クマとほうれい線を少量のヒアルロン酸で整える前にHIFUを先行する考え方
皮膚・脂肪のたるみにHIFUリニア3回とHIFUリフトを先行し、その後も残った目の下のクマとほうれい線へボリューマXCを合計2cc注入した症例です。正面と両斜位で、顔の中央に落ちる影が浅くなった変化を確認します。
Medical Information
この記事について
- 執筆医・監修医
- 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
- 監修日
- 2026年8月9日
- 公開日
- 2022年8月21日
- 実質更新日
- 2026年8月9日




Contents
目次
HIFUでたるみを先に整え、残った凹みへ2ccを配分
この症例では、皮膚と脂肪のたるみにHIFU(ハイフ)リニアを3回行い、HIFUリフトも先行しました。その反応を確認した後、正面で残った目の下のクマとほうれい線の凹みに、ジュビダームビスタ ボリューマXCを合計2cc使用しています。
下顔面の厚みや皮膚弛緩を照射で先に整えると、注入で補う対象を涙溝から前頬へ続く段差と、鼻翼基部から口元へ落ちる影へ絞れます。正面では治療後に顔の中央の影が薄くなり、輪郭の大きさを変えなくても顔全体がコンパクトに見えます。
下顔面の厚みと皮膚弛緩を先に整える理由として、HIFU治療の90日後には、盲検評価で58.1%、三次元計測で63.6%、本人評価で65.6%に下顔面・頸部の引き締まりがみられたとの報告がありました(参考文献1)。
同じ倍率で、顔の大きさではなく影の変化を見る
眉、目、口元、あごの高さに赤い補助線を引くと、治療前後の写真は同じ倍率であることが分かります。治療後に小さく見える理由は写真の縮小ではなく、目の下とほうれい線にあった暗い境界が浅くなり、頬から口元の面が連続して見えるためです。
目の下は、脂肪の突出そのものより涙溝や前頬の凹みが影の中心であれば、残存する段差を少量のヒアルロン酸で支えます。ほうれい線も溝だけへ足すのではなく、鼻翼基部と前頬の支持を正面・斜位で見て2ccの配分を決めます。
HIFU後も残る涙溝の凹みをヒアルロン酸で支える理由として、3か月時点の改善率が注入群87.4%、無治療群17.7%で、12か月時点も63.5%が改善を保ったとの報告がありました(参考文献2)。
斜位で涙溝・前頬・ほうれい線を一続きに評価
一方の斜位では、目の下から前頬へ下る段差と、鼻翼基部からほうれい線へ続く影を同時に比べます。治療後は下眼瞼から頬への移行がなめらかになり、ほうれい線上部の影も浅く見えます。
目の下とほうれい線は近接して見えても、眼窩下動脈と顔面動脈の分枝が走る別の注入領域です。刺入位置と注入層を部位ごとに設計し、皮膚色、痛み、毛細血管再充満、視機能の変化を確認しながら少量ずつ進めます。
目の下とほうれい線で刺入位置・注入層を分ける理由として、眼窩下動脈の鼻枝・口唇枝が確認され、外側鼻部では57.1%に顔面動脈との吻合、19.4%に左右の顔面動脈の優位差があったとの報告がありました(参考文献3)。
反対側の斜位まで比べ、追加より先に再評価
反対側の斜位でも、治療後は目の下から前頬へ続く影と、鼻翼基部から口元へ伸びる溝が浅くなっています。正面と左右の斜位をそろえることで、片側の照明だけに左右されず、中顔面の立体的なつながりを確認できます。
使用製剤はジュビダームビスタ ボリューマXC、総使用量は2ccです。注入後は約1週間の内出血、触れたときのしこり感が約1〜2か月続くことがあります。腫れが落ち着いた後に両斜位の段差と左右差を再評価し、必要な場合だけ次の治療を検討します。
ボリューマXCの国内添付文書では、承認目的は中顔面・下顎部・こめかみの減少したボリュームを皮下または骨膜上深部から補う使用で、眼窩周囲には注入しないこと、血管内注入を避けるため少量ずつゆっくり注入することが記載されています(参考文献4)。
Clinical View
診療で確認するポイント
- 最初に正面・両斜位で、顎下から下顔面の厚みと皮膚弛緩、前頬の支持、涙溝、ほうれい線を別々に評価します。下顔面のもたつきに対して照射を先行できれば、ヒアルロン酸で補う凹みを顔の中央へ絞れます。
- この症例ではHIFUリニア3回とHIFUリフトの反応後、残った目の下とほうれい線へボリューマXCを合計2cc使用しました。輪郭を大きくする注入ではなく、涙溝から前頬、鼻翼基部から口元の影を浅くする配分で全顔の凹凸を整えます。
- 注入直後の腫れで追加量を決めず、正面で影の濃さ、両斜位で下眼瞼から頬・鼻翼基部への連続性がそろうかを経過後に見直します。
Comparison
治療選択の比較
| 治療・対応 | 向く状態 | 向かない/慎重な状態 | 回数の目安 | ダウンタイム | 費用(税込) | 承認状況 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| HIFUを先行 | 顎下・下顔面の厚みや皮膚弛緩があり、凹みへの注入量を先に絞りたい状態 | 涙溝やほうれい線の局所的な凹みが中心で、照射する厚みが少ない状態 | この症例はHIFUリニア3回とHIFUリフト。照射範囲・間隔は部位ごとに設定 | 赤み、熱感、圧痛、腫れ、一時的なしびれ。まれに熱傷、神経障害、意図しない脂肪減少 | HIFUリニア 顎下・頬 各33,000円、目周り27,000円(税込) | 要確認 |
| HIFU後にヒアルロン酸2cc | 照射後も涙溝から前頬、鼻翼基部から口元の凹みが影として残る状態 | 眼窩脂肪の突出、浮腫、色素・血管性のクマが中心で、容量追加が原因に合わない状態 | 通常1回。この症例はボリューマXCを合計2cc | 腫れ、痛み、約1週間の内出血、約1〜2か月のしこり感。まれに血管閉塞 | ボリューマXC 2本・合計2cc 154,000円(税込) | 要確認 |
| 経過後の再評価 | 腫れが落ち着いた後に正面・両斜位で残る影と左右差を確認する時期 | 強い痛み、皮膚色の異常、視機能変化があり、緊急処置を優先する状態 | HIFUの反応後と、注入後の腫れが落ち着いた時点に評価 | 診察のみなら追加ダウンタイムなし | 追加施術を行わない場合は施術費なし | 要確認 |
費用の目安
- ジュビダームビスタ ボリューマXC 2本・合計2cc 154,000円(税込)
- HIFUリニア 顎下 33,000円、頬 33,000円、目周り 27,000円(税込)
- オーダーメイドHIFU 全顔+首 128,000円(税込)
症例で使用したボリューマXCは合計2ccです。HIFUは照射部位の記録に応じて料金が変わり、症例のHIFU総額は特定していません。
リスク・副作用・注意点
- HIFU:痛み、熱感、赤み、腫れ、圧痛、一時的なしびれ。まれに熱傷、神経障害、意図しない脂肪減少
- ヒアルロン酸注入:痛み、腫れ、内出血、左右差、凹凸、しこり、感染、遅発性炎症
- ヒアルロン酸注入でまれに起こる血管閉塞、皮膚壊死、視力・視野障害、失明、脳梗塞
- 国内承認・適応: ジュビダームビスタ ボリューマXCは医療機器承認番号22800BZX00338000の承認製剤で、成人の中顔面・下顎部・こめかみの減少したボリュームを皮下または骨膜上深部から補う使用が承認範囲です。眼窩周囲への直接注入は添付文書で禁止され、ほうれい線への直接注入も承認目的には含まれません。当院のUltraCell ZiによるHIFUは国内未承認機器を医師が個人輸入して使用する自由診療で、韓国MFDSの承認があります。国内に同一性能の承認機器はなく、医薬品副作用被害救済制度等の対象外となる場合があります。
症例説明にある約1週間の内出血、約1〜2か月のしこり感を保持し、眼窩下・鼻翼周囲の血管閉塞症状を補った。
Doctor Review
執筆・監修
執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
References
参考にした一次情報・ガイドライン
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Evaluation of a microfocused ultrasound system for improving skin laxity and tightening in the lower face
研究デザイン: 前向き非無作為化臨床試験。三次元写真を3人の盲検評価者が判定し、定量解析と本人評価を併用 / 対象: 下顔面・頸部の弛緩にMFU-Vを1回行った成人103人。90日評価は93人 / 結果: 90日後、盲検評価で58.1%、三次元計測で63.6%、本人評価で65.6%に改善がみられたとの報告がありました。 / 限界: Ulthera Systemの単回治療で無治療対照がなく、この症例のHIFUリニア3回・HIFUリフト、脂肪厚、ヒアルロン酸併用順序は評価していない。BMI 30超では反応が乏しい傾向があり、PubMed抄録で確認できる範囲では資金・利益相反の記載を確認できなかった。
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A Multicenter, Randomized, Evaluator-Blinded Study to Examine the Safety and Effectiveness of Hyaluronic Acid Filler in the Correction of Infraorbital Hollows
研究デザイン: 多施設無作為化・評価者盲検・無治療対照試験 / 対象: 中等度〜重度の眼窩下凹み333人。Restylane Eyelightを針またはカニューレで注入し、必要時は1か月時点で追加 / 結果: 3か月時点の改善率は注入群87.4%、無治療群17.7%。12か月時点は63.5%が改善を保ち、40人(12.7%)に主に軽度の治療関連有害事象があったとの報告がありました。 / 限界: Restylane Eyelightを用いた企業支援試験で、ボリューマXC、中顔面支持とほうれい線への配分、HIFU併用は評価していない。Galdermaが研究とメディカルライティングを資金提供し、複数著者が同社の従業員・コンサルタント・講演者である。
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Topographic Anatomy of the Infraorbital Artery and Its Clinical Implications for Nasolabial Fold Augmentation
研究デザイン: 解剖学的研究 / 対象: 眼窩下動脈の分枝・走行層と顔面動脈との関係を標本で検討 / 結果: 眼窩下動脈の眼瞼枝は34.7%、鼻枝・口唇枝は100%で確認され、外側鼻部では57.1%に顔面動脈との吻合、19.4%に左右の顔面動脈の優位差があったとの報告がありました。 / 限界: 標本を用いた解剖研究で、個々の患者の血管位置、使用製剤・注入手技ごとの合併症率を示す臨床試験ではない。PubMed抄録で確認できる範囲では資金・利益相反の記載を確認できなかった。
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ジュビダームビスタ ボリューマXC 添付文書
研究デザイン: 国内承認医療機器の添付文書 / 対象: 成人の中顔面・下顎部・こめかみにおける減少したボリュームの補整 / 結果: 皮下または骨膜上深部へ使用する承認製剤。眼窩周囲への注入を禁止し、血管内注入を避けて少量ずつゆっくり注入することを警告・注意として記載している。 / 限界: 承認範囲と安全上の注意を示す公的文書で、この症例の目の下・ほうれい線への配分量やHIFU併用効果を検証する臨床研究ではない。
よくあるご質問
Q. この症例では、HIFUとヒアルロン酸をどの順番で行いましたか?
HIFUリニアを3回行い、HIFUリフトも先行しました。その反応後に残った目の下の凹みとほうれい線へ、ヒアルロン酸を合計2cc注入しています。
Q. 使用した製剤と量はどのくらいですか?
ジュビダームビスタ ボリューマXCを、目の下のクマをつくる凹みとほうれい線へ合計2cc使用しました。2部位それぞれの配分量、注入層、針・カニューレの別は固定せず、診察所見に合わせます。
Q. HIFUを先に行うのはどのような場合ですか?
顎下や下顔面の厚み、皮膚弛緩があり、凹みを埋めるだけでは顔が重く見える場合です。照射の反応後に残る涙溝やほうれい線を見直し、必要な部分へ少量を配分します。
Q. ボリューマXCは目の下やほうれい線に承認されていますか?
国内承認は、成人の中顔面・下顎部・こめかみの減少したボリュームを、皮下または骨膜上深部から補う使用です。眼窩周囲へ直接注入しないことが添付文書に記載され、ほうれい線への直接注入も承認目的には含まれません。中顔面の支持を補う使用と、承認範囲外の部位への使用を分けて説明します。
Q. 治療後にすぐ連絡が必要な症状はありますか?
内出血は約1週間、触れたときのしこり感は約1〜2か月続くことがあります。一方、強く増す痛み、皮膚の白色化や紫色のまだら、急な見えにくさ・視野異常がある場合は、血管閉塞の可能性があるため直ちに連絡が必要です。
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