シミ・いぼ・皮膚腫瘍|保険と自費の見分け方
この5か月の症例では、皮膚腫瘍を手術で切除し、いぼを炭酸ガスレーザー、シミ・赤みをルビートーニング9回とZO Skinで治療しました。顔の病変を一括してシミとせず、病理診断を残すもの、良性を確認して処置するもの、美容目的で色調を整えるものに分け、保険診療と自費診療の順序を決めます。
Medical Information
この記事について
- 執筆医・監修医
- 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
- 監修日
- 2026年8月9日
- 公開日
- 2023年12月14日
- 実質更新日
- 2026年8月9日


Contents
目次
皮膚腫瘍・いぼ・シミを分け、5か月で段階治療しました
画像1のBeforeでは、眼瞼周囲と頬の盛り上がった病変、顔全体のシミと赤みが見られます。治療は、皮膚腫瘍の手術切除、いぼへの炭酸ガスレーザー、顔全体へのルビーレーザートーニング9回を行い、ZO Skinの高濃度ビタミンAとハイドロキノンを併用しました。
Afterでは盛り上がった病変と赤みが減り、シミも薄くなっています。病変ごとに治療方法を変え、切除部と炭酸ガスレーザー部の治癒を確認してから、顔全体の色調治療を重ねた5か月の経過です。
色・形・表面・増え方を診て、病理検査が必要な病変を分けます
形成外科の診察では、病変の色、左右対称性、境界、盛り上がり、表面の角化、硬さを見ます。最近の増大、出血、潰瘍、色の濃淡、周囲との境界変化も確認し、ダーモスコピーで色素と血管のパターンを拡大して見ます。
脂漏性角化症のような良性のいぼに見えても、所見が典型的でない場合や、悪性腫瘍との区別がつかない場合は、生検または切除を先に行い、標本を病理検査へ提出します。病理を残す必要がある病変は、組織を蒸散してしまう美容レーザーの対象にしません。
盛り上がった褐色病変を炭酸ガスレーザーで処置する前に、病理検査へ進める病変を拾い上げるため、色・境界・表面構造をダーモスコピーで確認します。脂漏性角化症の判別では、最適化したアルゴリズムの感度95.7%、特異度78.3%で、12種類のダーモスコピーパターンがあったとの報告がありました(参考文献1)。
医学的な診断・治療は保険、美容目的の処置は自費へ分けます
腫瘍の診断や病理検査が必要で、医学的に切除する病変は、診断と術式が保険診療の条件に合えば保険で扱います。痛み、出血、繰り返す炎症、機能への影響がある病変も、医療上の必要性を診察で確認します。
良性と確認できた病変を見た目の改善目的で除去する炭酸ガスレーザーや、シミ・赤みへ行うルビートーニング、ZO Skinによるホームケアは自費診療です。同じ顔でも病変ごとに会計区分が分かれるため、診察時に保険で行う治療と自費で行う治療を一覧にして順序を決めます。
手術切除・生検では出血、感染、傷あと、縫合痕、知覚変化、炭酸ガスレーザーでは水疱、かさぶた、陥凹、炎症後色素沈着、色素脱失、瘢痕、再発が起こることがあります。治療方法は、病理診断の必要性、傷あとの位置、病変の深さを同じ軸で比べて選びます。
脂漏性角化症を除去するかは、病理診断や症状への治療か、見た目の改善目的かを分けて決めます。良性で医学的理由がなければ必ずしも除去は必要なく、治療時には凍結、剃切、電気乾固、掻爬などが使われるとの報告がありました(参考文献2)。
9回のトーニング後、シミ・ハリ・顔全体の印象が変化しました
画像2の斜め写真では、顔全体のシミが薄くなり、肌のハリが増しています。額のしわとほうれい線も目立ちにくくなり、投稿では爽やかさと清潔感が増した5か月の変化として紹介しています。
この期間にヒアルロン酸、ボトックス、ハイフは行っていません。皮膚腫瘍といぼを先に治療し、傷の回復後にルビートーニング9回とZO Skinを続けることで、局所の病変除去と顔全体の色調・肌質を同じ院内で段階的に治療しました。
Clinical View
診療で確認するポイント
- 最初に、顔面の病変を、平坦な色素斑、表面が角化したいぼ、硬さや増大を伴う皮膚腫瘍へ地図のように分け、色、形、表面、触診、ダーモスコピー所見を記録します。
- 病理診断が必要な病変は手術切除または生検を先に行い、良性を確認して美容的に除去するいぼは炭酸ガスレーザー、顔全体のシミ・赤みはルビートーニングとZO Skinへ分けます。
- 保険診療の切除部と自費診療の照射部を別々に記録し、傷の回復を確認してから色調治療へ進み、この症例では5か月でルビートーニング9回まで行いました。
Comparison
治療選択の比較
| 治療・対応 | 向く状態 | 向かない/慎重な状態 | 回数の目安 | ダウンタイム | 費用(税込) | 承認状況 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 液体窒素・掻爬等 | 診断された脂漏性角化症・いぼで医学的治療が必要 | 診断未確定、病理が必要、整容結果を精密に求める部位 | 1回〜複数回 | 水疱、かさぶた、PIH、色素脱失、瘢痕 | 保険条件を満たす場合は自己負担割合で変動 | 要確認 |
| CO2レーザー | 良性と診断され美容目的で除去する隆起性病変 | 悪性疑い、病理が必要、深い母斑 | 1回後に再評価 | 出血、感染、陥凹、瘢痕、PIH、再発 | 自由診療。範囲・個数で費用が変動 | 要確認 |
| 切除・生検+病理 | 悪性疑い、深い病変、診断確定が必要 | 病理不要と判断した表在性病変の美容除去 | 通常1回+抜糸等 | 出血、感染、傷跡、縫合痕、知覚変化 | 保険条件・部位・術式・自己負担割合で変動 | 要確認 |
費用の目安
- 医学的治療・病理検査は診断と術式により保険診療になる場合があります。
- 美容目的のCO2レーザー等は自由診療で、費用は個数・範囲・術式により変動します。
保険診療の自己負担額は診断・術式・算定内容で変わります。
リスク・副作用・注意点
- 切除・生検では出血、感染、傷跡、縫合痕、知覚変化が生じる可能性があります。
- 凍結・CO2レーザーでは水疱、かさぶた、陥凹、PIH、色素脱失、瘢痕、再発があります。
- 診断未確定病変を蒸散すると病理診断ができなくなる場合があります。
- 国内承認・適応: 使用する機器・製品の販売名、承認番号、承認された使用目的は診療時に説明します。
ダーモスコピーは補助であり、悪性疑いを病理検査なしで除外するものではありません。
Doctor Review
執筆・監修
執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
References
参考にした一次情報・ガイドライン
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脂漏性角化症のダーモスコピー診断アルゴリズム
研究デザイン: 病理診断を基準にした前向き診断精度研究 / 対象: 臨床的に脂漏性角化症が疑われた412人、416病変 / 結果: 最適化したダーモスコピー診断アルゴリズムは感度95.7%、特異度78.3%で、脂漏性角化症に12種類のダーモスコピーパターンがあったとの報告がありました。 / 限界: 脂漏性角化症を疑った病変を対象とした研究で、すべての色素性腫瘍に同じ精度を適用できず、ダーモスコピーだけで病理診断を置き換えられない。PubMed抄録を2026年8月8日に再確認し、原著全文は取得していない。
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脂漏性角化症の診断と治療に関するレビュー・診療調査
研究デザイン: 脂漏性角化症のナラティブレビューと米国皮膚科医への診療調査 / 対象: 米国の認定皮膚科医594人への診療調査を含む / 結果: 脂漏性角化症は良性で、病理確認・外傷・症状など医学的理由がなければ必ずしも除去は必要なく、凍結、剃切、電気乾固、掻爬などが使われていたとの報告がありました。 / 限界: 米国の2015年時点の診療調査で、日本の保険適用、炭酸ガスレーザーの保険区分、各治療の比較効果を示す研究ではない。PubMed抄録を2026年8月8日に再確認し、原著全文は取得していない。
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医療機器の承認審査
CO2レーザー等の承認確認先。
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脂漏性角化症の基本的ダーモスコピー所見
悪性腫瘍との鑑別と基本所見。
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Serial CO2 excision of melanocytic nevi
母斑25人の症例集積。脂漏性角化症へ直接転用しない。
よくあるご質問
Q. 盛り上がった茶色い病変は、すべて炭酸ガスレーザーで取れますか?
まず色、境界、表面、硬さ、増大、出血を診察し、ダーモスコピーで確認します。病理診断が必要な病変は生検または切除を先に行い、美容レーザーでは蒸散しません。
Q. どのような病変で病理検査を行いますか?
良性のいぼとして典型的でない病変、短期間で大きくなった病変、出血・潰瘍・色むら・硬さがある病変では、組織を採取して病理診断を確認します。
Q. 保険診療と自費診療は、どこで分かれますか?
診断や病理検査を含む医学的な治療が保険条件に合う場合は保険診療です。良性病変の美容目的の除去、ルビートーニング、ZO Skinは自費診療です。
Q. 掲載症例では、どの順番で治療しましたか?
皮膚腫瘍を手術切除し、良性のいぼを炭酸ガスレーザーで処置した後、傷の回復を確認してルビートーニング9回とZO Skinを続けました。全経過は5か月です。
Q. この5か月にヒアルロン酸やボトックス、ハイフも行いましたか?
行っていません。画像で示した経過は、皮膚腫瘍切除、炭酸ガスレーザー、ルビートーニング9回、ZO Skin併用によるものです。
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