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涙袋ヒアルロン酸6か月後の症例|自然に見せる量と適応

アラガンのジュビダームビスタ ボルベラXCをまつ毛直下の涙袋へ注入した症例です。術前と6か月後を正面・左右斜位で比べると、細い涙袋の輪郭が保たれ、中顔面が短く見える印象につながっています。自然に見せる量と適応を解説します。

Medical Information

この記事について

監修日
2026年8月9日
公開日
2022年6月1日
実質更新日
2026年8月9日
涙袋へヒアルロン酸を注入した術前と6か月後の症例写真

Contents

目次

  1. 正面・左右斜位:6か月後も涙袋の輪郭を確認
  2. 涙袋があると中顔面が短く見える理由
  3. 自然な涙袋は、細い輪郭を少量ずつ作る
  4. 涙袋と涙溝は、位置も治療目的も異なる
  5. まつ毛直下では、眼瞼の血管走行に沿って注入する
  6. 診療で確認するポイント
  7. 治療選択の比較
  8. 費用の目安
  9. リスク・副作用・注意点
  10. 関連記事
  11. 関連施術・関連症状のご案内
  12. 執筆・監修
  13. 参考にした一次情報・ガイドライン
  14. よくあるご質問

正面・左右斜位:6か月後も涙袋の輪郭を確認

1枚の比較画像は、左列が術前、右列が注入6か月後です。上段と下段の左右斜位では、6か月後もまつ毛のすぐ下に細い丸みが続き、中段の正面では、涙袋の中央から外側へ自然に細くなる輪郭を確認できます。

使用した製剤は、アラガンのジュビダームビスタ ボルベラXCです。投稿では基本1年以上の持続を見込む製剤として案内しており、この症例ではまず6か月後の正面・左右斜位で、幅、高さ、左右差を見直しました。

ボルベラXCで1年以上の持続を見込むと投稿で案内した背景として、口唇充足度の改善を示した割合は6か月時71.1%、12か月時65.3%との報告がありました(参考文献3)。

涙袋があると中顔面が短く見える理由

まつ毛直下に涙袋の輪郭が加わると、目元と頬の間に新しい境界が生まれます。目の下から頬までが一続きに見える状態よりも縦の距離が分かれて見えるため、中顔面の長さが気になる方では目元の印象を整える選択肢になります。

この症例の6か月後は、涙袋が太い帯状に張り出すのではなく、正面では黒目の下を中心に、斜位ではまつ毛のラインに沿う細い丸みとして見えます。自然に見せる終点は、大きさではなく、正面と斜位の両方で下眼瞼の曲線になじむことです。

自然な涙袋は、細い輪郭を少量ずつ作る

涙袋は、まつ毛直下で眼輪筋の自然な膨らみに重なる細い立体です。内側から外側まで同じ太さにせず、中央の高さ、外側へ細くなる位置、左右差を見ながら少量ずつ形を作ります。

量が多すぎると、涙袋が太い帯状になり、その下の影やむくみが強く見えます。施術料金が1ccの製剤単位で示されていても、涙袋へ1cc全量を入れる設計ではなく、必要な範囲へ必要量だけを使います。

涙袋を少量ずつ作る考え方を補う別製剤では、下眼瞼のpretarsal fullnessへ注入した平均量は左0.19mL、右0.21mLで、12か月後も平均0.17mL、0.19mLの体積が確認されたとの報告がありました(参考文献1)。

涙袋と涙溝は、位置も治療目的も異なる

涙袋はまつ毛直下の眼輪筋に沿う膨らみで、医学的にはpretarsal fullnessと呼ばれます。涙溝はその下方、目頭側から頬へ斜めに続く凹みです。この症例では涙溝を埋めるのではなく、まつ毛直下の涙袋を作りました。

涙袋の下に眼窩脂肪の膨らみ、強いむくみ、深い涙溝があると、注入後に複数の段差が並んで見えます。まつ毛直下の輪郭を足す前に、脂肪の膨らみと涙溝の影を正面・斜位で見て、涙袋だけを加えると自然にまとまる目元を選びます。

涙袋と涙溝を別の治療として扱う理由として、涙溝へのヒアルロン酸注入では、満足率91.0%とともに、腫れ19.2%、内出血18.4%、凹凸5.3%、青色調0.9%との報告がありました(参考文献2)。

まつ毛直下では、眼瞼の血管走行に沿って注入する

下眼瞼の内側からは下内側眼瞼動脈が入り、眼輪筋の深部を外側へ走ります。涙袋の輪郭を作る位置と血管の走行が近いため、注入前にまつ毛直下の幅と層を決め、左右を一度に大きく膨らませず少量ずつ形を確認します。

注入中または直後に、強い痛み、皮膚の白色化やまだらな色調変化、見えにくさ、視野の異常、眼球運動の異常が出た場合は、通常の腫れとして待たず直ちに注入を中止し、眼科を含む緊急対応へ移ります。

涙袋を作る位置で血管走行に沿って注入する理由として、下内側眼瞼動脈は眼輪筋のpretarsal部より深く、瞼板に沿って走り、眼窩内側への入口で直径0.94mm、外眼角で0.37mmだったとの報告がありました(参考文献4)。

視覚異常に直ちに対応する理由として、フィラーによる視力障害の83%がヒアルロン酸によるもので、最終視力が変わらなかった割合は70%だったとの報告がありました(参考文献5)。

Clinical View

診療で確認するポイント

  • まず安静時と笑顔で、まつ毛直下に元々ある眼輪筋の膨らみ、中央の高さ、外側へ細くなる位置、左右差を見ます。次に、その下にある涙溝、眼窩脂肪の膨らみ、むくみ、下眼瞼の弛緩を見て、涙袋を加えても段差が増えない目元かを判断します。
  • この症例ではジュビダームビスタ ボルベラXCをまつ毛直下へ使用し、太い帯を作らず、正面と左右斜位で中顔面の縦の見え方が整う幅を終点としました。6か月後も同じ3方向で輪郭が保たれていることを確認しています。
  • 下内側眼瞼動脈は眼動脈系とつながり、眼輪筋の深部を走るため、涙袋注入では血管走行と注入層を対応させます。ゆっくり少量ずつ注入し、痛み、皮膚色、視覚症状を同時に観察します。

Comparison

治療選択の比較

治療・対応 向く状態 向かない/慎重な状態 回数の目安 ダウンタイム 費用(税込) 承認状況
涙袋へのHA まつ毛直下の輪郭を少量整える 眼窩脂肪突出、強いむくみ、下眼瞼弛緩、過量変化を希望 1回後、腫れが引いて再評価 腫れ、青色調、凹凸、左右差、血管閉塞、視覚障害 1cc77,000円+涙袋施術料11,000円 製剤・使用目的ごとに国内承認確認
涙溝・眼窩下へのHA 骨格性・加齢性の凹みが影を作る場合 眼窩脂肪突出、色素・血管だけが主因 少量ずつ1回後に評価 むくみ、凹凸、結節、血管閉塞、視覚障害 1cc77,000円+必要時手技料 製剤・部位・目的ごとに承認確認
経過観察・下眼瞼手術 注入不要、眼窩脂肪突出・皮膚余剰・支持低下が主体 注入のみを希望し手術適応を受け入れない場合 手術は通常1回 手術では腫れ、出血、左右差、外反、凹み等 経結膜脱脂189,000円 術式と適応を個別確認

費用の目安

  • ヒアルロン酸1本1cc 77,000円。
  • 涙袋施術料11,000円。1本を使用する場合の関連合計は88,000円です。

涙袋へ1cc全量を注入する意味ではありません。残量の扱いと他部位配分を診察時に説明します。

リスク・副作用・注意点

  • 腫れ、内出血、左右差、凹凸、硬さ、むくみ、青色調が生じます。
  • 感染、結節、遅発性炎症、製剤移動が起こることがあります。
  • まれに血管閉塞、皮膚壊死、失明を含む視覚障害が起こり得ます。

涙溝研究の合併症率は涙袋形成固有の率ではありません。

Doctor Review

執筆・監修

執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)

References

参考にした一次情報・ガイドライン

  1. Li J, Jiang Z, Xiong Z, et al. Clinical effects of injectable collagen in lower-lid pretarsal fullness rejuvenation. Chinese Journal of Plastic and Reconstructive Surgery. 2022;4(3):110-114.

    Clinical effects of injectable collagen in lower-lid pretarsal fullness rejuvenation

    研究デザイン: 前向き単群研究 / 対象: 明瞭なpretarsal fullnessがなく、下眼瞼手術・外傷歴のない中国漢族女性32人を12か月追跡 / 結果: 注入直後の平均体積増加は左0.19mL、右0.21mLで、12か月後の平均残存体積は左0.17mL、右0.19mLとの報告がありました。 / 限界: 使用製剤は注入用コラーゲンでヒアルロン酸ではなく、比較群もない。本症例のボルベラXCの注入量、6か月後の残存量、安全性を直接示す研究ではない。

  2. Liu X, Gao Y, Ma J, Li J. The Efficacy and Safety of Hyaluronic Acid Injection in Tear Trough Deformity: A Systematic Review and Meta-analysis. Aesthetic Plast Surg. 2024;48(3):478-490.

    The Efficacy and Safety of Hyaluronic Acid Injection in Tear Trough Deformity: A Systematic Review and Meta-analysis

    研究デザイン: 31報の系統的レビュー・ランダム効果メタ解析 / 対象: 涙溝変形へヒアルロン酸注入を行った31報、2,556人 / 結果: 統合満足率91.0%、腫れ19.2%、内出血18.4%、発赤7.1%、凹凸5.3%、青色調0.9%との報告がありました。 / 限界: 研究デザイン、製剤、注入層、追跡期間が不均一で、対象は涙溝であり、まつ毛直下の涙袋形成やボルベラXCの成績を示さない。

  3. PMDA. ジュビダームビスタ ボルベラXC 添付文書(医療機器承認番号23000BZX00331000、2023年8月第1版).

    ジュビダームビスタ ボルベラXC 添付文書

    研究デザイン: 国内承認医療機器の添付文書。米国で実施した前向き多施設二重盲検無作為化比較試験を収載 / 対象: 口唇増大・口周囲しわ修正を目的に、本品168人、対照製剤56人へ注入し、最終処置後12か月まで追跡 / 結果: 口唇充足度で1点以上の改善を示した割合は6か月時71.1%、12か月時65.3%との報告がありました。 / 限界: 承認試験は口唇・口周囲を対象とし、涙袋の持続や注入量を検証していない。添付文書では眼瞼への使用は適応に含まれない。

  4. Cong LY, Lee SH, Tansatit T, Hu KS, Kim HJ. Topographic Anatomy of the Inferior Medial Palpebral Artery and Its Relevance to the Pretarsal Roll Augmentation. Plast Reconstr Surg. 2016;138(3):430e-436e.

    Topographic Anatomy of the Inferior Medial Palpebral Artery and Its Relevance to the Pretarsal Roll Augmentation

    研究デザイン: 解剖学的研究 / 対象: 韓国人・タイ人の固定標本31半顔(13韓国人、8タイ人の21標本) / 結果: 下内側眼瞼動脈は4型の分岐を示し、眼輪筋pretarsal部の深部で瞼板に沿って走り、平均径は入口0.94mm、外眼角0.37mmとの報告がありました。 / 限界: 固定標本の解剖研究で、個々の患者の血管位置、針・カニューレ別の血管閉塞率、ボルベラXCの安全性を示す臨床試験ではない。

  5. Foster J, et al. Vision-Threatening Complications of Soft Tissue Fillers: A Report by the American Academy of Ophthalmology. Ophthalmology. 2025;132(8):935-944.

    Vision-Threatening Complications of Soft Tissue Fillers: A Report by the American Academy of Ophthalmology

    研究デザイン: 米国眼科学会によるエビデンス評価・文献レビュー / 対象: 採用基準を満たしたレベルIII研究19報に含まれるフィラー注入後視力障害198例 / 結果: 198例中164例(83%)がヒアルロン酸で、転帰を確認できた196例では最終視力が不変137例(70%)、改善56例(28%)、悪化3例(2%)との報告がありました。 / 限界: 症例報告・症例集積に基づき発生率は算出できない。注入部位の多くは鼻・額・眉間で、pretarsal部やボルベラXCに固有の危険率を示さない。

よくあるご質問

Q. この症例では6か月後も涙袋が残っていますか?

はい。左列の術前と右列の6か月後を比べると、正面・左右斜位のすべてで、まつ毛直下の細い輪郭を確認できます。

Q. 涙袋と涙溝のヒアルロン酸は同じ治療ですか?

異なります。涙袋はまつ毛直下の膨らみを作る治療で、涙溝はその下にある凹みを補う治療です。この症例は涙袋への注入です。

Q. 涙袋へヒアルロン酸1ccをすべて注入しますか?

1ccを涙袋の標準量として全量注入する治療ではありません。まつ毛直下の幅と左右差を見ながら必要量を少量ずつ使います。

Q. 眼窩脂肪の膨らみやむくみがあっても涙袋を作れますか?

膨らみやむくみが強いと、涙袋の下に段差が増えて不自然に見えます。正面・斜位で眼窩脂肪、涙溝、下眼瞼の支持を見て、涙袋を加える位置と幅を決めます。

Q. ボルベラXCによる涙袋形成は国内承認の範囲ですか?

ジュビダームビスタ ボルベラXCは国内承認製剤ですが、添付文書では眼瞼への使用は適応に含まれません。涙袋形成は承認範囲外の使用となるため、承認状況、代替治療、固有のリスクを説明します。

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