たるみ治療でHIFUを先行し、その後ヒアルロン酸を組み合わせる考え方
2か月間にハイフリニア3回を行い、3回目の治療時にボラックス3ccを組み合わせたフェイスライン症例です。最初の2回で二重顎と下顎線のもたつきを減らし、再評価後に残る輪郭の支持不足をボラックスで補いました。正面と斜位の写真から治療順序を解説します。
Medical Information
この記事について
- 執筆医・監修医
- 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
- 監修日
- 2026年8月9日
- 公開日
- 2022年10月6日
- 実質更新日
- 2026年8月9日



Contents
目次
2か月でハイフリニア3回とボラックス3ccを実施
1枚目は、すべての施術前と2ヶ月後の比較です。この期間にハイフリニアを3回行い、ヒアルロン酸製剤のボラックスを合計3cc使用しました。治療後は、正面で下顎の輪郭が見えやすくなり、二重顎と下顔面の丸みが目立ちにくくなっています。
この症例では、最初からボリュームを足すのではなく、まずハイフリニアで顎下からフェイスラインのもたつきを治療しました。輪郭を覆っていたボリュームを先に減らすことで、下顎線のどこに凹みや支持不足が残るかを再評価してから、ボラックスの必要量を決めています。
写真は、1枚目左の初回、2・3枚目左のハイフリニア2回後、1枚目右と2・3枚目右の3回目+注入後という3時点で比較できます。最初の変化を顎下ボリュームの減少、最後の変化を残る輪郭への支持補充として分けることで、HIFUとヒアルロン酸の役割が読み取れます。
最初の2回で二重顎と下顎線を先に整えます
2枚目の左は、ヒアルロン酸注入前かつハイフリニア3回目の前です。1枚目の施術前写真と見比べると、この時点までのハイフリニア2回で、ぼやけていた下顎線が現れ、二重顎が目立ちにくくなった経過を確認できます。
正面では、顎下のボリューム、左右のフェイスライン、口横のもたつき、顎先から下顎角へ続く線を別々に見ます。顎下の厚みと皮膚のゆるみが輪郭を隠している部分には熱治療を先行し、減らしたくない頬のボリュームや下顎骨の支持不足には照射範囲を広げません。
2枚目の右は、ハイフリニア3回目とボラックス3ccによる治療後です。先行治療で得られた下顎線を基準に、残る輪郭の不連続をヒアルロン酸で補うことで、正面から見た下顔面がよりシャープにつながっています。
二重顎のボリュームへHIFUを先行する理由として、3層HIFUを1回行うと、8週後に62.5%が医師評価で1段階以上改善し、67.5%が顔と顎の見た目に満足したとの報告がありました(参考文献3)。
HIFU後の輪郭を経時的に再評価する理由として、患者自身が改善を認めた割合は90日後で42%、360日後で53%となり、変化を時間を置いて評価する必要があるとの報告がありました(参考文献1)。
3回目のHIFU後、残るフェイスラインの支持をボラックスで補います
3枚目は斜位で、左がヒアルロン酸注入前・ハイフリニア3回目前、右が両施術後です。治療後は顎下から下顎縁へ続く線が見えやすくなり、写真中の矢印はこの変化を示しています。
ヒアルロン酸は、脂肪を減らす治療ではなく、下顎輪郭の凹みや骨格支持の不足を補う治療です。この症例ではボラックス3ccをフェイスラインの形成に使用し、正面だけでなく斜位で顎下の線、口横のふくらみ、顎先との連続を確認しました。
注入では、顔面動脈とその分枝の走行、過去の注入、左右差を確認し、部位に応じた層へ少量ずつ配置します。強い痛み、白色・網状の皮膚変化、見えにくさが生じた場合は血管閉塞を疑い、直ちに診察と処置を行います。
先行HIFU後に残る下顎輪郭の支持不足へボラックスを用いる理由として、下顎線の形と骨格感をフィラーで整え、ゆるみがあれば超音波治療を組み合わせる方法が推奨されたとの報告がありました(参考文献2)。
Clinical View
診療で確認するポイント
- 正面と斜位で、顎下の厚み、皮膚のゆるみ、口横のもたつき、下顎骨に沿う凹みを分け、先に減らす部位と残すボリュームを地図にします。
- 顎下の厚みやゆるみが下顎線を隠している場合はハイフリニアを先行し、各回の写真で顎下から下顎角までの線がどこまで現れたかを確認します。
- 再評価後も下顎輪郭が途切れる部位には、支持力のあるボラックスを少量ずつ配置し、3ccを一か所へ集めず正面と斜位の連続性をそろえます。
- 追加注入前には顔面動脈の走行、既往注入、しこり、左右差を確認し、血管閉塞時にすぐヒアルロニダーゼ等の処置へ移れる体制で行います。
Comparison
治療選択の比較
| 治療・対応 | 向く状態 | 向かない/慎重な状態 | 回数の目安 | ダウンタイム | 費用(税込) | 承認状況 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| HIFU | 診察で主因と治療層が一致し、期待できる変化と限界を理解できる状態 | 活動性炎症・感染、強い日焼け、妊娠等で安全条件を満たさない場合 | 施術内容と反応により1回または複数回 | 施術により赤み・腫れ・内出血・痂皮など | ハイフリニア 顎下 ¥33,000 / 頬 ¥33,000 / 目周り ¥27,000 | 製品・機器と使用目的により異なるため、販売名・承認番号・承認範囲をPMDAで照合 |
| 外科的リフト/切除 | 皮膚余剰が強く、変化量を優先 | 手術侵襲を許容できない場合 | 通常1回 | 腫れ・内出血・瘢痕。完成まで数か月 | 術式により異なる | 手術手技は機器承認とは別に説明 |
| 治療を急がず経過観察 | 診断が未確定、症状が軽い、生活要因の調整を先に評価できる状態 | 急速な悪化、出血・潰瘍、感染、視機能障害など早期評価が必要な状態 | 必要時に再診 | なし | 診察料・検査料は診療区分により異なる | 医薬品・医療機器を使用しない場合は該当なし |
費用の目安
- ハイフリニア 顎下 ¥33,000 / 頬 ¥33,000 / 目周り ¥27,000
- ヒアルロン酸注入 1本 1cc ¥77,000
HIFUの回数、照射範囲、必要なヒアルロン酸量で費用は変わります。段階的に組み合わせる場合は時期も含めて診察時にご案内します。
リスク・副作用・注意点
- HIFUでは、ヒリつき、熱感、赤み、腫れが出ることがあります。
- ヒアルロン酸では、痛み、腫れ、内出血、左右差、血流障害などに注意が必要です。
- 複数治療を段階的に行う場合は、各治療のダウンタイムと評価時期を分けて考える必要があります。
- 国内承認・適応: 製品・機器と使用目的により異なるため、販売名・承認番号・承認範囲をPMDAで照合
組み合わせ治療では、何を先に整えるかで仕上がりの読みやすさが変わります。診察では経過確認のタイミングまで含めて説明しています。
Doctor Review
執筆・監修
執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
References
参考にした一次情報・ガイドライン
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Efficacy and safety of microfocused ultrasound for facial rejuvenation: a systematic review
研究デザイン: 無作為化比較試験、比較試験、コホート研究、10人以上の症例系列を対象とした16研究の系統的レビュー / 対象: 全研究の参加者は女性。90日後の医師評価GAISの統合対象は337人、患者評価は81人。 / 結果: 90日後の医師評価では337人中92%に引き締めまたはしわの改善があり、患者評価は90日42%、360日53%だった。 / 限界: 機器、照射設定、部位、評価法が不均一で、男性と長期成績のデータが限られる。ハイフリニア3回やヒアルロン酸との順序・併用効果を検証していない。
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Pan-Asian consensus recommendations for facial aesthetic treatment
研究デザイン: アジア人の上・中・下顔面に対するフィラー、ボツリヌストキシン、MFU-Vの使い分けと順序を検討した専門家コンセンサス / 対象: アジア各地域の専門医11人。70〜90%の賛同を中等度、90%以上を強い合意と定義した。 / 結果: 下顎線では、フィラーで形と骨格感を整え、ゆるみなどの所見に応じてMFU-Vやボツリヌストキシンを組み合わせることが推奨された。 / 限界: 患者を比較した臨床試験ではなく専門家合意で、部位と目的によって治療順序の合意度が異なる。利益相反があり、本症例のHIFU先行、ボラックス3cc、2か月の治療計画を検証していない。
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医療機器の承認審査に関する情報
研究デザイン: 単群前向き臨床研究。3.0・4.5・6.0mmの焦点深度を用いた3層HIFUを1回行い、8週後に医師・患者評価と3D画像で判定した。 / 対象: 中等度または重度の顎下脂肪がある韓国人40人。 / 結果: 8週後、CR-SMFRSが1段階以上改善した医師評価の反応率は62.5%、顔と顎の見た目に満足した割合は67.5%だった。3D画像解析も臨床所見と一致した。 / 限界: 対照群のない40人・単回・8週の研究で、韓国人以外や長期成績への一般化に限界がある。本症例の機器、3回治療、ボラックス併用順序を検証していない。原著全文は取得できず、PubMed抄録を確認した。
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医療広告ガイドライン
自由診療の費用、主なリスク・副作用、未承認機器等の表示を確認する公的資料です。
よくあるご質問
Q. この症例では、HIFUとヒアルロン酸をどの順番で行いましたか?
2か月間にハイフリニアを3回行いました。最初の2回で顎下とフェイスラインの変化を確認し、3回目の治療時にボラックス3ccを組み合わせています。1枚目は全施術前と全施術後、2・3枚目は3回目と注入の前後です。
Q. なぜ先にハイフリニアを行うのですか?
顎下の厚みや皮膚・皮下組織のゆるみで下顎線が隠れている場合、先に熱治療で輪郭を整えると、残る凹みや骨格支持の不足が分かりやすくなるためです。頬がこけている場合など、減らす治療を先行しない方がよいこともあります。
Q. ボラックス3ccは全員に必要ですか?
3ccはこの症例で使用した総量です。顎先、下顎縁、口横などのどこに支持不足があるか、顔幅、左右差、既往注入を確認し、必要量を部位ごとに決めます。
Q. HIFUとボラックスの承認状況・主なリスクは?
現在当院が用いるHIFU機器のウルトラセルZiは、美容目的では国内未承認です。ボラックスXCは国内承認製品(承認番号30200BZX00254000)です。HIFUでは赤み、腫れ、痛み、しびれ、熱傷、注入では内出血、腫れ、1〜2か月程度のしこり感、まれに血管閉塞があります。未承認機器は医薬品副作用被害救済制度の対象外となる可能性があります。
Q. 現在の料金はいくらですか?
現行総合料金表では、ハイフリニア顎下は1回33,000円なので3回99,000円、ボラックスは1cc 77,000円なので3cc 231,000円、同じ内容なら計330,000円が計算例です。頬など照射部位を追加する場合は、その部位の料金が加わります。
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