痩せ顔のフェイスラインではHIFUよりヒアルロン酸が向くことがある理由
痩せ顔でフェイスラインがぼやけるときは、HIFUを重ねるより、頬や下顎の支持をヒアルロン酸で補う方が輪郭を整えやすいことがあります。ボリューマ4ccで頬・顎のラインを整えた症例から、残す部位と補う部位の見極めを解説します。
Medical Information
この記事について
- 執筆医・監修医
- 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
- 監修日
- 2026年8月9日
- 公開日
- 2022年11月27日
- 実質更新日
- 2026年8月9日



Contents
目次
ボリューマ4ccで頬から顎のラインを整えた症例です
顔の脂肪が少なく、フェイスラインのたるみを気にして他院でHIFU(ハイフ)を受けていた方です。治療前は頬の容量が少なく、正面で頬から下顎へ続く輪郭の影が目立っていたため、ボリューマを合計4cc使用しました。
正面のBefore・Afterでは、頬の影がやわらぎ、頬から顎へ続く外側のラインがなめらかに見えます。皮膚を引き上げる量を増やしたのではなく、足りない支持を補うことで、顔が引き上がったように見える変化を目指した症例です。
痩せ顔では、残す脂肪とHIFUを使う範囲を先に決めます
斜めからは、前頬と外側頬の厚み、頬骨下のくぼみ、口横の影、下顎縁の連続性を確認します。指でつまめる脂肪が少ない頬中央・下頬は容量を保ち、顎下など厚みとゆるみが確認できる範囲へHIFUの役割を限定します。
皮膚のゆるみが主であれば、照射する深さと範囲を合わせてHIFUを用います。頬の容量不足と下顎縁の支持低下が主であれば、熱治療を追加する前に、ヒアルロン酸で補う位置と量を設計します。
HIFUを皮膚のゆるみへ選ぶときの効果の目安として、90日後の医師評価で92%に引き締めまたはしわの改善がみられ、患者評価は90日42%、360日53%だったとの報告がありました(参考文献1)。
足りない支持を補うと、フェイスラインが上がったように見えます
反対側の斜め顔でも、治療前は頬の平坦さと下顎縁へ続く影があり、治療後は頬から顎までの輪郭がつながって見えます。頬の支持が戻ると外側の影が短くなり、皮膚を強く引っ張らなくても引き上がった印象になります。
診察では、骨格、皮下脂肪、靱帯の支持、表情筋、皮膚の順に見て、ヒアルロン酸を補う部位とHIFUを使う部位を決めます。複数の治療を行う場合は、先の治療による腫れや硬さが落ち着いてから輪郭を再評価します。
顔全体の層を先に評価して治療順を決める理由として、骨・脂肪・靱帯・筋肉・皮膚の加齢変化を評価することと、局所反応が落ち着いてから結果を判定することに100%の合意が得られたとの報告がありました(参考文献2)。
4ccは頬と下顎のつながりを見ながら配分します
この症例ではボリューマを合計4cc使用しました。正面だけで左右差を合わせるのではなく、両側の斜め顔で頬の高さ、口元との前後関係、下顎縁へ続く線を見て、全顔のバランスを整えます。
ボリューマXCは、成人の中顔面、下顎部、こめかみにある減少したボリュームを増大する目的で、皮下または骨膜上深部へ使用する国内承認製品です。必要量は顔の幅、皮膚の厚み、既存フィラー、左右差を踏まえて決めます。
頬の支持不足へボリューマXCを選ぶ根拠として、6か月後に中顔面のボリュームが1段階以上改善した割合は85.6%で、未処置の38.9%を上回り、24か月後も67.1%に改善が残ったとの報告がありました(参考文献3)。
腫れが落ち着いた後に、頬の重さと下顎線を再評価します
注入直後は腫れ、赤み、内出血、圧痛、硬さが重なるため、落ち着いた時点で頬が重く見えないか、左右の高さが合っているか、下顎縁の線が自然につながるかを確認します。
強い痛み、皮膚が白色・紫色になる変化、視界の異常がある場合は、血管障害の可能性があるため直ちに連絡が必要です。硬さやしこりが長引く場合も、追加注入より先に診察します。
Clinical View
診療で確認するポイント
- 当院では、正面と左右の斜め顔で、前頬・外側頬の容量、頬骨下のくぼみ、口横の影、下顎縁の連続性を確認し、頬中央と顎下を触って脂肪の厚みを比べます。
- 脂肪が少ない頬は容量を保ち、皮膚のゆるみと厚みがある範囲へHIFUを配分します。頬・下顎の支持不足が主であれば、ヒアルロン酸を先に行い、腫れが落ち着いた後に熱治療の必要性を再評価します。
- この症例ではボリューマ4ccで頬から下顎へ続く支持を補い、正面の細さを保ちながら、両側の斜め顔でフェイスラインが自然につながる量を選びました。
Comparison
治療選択の比較
| 治療・対応 | 向く状態 | 向かない/慎重な状態 | 回数の目安 | ダウンタイム | 費用(税込) | 承認状況 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ヒアルロン酸(ボリューマXC) | 痩せ顔で前頬・外側頬・下顎部の容量と支持が不足し、影でフェイスラインがぼやける状態 | 頬や顎下の脂肪・皮膚余剰が主な状態、活動性の炎症・感染がある部位、容量追加で下顔面が重く見える状態 | 通常1回。腫れ・硬さが落ち着いた後に左右差と追加の必要性を再評価 | 痛み、赤み、腫れ、内出血、圧痛、硬さ、しこり、凹凸、左右差。まれに血管閉塞、皮膚壊死、視覚障害、脳卒中 | 1本1cc 77,000円。本症例と同量の4ccは薬剤料308,000円 | 要確認 |
| HIFU(ウルトラセルZi) | 皮膚のゆるみ、顎下・下頬に確認できる脂肪の厚みが輪郭をぼかす状態 | 頬の容量不足と下顎縁の支持不足が主な状態、つまめる脂肪が少なく容量を保ちたい頬中央・下頬 | オーダーメイドHIFUは1回後に経過を評価。ハイフリニアは2〜4週間間隔で3回が目安 | 痛み、赤み、熱感、腫れ、圧痛、しびれ。まれに熱傷、水疱、神経症状、意図しない脂肪減少 | 全顔+首128,000円。ハイフリニアは顎下33,000円/頬33,000円 | 要確認 |
費用の目安
- ヒアルロン酸注入:1本1cc 77,000円
- 本症例と同量の4cc:薬剤料308,000円(77,000円×4本)
- カテラン針使用料:11,000円(使用する場合)
- オーダーメイドHIFU 全顔+首:128,000円
- ハイフリニア:顎下33,000円/頬33,000円
自由診療・税込です。使用する本数、針・カニューレ、治療範囲により総額が変わります。
リスク・副作用・注意点
- ボリューマXCでは、痛み、発赤、腫れ、内出血、圧痛、硬さ、しこり、凹凸、左右差、感染、アレルギー、遅発性結節が生じることがあります。
- ヒアルロン酸の血管内注入や組織圧迫では、血管閉塞、皮膚壊死、視力障害・失明、脳卒中など、まれでも重い合併症が起こり得ます。
- HIFUでは、痛み、赤み、熱感、腫れ、圧痛、しびれが生じ、まれに熱傷、水疱、神経症状、色素変化、意図しない脂肪減少が起こることがあります。
- 国内承認・適応: ジュビダームビスタ ボリューマ XCは、成人の中顔面、下顎部、こめかみにある減少したボリュームを増大する目的で、皮下または骨膜上深部へ注入する国内承認製品です(承認番号22800BZX00338000)。当院で使用するHIFU機器ウルトラセルZiは美容目的では国内未承認で、医師が輸入・使用しています。未承認機器による健康被害は医薬品副作用被害救済制度等の対象外となる場合があります。
痩せ顔では、熱を届ける範囲と残す容量を先に決めます。注入後の強い痛み、皮膚色の変化、視界の異常がある場合は直ちに連絡してください。
Doctor Review
執筆・監修
執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
References
参考にした一次情報・ガイドライン
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A Systematic Review of the Efficacy of Microfocused Ultrasound for Facial Skin Tightening
研究デザイン: 無作為化比較試験、比較試験、コホート研究、10人以上の症例系列を対象とした16研究の系統的レビュー / 対象: 全研究の参加者は女性。90日後の医師評価GAISの統合対象は337人、患者評価は81人。 / 結果: 90日後の医師評価では92%に引き締めまたはしわの改善があり、患者評価は90日42%、360日53%だった。眉毛挙上量は0.47〜1.7mm、顎下領域は側面写真で26〜45mm2減少したとの報告がありました。 / 限界: 機器、照射設定、部位、評価法が不均一で、参加者は女性に限られ、男性と長期成績のデータが少ない。強いたるみやBMI 30超では反応が乏しい傾向がある。痩せ顔の脂肪を保つ具体的照射範囲、ボリューマとの直接比較、この症例の選択を検証していない。外部資金なし、著者は利益相反なしと記載。原著全文を2026年8月8日に再確認した。
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PAN-ASIAN CONSENSUS—Key Recommendations for Adapting the World Congress of Dermatology Consensus on Combination Treatment with Injectable Fillers, Toxins, and Ultrasound Devices in Asian Patients
研究デザイン: アジア人の顔面美容治療について、解剖評価とフィラー、ボツリヌストキシン、MFU-Vの組み合わせ・順序を投票した専門家コンセンサス / 対象: アジア各地域の専門医11人。90%以上を強い合意、70〜90%を中等度の合意と定義した。 / 結果: 骨、脂肪、靱帯、筋肉、皮膚の解剖と加齢変化の評価、個別計画、過剰治療の回避、局所反応が落ち着いてからの結果判定はいずれも100%合意だった。下顎線の美容目的ではフィラー後に必要に応じてMFU-V等を行う順序に77.78%の合意があったとの報告がありました。 / 限界: 患者を比較した臨床試験ではなく、患者アウトカムの効果量を示さない。下顎線の早期介入では総合合意に至らず、ボリューマ4cc、痩せ顔、他院HIFU後という条件を検証していない。外部資金なし。一部著者はAllergan、Galderma、Merz等の講演・助言・研究に関する関係を申告している。原著全文を2026年8月8日に再確認した。
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ジュビダームビスタ ボリューマ XC 電子添文・臨床成績
研究デザイン: 米国で行われた多施設共同、単盲検、無作為、未処置対照の前向き臨床試験。中顔面3領域へ注入し、必要に応じて約1か月後にタッチアップ、最長24か月まで追跡した。 / 対象: 加齢による中顔面のボリューム減少がある35〜65歳。主要6か月解析は処置群208人、未処置対照36人。処置を受けた安全性集団は270人。 / 結果: 6か月後の医師MFVDS奏効率は処置群85.6%、未処置対照38.9%、差46.7ポイントだった。1段階以上の改善は9か月86.6%、12か月85.2%、18か月71.5%、24か月67.1%に認められたとの報告がありました。 / 限界: 主要比較は中顔面を対象に6か月までで、下顎部の比較臨床結果、この症例の頬・顎への4cc配分、他院HIFU後の効果、HIFUとの優劣を検証していない。承認申請資料に含まれる企業提出試験で、独立したCOI記載は電子添文にない。電子添文を2026年8月8日に再確認した。
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医療広告ガイドライン
自由診療の費用、主なリスク・副作用、未承認機器等の表示を確認する公的資料です。
よくあるご質問
Q. 痩せ顔では、なぜHIFUよりヒアルロン酸が向くことがあるのですか?
頬や下顎の容量・支持が少ない場合は、熱を重ねるより、足りない支えを補う方が頬から顎へ続く影を整えやすいためです。HIFUは顎下など脂肪の厚みや皮膚のゆるみが確認できる範囲へ配分します。
Q. この症例では、どこを見てボリューマ4ccを選びましたか?
正面と左右の斜め顔で、頬の容量、頬骨下のくぼみ、口横の影、下顎縁の連続性を確認しました。合計4ccを頬と顎のラインへ用い、全顔の細さを保ちながら輪郭をつなげています。
Q. 以前にHIFUを受けていてもヒアルロン酸治療はできますか?
できます。HIFU後の腫れ・圧痛・しびれが落ち着き、現在の頬の容量と下顎縁を評価できる時点で、補う部位と量を決めます。HIFUの機器名、照射日、部位が分かる記録があれば診察時にお持ちください。
Q. ボリューマ4ccとHIFUの費用はいくらですか?
ヒアルロン酸は1本1cc 77,000円で、本症例と同量の4ccは現在の薬剤料で308,000円です。カテラン針を使用する場合は11,000円です。オーダーメイドHIFU全顔+首は128,000円、ハイフリニアは顎下33,000円、頬33,000円です。
Q. ボリューマXCとHIFUの承認・リスクはどう違いますか?
ボリューマXCは国内承認製品です。注入では腫れ、内出血、硬さ、しこり、凹凸、感染があり、まれに血管閉塞、皮膚壊死、視覚障害、脳卒中が起こり得ます。当院のウルトラセルZiは国内未承認で、HIFUでは痛み、赤み、腫れ、しびれ、まれに熱傷、神経症状、意図しない脂肪減少があります。未承認機器は救済制度の対象外となる場合があります。
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