栓が詰まって炎症が起こると、赤い丘疹や膿疱になります。炎症が引いた後も数か月赤みが残ることがあり、茶色い炎症後色素沈着として見える場合もあります。
2週間ほどで炎症が引く病変と、数週間以上硬く腫れたまま続く病変を分けます。膿がたまった病変は排膿の適応を医師が判断し、繰り返す部位は残る面皰・角栓と活動性炎症を治療してから、凹みの処置へ進みます。
赤み・色素沈着と、3つの萎縮性瘢痕を分けます
平らな赤みには炎症と血管性要素を見てポテンツァなどの赤み治療を、茶色い炎症後色素沈着にはピーリングや外用を組み合わせます。シナール・トラネキサム酸の内服、ハイドロキノン・トレチノインの外用は、色調と刺激反応を見ながら役割を分けます。
凹みは、開口部が狭く深いアイスピック型、縁が明瞭なボックスカー型、広くなだらかで下床へ引かれるローリング型に分けます。複数の型が同じ頬に混在するため、数、面積、深さ、癒着の強さを地図にします。
広い浅い凹凸にはポテンツァ、癒着した凹みにはサブシジョンを使います
ポテンツァは細い針を皮膚へ入れ、針先から真皮へRFを届けます。頬全体へ広がる浅い凹凸、毛穴、赤みを同じ治療面で扱い、針による創傷治癒とRFによる真皮の再構築を利用します。
大きめのボックスカー型やローリング型で、斜光の影が強く、皮膚を伸ばしても戻りにくい凹みにはサブシジョンを行います。針・カニューレで皮下の線維性癒着をゆるめ、必要時は剥離した空間へヒアルロン酸を置いて再癒着を抑えます。
頬全体へ広がる浅い萎縮性にきび跡にRFマイクロニードリングを選ぶ根拠として、単独治療後にも瘢痕の改善がみられたとの報告がありました(参考文献1)。
癒着した凹みにサブシジョンを選ぶ根拠として、針、カニューレ、ワイヤー、鈍的ブレードが使い分けられ、瘢痕の深さと併用治療に応じて器具が選ばれていたとの報告がありました(参考文献2)。
コラーゲンブースターは広さと深さ、TCAクロスは狭い深部へ使い分けます
頬全体の浅い瘢痕には、ポテンツァでマックームまたはジュベルックを広く導入します。深さのある限局した瘢痕にはジュベルックを手打ちし、面状の薬剤導入と局所注入の範囲を分けます。
開口部が小さく深いアイスピック型や、小型で深いボックスカー型にはTCAクロスを選びます。酸を凹みの中へ限局して置き、表皮から真皮へ創傷治癒を起こすため、広い面へ塗布するピーリングとは目的と範囲が異なります。
活動性炎症、深い癒着、広い浅い凹凸、狭く深い穴の順に計画します
新しいにきびが続く時期は、まず炎症と面皰を治療します。炎症が落ち着いた後、深く引き込まれたローリング型・ボックスカー型をサブシジョンでゆるめ、周囲の浅い凹凸へポテンツァと薬剤導入を配置します。
アイスピック型と小型の深いボックスカー型にはTCAクロスを点状に行います。赤み、かさぶた、内出血が引いた後に同じ斜光と伸展条件で再撮影し、残る癒着、縁、深さを見て次の1手を決めます。
Clinical View
診療で確認するポイント
- 活動性のにきび、平らな赤み、茶色い色素沈着、萎縮性瘢痕を分け、新しい凹みを増やさない治療を先に置きます。
- 萎縮性瘢痕は正面・斜位・斜光で撮影し、皮膚を横へ伸ばした変化と触診の硬さから、アイスピック型・ボックスカー型・ローリング型を同じ頬の上に地図化します。
- 深く癒着した凹みをサブシジョンで先にゆるめ、広い浅い面をポテンツァと薬剤導入、狭く深い点をTCAクロスで治療し、回復後に同じ条件で再評価します。
Comparison
治療選択の比較
| 治療・対応 | 向く状態 | 向かない/慎重な状態 | 回数の目安 | ダウンタイム | 費用(税込) | 承認状況 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ポテンツァ瘢痕治療・薬剤導入 | 頬全体へ広がる浅い凹凸、毛穴、赤み、複数型が混在する面 | 硬く引き込まれた深い癒着だけが主、活動性の炎症・感染が強い状態 | 1回後の赤みと凹凸を再評価し、必要時に複数回 | 痛み、赤み、腫れ、点状出血、針跡、乾燥、かさぶた、色素沈着 | 全顔1回66,000円/3回188,100円、薬剤追加22,000円 | 要確認 |
| サブシジョン | 皮膚を伸ばしても残るローリング型、大きめのボックスカー型、皮下の硬い癒着 | アイスピック型だけが主、平らな赤み・色素沈着だけが主、出血リスクが高い状態 | 1回後に影と硬さを再評価し、残る部位だけを追加 | 痛み、腫れ、内出血、血腫、圧痛、硬結、色素沈着、感染 | 2×2cm 33,000円/こめかみ片側55,000円/片頬半分55,000円/片頬88,000円 | 要確認 |
| マックーム・ジュベルックによる注入治療 | ポテンツァで広く扱う浅い凹凸、手打ちで扱う限局した深い瘢痕 | 活動性の炎症・感染、原因未確認の硬結、アイスピック型だけが主 | 1回後の腫れと硬さを確認し、必要時に複数回 | 赤み、腫れ、痛み、内出血、硬結、しこり、遅発性炎症、感染 | ポテンツァ薬剤追加22,000円/ジュベルック瘢痕1か所11,000円 | 要確認 |
| TCAクロス | 開口部が狭く深いアイスピック型、小型で深いボックスカー型 | 広い浅い凹凸、ローリング型、活動性の炎症・感染がある部位 | かさぶたと色素反応が落ち着いてから残る深さを再評価 | 灼熱感、赤み、白色変化、かさぶた、色素沈着・色素脱失、感染、瘢痕悪化 | 20か所まで22,000円 | 要確認 |
費用の目安
- ポテンツァ 瘢痕治療・薬剤導入 全顔1回66,000円/3回188,100円
- ポテンツァ追加薬剤 マックーム22,000円/ジュベルック22,000円
- サブシジョン 2×2cm 33,000円/こめかみ片側55,000円/片頬半分55,000円/片頬88,000円/おでこ110,000円
- サブシジョン オプションヒアルロン酸55,000円
- ジュベルック ニキビ跡・瘢痕1か所11,000円
- TCAクロス 20か所まで22,000円
表示価格は自由診療・税込です。複合治療は、実施する全顔施術、薬剤、局所治療の範囲・か所数を合算します。
リスク・副作用・注意点
- ポテンツァ:痛み、赤み、腫れ、熱感、点状出血、針跡、乾燥、かさぶた、色素沈着、感染、まれな熱傷
- サブシジョン:痛み、腫れ、内出血、血腫、圧痛、硬結、色素沈着、感染、血管・神経損傷
- マックーム・ジュベルック:赤み、腫れ、痛み、内出血、硬結、しこり、結節、遅発性炎症、感染
- TCAクロス:灼熱感、赤み、白色変化、かさぶた、炎症後色素沈着、色素脱失、感染、瘢痕悪化
- 国内承認・適応: ポテンツァは国内未承認医療機器、マックームとジュベルックは国内未承認医薬品です。TCAクロスと、サブシジョン後の再癒着予防を目的としたヒアルロン酸使用は国内承認範囲外の使用を含みます。未承認・適応外の医療機器・医薬品による健康被害は、医薬品副作用被害救済制度等の対象外となる場合があります。
同日に複数の処置を行うと、赤み、腫れ、針跡、内出血、かさぶたが重なることがあります。
Doctor Review
執筆・監修
執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
References
参考にした一次情報・ガイドライン
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Fractional Radiofrequency Microneedling as a Monotherapy in Acne Scar Management: A Systematic Review of Current Evidence
研究デザイン: RFマイクロニードリング単独治療を扱った16研究のシステマティックレビュー / 対象: 前向き研究6件、無作為化比較試験6件、後ろ向き研究3件、比較研究1件の計481人 / 結果: 収載されたすべての研究で、RFマイクロニードリング単独治療後に萎縮性にきび跡が改善したとの報告がありました。 / 限界: 評価尺度と治療設定が不均一でメタ解析は行われず、Fitzpatrick VI型は含まれず、追跡期間は最長6か月。ポテンツァ、マックーム・ジュベルック導入、サブシジョン、TCAクロスとの併用結果を個別に示すレビューではない。原著全文を2026年8月8日に確認した。
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Subcision for Atrophic Acne Scarring: A Comprehensive Review of Surgical Instruments and Combinatorial Treatments
研究デザイン: ヒトの萎縮性にきび跡に対するサブシジョン器具と併用療法を扱った包括的レビュー / 対象: 初回検索79報から47報を採用し、引用追跡で20報を追加 / 結果: 針、カニューレ、ワイヤー、鈍的ブレードの4群が使われ、器具は瘢痕の深さ、術者の選択、併用治療に応じて選ばれていたとの報告がありました。 / 限界: 標準化した手技や器具間の大規模直接比較が少なく、サブシジョン後のヒアルロン酸併用、ポテンツァ、ジュベルック、TCAクロスを含む当院の組み合わせ全体の優劣を示さない。原著全文を2026年8月8日に確認した。
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医療機器の承認審査に関する情報
販売名、承認番号、承認範囲を確認する公的情報です。
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医療広告ガイドライン
自由診療の費用、主なリスク・副作用、未承認機器等の表示を確認する公的資料です。
よくあるご質問
Q. にきびができたら、すぐに瘢痕治療を始めますか?
新しいにきび、膿疱、硬い炎症が続く時期は、まず炎症と面皰を治療します。膿がたまった病変は排膿の適応を医師が判断し、新しい凹みが増えにくい状態にしてから瘢痕治療へ進みます。
Q. アイスピック型・ボックスカー型・ローリング型はどう見分けますか?
アイスピック型は開口部が狭く深い穴、ボックスカー型は縁が明瞭な凹み、ローリング型は広くなだらかで下床へ引かれる凹みです。斜光、皮膚の伸展、触診で深さと癒着を見ます。
Q. ポテンツァ・サブシジョン・TCAクロスはどう使い分けますか?
頬全体へ広がる浅い凹凸にはポテンツァ、皮下へ癒着したローリング型・大きめのボックスカー型にはサブシジョン、狭く深いアイスピック型・小型のボックスカー型にはTCAクロスを使います。
Q. マックームとジュベルックはどこへ使いますか?
マックームまたはジュベルックをポテンツァで頬全体へ導入し、浅い凹凸を面として扱います。深さのある限局した瘢痕にはジュベルックを手打ちし、範囲と深さで分けます。
Q. 料金、主なリスク、国内承認状況を教えてください。
ポテンツァ全顔は1回66,000円、薬剤追加22,000円、サブシジョン2×2cmは33,000円、TCAクロス20か所まで22,000円です。赤み、腫れ、内出血、針跡、かさぶた、色素沈着、硬結、しこり、感染などが起こることがあります。ポテンツァ、マックーム、ジュベルックは国内未承認で、TCAクロスとサブシジョン後のヒアルロン酸には適応外使用を含みます。
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