肝斑のホームケアで考えたい外用と内服
肝斑のホームケアは、まず朝晩のトラネキサム酸ローションから始め、必要に応じてビタミンC、レチノール、ハイドロキノンを加えます。トランサミン内服は外用化粧品とは別の医療用医薬品です。使う順序、見直す期間、刺激への対応、可視光を含む遮光を分けて解説します。
Medical Information
この記事について
- 執筆医・監修医
- 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
- 監修日
- 2026年8月9日
- 公開日
- 2024年6月13日
- 実質更新日
- 2026年8月9日

Contents
目次
肝斑の外用を成分と刺激の強さで選びます
画像では、トラネキサム酸系としてトラネキサム酸ローションとコラージュリペアブライトエッセンスDR、ビタミンCとしてリビジョンのC+コレクティングコンプレックス30%を紹介しています。ビタミンA系は、高濃度側にゼオスキンのスキンブライセラム0.25・0.5、低刺激側にデイリーPD、RCクリーム、リビジョンのD·E·Jナイトフェイスクリーム、コラージュリペアバクチセラムDRを並べています。
ハイドロキノン配合製品はゼオスキンのミラミン、ハイドロキノンを使わない選択肢はブライタライブです。すべての製品を重ねるのではなく、肝斑の濃さ、赤み、乾燥、これまでの外用反応から、トラネキサム酸、ビタミンC、レチノール、ハイドロキノンのうち必要な役割だけを組み合わせます。
製品区分も分けて考えます。トランサミン内服は医療用医薬品、コラージュリペアブライトエッセンスDRは医薬部外品、C+コレクティングコンプレックス30%とコラージュリペアバクチセラムDRは医療機関専売化粧品です。ゼオスキンやリビジョンの外用製品も、内服薬と同じ医薬品として扱わず、各製品の表示と使用説明に沿って使います。
洗顔後はビタミンCローション、トラネキサム酸ローションの順
刺激で肝斑が濃くなりやすい方は、最初にトラネキサム酸ローションを朝晩2回、洗顔後に使います。トラネキサム酸は、メラノサイトを活性化する情報伝達に関わるプラスミンの働きを抑え、炎症とメラニン生成の経路へ外側から働きかける目的です。
ビタミンCローションを併用する場合は、洗顔後にビタミンCローション、次にトラネキサム酸ローションの順で塗ります。その後に選んだ美容液や保湿剤を重ね、朝は最後に日焼け止めを使用します。
C+コレクティングコンプレックス30%は、純粋なアスコルビン酸30%ではなく、脂溶性ビタミンC誘導体のアスコルビン酸テトラヘキシルデシルを30%配合した医療機関専売化粧品です。化粧水の後、保湿剤の前に用い、ハリ・ツヤ・なめらかさを整える補助として組み込みます。
トランサミン内服は12週間を一区切りに再評価します
左右対称の肝斑が続き、遮光と外用だけでは十分に薄くならない場合に、トラネキサム酸を含むトランサミン内服を補助として検討します。ローションや美容液と違う医療用医薬品として、国内添付文書に沿って適否を確認します。
開始前の確認を終えてから期間を限定して服用し、悪心、食欲低下、下痢などがないかを見ます。漫然と続けず、12週間を一区切りに色調と継続可否を見直します。
トランサミンの国内添付文書に肝斑は効能・効果として記載されていません。トロンビン投与中は禁忌で、血栓症または血栓が生じやすい患者、腎機能障害、妊娠・授乳には注意が必要です(参考文献3)。
遮光と外用だけでは残る肝斑へ内服を追加する理由として、色付きSPF50日焼け止めを併用した12週間後、複数の評価法すべてで改善した割合はトラネキサム酸内服群50%、プラセボ群5.9%だったとの報告がありました(参考文献1)。
レチノールとハイドロキノンは刺激を見ながら期間を区切ります
スキンブライセラム0.25・0.5などのレチノール製品は夜から少ない頻度で始め、赤み、乾燥、皮むけを見ながら回数を調整します。敏感肌で赤みやかさつきが出やすい場合は、ビタミンAそのものではないバクチオール配合のコラージュリペアバクチセラムDRを、低刺激側の選択肢として用います。
ミラミンはハイドロキノン4%配合の医療機関専売スキンケア製品です。当院では夜に少量から始め、連続使用は最長6か月、その後3か月休薬します。赤み、かゆみ、乾燥、白く抜ける色調変化が出た場合は、同じ注意を繰り返さず、この段階で中止または使用頻度を下げます。ハイドロキノンが使えない期間はブライタライブへ切り替えます。
ハイドロキノン外用を主軸にして内服を補助とする理由として、3か月のトラネキサム酸内服と4%ハイドロキノン併用は、ハイドロキノン単独より6か月時のMASIが平均1.8点低かった一方、再発率は30%対26%で有意差がなかったとの報告がありました(参考文献2)。
朝はUVA・UVBに加え、可視光も遮る日焼け止めを使います
肝斑は紫外線だけでなく、可視光、摩擦、外用による炎症でも濃くなります。朝の外用後はUVA・UVBを広く防ぐ日焼け止めを使用し、可視光対策が必要な場合は酸化鉄を含む色付き製品を選びます。屋外時間が長い日は塗り直し、帽子や日傘も併用します。
外用や内服を減らす時期も遮光は続けます。8〜12週間ごとに同じ条件の写真で頬骨部、前額、口周囲の色調と左右差を比較し、改善していれば刺激の強い外用を減らし、再び濃くなる場合は日中の遮光量と摩擦を先に見直します。
外用と内服に可視光対策を加える理由として、4%ハイドロキノンを併用した8週間後、酸化鉄を含むUV・可視光対応の日焼け止め群はUVのみの日焼け止め群より、MASI、色彩計、組織メラニンの改善がそれぞれ15%、28%、4%大きかったとの報告がありました(参考文献5)。
Clinical View
診療で確認するポイント
- まず、両頬・前額・口周囲へ左右対称に広がる褐色斑かを確認し、ADMや日光黒子が混在していないか、赤みや皮むけを伴う刺激性皮膚炎が重なっていないかを分けます。
- 赤み・乾燥が少ない場合は、朝晩の洗顔後にトラネキサム酸ローションから始めます。ビタミンCローションを加えるときはビタミンC、トラネキサム酸の順とし、その後に必要な美容液・保湿剤だけを重ねます。
- 遮光と外用を続けても肝斑が残る場合に、国内添付文書に沿って内服の適否を確認し、トランサミンを12週間使った時点で色調と副作用を再評価します。ハイドロキノンも期間を区切って休薬へ移します。
- 再診では同じ条件の写真で色素、赤み、皮むけを別々に比較し、色素は薄いが赤みが増えた場合はレチノールやハイドロキノンを減らします。日中のUVA・UVB・可視光への遮光は治療期間を通して継続します。
Comparison
治療選択の比較
| 治療・対応 | 向く状態 | 向かない/慎重な状態 | 回数の目安 | ダウンタイム | 費用(税込) | 承認状況 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 遮光・摩擦回避 | 全ての肝斑治療の土台 | これだけで全員の色素除去を期待 | 毎日継続 | 製品による刺激・かぶれ | 製品により異なる | 化粧品・医薬部外品区分を確認 |
| ハイドロキノン等外用 | 肝斑・PIHの色素管理 | 刺激性皮膚炎、診断未確定病変 | 数か月ごとに見直し | 刺激、乾燥、かぶれ、色調変化 | 製品・処方により異なる | 薬剤・濃度・目的ごとに承認確認 |
| トラネキサム酸内服 | 中等症以上・再発性肝斑で禁忌を除外した補助 | 血栓症歴、凝固異常、相互作用等 | 期間を限定して再評価 | 胃腸症状、月経変化、血栓症等 | 処方内容により異なる | 肝斑は国内承認適応外。入手経路・代替・救済制度等を説明 |
費用の目安
- 外用・内服は製品・処方内容により異なります。
- メソナJ全顔+首 1回20,000円/5回90,000円はホームケアではなく院内施術です。
処方の適否と未承認・適応外説明を診察時に行います。
リスク・副作用・注意点
- 外用では刺激、乾燥、赤み、かぶれ、色調変化が起こることがあります。
- トラネキサム酸内服では胃腸症状、月経変化、まれに血栓症の懸念があり、既往・併用薬確認が必要です。
- 肝斑は紫外線・可視光・摩擦・炎症で再燃します。
トラネキサム酸の肝斑治療は国内承認適応外です。
Doctor Review
執筆・監修
執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
References
参考にした一次情報・ガイドライン
-
肝斑へのトラネキサム酸内服プラセボ対照試験
研究デザイン: 単施設無作為化二重盲検プラセボ対照試験 / 対象: 顔面肝斑47人を登録し37人完遂。トラネキサム酸250mgを1日2回内服した20人とプラセボ17人を比較し、全員が色付きSPF50日焼け止めを使用 / 結果: 12週間後、写真、色彩計、MELASQoL、MASIのすべてで改善した割合は内服群50%、プラセボ群5.9%だった。重篤な副作用は報告されなかった。 / 限界: 単施設・37人完遂・12週間の小規模試験であり、長期安全性、血栓症リスク、治療終了後の再発を評価していない。研究用量を個々の処方へそのまま転用できない。
-
トラネキサム酸内服+4%ハイドロキノンの比較試験
研究デザイン: 評価者・解析者盲検の並行群無作為化比較試験 / 対象: 対称性顔面肝斑100人を、トラネキサム酸250mg 1日3回+4%ハイドロキノン夜1回群と、4%ハイドロキノン単独群へ割り付け、88人完遂。3か月治療後に3か月追跡 / 結果: 6か月時の平均MASIは併用群が単独群より1.8点低かった。再発率は30%対26%で有意差がなかった。 / 限界: 短期追跡で、国内承認適応外の用量を用いた。ミラミンという特定製品や、日本人での有効性・安全性を直接検証していない。
-
医療用医薬品情報検索
研究デザイン: PMDA公開の国内医療用医薬品添付文書 / 対象: 国内でトラネキサム酸内服を使用する患者 / 結果: 効能・効果に肝斑の記載はなく、トロンビン投与中は禁忌。血栓症または血栓症が生じるおそれのある患者、腎機能障害、妊娠・授乳には注意が示されている。 / 限界: 添付文書は肝斑への有効性を評価した臨床研究ではない。実際の適否は既往、併用薬、腎機能、使用量と期間を含めて個別に判断する。
-
Tranexamic acid in melasma
46論文の投与経路別レビュー。
-
Sunscreen in melasma and PIH
研究デザイン: 二重盲検無作為化比較試験 / 対象: 肝斑68人をSPF50以上のUV・可視光対応日焼け止め群とUVのみの日焼け止め群へ割り付け、61人完遂。全員が4%ハイドロキノンを8週間使用 / 結果: UV・可視光対応群はUVのみの群より、MASI、色彩計、組織メラニンの改善がそれぞれ15%、28%、4%大きかった。 / 限界: 日射の強い地域での8週間の試験で、全員が4%ハイドロキノンを併用した。特定の日焼け止め製品、他の外用との組み合わせ、日本人の長期再発予防を直接示さない。
よくあるご質問
Q. ビタミンCとトラネキサム酸ローションは、どちらを先に使いますか?
洗顔後にビタミンCローション、次にトラネキサム酸ローションの順です。その後に選んだ美容液・保湿剤を重ね、朝は最後に日焼け止めを使います。
Q. トラネキサム酸ローションとトランサミン内服は同じ扱いですか?
違います。ローションは外用スキンケア製品、トランサミン内服は医療用医薬品です。肝斑への内服は国内承認適応外のため、国内添付文書に沿って適否を確認してから使用します。
Q. トランサミンとハイドロキノンはどのくらい続けますか?
トランサミン内服は12週間を一区切りに効果と副作用を見直します。当院ではミラミンの連続使用を最長6か月とし、その後3か月休薬して色調と刺激を再評価します。
Q. 肝斑の日焼け止めは透明な製品だけで十分ですか?
UVA・UVBへの広域遮光が基本です。可視光で濃くなりやすい肝斑では、酸化鉄を含む色付き日焼け止めも選択肢になります。外用や内服を休む期間も遮光を続けます。
ご予約・ご相談はこちら
気になる症状や治療方法について、初診予約・再診予約・お問い合わせからご相談いただけます。