医師解説

ニキビ・ニキビ跡治療方針で大切な優先順位

ニキビ治療では、新しい丘疹・膿疱を止め、赤み・色素を見分けた後、残る凹みを型別に治療します。当院の4枚の治療方針図をもとに、スキンケア、CO2排膿、ポテンツァ・瘢痕手技、内服をどの段階へ置くかを説明します。

Medical Information

この記事について

監修日
2026年8月9日
公開日
2024年11月4日
実質更新日
2026年8月9日

Contents

目次

  1. 4つの治療方法を、同時ではなく優先順位で組みます
  2. 活動性ニキビは、スキンケアと必要な病変への排膿を先に行います
  3. 赤み・色素を分けた後、凹みを瘢痕型ごとに治療します
  4. 内服薬は、重症度と炎症の続き方から早い段階で検討します
  5. 診療で確認するポイント
  6. 治療選択の比較
  7. 費用の目安
  8. リスク・副作用・注意点
  9. 関連記事
  10. 関連施術・関連症状のご案内
  11. 執筆・監修
  12. 参考にした一次情報・ガイドライン
  13. よくあるご質問

4つの治療方法を、同時ではなく優先順位で組みます

当院の治療方針は、スキンケア、炎症性ニキビの切開排膿、ニキビ・ニキビ跡治療、内服薬の4つです。普段から繰り返す方、急に増えた方、新しいニキビは少なく以前の凹みが残る方では、最初に選ぶ治療を変えます。

新しい面皰・赤い丘疹・膿疱が増えている時期は、まず炎症を止めます。次に赤い跡と褐色の色素沈着を分け、新しい皮疹が落ち着いてから、最後に残るアイスピック・ボックス・ローリング型の凹みを治療します。内服薬は最後だけに使うのではなく、炎症の重症度に応じて最初の段階から組み込みます。

いきなりポテンツァを行って表面が整っても、洗顔・保湿・外用が肌に合わず新しいニキビが続けば、凹みを増やす炎症が残ります。そのため、これまでの外用・内服、使っている化粧品、皮疹が増えた時期を確認してから順序を決めます。

活動性ニキビは、スキンケアと必要な病変への排膿を先に行います

第一段階は、新しいニキビを増やさないスキンケアです。ビタミンA系の外用は角化と皮脂、炎症を整える柱として使いますが、化粧品のレチノールと医療用の外用レチノイドは濃度・区分・使い方が異なります。洗顔、保湿、現在の外用を一緒に確認し、刺激で赤みが増えない量と頻度にします。

膿がたまり、押さえると痛い炎症性ニキビでは、対象病変だけをCO2レーザーで小さく開口して排膿することがあります。局所の膿と張りを減らした後も、周囲の面皰と炎症を抑える外用・内服・スキンケアを続け、新しい瘢痕を増やさない段階へつなげます。

炎症を先に抑える治療を土台にする理由として、過酸化ベンゾイル2.5%では3か月後の炎症性皮疹減少率が72.7%、プラセボで41.7%であり、炎症軽快後はアダパレンや過酸化ベンゾイルによる維持療法が推奨されたとの報告がありました(参考文献1)。

赤み・色素を分けた後、凹みを瘢痕型ごとに治療します

炎症が落ち着いたら、圧迫で薄くなる赤い跡、圧迫しても残る褐色の色素沈着、斜めの光で影になる凹みを分けます。赤み・色素が主な段階と、真皮の凹みを治療する段階を混ぜず、ポテンツァの薬剤導入やケミカルピーリングは、面で続く毛穴・浅い凹凸・角栓など、狙う所見を決めて使います。

局所の凹みは形で手技を分けます。浅く硬いボックス型はトライフィルプロの瘢痕モード、広いボックス型やローリング型はサブシジョン、アイスピック型や小型の深いボックス型はTCAクロスが候補です。サブシジョン後は再癒着を抑える目的でヒアルロン酸を加える場合があります。

同じ頬に複数の型が混在する場合は、面の浅い凹凸、局所の癒着、深い開口部を順番に記録します。1つの機器で全てを一括治療せず、次回写真で最も残る型へ手技を追加します。

凹みを一つの施術で一括治療しない理由として、レーザーとRFの有効性が確認され、補助手技は萎縮性瘢痕の型・重症度・数に応じて選び、併用治療は単独治療より改善しやすいとの報告がありました(参考文献2)。

内服薬は、重症度と炎症の続き方から早い段階で検討します

イソトレチノインは皮脂分泌を抑え、重症の炎症性ニキビを治療する選択肢です。90%以上の改善、再発率30%以下という報告は一つの目安で、用量、治療終了時の炎症、年齢、追跡期間によって再発率は変わるため、皮疹数と検査値を治療中・治療後も追います。

漢方では、強い炎症や治りにくさをみて柴苓湯、赤みの強い炎症をみて黄連解毒湯などを選ぶ場合があります。体質、併用薬、皮疹の段階を確認して用い、面皰・炎症性皮疹への標準外用や、すでにできた凹みへの瘢痕手技とは役割を分けます。

治療終了後も再発を追う理由として、いずれの累積量でも皮疹数と重症度は改善し、12か月後の再発率は26.7%と32.3%で有意差がなく、有害事象は軽度だったとの報告がありました(参考文献3)。

Clinical View

診療で確認するポイント

  • 初診では、面皰、丘疹、膿疱、結節を部位ごとに数え、痛みと排膿が必要な病変、新しい瘢痕を作りやすい病変を先に決めます。
  • 洗顔・保湿・ビタミンA系化粧品・医療用外用薬・内服歴を時系列で確認し、刺激を減らしながら炎症を止める組み合わせを作ります。
  • 新しい皮疹が落ち着いたら、赤い跡、褐色色素、毛穴、アイスピック・ボックス・ローリング型の凹みを正面と斜位で分けます。
  • 面の浅い変化にはポテンツァやピーリング、局所の癒着・深い凹みにはトライフィルプロ、サブシジョン、TCAクロスを割り当て、治療後に最も残る型を次の標的にします。

Comparison

治療選択の比較

治療・対応 向く状態 向かない/慎重な状態 回数の目安 ダウンタイム 費用(税込) 承認状況
スキンケア・標準外用治療 面皰、丘疹、膿疱が増えている段階と、炎症軽快後の再発予防 深い凹み・癒着だけが残る状態を単独で改善したい場合 毎日継続し、数週から皮疹数と刺激反応で再評価 乾燥、赤み、刺激、皮むけ。化粧品と医療用外用薬で異なる 保険処方・使用製品で異なる。自費初診・再診0円 医療用外用薬は販売名ごとの承認範囲。化粧品のビタミンAとは別区分
CO2レーザーによる切開排膿 膿がたまり、張り・痛みがある局所の炎症性病変 面皰だけ、広い炎症、新しい皮疹の再発予防、すでに残った凹み 排膿が必要な病変だけを診察時に処置 痛み、赤み、出血、痂皮、色素沈着、感染、瘢痕 保険・自費、診断と処置内容で異なる 局所処置。使用機器・診療区分ごとに説明
ポテンツァ薬剤導入・ケミカルピーリング 炎症が安定し、面で続く毛穴・浅い凹凸・角栓を治療する段階 膿疱・結節が増えている、感染・びらん・強い皮膚炎がある状態 複数回。毎回、活動性皮疹と皮膚反応を再評価 ポテンツァは痛み、赤み、腫れ、点状出血、痂皮。ピーリングは刺激、赤み、皮むけ、色素変化 ポテンツァ全顔1回66,000円/3回188,100円。ケミカルピール全顔1回8,800円/5回39,600円 POTENZAは国内未承認医療機器。ケミカルピーリングは自由診療
トライフィルプロ・サブシジョン・TCA CROSS 炎症が安定した後のボックス型・ローリング型・アイスピック型の凹み 新しい炎症性ニキビが増えている状態、感染、創傷治癒へ影響する状態 瘢痕型と範囲ごとに複数回。毎回残る型を再評価 痛み、腫れ、内出血、痂皮、色素沈着・脱失、硬結、感染、瘢痕悪化 トライフィル1か所18,000円、サブシジョン2×2cm 33,000円、TCA 20か所まで22,000円 Trifill Pro・併用製剤は国内未承認。TCAの瘢痕使用は承認範囲外
イソトレチノイン・漢方 重症・反復する炎症性ニキビ、皮脂と炎症が強い状態。漢方は症状・体質に応じて選択 妊娠中・妊娠の可能性がある、必要な検査・避妊を継続できない状態。凹みだけが残る状態 内服中は皮疹数、副作用、肝機能・脂質等を定期評価 乾燥、口唇炎、肝機能・脂質異常、催奇形性など。漢方は製剤固有の副作用 イソトレチノイン20mg×30日分22,000円。漢方は処方内容で異なる イソトレチノインは国内未承認のニキビ内服。漢方は製剤・適応ごとに確認

費用の目安

  • 自費診療の初診・再診料:0円。施術・化粧品購入を伴わない診察を複数回利用する場合:3,300円(税込)
  • ポテンツァ 瘢痕治療・薬剤導入 全顔:1回66,000円/3回188,100円(税込)
  • トライフィルプロ シワ・瘢痕治療:1か所・ジュベルック込み18,000円(税込)
  • サブシジョン:2×2cm 33,000円/5×5cm 66,000円(税込)
  • TCA CROSS:20か所まで22,000円(税込)
  • ケミカルピール全顔:1回8,800円/5回39,600円(税込)
  • イソトレチノイン20mg:30日分22,000円(税込)

すべて税込です。ポテンツァ、トライフィルプロ、サブシジョン、TCA CROSS、ピーリング、イソトレチノインは自由診療です。

リスク・副作用・注意点

  • ビタミンA系化粧品・外用レチノイド:乾燥、赤み、ひりつき、皮むけ、刺激性皮膚炎。妊娠中・妊娠の可能性がある方は製品・薬剤ごとの使用可否を確認します。
  • CO2レーザーによる切開排膿:痛み、赤み、出血、腫れ、痂皮、炎症後色素沈着、感染、瘢痕など。
  • ポテンツァ・ピーリング:痛み、赤み、腫れ、点状出血、針跡、痂皮、乾燥、皮むけ、色素変化、感染、まれに熱傷・瘢痕など。
  • トライフィルプロ・サブシジョン・TCA CROSS:痛み、赤み、腫れ、内出血、硬結、痂皮、色素沈着・脱失、感染、血管・神経損傷、瘢痕悪化など。
  • イソトレチノイン:胎児への重大な危険、口唇・皮膚乾燥、肝機能・脂質異常、頭痛、筋骨格症状など。治療前後の避妊、献血制限、定期検査が必要です。
  • 国内承認・適応: POTENZAとTrifill Pro、併用するジュベルックは日本国内未承認の医療機器・製剤で、当院では医師の責任で正規販売元または適法な輸入手続きを通じて入手しています。TCAのニキビ瘢痕への局所使用は国内承認範囲外です。イソトレチノインは日本でニキビ治療薬として未承認で、医師の責任で適法な輸入手続きを通じて入手しています。未承認医療機器・医薬品による健康被害は、医薬品副作用被害救済制度等の対象外となる場合があります。

強い痛み、膿が増える、急に広がる赤み・腫れ、発熱、黒色・白色の皮膚変化がある場合は予定日を待たず当院へ連絡してください。

Doctor Review

執筆・監修

執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)

References

参考にした一次情報・ガイドライン

  1. 尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン策定委員会, 山﨑研志, 赤松浩彦, ほか. 尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023. 日本皮膚科学会雑誌. 2023;133(3):407-450. doi:10.14924/dermatol.133.407.

    尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023

    研究デザイン: 日本皮膚科学会の診療ガイドライン。PubMed、医学中央雑誌Web、Cochrane Database of Systematic Reviewsを検索し、急性炎症期、面皰、寛解維持、瘢痕、施術、スキンケアのClinical Questionごとに推奨度を提示。 / 対象: 尋常性痤瘡患者。急性炎症期、炎症軽快後の維持期、瘢痕を区別して対象としている。本文で引用した過酸化ベンゾイル試験は、顔面に炎症性皮疹11〜40個を有する日本人患者を対象。 / 結果: 過酸化ベンゾイル2.5%ゲルの3か月後の炎症性皮疹減少率は72.7%、プラセボは41.7%。アダパレン0.1%、過酸化ベンゾイル2.5%、両者の配合剤は炎症軽快後の寛解維持に推奨度Aとされた。 / 限界: 2023年改訂は主に酒皶関連で、痤瘡部分の検索時期はCQごとに異なる。国内標準治療を示す文書であり、CO2レーザー排膿、POTENZA、Trifill Pro、サブシジョン、イソトレチノインの当院での順序を直接比較していない。改訂費用は日本皮膚科学会が負担し、委員の講演料・研究費等のCOIを開示、関連治療の推奨度判定から該当委員を除外した。全44頁を2026年8月9日に確認した。

  2. Bhargava S, Cunha PR, Lee J, Kroumpouzos G. Acne Scarring Management: Systematic Review and Evaluation of the Evidence. Am J Clin Dermatol. 2018;19(4):459-477. doi:10.1007/s40257-018-0358-5. PMID:29744784.

    Acne Scarring Management: Systematic Review and Evaluation of the Evidence

    研究デザイン: MedlineとEMBASEを検索し、ニキビ瘢痕治療の比較研究・観察研究を評価したシステマティックレビュー。 / 対象: 萎縮性ニキビ瘢痕を扱った89研究。肌タイプ、瘢痕型、治療法は研究間で異なる。 / 結果: レーザーとRFの有効性は複数の比較・観察研究で確認され、補助手技は瘢痕の型・重症度・数に応じて選ぶとされた。併用治療は一般に単独治療より良好な結果を示した。 / 限界: 高品質研究が不足し、各治療の設定、評価尺度、肌タイプ、瘢痕型が不均一。POTENZA、Trifill Pro、TCA CROSS、当院の治療順を直接比較した研究ではない。PubMed抄録を2026年8月9日に確認し、原著全文は取得できなかった。PubMed書誌・抄録に資金源と利益相反の記載はない。

  3. Cascio Ingurgio R, Alfano A, Costanzo A, et al. Cumulative isotretinoin dosing, treatment response and acne relapse: A randomized controlled trial. J Eur Acad Dermatol Venereol. 2026. Online ahead of print. doi:10.1111/jdv.70524. PMID:42223172.

    Cumulative isotretinoin dosing, treatment response and acne relapse: A randomized controlled trial

    研究デザイン: 単施設の無作為化・単盲検比較試験。転帰評価者を盲検化し、累積量120mg/kg群と150mg/kg群を治療終了時および中止12か月後まで比較。 / 対象: 中等度から重症の嚢胞性ニキビ患者。PubMed抄録には登録人数の記載がない。 / 結果: 両群で皮疹数と重症度が同程度に改善し、治療終了12か月後の再発率は120mg/kg群26.7%、150mg/kg群32.3%で有意差なし。有害事象は軽度で群間差なし。 / 限界: 単施設研究で、試験登録が後ろ向き。日本の未承認使用、当院の用量、妊娠管理、漢方併用を検証していない。PubMed抄録を2026年8月9日に確認し、原著全文は取得できなかった。抄録には資金源と利益相反の記載がない。

  4. JAAD 2022

    Acne vulgaris and risk of depression and anxiety

    心理的負担を評価する論点。

  5. Dermatol Surg. 2021

    Radiofrequency Microneedling: A Comprehensive and Critical Review

    RFマイクロニードリングの適応・限界。

よくあるご質問

Q. ニキビ跡が気になる場合も、先に新しいニキビを治療しますか?

丘疹・膿疱・結節が増えている場合は、先に炎症を減らして新しい瘢痕を増やさない治療を行います。新しい皮疹が落ち着いた後に、赤み、色素、凹みを分けて次の治療へ進みます。

Q. スキンケアのビタミンAと医療用のニキビ外用薬は同じですか?

化粧品のレチノールと、アダパレンなど医療用の外用レチノイドは区分・濃度・使用法が異なります。現在の皮疹と刺激反応に合わせて分け、赤み・乾燥・皮むけが強いときは頻度を調整します。

Q. CO2レーザーによる切開排膿は、どのニキビに行いますか?

膿がたまり、張りや痛みが強い炎症性病変のうち、局所排膿が必要と判断した病変へ行います。全てのニキビに行う処置ではなく、外用・内服・スキンケアと組み合わせます。

Q. ポテンツァ、トライフィルプロ、サブシジョン、TCAクロスはどう分けますか?

面で続く毛穴・浅い凹凸にはポテンツァ、浅く硬いボックス型にはトライフィルプロ、広いボックス型・ローリング型にはサブシジョン、アイスピック型・小型の深いボックス型にはTCAクロスを候補にします。

Q. イソトレチノインの費用と国内承認状況を教えてください。

20mgを30日分で22,000円です。日本ではニキビ治療薬として未承認で、当院では医師の責任で適法な輸入手続きを通じて入手しています。妊娠中・妊娠の可能性がある方は使用できず、治療前後の避妊、献血制限、肝機能・脂質などの検査が必要です。

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