皮脂・テカリ・くすみへアドバテックスとルビートーニングを併用した症例
皮脂によるテカリと全体のくすみへ、アドバテックス2回とルビーフラクショナル3回を交互に行った左右斜位の症例です。589/1319nmで皮脂・赤みを、694nmで褐色色素を追い、肌の反射と色調を分けて評価します。
Medical Information
この記事について
- 執筆医・監修医
- 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
- 監修日
- 2026年8月9日
- 公開日
- 2025年6月7日
- 実質更新日
- 2026年8月9日

Contents
目次
左右斜位で、テカリとくすみの変化を比較します
上段と下段は反対側から見た斜位で、左列が治療前、右列がアドバテックス2回・ルビーフラクショナル3回後です。2つのレーザーを交互に施術し、治療後は鼻・頬の強い光沢が減り、額から頬に広がる褐色調が薄く、肌全体の明るさが均一に見えます。
この症例では、洗顔後にも戻る皮脂の光沢、毛細血管や炎症に伴う赤み、メラニンによる褐色色素、これらが重なって見えるくすみを別々に記録します。斜位は頬の反射と色むらを捉えやすいため、左右を同じ照明・カメラ角度で撮り、各施術後に残った所見を次の標的にします。
アドバテックス2回では、皮脂の光沢と赤みを分けて追います
589nmは赤い血管・炎症性の赤みを、1319nmは水に吸収される熱を真皮へ届ける役割で使います。皮脂を目標にする場合は、洗顔・保湿・撮影までの時間をそろえ、鼻、内頬、額の光沢を同じ条件で比較します。
皮脂の戻りが早い方では3週間時点のテカリを確認し、次回の間隔を決めます。赤みは面積、ほてり、細い血管、新しい炎症性皮疹を記録し、皮脂とは別の尺度で治療反応を評価します。
皮脂と赤みを別の尺度で追う理由として、5回後1か月に85%で自己評価皮脂スコアが1〜3点低下し、赤みがあった人の65.5%で75%を超えて改善したとの報告がありました(参考文献1)。
ルビーフラクショナル3回では、褐色色素と全体の明るさを追います
694nmのルビー光はメラニンへの吸収を利用し、額・頬・鼻に広がる褐色色素をフラクショナルに照射します。境界の明瞭な日光黒子、細かな雀卵斑、左右対称の肝斑、炎症後色素沈着を分布で見分け、3回の途中でも濃淡と炎症反応を記録します。
くすみの評価では、皮脂反射が減って明るく見える変化と、褐色色素そのものが薄くなる変化を分けます。色素は赤みより遅れて変化することがあるため、照射直後ではなく皮膚反応が落ち着いた写真で次回の範囲を更新します。
694nm後の褐色色素と明るさを別々に測る根拠として、最終照射16週後にMASIは15.1から10.6へ低下し、明るさのL値は56.6から59.9へ上昇したとの報告がありました(参考文献2)。
交互に施術し、毎回残った色と光沢から次の標的を決めます
この症例ではアドバテックスとルビーフラクショナルを交互に行いました。どちらから始めるかは、赤み・炎症と褐色色素のどちらを先に落ち着かせるかで決め、前回の赤み、乾燥、点状痂皮が残る部位へ次の熱刺激を重ねません。
再評価では、テカリは同じ洗顔条件、赤みは同じ室温、褐色色素は同じ照明で撮影します。アドバテックス後に赤みと皮脂、ルビー後に褐色色素をそれぞれ採点し、片方の反応が十分ならもう一方の治療へ比重を移します。
波長の役割と、機器の承認状況を分けて確認します
当院のルビー機器NanoStar Rは、色素性皮膚疾患の治療を使用目的とする国内承認Qスイッチルビーレーザーです。全顔のフラクショナルトーニングは個別に承認された照射方法ではないため、自由診療として治療範囲とリスクを説明します。
ADVATxは589nmと1319nmを搭載する国内未承認医療機器です。製造元の機器仕様と当院で用いる照射範囲・料金を分け、2機器はそれぞれの波長と標的に基づいて説明します。
NanoStar Rは、色素性皮膚疾患の治療を使用目的とする国内承認Qスイッチルビーレーザーで、承認番号は22900BZX00055000です(参考文献3)。
Clinical View
診療で確認するポイント
- 左右斜位を同じ洗顔・保湿・照明条件で撮り、鼻と内頬の光沢、面状の赤み、細い血管、褐色色素を別々に記録します。
- 皮脂・赤みが主なら589/1319nm、褐色色素が主なら694nmを選び、治療後に残った所見から次の波長を決めます。
- 皮脂は3週間時点の戻り方、赤みは室温が落ち着いた状態、褐色色素は照射後の炎症が引いた状態で再評価します。
- 2機器を交互に用いるときは、前回の赤み・乾燥・痂皮が消えていることを確認し、同じ部位へ刺激を重ねる範囲を調整します。
Comparison
治療選択の比較
| 治療・対応 | 向く状態 | 向かない/慎重な状態 | 回数の目安 | ダウンタイム | 費用(税込) | 承認状況 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ADVATx 589+1319nm | 面状の赤み、細い血管、炎症性ニキビに皮脂・テカリが重なる状態 | 褐色色素だけが主な状態、感染・強い皮膚炎・日焼け直後の部位 | 症例は2回。1回ごとに皮脂、赤み、炎症を再評価 | 赤み、ほてり、腫れ、乾燥、刺激感。まれに色素沈着、水疱、熱傷 | 全顔・スポット照射込み1回30,000円/5回139,000円(税込) | 要確認 |
| ルビーフラクショナルトーニング 694nm | 全顔に広がる細かなシミ、褐色色素、色むら・くすみ | 血管性の赤みだけが主な状態、活動性皮膚炎、診断未確定の色素病変 | 症例は3回。色調と炎症反応を見て次回範囲を調整 | 痛み、赤み、腫れ、乾燥、点状痂皮、炎症後色素沈着、色素脱失 | 全顔1回16,500円/1クール目5回66,000円(税込) | 要確認 |
費用の目安
- ADVATx 589+1319nm 全顔・スポット照射込み:1回30,000円/5回139,000円(税込)
- ルビーフラクショナルトーニング 全顔:1回16,500円/1クール目5回66,000円/2クール目以降5回55,000円(税込)
症例はADVATx2回とルビーフラクショナル3回を交互に実施。現在の院内総合料金表と施術ページの税込表示を照合した。
リスク・副作用・注意点
- ADVATx:痛み、赤み、ほてり、腫れ、乾燥、刺激、色素変化、水疱、熱傷など
- ルビーフラクショナルトーニング:痛み、赤み、腫れ、かゆみ、乾燥、点状痂皮、炎症後色素沈着、色素脱失、熱傷、瘢痕など
- 国内承認・適応: 当院が使用する販売名NanoStar Rは、色素性皮膚疾患の治療を使用目的とする国内承認Qスイッチルビーレーザーです(承認番号22900BZX00055000)。全顔のフラクショナルトーニングは承認された個別の照射方法ではなく、自由診療として行います。ADVATxは日本国内未承認医療機器で、医師の判断により適法な個人輸入手続で導入しています。製造元は米国FDAの510(k)クリアランスと欧州CE認証を公表しています。承認範囲外の照射方法や未承認機器による健康被害は、医薬品副作用被害救済制度等の対象外となる場合があります。
強い痛み、水疱、増える腫れ、長引く皮膚色変化は早期連絡の対象とする。
Doctor Review
執筆・監修
執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
References
参考にした一次情報・ガイドライン
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Efficacy and Safety of Solid-state Dual-wavelength Lasers for the Treatment of Moderate-to-severe Inflammatory Acne in Asian Populations
研究デザイン: 単施設の前向き単群研究。夜間の外用レチノイドと589/1319nmレーザーを2〜3週間隔で5回併用し、毎回と最終照射1か月後を評価。一部は3か月後まで追跡 / 対象: 中等症〜重症の炎症性ニキビがあるアジア人40人。年齢16〜38歳、Fitzpatrick III〜V型。3か月評価は15人 / 結果: 最終照射1か月後、40人中34人で自己評価の皮脂スコアが1〜3点低下した。赤みがある29人中19人(65.5%)は75%を超えて改善し、色素沈着がある17人中9人(52.9%)は75%を超えて明るくなった。 / 限界: 対照群がなく、全員が外用レチノイドと遮光を併用したためレーザー単独効果を示さない。皮脂は機器計測ではなく本人の10点尺度で、5回治療の結果であり本症例の2回経過と同じではない。原著全文を2026年8月9日に確認した。 / 利益相反: 著者は金銭的利益相反なしと申告。Advalightがメディカルライティング・編集費を提供した。
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Efficacy of 694-nm Q-switched ruby fractional laser treatment of melasma in female Korean patients
研究デザイン: 前向き単群研究。低出力694nm Qスイッチルビーフラクショナルを2週間隔で6回行い、最終照射4週・16週後までMASIと色彩計で評価 / 対象: 肝斑がある韓国人女性15人 / 結果: 平均MASIは治療前15.1±3.3から最終照射16週後10.6±3.9へ低下し、色素の明るさを示すL値は56.6±3.5から59.9±2.8へ上昇した。 / 限界: 対照群のない15人の肝斑研究で、6回治療の結果である。本症例のくすみ全体、日光黒子、皮脂、ADVATxとの交互治療、NanoStar Rの3回結果を直接示さない。PubMed抄録・書誌を2026年8月9日に確認し、原著全文にはアクセスできなかった。 / 利益相反: PubMed抄録・書誌から資金提供と利益相反の詳細は確認できなかった。
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Qスイッチルビーレーザー ナノスターアール
研究デザイン: 国内製造販売元の医療機器製品情報とPMDA電子添文更新情報 / 対象: 該当なし(医療機器の承認・製品資料) / 結果: 販売名ナノスターアールは694nmのQスイッチルビーレーザーで、色素性皮膚疾患の治療を使用目的とする国内承認医療機器。承認番号22900BZX00055000。 / 限界: 承認・製品資料であり患者臨床研究ではない。全顔のフラクショナル照射は個別に承認された照射方法ではなく、ADVATxとの併用効果を示さない。 / 利益相反: 製造販売元の製品資料であるため、臨床研究の利益相反資料ではない。
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医療広告ガイドライン
自由診療の費用、主なリスク・副作用、未承認機器等の表示を確認する公的資料です。
よくあるご質問
Q. この症例では、何回ずつ治療していますか?
アドバテックス2回、ルビーフラクショナル3回を交互に行っています。左右の斜位写真では、治療後に鼻・頬の光沢が減り、額から頬の褐色調が薄く見えます。
Q. アドバテックスとルビーフラクショナルは何が違いますか?
アドバテックスの589nmは血管・赤み、1319nmは真皮への加熱と皮脂・炎症の評価に使います。ルビー694nmはメラニン性の褐色色素を標的にします。
Q. なぜ2つのレーザーを交互に行うのですか?
皮脂・赤みと褐色色素では標的が異なるためです。前回の皮膚反応が落ち着いてから、テカリ、赤み、褐色色素のうち残った所見へ次の波長を割り当てます。
Q. 現在の料金はいくらですか?
税込で、ADVATx全顔・スポット照射込みは1回30,000円、5回139,000円です。ルビーフラクショナルトーニング全顔は1回16,500円、1クール目5回66,000円、2クール目以降5回55,000円です。
Q. 承認状況と主なリスクを教えてください。
NanoStar Rは国内承認機器(承認番号22900BZX00055000)ですが、全顔フラクショナルトーニングは承認された個別の照射方法ではありません。ADVATxは国内未承認機器です。赤み、熱感、乾燥、痂皮、色素沈着が起こることがあり、強い痛み、水疱、増える腫れがある場合は当院へご連絡ください。
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