おでこをヒアルロン酸1ccで再注入するとき、凹凸と丸みを見直す考え方
前回のおでこヒアルロン酸注入から1年数か月後、再び気になった凹凸を整え、丸みを補うためにボリューマXC 1ccを再注入した症例です。両側の側面・斜位を比べ、残っている立体感を生かしながら必要量と終了点を決める考え方を解説します。
Medical Information
この記事について
- 執筆医・監修医
- 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
- 監修日
- 2026年8月9日
- 公開日
- 2023年3月14日
- 実質更新日
- 2026年8月9日




Contents
目次
1年数か月後の側面で、残る丸みと凹凸を見直します
この症例は、前回のおでこヒアルロン酸注入から1年数か月後に、凹凸ともう少し丸みを出したいという希望に合わせて再注入しました。今回使用した製剤はジュビダームビスタ ボリューマXC、使用量は1ccです。
一方の側面では、上段の再注入前に眉上から前額中央へ移る曲線を確認し、下段の再注入後には中央から生え際側へ続く丸みがなだらかに見えます。前回の形をそのままなぞるのではなく、その時点で光が途切れる位置と最も前方へ出る位置を見直します。
前回より注入しやすく、必要量も少なくなったという症例経過を踏まえ、再注入では時間だけで量を決めず、残っている曲面を基準に不足する範囲を絞ります。
経過した年月だけで再注入量を決めない理由として、ヒアルロン酸をMRIで追跡した報告では、外側顔面・中顔面で27か月後も信号が残る一方、顎では19か月後にほぼ消失し、部位により残り方が異なったとの報告がありました(参考文献3)。
再注入時に前回量をそのまま繰り返さない理由として、ボリューマXCの再治療量は平均3.13mLで、初回と追加を合わせた平均6.8mLのおよそ半分だったとの報告がありました(参考文献4)。
斜位では、前額中央から外側へ続く立体感を比べます
同じ側の斜位では、眉上、前額中央、外側へ続く傾斜を順に見ます。上段の再注入前より、下段の再注入後は中央の光が広がり、外側へ移る途中の影が浅く見えます。
再注入で加える1ccは、前額全体を新しく作り直す量としてではなく、残る立体感へ必要な丸みを足す量として評価します。斜位で前額だけが強く突出して見えない位置を終了点にします。
反対側の側面・斜位でも、左右の丸みと注入後反応を確認します
反対側の側面でも、眉上から前額中央へ続く曲線を比べます。再注入後は中央の丸みが分かりやすくなり、生え際側へ向かう輪郭がなだらかに見えます。
反対側の斜位では、左右でトップの位置と外側の影がそろうかを確認します。下段には小さな注射痕も見えるため、写真上の丸みだけで終了せず、腫れや硬さが落ち着いた再診で同じ方向から凹凸を見直します。
再注入でも、前額の血管と承認範囲を改めて確認します
前額の再注入では、現在の皮膚色と痛み、既往注入による硬さ、滑車上動脈・眼窩上動脈・浅側頭動脈前頭枝が走る範囲を確認します。必要時は超音波を追加の安全確認に用います。
通常と異なる強い痛み、皮膚の青白化・紫色または網目状の変化、急な視力・視野の異常がある場合は、直ちに連絡してください。
今回使用したボリューマXCは国内承認製剤ですが、前額は承認部位に含まれません。製剤の国内承認と、前額への承認範囲外使用を分けて説明します。
前額を再注入する前に血管を確認する理由として、上顔面では血管走行に個人差があり、超音波で前額・こめかみの血管と注入位置を確認することが追加の安全策になるとの報告がありました(参考文献1)。
強い痛み、皮膚色の変化、視覚症状を緊急サインとして扱う理由として、非永久性フィラーの合併症報告では、重度または永続性の合併症に皮膚壊死や視力障害が含まれ、重い合併症は前額を含む上顔面で多く報告されたとの報告がありました(参考文献2)。
ボリューマXCは、成人の中顔面・下顎部・こめかみで減少したボリュームを増大する目的の国内承認製剤です(参考文献5)。前額は承認部位に含まれないため、本症例の前額への再注入は国内承認範囲外です。
Clinical View
診療で確認するポイント
- 前回注入から1年数か月という経過と、今回気になる凹凸・希望する丸みを診察の起点にします。
- 両側の側面では眉上から生え際へ続く曲線、両側の斜位では前額中央から外側へ移る光と影を比べます。
- 今回の1ccは残っている立体感へ必要な丸みを補う量として扱い、前額だけが強く突出しない位置を終了点にします。
- 再注入後は痛み、皮膚色、腫れ、硬さを確認し、反応が落ち着いた再診で同じ方向から凹凸と左右差を見直します。
Comparison
治療選択の比較
| 治療・対応 | 向く状態 | 向かない/慎重な状態 | 回数の目安 | ダウンタイム | 費用(税込) | 承認状況 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ボリューマXC 1ccで前額を再注入する | 前回治療の曲面が残り、局所的な凹凸と丸みを少量で調整したい状態 | 眉間・眼窩周囲、活動性の炎症・感染、容量追加で前額の突出が強く見える状態 | 通常1回後、両側の側面・斜位で再評価 | 痛み、腫れ、圧痛、内出血、頭痛、左右差、凹凸・しこり。まれに血管閉塞・視覚障害 | 1本1cc 77,000円+前額施術料22,000円 | 前額は国内承認範囲外 |
| 再注入せず同じ方向で経過を記録する | 前回治療の曲面が保たれ、気になる凹凸が小さく、変化を見てから量を決めたい状態 | 強い痛み、皮膚色の変化、視力・視野異常など緊急評価が必要な状態 | 必要な時期に側面・斜位を再撮影 | なし | 診察料は診療内容により異なる | 医療機器を使用しない経過観察 |
費用の目安
- ジュビダームビスタ ボリューマXC 1本1cc:77,000円(税込)
- 前額施術料:22,000円(税込)
- 本症例と同じ1cc+前額施術料:99,000円(税込)
- カテラン針使用料:11,000円(税込、使用する場合)
- 残注入:1回3,800円(税込、1回のみ・6か月で破棄)
本症例で確認できる今回使用量はボリューマXC 1ccで、現在の製剤費77,000円と前額施術料22,000円の合計は99,000円です。カテラン針を使用する場合は11,000円が加わります。
リスク・副作用・注意点
- 痛み、発赤、腫れ、圧痛、内出血、頭痛、左右差、凹凸、硬さ・しこり、感染、遅発性の炎症が起こることがあります。
- 血管内への誤注入または血管・神経の圧迫により、血管閉塞、皮膚壊死、視力・視野障害、失明、脳卒中が起こる可能性があります。
- 通常と異なる強い痛み、皮膚の青白化・紫色または網目状の変化、急な視力・視野の異常がある場合は、直ちに連絡してください。
- 前額はボリューマXCの国内承認部位に含まれず、承認範囲外使用による健康被害は医薬品副作用被害救済制度等の対象外となる場合があります。
- 国内承認・適応: ジュビダームビスタ ボリューマXCは、成人の中顔面・下顎部・こめかみにおける減少したボリュームを増大する目的で、皮下または骨膜上深部へ注入する国内承認品です(承認番号22800BZX00338000)。前額は国内承認部位に含まれません。前額への承認範囲外使用による健康被害は、医薬品副作用被害救済制度等の対象外となる場合があります。
Doctor Review
執筆・監修
執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
References
参考にした一次情報・ガイドライン
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Recommendations on Ultrasound-Guided Hyaluronic Acid Soft Tissue Augmentation of the Upper Face in Asians
研究デザイン: アジア人の上顔面に対する超音波ガイド下ヒアルロン酸注入の専門家推奨と解剖学的検討。 / 対象: 韓国・タイ・中国の専門家による討議、41歳韓国人女性の臨床デモ、72歳韓国人男性献体1体を用いた解剖・超音波評価。 / 結果: 前額、こめかみ、上眼瞼で重要な血管と組織層を確認し、血管走行に個人差がある上顔面では超音波による注入前後のマッピングが追加の安全策になり得るとした。 / 限界: 患者成績を比較した臨床試験ではなく、臨床デモと献体は各1例。長期の有効性・合併症率や、本症例のボリューマXC再注入を検証していない。 / 利益相反: 研究資金はLG Chem。著者2人はLG Chemの常勤社員と開示されている。
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Complications of Nonpermanent Facial Fillers: A Systematic Review
研究デザイン: 症例報告37報と後ろ向き研究9報をまとめたシステマティックレビュー。 / 対象: 46報・164人に生じた436件の非永久性フィラー合併症。 / 結果: 436件中273件は軽度または一過性、163件は重度または永続性と分類され、重度例には皮膚壊死46件、視力障害35件などが含まれた。重い合併症は鼻、眉間、前額で多く報告された。 / 限界: 合併症が生じた症例を集めた報告で、注入を受けた全患者を分母とする発生率は算出できない。製剤、部位、注入法、報告内容のばらつきが大きい。 / 利益相反: 著者は本論文に関連する金銭的利益相反なしと申告した。
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Long-term MRI Follow-up of Hyaluronic Acid Dermal Filler
研究デザイン: 連続MRIで顔面ヒアルロン酸の局在と信号変化を27か月まで追跡した症例報告。 / 対象: 中顔面、外側顔面、顎に3回のヒアルロン酸治療を受けた47歳男性1人。 / 結果: 外側顔面・中顔面では27か月後もヒアルロン酸信号が確認され、顎では19か月後にほぼ消失した。追跡中の画像では移動を認めなかった。 / 限界: 単一症例で、製剤・量・注入層・部位が複数にわたり、前額を評価していない。初回・2回目直後のMRIと、MRIに対応する連続臨床写真がない。 / 利益相反: 著者は本論文に関連する金銭的利益相反なしと申告した。
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Volumizing Hyaluronic Acid Filler for Midface Volume Deficit: Results After Repeat Treatment
研究デザイン: 多施設・単盲検・無作為化比較試験の長期追跡後に、希望者へ12〜24か月後または24か月時点で任意の再治療を行った解析。 / 対象: 中顔面ボリューム減少に対してVYC-20Lの再治療を受けた成人167人。 / 結果: 再治療の平均注入量は3.13mLで、初回+追加治療の平均6.8mLのおよそ半分。再治療6・12か月後に1段階以上改善した割合は82.8%・91.1%だった。 / 限界: 中顔面を対象とした任意再治療の解析で、再治療を選んだ患者の自己選択バイアスがある。本症例の前額、前回量、1ccの配分や個人の結果を検証していない。 / 利益相反: Allergan plcが研究を支援。著者に同社の顧問、研究費受領者、講演者、社員・株式保有者を含み、統計解析と編集支援にも同社資金が使われた。
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ジュビダームビスタ ボリューマXC 電子添文
研究デザイン: PMDA公開の国内医療機器電子添文。使用目的、警告、臨床成績、有害事象を収載。 / 対象: 承認目的は成人の中顔面・下顎部・こめかみにおける減少したボリュームの増大。 / 結果: 皮下または骨膜上深部への注入が承認され、血管内注入は禁止されている。眉間・眼窩周囲は適用部位に含まれず、視力異常、皮膚青白化、異常な痛みがあれば直ちに注入を止めるよう警告している。 / 限界: 電子添文は前額への使用、本症例1ccの配分、前回注入内容、写真上の変化を検証した研究ではない。 / 利益相反: 製造販売業者アッヴィ合同会社の承認製品電子添文である。
よくあるご質問
Q. この症例は、前回注入からどのくらい後に再注入しましたか?
前回のおでこヒアルロン酸注入から1年数か月後です。凹凸が再び気になり、もう少し丸みを出したいという希望に合わせて再評価しました。
Q. 今回の再注入では、どの製剤を何cc使いましたか?
ジュビダームビスタ ボリューマXCを前額に1cc使用しました。再注入時の側面・斜位で残っている曲面を確認し、必要な丸みを補いました。
Q. 再注入では、初回より必要量が少なくなることがありますか?
この症例では前回より必要量が少なくなりました。再注入前に残っている立体感と現在の凹凸を見直し、その時点で必要な範囲から量を決めます。
Q. 再注入後は、どこを見て仕上がりを確認しますか?
両側の側面で眉上から生え際へ続く曲線を、斜位で前額中央から外側へ移る光と影を確認します。腫れや硬さが落ち着いた再診でも同じ方向から比較します。
Q. この症例と同じ1ccの料金と承認状況を教えてください。
現在料金はヒアルロン酸1本77,000円と前額施術料22,000円の合計99,000円(税込)です。カテラン針を使用する場合は11,000円が加わります。ボリューマXCは国内承認製剤ですが、前額への使用は国内承認範囲外です。
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