アドバテックスの589nm・1319nmとは|赤みと皮脂への役割
この症例は、にきび瘢痕と赤ら顔を、術前、ポテンツァ薬剤導入3回後、ADVATx(アドバテックス)3回後の順に追っています。凹凸への治療に続けて、1319nmで真皮・皮脂、589nmで残る赤みを扱う治療順を解説します。
Medical Information
この記事について
- 執筆医・監修医
- 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
- 監修日
- 2026年8月9日
- 公開日
- 2025年5月30日
- 実質更新日
- 2026年8月9日

Contents
目次
ポテンツァ3回後にアドバテックスを3回重ねた症例です
頬の斜位写真を、術前、ポテンツァ薬剤導入3回後、アドバテックス3回後の順に比較しています。最初の3回では、マイクロニードルの刺入、RFの熱、マックームによる薬剤導入を組み合わせ、にきび瘢痕の凹凸と肌質を治療しました。
その後は、皮内で約6か月かけて分解するマックームの経過へ1319nmの真皮に対する熱作用を重ね、589nmで頬に残る赤みを治療しています。術前から段階を追うと、凹凸の影、頬の赤み、肌表面の見え方がそれぞれ変化した経過を確認できます。
589nmは頬に残る赤みを扱います
589nmはヘモグロビンに吸収されやすく、頬に面で広がる赤みや、赤い丘疹、細く見える血管を治療するときに用います。この症例では、ポテンツァ薬剤導入後にも残る頬の赤みを確認し、アドバテックスの589nmを加えています。
診察では、押すと薄くなる赤み、線状の血管、炎症性の丘疹、茶色い色素を同じ所見にせず、589nmを全顔に重ねる範囲と、ポイント照射する部位を決めます。
1319nmは真皮と皮脂の変化を追います
1319nmは水に吸収されて真皮へ熱を加える波長で、肌の質感と皮脂を同じ経過で追うときに用います。皮脂の多い範囲、毛穴の見え方、乾燥、炎症性皮疹を記録し、589nmで扱う赤みと分けて反応を見ます。
この症例では、ポテンツァで作った微細な経路とRF、マックームによる治療の後に1319nmを重ねています。にきび瘢痕の凹凸を先に治療し、真皮の反応と皮脂、残る赤みを次の段階で扱う順序です。
赤みと皮脂を分けて、約3週間で次の照射を考えます
アドバテックスは面へ細かく熱を重ねるフラクショナル型の照射で、1回だけでなく回数を重ねて赤みと皮脂の経過を見ます。この治療計画では、施術後の皮脂の変化が約3週間から弱まる時期を目安に再評価し、間隔を空けすぎないよう次回を組みます。
再診時は、同じ条件の斜位写真で頬の赤みと凹凸の影を比べ、皮脂、乾燥、炎症性皮疹も別に記録します。赤みだけが残る場合と、皮脂や活動性ニキビも残る場合で、次に用いる波長と範囲を変えます。
2波長を複数回重ねて評価する具体例として、589/1319nmを2〜3週おきに4回照射した結果、最終時点に炎症性皮疹が治療側23.1%減少、無治療側11.1%増加し、患者自己評価では赤み66.7%、皮脂77.8%に改善、全体満足77.8%との報告がありました(参考文献1)。
活動性ニキビが残るときは外用治療も同時に続けます
赤い丘疹や膿疱が続く時期は、新しい瘢痕を増やさないためのニキビ治療が先に必要です。面皰、丘疹・膿疱、皮脂、ニキビ後の赤みを数え、ベンゾイル過酸化物などの外用とレーザーの役割を分けます。
外用で活動性炎症を治療しながら、589nmで赤み、1319nmで皮脂と真皮の反応を追うと、炎症性皮疹数、赤み、皮脂を同じ時点で比較できます。レーザーの回数は皮疹数と前回の赤み・乾燥を見て決めます。
活動性ニキビへ外用とデュアル波長を組み合わせた結果、2.5%ベンゾイル過酸化物に589/1319nmを2週間隔で4回加えた側は、最終照射3か月後の炎症性皮疹数が46%、外用のみの側は29%減少し、群間差は有意ではなかったとの報告がありました(参考文献2)。
Clinical View
診療で確認するポイント
- 頬を正面と斜位で撮影し、凹凸の影、面状の赤み、線状血管、活動性の丘疹・膿疱、皮脂を分けて記録します。
- 凹凸が主ならポテンツァ薬剤導入を先に行い、その後も残る赤みへ589nm、皮脂と真皮の質感へ1319nmを重ねる順序を考えます。
- 約3週間で赤み、皮脂、乾燥、炎症性皮疹を再評価し、同じ条件の写真で改善が続く所見と戻り始める所見を分けて次回の波長・範囲を決めます。
Comparison
治療選択の比較
| 治療・対応 | 向く状態 | 向かない/慎重な状態 | 回数の目安 | ダウンタイム | 費用(税込) | 承認状況 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ポテンツァ薬剤導入+マックーム | 頬全体のにきび瘢痕、毛穴、凹凸と肌質を面で治療したい状態 | 感染や強い炎症がある状態、深い局所癒着だけが主な状態 | この症例は3回後を比較。料金表には1回・3回設定あり | 痛み、点状出血、赤み、腫れ、ざらつき、角質の脱落、針跡 | 全顔1回66,000円/3回188,100円、マックーム+22,000円 | 要確認 |
| ADVATx 589+1319nm 全顔 | 面状の赤みと、皮脂・毛穴・真皮の質感が同じ範囲に重なる状態 | 感染、強い皮膚炎、日焼け直後、診断が定まっていない色素・血管病変 | この症例は3回後を比較。料金表には1回・5回設定あり | 痛み、赤み、ほてり、腫れ、乾燥、刺激感、色素沈着、水疱、やけど | 全顔・スポット照射込み 1回30,000円/5回139,000円 | 要確認 |
| ADVATx 589nm スポット | 頬や鼻周囲に残る限局した赤み、細い毛細血管、目立つ赤い丘疹 | 皮脂・毛穴・凹凸だけが主な状態、顔全体へ均一に広がる複合所見 | 色・太さ・照射後反応を見て再評価 | 局所の赤み、ほてり、腫れ、乾燥、色素沈着、水疱、やけど | 1cm×1cmまで6,600円/1cm×1cm以上は1cm2ごと4,400円 | 要確認 |
費用の目安
- ポテンツァ瘢痕治療・薬剤導入 全顔:1回66,000円/3回188,100円
- ポテンツァ薬剤マックーム:+22,000円
- ADVATx 589+1319nm 全顔・スポット照射込み:1回30,000円/5回139,000円
- ADVATx 589nmスポット・医師施術:1cm×1cmまで6,600円/1cm×1cm以上は1cm²ごと4,400円
麻酔、照射範囲、薬剤、追加施術により総額が変わります。
リスク・副作用・注意点
- ポテンツァでは、痛み、点状出血、赤み、腫れ、ざらつき、角質の脱落、針跡が生じることがあります。
- ADVATxでは、照射中の痛み、照射後の赤み、ほてり、腫れ、乾燥、刺激感が生じることがあります。
- ADVATxでは、色素沈着、水疱、やけどが起こることがあります。
- 国内承認・適応: ADVATxと、当院で現在ポテンツァ治療に用いるPOTENZA Primeは、日本国内で医薬品医療機器等法上の承認を受けていない医療機器です。医師の責任のもと適法な輸入手続きにより入手しています。製造元はADVATxについて米国FDA 510(k) K250189、POTENZAについてK201685などの海外認証を公表しています。国内未承認医療機器による健康被害は、医薬品副作用被害救済制度等の対象外となる場合があります。
レーザーの平均疼痛は3.4/10で重篤な有害事象はなく、16.7%に軽い乾燥・赤み・落屑が生じ、2週間以内に自然軽快したとの報告がありました。
Doctor Review
執筆・監修
執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
References
参考にした一次情報・ガイドライン
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Treatment of Moderate-to-severe Facial Acne Vulgaris with Solid-state Fractional 589/1,319-nm Laser
研究デザイン: 米国単施設で行った前向き・無作為化・左右比較・単盲検研究。無作為に選んだ顔半側へ1319nmを1パス、続けて589nmを1パス照射し、2〜3週間隔で4回治療 / 対象: 17〜40歳の中等症〜重症顔面ニキビ9人。女性7人、男性2人で、Fitzpatrick II型1人・IV型8人。全員が完遂し、最終照射後は最長5.4週間追跡 / 結果: 最終時点の炎症性皮疹は治療側で2.5個・23.1%減少し、無治療側で1.1個・11.1%増加したとの報告がありました。患者自己評価では質感66.7%、瘢痕44.4%、赤み66.7%、皮脂77.8%に改善、全体満足77.8%でした。全員に24時間以内に消える一過性紅斑があり、紫斑、浮腫、色素沈着、瘢痕はありませんでした。 / 限界: 9人の小規模研究で標準治療との比較がなく、追跡は最長5.4週間です。赤み・皮脂・瘢痕は患者自己評価で、589nmと1319nmの各波長の単独効果、マックーム併用効果、最適間隔は示しません。著者は関連する利益相反なしと記載しています。原著全文を2026年8月8日に確認しました。
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Efficacy and safety of the 589/1319 nm solid-state dual-wavelength laser combined with topical benzoyl peroxide for inflammatory acne vulgaris: a split-face randomized controlled trial
研究デザイン: タイ単施設・単盲検の左右比較無作為化試験。顔全体へ2.5%ベンゾイル過酸化物を18週間外用し、無作為に選んだ片側へ589/1319nmレーザーを2週間隔で4回追加、最終照射後3か月追跡 / 対象: 18〜50歳で、左右それぞれに2個以上の炎症性丘疹・膿疱がある軽症〜中等症ニキビ18人 / 結果: 最終照射3か月後の炎症性皮疹数はレーザー併用側46%、ベンゾイル過酸化物単独側29%減少したが、群間差は有意ではなかったとの報告がありました。平均疼痛は3.4/10で重篤な有害事象はなく、3人に両側の軽い乾燥・赤み・落屑が生じ2週間以内に自然軽快しました。 / 限界: 18人・タイ単施設の小規模試験で、両側ともベンゾイル過酸化物を使用しておりレーザー単独効果を示しません。群間の皮疹数、重症度、満足度に有意差はなく、にきび瘢痕、マックーム併用、各波長単独の結果ではありません。原著全文を2026年8月8日に確認しました。
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医療機器の承認審査に関する情報
販売名、承認番号、承認範囲を確認する公的情報です。
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医療広告ガイドライン
自由診療の費用、主なリスク・副作用、未承認機器等の表示を確認する公的資料です。
よくあるご質問
Q. なぜポテンツァの後にアドバテックスを行うのですか?
この症例では、ポテンツァ薬剤導入3回でにきび瘢痕の凹凸と肌質を先に治療し、続いてアドバテックス3回で残る赤み、真皮の質感、皮脂を扱っています。凹凸、赤み、皮脂を同じ治療だけで追わず、変化する順に施術を重ねます。
Q. 589nmはどのような赤みに使いますか?
頬に面で広がる赤み、ニキビ後の赤み、細い毛細血管、赤い丘疹などが候補です。押したときの退色、血管の形、炎症性皮疹の有無を見て、全顔照射とポイント照射を分けます。
Q. 1319nmは皮脂にどのように使いますか?
1319nmは水に吸収されて真皮へ熱を加える波長です。皮脂の多い範囲、毛穴、質感、乾燥、炎症性皮疹を同じ時点で記録し、589nmによる赤みの変化とは分けて評価します。
Q. 治療間隔はどのように決めますか?
この治療計画では、皮脂の変化が弱まり始める約3週間を再評価の目安にします。前回の赤み、乾燥、痛みと、頬の赤み・皮脂・炎症性皮疹の戻り方を比べて次回を決めます。
Q. アドバテックスとポテンツァは国内承認機器ですか?
ADVATxと、当院で現在使用するPOTENZA Primeは国内未承認医療機器です。医師の責任で適法に輸入して使用します。国内未承認医療機器による健康被害は、医薬品副作用被害救済制度等の対象外となる場合があります。
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