医師解説毛穴トライフィルプロ

ジュベルックとは|ニキビ跡・瘢痕・目周り・首への注入の考え方

ジュベルックは、PDLLAと非架橋ヒアルロン酸を組み合わせた50mg製剤です。広い毛穴・くすみ・ハリはポテンツァ導入、局所のニキビ跡・瘢痕・目周り・首の横じわは手打ちというように、範囲と皮膚の厚みで届け方を選びます。

Medical Information

この記事について

監修日
2026年8月9日
公開日
2023年3月30日
実質更新日
2026年8月9日

Contents

目次

  1. ジュベルックはPDLLAとHAを組み合わせた50mg製剤です
  2. PDLLAが分解する過程で、時間をかけて真皮を支えます
  3. 広い肌質は機器導入、局所の凹みは手打ちで狙います
  4. ニキビ跡・瘢痕は、凹みの広がりと癒着で方法を分けます
  5. 目周り・首は薄い皮膚へ少量ずつ、くすみ・毛穴・ハリは面で扱います
  6. ポテンツァで面を整え、残る局所へ手打ちを重ねます
  7. 診療で確認するポイント
  8. 治療選択の比較
  9. 費用の目安
  10. リスク・副作用・注意点
  11. 関連記事
  12. 関連施術・関連症状のご案内
  13. 執筆・監修
  14. 参考にした一次情報・ガイドライン
  15. よくあるご質問

ジュベルックはPDLLAとHAを組み合わせた50mg製剤です

当院が導入したジュベルックは50mgバイアルで、箱には「Soft Tissue Injectable Implant」「PLA/HA HYBRID IMPLANT」「50mg/vial」と表示されています。

50mgの内訳はPDLLA 42.5mgとヒアルロン酸7.5mgです。PDLLAによる時間をかけた組織反応と、非架橋ヒアルロン酸による水分保持を組み合わせ、肌のハリや細かい凹凸を扱います。

当院では、顔全体へ均一に広げたい変化と、一本のしわや一つの凹みに狙って届けたい変化を分け、ポテンツァによる導入と医師の手打ちを使い分けています。

PDLLAが分解する過程で、時間をかけて真皮を支えます

画像2では、ジュベルックの主成分PDLLAをコラーゲンブースターとして説明しています。ポリ乳酸は、原料段階ではトウモロコシやジャガイモなどのでんぷん由来の乳酸から作られ、手術用の吸収糸などにも用いられる生分解性の材料です。

注入されたPDLLA粒子は、加水分解を経て最終的に水と二酸化炭素へ代謝されます。その間に生じる組織反応が線維芽細胞と細胞外基質の再構築へつながるため、直後の膨らみだけでなく、数週間から数か月後のハリ、きめ、細かいしわを同じ条件の写真で追います。

非架橋ヒアルロン酸による早い水分変化と、PDLLAによる遅い組織変化は時間軸が異なります。治療後は直後、4週間前後、その後の写真を分け、どの変化が維持されているかを見ます。

広い肌質は機器導入、局所の凹みは手打ちで狙います

マックームとジュベルックは、局所へ手打ちするか、広い範囲へ導入するかで役割を分けます。当院ではマックームをポテンツァによる広い範囲の導入に、ジュベルックを医師が凹みやしわへ直接置く局所手打ちに用います。

画像では、ジュベルックのPDLLA粒子を球状、マックームのPLLA粒子を結晶状として示しています。手打ちでは粒子を一か所へ集めず、凹みの長さと皮膚の厚みに沿って小さく分散し、面で扱う部分と点で補う部分を分けます。

頬全体の毛穴やざらつきにはポテンツァで均一に届け、数個のニキビ跡、手術後や外傷後の局所瘢痕、目周りや首の横じわには手打ちで注入位置を合わせる、という選択です。

ニキビ跡・瘢痕は、凹みの広がりと癒着で方法を分けます

顔全体の肌質改善にはマックーム、局所のニキビ跡・瘢痕で手打ちが必要な場合にはジュベルックを選びます。治療前には、凹みの底面が広いか、皮膚を横へ伸ばすと浅くなるか、下床との癒着があるかを一つずつ地図にします。

皮膚を伸ばすと浅くなるローリング型や、下へ引かれる瘢痕は、先にサブシジョンやトライフィルプロで癒着を緩めます。その後、持ち上がった底面へジュベルックを分散させると、癒着解除と真皮の再構築を別の役割として組み合わせられます。

頬の広い範囲に浅い萎縮性瘢痕が並ぶ場合は、RFマイクロニードリングで面を治療しながらPDLLAを届けます。境界が残る凹みは経過写真で再度印を付け、局所手打ちを追加します。

広い範囲の萎縮性ニキビ跡へRFマイクロニードリングとPDLLAを組み合わせる理由として、4週間隔・計4回の治療後にECCAスコアが36.99%改善し、満足度VASも79.65%改善したとの報告がありました(参考文献1)。

癒着したローリング型の凹みを注入前に解除する理由として、サブシジョンは真皮と皮下の線維性付着を切り離す方法で、針・カニューレ・ワイヤー・鈍的ブレードを瘢痕の深さと併用治療に応じて選ぶとの報告がありました(参考文献2)。

目周り・首は薄い皮膚へ少量ずつ、くすみ・毛穴・ハリは面で扱います

画像5には、ジュベルックで扱う悩みとしてニキビ跡、くま、くすみ、毛穴、ハリが挙げられています。局所の深さを合わせる必要がある目周りと首は手打ち、頬全体のくすみ・毛穴・ハリはポテンツァ導入というように、同じ製剤でも届け方を変えます。

目周りでは、涙溝の最も深い部分を先に捉え、中央から外側の細かいしわと皮膚の薄さへつなげます。下眼瞼は一か所へ多量を置かず、眼輪筋より浅い層へ少量ずつ分散し、正面と斜位で凹み、影、皮膚のきめを追います。

首では、動いたときだけ出る浅い線と、安静時にも残る横じわを分けます。固定された深い横じわにはトライフィルプロで癒着を緩めてから上部皮下層へジュベルックを届け、浅い線は横じわに沿った局所手打ちで整えます。

くすみ・毛穴・ハリは一点ではなく頬全体の分布で判定します。同じ照明の正面・左右斜位写真で、毛穴の見える範囲、光の反射、頬の細かいしわを比べ、面治療の範囲を決めます。

目周りの凹みと皮膚質を同じ順序で扱う理由として、月1回・計3回のPDLLA-HA注入後、医師評価GAISは2.93から2.13、患者評価は2.73から1.80へ改善し、弾力・水分・肌質・輝きの4項目も改善したとの報告がありました(参考文献3)。

固定された首の横じわで癒着解除とPDLLA導入を組み合わせる理由として、6か月後のWrinkle Severity Scaleが3.41から1.31へ低下し、61.6%改善したとの報告がありました(参考文献4)。

ポテンツァで面を整え、残る局所へ手打ちを重ねます

当院では、ポテンツァ+ジュベルックと手打ちジュベルックを併用できます。頬全体の毛穴や浅い凹凸をポテンツァで面として扱い、線状瘢痕、深いニキビ跡、目周り、首の横じわは医師の手打ちで位置を合わせます。

治療順序は、癒着があれば最初に解除し、次に広い範囲へRF治療と製剤導入を行い、回復後も残る局所の凹みへ手打ちを加える流れです。面治療と局所治療を同じ写真上で色分けしておくと、次回に追加する場所を絞れます。

経過は直後の腫れではなく、赤みと浮腫が引いた後の正面・斜位写真で比較します。ニキビ跡は凹みの底面と影、目周りは涙溝と細かいしわ、首は安静時の横じわをそれぞれ同じ角度で追います。

Clinical View

診療で確認するポイント

  • 最初に、悩みを頬全体へ広がる毛穴・くすみ・ハリと、位置を指定できるニキビ跡・瘢痕・涙溝・首の横じわへ分け、正面と左右斜位の写真に記録します。
  • ニキビ跡と首の横じわに下床との癒着があれば、サブシジョンまたはトライフィルプロで先に解除します。次にポテンツァで広い面を扱い、回復後も残る局所へ手打ちジュベルックを重ねます。
  • 目周りは涙溝の最深部から中央・外側へ、首は固定された横じわに沿って、皮膚の厚みに合わせた少量を分散します。一か所へ集めないことが、薄い部位の凹凸や結節を避ける基本です。
  • 4週間前後の写真で面の質感と局所の影を別々に見直し、次回は改善が足りない範囲だけを追加します。

Comparison

治療選択の比較

治療・対応 向く状態 向かない/慎重な状態 回数の目安 ダウンタイム 費用(税込) 承認状況
ジュベルック手打ち 局所の凹み、目周り・首など少量ずつ層を合わせたい 広い範囲を均一に導入したい、炎症・感染がある 通常複数回。数週〜数か月で反応を評価 腫れ・内出血・凹凸・硬結・感染 1cc 33,000円/3cc 55,000円 製剤・注入目的の国内承認範囲と未承認表示を確認
トライフィルプロ+ジュベルック 浅い癒着を緩めながら同じ層へ薬剤を届けたい 深い瘢痕、強い硬結歴、薬剤を使えない 1回後に癒着と影を再評価し、必要時に複数回 腫れ・内出血・疼痛・皮下気腫・硬結・色素沈着 トライフィル薬剤導入は全顔1回99,000円。瘢痕モード等は範囲により異なる 機器・薬剤・手技ごとの国内承認範囲と未承認表示を確認
ポテンツァ+マックーム 顔全体の毛穴・浅い凹凸へRFと薬剤を広く届けたい 局所の深い癒着だけが主 通常3回前後を目安に反応を評価 赤み・腫れ・針跡・痂皮・内出血・色素沈着 全顔1回55,000〜66,000円、3回156,750〜188,100円(モードにより異なる) 機器・薬剤・使用目的ごとの国内承認範囲と未承認表示を確認

費用の目安

  • ジュベルック 1cc ¥33,000 / 3cc ¥55,000
  • トライフィルプロ シワ瘢痕治療 1箇所(ジュベルック込み) ¥18,000

注入方法、範囲、量で費用が変わります。

リスク・副作用・注意点

  • 赤み、腫れ、内出血、痛み、左右差が生じることがあります。
  • 浅すぎる注入や過量では凹凸、白い膨らみ、しこり、結節が生じることがあります。
  • 感染、アレルギー、遅発性炎症反応などに注意が必要です。
  • 国内承認・適応: 国内未承認。医師の個人輸入等による使用。入手経路・海外承認・救済制度の対象外となる可能性を表示

ダウンタイムは局所治療か全顔治療か、併用薬剤の有無で変わります。実際の注意点は診察時の説明をご確認ください。

Doctor Review

執筆・監修

執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)

References

参考にした一次情報・ガイドライン

  1. Hyeong JH, Jung JW, Seo SB, Kim HS, Kim KH. Intradermal Injection of Poly-D,L-Lactic Acid Using Microneedle Fractional Radiofrequency for Acne Scars: An Open-Label Prospective Trial. Dermatol Surg. 2022;48(12):1306-1311. doi:10.1097/DSS.0000000000003627.

    Intradermal injection of poly-D,L-lactic acid using microneedle fractional radiofrequency for acne scars

    研究デザイン: 単施設・オープンラベル前向き試験 / 対象: Fitzpatrick III〜IV型で両頬にニキビ跡がある韓国人42人。PDLLAをRFマイクロニードリングで4週間隔・計4回導入 / 結果: 最終治療後にECCAスコアは36.99%、満足度VASは79.65%改善したとの報告がありました。組織評価を行った2人では、5か月後にコラーゲンと弾性線維の増加が確認されました。 / 限界: 単施設・42人で、split-face対照または無治療対照がない。組織評価は上腕へ1回治療した2人だけで、局所手打ち、目周り、首を評価した試験ではない。

  2. Vempati A, Zhou C, Tam C, et al. Subcision for Atrophic Acne Scarring: A Comprehensive Review of Instruments and Combination Treatments. Clin Cosmet Investig Dermatol. 2023;16:125-134. doi:10.2147/CCID.S397888.

    Subcision for atrophic acne scarring: a comprehensive review of instruments and combination treatments

    研究デザイン: サブシジョンの器具と併用治療を扱った包括的レビュー / 対象: 初回検索で47研究を採用し、引用追跡で20研究を追加 / 結果: 針、カニューレ、ワイヤー、鈍的ブレードの4群と、フィラー、レーザー、ピーリング、マイクロニードリングなどの併用法が報告されました。 / 限界: 手技、評価尺度、追跡期間の標準化がなく、比較対照試験も少ない。ジュベルックとの併用効果や、器具間の優劣を直接確定するレビューではない。

  3. Young SM, Lau EKH. Hybrid Biostimulator and Hyaluronic Acid Injectable for Tear Trough Rejuvenation. Aesthetic Plast Surg. 2026;50(13):5337-5343. doi:10.1007/s00266-026-05817-z.

    医療機器の承認審査に関する情報

    研究デザイン: 2施設・前向きコホート研究 / 対象: 涙溝Hirmand class I〜IIIの女性15人、平均38.5歳。PDLLA-HA 50mgを月1回・計3回、各下眼瞼0.3〜0.5mL注入 / 結果: 医師評価GAISは2.93から2.13、患者評価は2.73から1.80へ改善し、弾力、水分、肌質、輝きも各項目で有意に改善したとの報告がありました。研究期間中の有害事象報告はありませんでした。 / 限界: 女性15人の小規模・単群研究で、無治療または他製剤との比較がない。評価の多くは主観尺度で、著者2人は製造元VAIMから過去に講演謝金を受けている。結節などの遅発性反応を評価するには追跡が短い。

  4. Yi KH, Lee S, Noda S, et al. Carbon Dioxide Gas-Assisted Subcision and PDLLA Infusion for Horizontal Neck Lines. J Craniofac Surg. Published online March 16, 2026. doi:10.1097/SCS.0000000000012546.

    医療広告ガイドライン

    研究デザイン: CO2ガスサブシジョン、PDLLA注入、再度のCO2分散を組み合わせた前向き単群研究 / 対象: 首の横じわがある32人。全員が6か月追跡を完遂 / 結果: 平均Wrinkle Severity Scaleは3.41±0.50から6か月後1.31±0.47へ低下し、平均2.10点、61.6%改善したとの報告がありました。 / 限界: 対照群のない単群研究で、CO2サブシジョンとPDLLAの寄与を分離できない。オンライン先行公開の抄録で確認できた範囲で、局所手打ち単独や長期の遅発性反応を評価していない。

よくあるご質問

Q. ジュベルックとマックームは、どのように使い分けますか?

当院では、頬全体の毛穴・ざらつき・ハリにはマックームまたはジュベルックをポテンツァで広く導入し、数個のニキビ跡、線状瘢痕、目周り、首の横じわにはジュベルックを医師が手打ちします。面と局所が混在するときは、機器導入後に残る凹みを手打ちで補います。

Q. 目の下のくまや首の横じわにも注入できますか?

目の下は涙溝の凹みと細かいしわ、首は安静時にも残る横じわが対象です。目周りは最深部から中央・外側へ少量ずつ置き、首の固定された横じわは癒着を緩めてから上部皮下層へ届けます。色素だけのくまや動きだけで出る首の線は、同じ注入計画にはしません。

Q. ジュベルックは何回、どのくらいの間隔で行いますか?

萎縮性ニキビ跡へは4週間隔で4回、目周りへは月1回で3回の注入が用いられたとの報告がありました。当院でも初回から4週間前後で写真を比較し、面治療と局所手打ちのどちらを追加するかを決めます。

Q. ジュベルックの料金はいくらですか?

当院料金は、手打ちジュベルック1ccが33,000円、3ccが55,000円です。トライフィルプロによるシワ・瘢痕治療は、ジュベルックを含み1か所18,000円です。ポテンツァを組み合わせる場合は、選ぶチップと照射範囲の料金が加わります。

Q. 主な副作用と国内承認状況を教えてください。

赤み、腫れ、内出血、痛み、左右差のほか、浅すぎる注入や一か所への集中で凹凸、白い膨らみ、しこり、結節が生じることがあります。感染、アレルギー、遅発性炎症反応も主なリスクです。ジュベルックは日本国内未承認で、医師の個人輸入等により使用するため、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。

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