ニキビ治療でスキンケア・外用・施術をどう組み合わせるか
ニキビ治療は、スキンケアと外用・内服で新しい炎症を抑え、必要な病変には排膿処置を行い、残る赤み・色素沈着・凹凸へレーザーや瘢痕治療を順に重ねます。当院では、今あるニキビとニキビ跡を同じ治療で扱わず、時期と所見に応じて組み合わせを変えます。
Medical Information
この記事について
- 執筆医・監修医
- 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
- 監修日
- 2026年8月9日
- 公開日
- 2025年7月29日
- 実質更新日
- 2026年8月9日













Contents
目次
今あるニキビから瘢痕まで、4段階で治療を組みます
頬からこめかみに炎症性ニキビ、赤み、色素沈着、浅い凹みが重なった状態と、治療後に炎症が減った状態を比較します。現在進行中の皮疹と、治った後に残る色・凹凸を順に扱うことが、当院のニキビ治療の軸です。
治療は、第1段階のスキンケア・内服薬・外用薬、第2段階の炎症性ニキビの切開排膿、第3段階のニキビ後の赤み・色素沈着、第4段階のニキビ瘢痕です。面皰や膿疱が増える時期、赤みが残る時期、凹みが主になる時期で同じ施術を繰り返すのではなく、変化した所見に合わせて次の手段へ進みます。
スキンケアと処方薬で、新しい皮疹を減らします
毎日のケアでは、洗顔と保湿を整えたうえで、ビタミンA外用の高濃度レチノールを少ない頻度から加えます。角化と皮脂に働きかけて毛穴の詰まりを減らす目的ですが、一度に量や回数を増やすと赤み・乾燥・皮むけが強くなるため、週2回から始め、反応を見て徐々に増やします。
処方薬は、炎症性皮疹の数と深さで選びます。当院では、炎症性ニキビが20個以上ある場合に抗菌薬を2〜3か月使うことを目安とし、具体例としてビブラマイシンがあります。重症・難治例では皮脂分泌を強く抑えるイソトレチノイン、長く炎症を繰り返す例では柴苓湯を候補にします。
レチノール配合スキンケアは化粧品または医薬部外品、抗菌薬・イソトレチノイン・柴苓湯は医薬品として、同じ『外用・内服』の中でも区分を分けます。処方薬の期間と終了時期は、炎症性皮疹が減ったか、新しい面皰が続くか、刺激で外用を中断していないかを同じ写真条件で見ながら決めます。
面皰と炎症性皮疹の両方を減らすために外用レチノイド薬へBPOや抗菌薬を組み合わせ、重症・難治例でイソトレチノインを検討する根拠として、総皮疹数の減少率はプラセボとの差が経口イソトレチノインで48.41ポイント、外用抗菌薬・外用レチノイド・BPOの3剤で38.15ポイント、内服抗菌薬・外用レチノイド・BPOの3剤で34.83ポイントだったとの報告がありました(参考文献1)。
膿を伴う炎症性病変は、早期の排膿を組み込みます
膿がたまり炎症が続く病変には、CO2レーザーで小さく開口し、内容物を排出する切開排膿を行います。周囲の正常皮膚への操作を抑えながら炎症を早く鎮め、炎症後色素沈着や凹みを残しにくくすることが目的です。
当院では、炎症が2週間以上続く病変を跡に残りやすい状態と捉え、発生から2週間以内の処置を院内目安としています。新しい炎症性病変が出たら早期に排膿し、必要に応じてレーザー施術と同日に行います。対象となる病変の切開排膿は保険診療で扱います。
赤み・皮脂・色素沈着には、ADVATxとポテンツァを使い分けます
炎症が続く時期と、炎症後の赤みや色素沈着が残る時期には、ADVATxの589nmと1319nmを組み合わせます。589nmを赤み、1319nmを皮脂腺・新しい面皰・毛穴へ働きかける波長として使い、3週間に1回を継続治療の目安としています。
赤みと皮脂が主で、針治療のダウンタイムを取りにくい時期にはADVATxを選びます。赤みに加えて毛穴や浅い凹凸が残り、創傷治癒を利用した治療が必要になった時期には、次の段階としてポテンツァを加えます。両機器は医療機器であり、スキンケア製品や処方薬とは役割が異なります。
ニキビ跡は、凹みの形と癒着の深さで施術を選びます
広い範囲の浅い凹凸と赤みには、ポテンツァの針先からRFを届け、薬剤導入にマックーム(PLLA製剤)を用います。麻酔クリームを使用し、赤みは3〜7日が目安です。赤みや盛り上がりが残る瘢痕には、ADVATxも同じ段階の選択肢に置いています。
浅いボックスカー型には、トライフィルプロの炭酸ガスによるマイクロサブシジョンで凹みを一つずつ持ち上げ、ジュベルックを届けます。治療は約3回が目安です。小さく深いアイスピック型または小型ボックスカー型にはTCAクロスを用い、1回で5割程度の改善を得ることが多い一方、赤みが1〜3か月続く治療として説明しています。
大きなボックスカー型やローリング型で皮下の癒着が触れる場合は、サブシジョンで瘢痕を下へ引く線維を切り、再癒着を抑える目的で持続期間の長いヒアルロン酸を併用します。基本は1回を目安とし、内出血などのダウンタイムは1〜2週間を見込みます。
凹みの形と癒着の深さに応じてポテンツァ、TCAクロス、サブシジョンなどを使い分ける根拠として、萎縮性ニキビ跡の型・重症度・数に合わせた治療を組み合わせると、単独治療より良好な結果を得ることが多いとの報告がありました(参考文献3)。
大人ニキビは、導入期から維持期まで治療の比重を変えます
頬、あご、フェイスラインに繰り返しやすい大人ニキビでは、導入期(開始〜1か月)に外用と必要な施術を始め、保湿と生活習慣も整えます。初期改善期(1〜3か月)は、治った場所とは別に出る新しいニキビを減らすため、炎症抑制と皮脂抑制を並行します。
中期(3〜6か月)は、炎症性皮疹が減った後に残る赤み・色素沈着・凹み・毛穴へ瘢痕ケアを加えながら、外用を維持します。維持・完了期(6か月以降)は、凹凸と赤みの改善、フェイスラインの再発予防、再発サインへの早期対応へ比重を移します。
導入期から維持期まで治療の比重を変える理由として、軽症〜中等症では外用レチノイド薬とBPOの併用、ピーリング、青色・赤色光の併用が上位となり、中等症〜重症では複数の機序を組み合わせる治療が上位だったとの報告がありました(参考文献2)。
炎症性ニキビと赤みが重なる時期の組み合わせ
頬やフェイスラインに炎症性ニキビを繰り返し、赤みや瘢痕もすでに見える状態では、自宅の高濃度レチノールを週2回から始め、抗菌薬のビブラマイシンを2〜3か月、ADVATxを3週間ごとに5回という順で組み合わせます。
炎症性病変には発生から2週間以内を目安に排膿を加え、反応が乏しい重症・難治例でイソトレチノインを検討します。当院ではイソトレチノイン内服中にポテンツァなどの針・機器治療を行わない運用とし、内服治療と施術の時期を分けます。
新しいニキビが減った後は、残った赤みと瘢痕へ進みます
新しいニキビが別の場所に出る一方、以前の炎症による赤み・色素沈着・凹みが目立つ時期には、レチノール外用と必要時の排膿を続け、ADVATxで赤み・皮脂を扱いながら、ポテンツァの瘢痕治療モードとマックーム導入を加えます。ポテンツァのダウンタイムを取れない時期は、ADVATxを代わりの施術日に置きます。
炎症が落ち着き凹凸が主になったら、浅い凹凸を広く扱うポテンツァ、局所へジュベルックを届けるトライフィルプロ、小さく深い瘢痕のTCAクロス、大きなボックスカー型・ローリング型のサブシジョンへ分けます。維持期にもフェイスラインへ再発する場合は、瘢痕だけを治療せず、外用による再発予防を並行します。
Clinical View
診療で確認するポイント
- 最初に、面皰・丘疹・膿疱・結節を部位別に数え、同じ写真で炎症後の赤み、茶色い色素沈着、アイスピック型・ボックスカー型・ローリング型の凹みを別々に記録します。
- 新しい皮疹が続く間は、洗顔・保湿・ビタミンA外用の頻度を整え、必要な抗菌薬と早期排膿を先に組みます。赤みと皮脂が主になればADVATx、凹凸が主になればポテンツァ、トライフィルプロ、TCAクロス、サブシジョンへ進みます。
- 再診では、新しい皮疹数、炎症後紅斑の面積、斜光で見える凹みを同じ条件で比較し、改善した層の治療を減らして、残った所見へ次の一手を移します。
Comparison
治療選択の比較
| 治療・対応 | 向く状態 | 向かない/慎重な状態 | 回数の目安 | ダウンタイム | 費用(税込) | 承認状況 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| スキンケア・外用薬・内服薬 | 面皰、丘疹、膿疱が続く導入期・初期改善期 | 赤みや凹凸だけが残り、新しい皮疹がない状態 | 毎日継続し、抗菌薬2〜3か月、柴苓湯6か月以上を目安に再評価 | レチノールの赤み・乾燥・皮むけ、薬剤ごとの副作用 | 処方内容・スキンケア製品により異なる | 製品表示と薬剤の国内承認適応を個別に確認 |
| ADVATx(589nm+1319nm) | 炎症性ニキビ、炎症後の赤み、皮脂が主で針治療のダウンタイムを取りにくい時期 | 深いアイスピック型、皮下癒着が強いボックスカー型・ローリング型 | 3週間に1回を目安に、5回後の赤み・皮脂・新生皮疹を再評価 | 一時的な赤み、熱感、腫れ、乾燥。まれに水疱、熱傷、色素変化 | 全顔1回30,000円/5回139,000円 | 国内未承認医療機器 |
| ポテンツァ(赤み・毛穴/瘢痕・薬剤導入) | 炎症が減った後の赤み・毛穴・浅い凹凸を広く扱う段階 | イソトレチノイン内服中、深く狭い瘢痕、局所の強い皮下癒着 | 通常3回を目安に、凹凸と皮膚反応を再評価 | 赤み、腫れ、針跡、痂皮、乾燥。赤みは3〜7日程度が目安 | 赤み・毛穴全顔1回55,000円/3回156,750円、瘢痕・薬剤導入全顔1回66,000円/3回188,100円 | 機器・導入薬剤・使用目的に国内未承認または適応外を含む |
| トライフィルプロ/TCAクロス/サブシジョン | 浅いボックスカー型、小さく深いアイスピック型、皮下癒着を伴う大きなボックスカー型・ローリング型 | 新しい炎症性ニキビが多く、凹みの形を安定して評価できない時期 | トライフィルプロは約3回、TCAクロス・サブシジョンは瘢痕ごとに計画 | 赤み、腫れ、内出血、痂皮、色素沈着。TCAの赤み1〜3か月、サブシジョン1〜2週間が目安 | トライフィル全顔99,000円、TCA20か所22,000円、サブシジョン2×2cm 33,000円 | 機器・薬剤・材料・使用目的に国内未承認または適応外を含む |
費用の目安
- ADVATx全顔1回30,000円・5回139,000円
- ポテンツァ赤ら顔・ニキビ・毛穴治療全顔1回55,000円・3回156,750円、瘢痕治療・薬剤導入全顔1回66,000円・3回188,100円
- トライフィルプロ全顔99,000円、TCAクロス20か所22,000円、サブシジョン2×2cm 33,000円、イソトレチノイン20mg・30日分22,000円
すべて自由診療・税込。2026年8月8日に当院ローカル料金表で確認。
リスク・副作用・注意点
- 外用・内服薬の刺激、乾燥、消化器症状、光線過敏、催奇形性、肝機能障害、脂質異常、間質性肺炎、偽アルドステロン症など
- レーザー・針・瘢痕治療の痛み、赤み、腫れ、熱感、針跡、痂皮、内出血、感染、色素変化、熱傷、結節、瘢痕悪化など
- 国内承認・適応: ADVATx、ポテンツァ、トライフィルプロ、マックーム、ジュベルックは国内未承認またはニキビ・ニキビ跡への使用が承認範囲外となるものを含む。イソトレチノインの国内承認製剤は2026年6月時点で高リスク神経芽腫が適応で、ニキビ治療は適応外。柴苓湯もニキビ治療は適応外。
イソトレチノイン内服中は当院ではポテンツァ等を休止し、薬剤と施術の時期を分ける。
Doctor Review
執筆・監修
執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
References
参考にした一次情報・ガイドライン
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Comparative Efficacy of Pharmacological Treatments for Acne Vulgaris: A Network Meta-Analysis of 221 Randomized Controlled Trials
研究デザイン: 開始時から2022年2月までにPubMedとEmbaseで検索した無作為化比較試験221件を統合したネットワークメタ解析。2週間を超える薬物治療を対象とした / 対象: 210論文、221試験、37治療。総皮疹数減少率の主要解析は65,601人、平均年齢20.4歳、治療期間中央値12週 / 結果: 総皮疹数の減少率について、プラセボとの差は経口イソトレチノイン48.41ポイント、外用抗菌薬・外用レチノイド・BPOの3剤併用38.15ポイント、内服抗菌薬・外用レチノイド・BPOの3剤併用34.83ポイントだったとの報告がありました。 / 限界: 薬剤の用量・剤形を十分に分けられず、試験の重症度と期間が不均一で、長期再発と重い有害事象の比較には限界がある。ここでいう外用レチノイド薬は医薬品であり、本記事で扱うレチノール配合スキンケア製品と同一ではない。
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A systematic review and network meta-analysis of topical pharmacological, oral pharmacological, physical and combined treatments for acne vulgaris
研究デザイン: 軽症〜中等症と中等症〜重症を分け、外用薬、内服薬、ピーリング、光治療および併用治療を比較した179件の無作為化比較試験のシステマティックレビュー・ネットワークメタ解析 / 対象: 49治療クラス、約35,000観察。主に顔面の尋常性痤瘡を対象とした / 結果: 軽症〜中等症では外用レチノイド薬とBPOの併用、ピーリング、青色・赤色光の併用が上位となり、中等症〜重症では外用薬の組み合わせ、内服抗菌薬と外用薬の併用、経口イソトレチノインなど複数機序の治療が上位だったとの報告がありました。 / 限界: 英語文献に限定され、直接比較と間接比較に不整合があり、年齢、重症度、治療法、試験デザインが不均一だった。物理的治療の根拠は比較的少なく、ADVATx、ポテンツァ、トライフィルプロ固有の効果や瘢痕予防を示す研究ではない。
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Acne Scarring Management: Systematic Review and Evaluation of the Evidence
研究デザイン: MedlineとEMBASEを検索し、萎縮性ニキビ跡の治療に関する89研究のエビデンスを評価したシステマティックレビュー。2026年8月8日にPubMed抄録と書誌情報を確認し、出版社全文は未取得 / 対象: 瘢痕治療に関する89研究。抄録には合計症例数、各瘢痕型の人数、追跡期間の集計は記載されていない / 結果: 瘢痕型・重症度・数に応じて補助治療を選び、レーザーとRFを含む複数の方法を組み合わせる治療は、単独治療より良好な結果を示すことが多いとの報告がありました。 / 限界: 著者は高品質データの不足と臨床状況別の併用法に合意がないことを明記している。個々の治療研究は方法・評価尺度が異なり、ポテンツァ、トライフィルプロ、マックーム、ジュベルック固有の治療回数や比較優位を示さない。
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医療広告ガイドライン
自由診療の費用、主なリスク・副作用、未承認機器等の表示を確認する公的資料です。
よくあるご質問
Q. 高濃度レチノールは、どのくらいの頻度から始めますか?
週2回から始め、赤み、乾燥、皮むけが強くないことを確かめながら徐々に増やします。洗顔後の保湿も同時に整え、一度に塗る量と使用頻度を同時に増やさないようにします。
Q. 抗菌薬、イソトレチノイン、柴苓湯はどのように使い分けますか?
炎症性ニキビが20個以上ある状態では抗菌薬を2〜3か月、他治療で改善しない重症・難治例ではイソトレチノイン、長く炎症を繰り返す例では柴苓湯を候補にします。イソトレチノインのニキビ治療と柴苓湯のニキビ治療は国内承認適応外です。イソトレチノインは催奇形性、皮膚・口唇の乾燥、肝機能障害など、柴苓湯は間質性肺炎、偽アルドステロン症などに注意が必要です。
Q. 赤みと凹みが両方ある場合、どの施術から始めますか?
新しい炎症性ニキビと赤み・皮脂が主なら、外用・内服・必要時の排膿とADVATxを先に組みます。炎症が減り、斜光でも凹みが残る段階で、ポテンツァ、トライフィルプロ、TCAクロス、サブシジョンを瘢痕の形に合わせて加えます。
Q. スキンケア、薬、施術はどの区分ですか?
レチノール配合スキンケアは製品表示により化粧品または医薬部外品、抗菌薬・イソトレチノイン・柴苓湯は医薬品です。CO2レーザー、ADVATx、ポテンツァ、トライフィルプロは医療機器です。ADVATx、ポテンツァ、トライフィルプロ、マックーム、ジュベルックは国内未承認、またはニキビ・ニキビ跡への使用が承認範囲外となるものを含み、自由診療では公的な副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。
Q. この記事で紹介した施術の料金はいくらですか?
2026年8月8日確認の税込料金は、ADVATx全顔が1回30,000円・5回139,000円、ポテンツァは赤ら顔・ニキビ・毛穴治療全顔が1回55,000円・3回156,750円、瘢痕治療・薬剤導入全顔が1回66,000円・3回188,100円です。トライフィルプロは薬剤導入全顔300ショットまで(ジュベルック込み)99,000円、TCAクロス20か所まで22,000円、サブシジョン2×2cmは33,000円です。いずれも自由診療です。
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