症例紹介

ルビートーニング5回後に1年半メンテナンスを続けたシミ治療症例

大小・濃淡の異なる頬のシミへ、ルビートーニング5回とゼオスキンを併用し、その後1〜2ヶ月ごとに10回、1年半の維持治療を続けた症例です。初期治療と維持期で何を見直すかを、総15回後の斜位写真とともに解説します。

Medical Information

この記事について

監修日
2026年8月9日
公開日
2024年8月24日
実質更新日
2026年8月9日

Contents

目次

  1. 初期5回で濃さと大きさの異なるシミを治療しました
  2. 反対側の斜位でも総15回後の色調とハリを確認します
  3. 初期5回は2〜3週おきに反応を積み重ねます
  4. その後は1〜2か月ごとに10回、1年半維持しました
  5. 維持期は肝斑・日光黒子・炎症後色素沈着を分けます
  6. 全顔のルビートーニングとスポット照射を使い分けます
  7. ゼオスキン併用は色調と刺激反応を分けて追います
  8. 診療で確認するポイント
  9. 治療選択の比較
  10. 費用の目安
  11. リスク・副作用・注意点
  12. 関連記事
  13. 関連施術・関連症状のご案内
  14. 執筆・監修
  15. 参考にした一次情報・ガイドライン
  16. よくあるご質問

初期5回で濃さと大きさの異なるシミを治療しました

治療前の頬には、大きく境界が見える褐色斑と、淡く細かな色むらが混在していました。ルビートーニングを2〜3週おきに5回行い、ゼオスキンを併用したところ、この時点でシミはほとんど目立たなくなりました。

掲載するAfterは5回時点ではなく、その後の維持治療10回まで含む総15回後です。一方の斜位では、治療前に大小・濃淡が異なっていた頬の色素斑が減り、目周りから頬の輪郭にもふっくらとした変化が見えます。写真は無加工です。

反対側の斜位でも総15回後の色調とハリを確認します

反対側の斜位では、治療前に頬へ点在していた褐色斑が総15回後には薄くなり、頬のつやと目周りのハリも変化して見えます。左右を同じ角度で追うことで、片側だけに残る斑点と顔全体の色調を分けて確認できます。

この経過には、ルビートーニング15回とゼオスキンによるホームケアが含まれます。維持期の写真では、色素斑、肌表面のつや、頬の見え方をそれぞれ評価し、次の照射範囲を決めます。

初期5回は2〜3週おきに反応を積み重ねます

当院のルビートーニングは、694nmの光を細かな点状に分け、全顔へ低出力で照射します。薄く広いシミやくすみでは、毎回の赤み、乾燥、微細な痂皮、色調の変化を確認しながら、5回を初期クールとして重ねます。

5回後は、薄くなった斑点、まだ境界が見える斑点、面状に残る色調を分けます。ゼオスキンによる赤みや皮むけも同じ時系列で確認し、照射と外用の強さを一度に上げすぎない順序にします。

2〜3週おきに低出力フラクショナルを重ねる際の参考として、6回の照射後、MASIは15.1から16週時点の10.6へ、色調の明度は56.6から59.9へ変化したとの報告がありました(参考文献1)。

その後は1〜2か月ごとに10回、1年半維持しました

初期5回のあとも、1〜2か月に1回の間隔で10回を1年半かけて続けました。維持期は初期クールをそのまま繰り返す期間ではなく、前回から残る色素、紫外線の影響で新しく現れた斑点、いったん薄くなった部位の再濃染を見分ける期間です。

各回では同じ照明・角度の斜位写真を比べ、炎症後色素沈着があれば照射を足す前に保湿と遮光を整えます。色調が安定していれば間隔を延ばし、境界明瞭な斑点だけが残れば全顔照射とスポット照射を分けます。

維持期に再発とPIHを分けて見る理由として、694nmフラクショナル照射後のMASIは6.54から4〜6週後の1.98へ低下した一方、3か月後にPIH 28%、肝斑再発44%が確認されたとの報告がありました(参考文献2)。

維持期は肝斑・日光黒子・炎症後色素沈着を分けます

左右対称に面状の褐色調が広がる肝斑、境界明瞭な円形・楕円形の日光黒子、照射や外用の刺激後に濃くなった炎症後色素沈着では、次に選ぶ治療が異なります。維持期の診察では、色、境界、分布、赤み、直前の治療日を同じ記録上で見比べます。

日光黒子には病変単位のスポット照射を選べます。肝斑が重なる部位では外用と遮光を続けながら全顔照射の範囲・間隔を調整し、炎症後色素沈着では赤みや乾燥が落ち着くまで回復を優先します。

境界明瞭な日光黒子を病変単位で扱う際の参考として、694nm Qスイッチルビー後に全病変の消失が得られ、炎症後の色調変化は皮膚色により7.8%から16.6%にみられたとの報告がありました(参考文献3)。

全顔のルビートーニングとスポット照射を使い分けます

当院でいうルビートーニングは、NanoStar Rの694nmを低出力・フラクショナルに全顔へ照射する方法です。1064nmのQスイッチNd:YAGを用いる一般的なレーザートーニングとは波長と照射方法が異なります。

淡い斑点が広く混在するときは全顔のフラクショナル照射、境界明瞭な日光黒子が残るときは医師によるスポット照射を候補にします。同じ部位へ強さの異なる照射を続けるのではなく、初期5回と維持期の写真を比べて照射単位を切り替えます。

ゼオスキン併用は色調と刺激反応を分けて追います

この症例では、高濃度ビタミンA製品とハイドロキノン製品を含むゼオスキンを併用しました。外用は顔全体の色調を整える役割を担い、レーザーはメラニンを標的とするため、照射日と外用開始・休止日を並べて記録します。

乾燥、赤み、皮むけ、かゆみが出たときは外用の頻度を調整し、照射後の反応が落ち着いてから段階的に戻します。維持期は、新しい紫外線曝露による斑点と外用刺激後の色調変化を分け、遮光と保湿を継続します。

Clinical View

診療で確認するポイント

  • 当院では、正面と左右斜位で大小・濃淡の異なる色素斑を地図化し、面状の肝斑、境界明瞭な日光黒子、治療後の炎症後色素沈着を別々に記録します。
  • 初期クールは2〜3週おきに5回行い、色素の減り方と赤み・乾燥を見ながら、ルビートーニングとゼオスキンの強さを調整します。
  • 維持期は1〜2か月ごとに残存・新生・再濃染を見直し、全顔照射、スポット照射、外用継続の順序をその都度組み替えます。
  • この症例は初期5回と維持10回の総15回後で、色素斑だけでなく目周り・頬のハリとつやも両側の斜位から追いました。

Comparison

治療選択の比較

治療・対応 向く状態 向かない/慎重な状態 回数の目安 ダウンタイム 費用(税込) 承認状況
ルビーフラクショナルトーニング 淡いシミやくすみが全顔へ広がり、濃淡の異なる斑点を段階的に整えたい状態 活動性の皮膚炎、強い日焼け、赤み・乾燥が強い状態。肝斑の活動性が高く、外用と遮光を先に整える状態 初期は2〜3週おきに5回。本症例はその後1〜2か月ごとに10回 痛み、赤み、熱感、腫れ、乾燥、微細な痂皮、炎症後色素沈着、色素脱失 全顔看護師施術1回16,500円/1クール目5回66,000円/2クール目以降5回55,000円 要確認
Qスイッチルビー・スポット照射 境界明瞭な日光黒子など、病変単位で照射できる濃いシミ 肝斑の面状色素、照射後のPIH、診断が確定していない隆起・出血・急な変化を伴う病変 通常1回後に痂皮脱落と残存色素を再評価 痛み、赤み、腫れ、痂皮、炎症後色素沈着、色素脱失、熱傷、まれに瘢痕 1cm×1cmまで6,600円。超過は1cm2ごと4,400円 要確認
ゼオスキン・遮光・保湿 顔全体の色調を整え、照射間のホームケアと新しい紫外線曝露への対策を続けたい状態 赤み、皮むけ、湿疹、刺激性皮膚炎が続く状態。高濃度ビタミンA製品は妊娠中・授乳中 製品ごとの用法で継続し、照射前後は肌反応に応じて休止・再開 乾燥、赤み、皮むけ、かゆみ、刺激感、接触皮膚炎、色調変化 選ぶ製品により異なる。レーザー料金とは別途 要確認

費用の目安

  • ルビーフラクショナル全顔 看護師施術:1回16,500円/1クール目5回66,000円/2クール目以降5回55,000円
  • ルビーフラクショナル全顔 医師施術:1回27,500円
  • Qスイッチルビー・スポット:1cm×1cmまで6,600円/超過は1cm²ごと4,400円

自由診療・税込です。ゼオスキンなどの製品代、診察料、麻酔、保護材は別途必要になる場合があります。本症例で用いたゼオスキンの製品名が特定できないため、製品価格は掲載していません。

リスク・副作用・注意点

  • Qスイッチルビーでは、痛み、赤み、熱感、腫れ、かゆみ、乾燥、痂皮、炎症後色素沈着、色素脱失、熱傷、まれに瘢痕が生じることがあります。
  • シミが残る、再び濃くなる、新しいシミが現れることがあります。肝斑が重なる部位では刺激により色調や赤みが強くなることがあります。
  • 高濃度ビタミンA・ハイドロキノン製品では、乾燥、赤み、皮むけ、かゆみ、刺激性・接触皮膚炎、色調変化が生じることがあります。高濃度ビタミンA製品は妊娠中・授乳中は使用できません。
  • 国内承認・適応: 当院が使用するNanoStar Rは、色素性皮膚疾患の治療を目的とする国内承認Qスイッチルビーレーザーです(承認番号22900BZX00055000)。全顔の低出力フラクショナルトーニングは承認機器を用いる自由診療ですが、この照射方法が個別に承認されているわけではありません。承認範囲外の使用では、医薬品副作用被害救済制度・生物由来製品感染等被害救済制度の対象外となる場合があります。ゼオスキン製品は化粧品で、医薬品としての承認効能を持つ製品ではありません。

照射反応と外用反応を同じ時系列で確認し、炎症後色素沈着と再発を分けて次回の範囲・間隔を調整します。

Doctor Review

執筆・監修

執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)

References

参考にした一次情報・ガイドライン

  1. Jang WS, Lee CK, Kim BJ, Kim MN. Dermatol Surg. 2011;37(8):1133-1140. doi:10.1111/j.1524-4725.2011.02018.x. PMID:21585597.

    Efficacy of 694-nm Q-switched ruby fractional laser treatment of melasma in female Korean patients

    研究デザイン: 694nm Qスイッチルビーフラクショナルを顔全体へ2週おきに6回照射し、最終照射4週・16週後まで追った前向き臨床研究。 / 対象: 肝斑のある韓国人女性15人。 / 結果: MASIは治療前15.1±3.3から16週時点10.6±3.9へ、L値は56.6±3.5から59.9±2.8へ変化したとの報告がありました。 / 限界: 少数・単施設で対照群がなく、肝斑だけを対象とする。6回照射であり、この症例の5回初期クール、NanoStar R、ゼオスキン併用、1年半の維持治療を検証していない。PubMed抄録を2026年8月9日に再確認し、原著全文にはアクセスできなかったため、詳細な照射設定、有害事象、利益相反は抄録で確認できる範囲に限られる。

  2. Hilton S, Heise H, Buhren BA, et al. Eur J Med Res. 2013;18:43. doi:10.1186/2047-783X-18-43. PMID:24225160; PMCID:PMC3831591.

    Treatment of melasma in Caucasian patients using a novel 694-nm Q-switched ruby fractional laser

    研究デザイン: 694nm Qスイッチルビーフラクショナルを1〜3回照射し、最終照射4〜6週後と3か月後を評価した単施設の後ろ向き症例集積。 / 対象: Fitzpatrick皮膚型I〜IIIの白人女性肝斑患者25人。照射回数は平均1.4回。 / 結果: MASIは6.54から4〜6週後の1.98へ低下し、3か月後には炎症後色素沈着28%、再発44%が確認されたとの報告がありました。 / 限界: 無作為化・対照群がなく、白人女性25人の単施設研究で追跡は3か月。Tattoostar FRxを4〜8J/cm2で用いた結果で、NanoStar R、15回治療、ゼオスキン併用、この症例を検証していない。著者Peter Arne GerberはAsclepion Laser Technologiesから講演謝金を受けたと申告。原著全文を2026年8月9日に再確認した。

  3. Sadighha A, Saatee S, Muhaghegh-Zahed G. Dermatol Surg. 2008;34(11):1465-1468. doi:10.1111/j.1524-4725.2008.34310.x. PMID:18798756.

    Efficacy and adverse effects of Q-switched ruby laser on solar lentigines: a prospective study of 91 patients with Fitzpatrick skin type II, III, and IV

    研究デザイン: 日光黒子への694nm Qスイッチルビー照射後を6か月追った前向き比較研究。 / 対象: Fitzpatrick皮膚型II〜IVの日光黒子患者91人。 / 結果: 全病変の消失が得られ、炎症後の色調変化は皮膚型IIで7.8%、IIIで9.8%、IVで16.6%にみられ、6か月の間に改善したとの報告がありました。 / 限界: 日光黒子だけを対象とし、全顔フラクショナル、肝斑、炎症後色素沈着、NanoStar R、ゼオスキン併用を検証していない。PubMed抄録を2026年8月9日に再確認し、原著全文にはアクセスできなかったため、照射条件、追加治療、利益相反は抄録で確認できる範囲に限られる。

  4. 厚生労働省

    医療広告ガイドライン

    自由診療の費用、主なリスク・副作用、未承認機器等の表示を確認する公的資料です。

よくあるご質問

Q. この症例は合計何回、どの間隔で治療しましたか?

初期は2〜3週おきに5回行い、その後は1〜2か月に1回の間隔で10回を1年半かけて続けました。合計15回で、ゼオスキンも併用しています。

Q. After写真は5回後の状態ですか?

掲載している2方向のAfterは、初期5回に加えて維持治療10回を行った総15回後です。5回時点でシミがほとんど目立たなくなった経過は診療記録に基づく説明で、写真は無加工です。

Q. 5回後もメンテナンスを続ける理由は何ですか?

紫外線などの影響で新しいシミが現れたり、薄くなった色調が再び濃くなったりすることがあるためです。維持期は1〜2か月ごとに残存・新生・再濃染を見分け、安定していれば間隔を延ばします。

Q. 肝斑が混じっているときも同じ照射を行いますか?

肝斑は面状の分布と赤みを確認し、遮光と外用を続けながら照射範囲・出力・間隔を調整します。境界明瞭な日光黒子や炎症後色素沈着とは分け、次の照射方法を選びます。

Q. ルビートーニングの料金と承認状況を教えてください。

全顔の看護師施術は1回16,500円、1クール目5回66,000円、2クール目以降5回55,000円、医師施術は1回27,500円です。当院のNanoStar Rは色素性皮膚疾患の治療を目的とする国内承認Qスイッチルビーレーザーです(承認番号22900BZX00055000)。全顔のフラクショナルトーニングは承認された使用目的の範囲内で機器を用いる自由診療ですが、この照射方法が個別に承認されているわけではありません。

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