こめかみから頬・あごをヒアルロン酸4ccでつなぎ、骨格の凹凸を整える考え方
たるみや皮膚のハリ低下より、皮下脂肪の少なさでこめかみ・頬・あごの骨格が目立っていた症例です。ボリューマXC合計4ccで3部位の凹みをつなぎ、正面と両側の斜位から輪郭の段差と丸みの変化を確認します。
Medical Information
この記事について
- 執筆医・監修医
- 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
- 監修日
- 2026年8月9日
- 公開日
- 2025年10月3日
- 実質更新日
- 2026年8月9日



Contents
目次
正面では、たるみより脂肪量と骨格の高低差を見ます
正面は左が施術前、右が施術後です。施術前から皮膚のハリは保たれ、強いたるみはありません。一方で皮下脂肪が少なく、こめかみのくぼみ、頬骨周囲の凹み、あごへ続く骨格の線が先に見えていました。
この症例では1本1CCのヒアルロン酸製剤ジュビダームビスタ ボリューマXCを、こめかみから頬、あごのラインへ合計4cc使用しました。施術後は頬骨の上下にあった影がなだらかになり、骨格の高い部分を消すのではなく、その周囲の凹みをつないだことで顔全体に丸みが加わっています。
頬の丸みを正面と斜位の両方で確認する理由として、ボリューマによる頬の体積変化は6か月時に1.83mLで未処置の0.11mLを上回り、医師評価98.2%、本人評価93.8%が改善したとの報告がありました(参考文献1)。
一方の斜位では、こめかみから頬へ続く曲面を見ます
一方の斜位も左が施術前、右が施術後です。施術前はこめかみから外側頬へ移る位置にくぼみがあり、頬骨の輪郭が強く見えます。施術後は側頭部から頬へ続く曲面が途切れにくくなり、頬の丸みが一か所だけ前へ出ない形に整っています。
こめかみと頬は別々に膨らませるのではなく、両者の境界に残る影を斜位で見ながらつなぎます。合計4ccを3部位へ均等にそろえるのではなく、骨格の線とその周囲の影がなだらかに続く形を終了点にします。
こめかみを頬とは別に確認する理由として、ボリューマXCをこめかみに使用した経過では、両側が1段階以上改善した割合は3か月時80.4%、未処置13.5%で、13か月時も73.3%が改善を保ったとの報告がありました(参考文献2)。
反対側の斜位では、頬からあご・フェイスラインをつなぎます
反対側の斜位では、頬の外側から口元、あご先、下顎縁へ続く高低差を確認します。施術後は頬からあごまでの輪郭がなだらかになり、凹みによる影が減ったことで、正面・斜位とも顔の重心が上へつながる印象です。
頬だけを丸くしてあごの終点を残す、またはあごだけを前へ出して頬の凹みを残すのではなく、こめかみ・頬・あごを一続きの輪郭として確認します。4ccはこの症例で3部位を整えた合計量であり、顔が痩せて見えるすべての方に同じ量を使用する基準ではありません。
ボリューマXCは中顔面・下顎部・こめかみの減少したボリューム増大に国内承認されています。承認条件には注入部位だけでなく皮下または骨膜上深部という使用層も含まれるため、実際の計画では部位、既往注入、血管走行を一つずつ確認します。
ジュビダームビスタ ボリューマXCは、成人の中顔面・下顎部・こめかみにおける減少したボリュームを増大する目的で、皮下または骨膜上深部へ使用する国内承認医療機器です(参考文献3)。
強い痛みや皮膚色の変化を早く確認する理由として、ヒアルロン酸による血流障害では、急に増す痛み、蒼白、その後の網目状の暗紫色変化を認めた段階で直ちに評価と治療を始めるとの報告がありました(参考文献4)。
Clinical View
診療で確認するポイント
- 最初に正面で皮膚のゆるみと皮下脂肪の少なさを分け、こめかみ・頬・あごで骨格の線を強く見せている影を記録します。
- 次に両側の斜位で、こめかみから頬、頬から口元・あごへ曲面がどこで途切れるかを確認します。
- この症例ではボリューマXC合計4ccをこめかみ・頬・あごへ使い、部位ごとの膨らみではなく3部位の境界がなだらかにつながる形を目指しました。
- 正面で骨格の凹凸がやわらぎ、両側の斜位で頬からあごの輪郭が広がり過ぎずにつながる位置を終了点にします。
Comparison
治療選択の比較
| 治療・対応 | 向く状態 | 向かない/慎重な状態 | 回数の目安 | ダウンタイム | 費用(税込) | 承認状況 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| こめかみへのボリューマXC | 側頭部の凹みが外側頬との境界に影を作り、頬骨の線を強く見せる状態 | こめかみのボリュームが十分、活動性の炎症・感染、原因不明の硬結がある状態 | 1回後に正面・両斜位で再評価し、必要な場合のみ追加 | 赤み、腫れ、内出血、圧痛、左右差、違和感など。まれに血管閉塞、皮膚壊死、視覚障害 | 使用本数×1本1cc 77,000円 | こめかみの減少したボリューム増大に国内承認 |
| 頬へのボリューマXC | 皮下脂肪が少なく、頬骨周囲の凹みと影で骨格の凹凸が目立つ状態 | 頬のボリュームが十分、むくみや皮膚のゆるみが主、追加すると頬だけが重く見える状態 | 1回後に正面・両斜位で頬の丸みと周囲の影を再評価 | 赤み、腫れ、内出血、圧痛、左右差、凹凸など。まれに血管閉塞、皮膚壊死、視覚障害 | 使用本数×1本1cc 77,000円 | 中顔面の減少したボリューム増大に国内承認 |
| あご・下顎部へのボリューマXC | 頬からあごへ続く輪郭の終点が弱く、骨格の高低差がフェイスラインを途切れさせる状態 | 下顎部のボリュームが十分、咬合・骨格手術の評価が必要、追加で下顔面が長く見える状態 | 頬を整えた後に両斜位であご・下顎縁のつながりを再評価 | 赤み、腫れ、内出血、圧痛、左右差、凹凸など。まれに血管閉塞、皮膚壊死 | 使用本数×1本1cc 77,000円 | 下顎部の減少したボリューム増大に国内承認 |
費用の目安
- ジュビダームビスタ ボリューマXC:1本1cc 77,000円(税込)
- 本症例と同じ4本:308,000円(税込)
- カテラン針使用料:11,000円(税込)。使用する場合の合計例319,000円
すべて自由診療です。本症例の製剤本数4本は308,000円です。器具の使用記録はないため、カテラン針は使用する場合のみ11,000円が加わる表示としました。
リスク・副作用・注意点
- 内出血、一時的な腫れ・痛み、赤み、圧痛、左右差、凹凸、違和感、アレルギー、感染など
- 遅発性反応、遅発性結節、硬さ・しこり、部位ごとの輪郭の過不足など
- まれに血管閉塞、皮膚虚血・壊死、視力・視野障害、失明、脳卒中など
- 国内承認・適応: ジュビダームビスタ ボリューマXCは国内承認の高度管理医療機器(承認番号22800BZX00338000)で、成人の中顔面・下顎部・こめかみにおける減少したボリュームを増大する目的で、皮下または骨膜上深部へ使用します。本症例で記載された3部位は承認部位に含まれ、治療計画では部位と使用層の両方を承認条件に照らして確認します。
急に増す強い痛み、皮膚の青白化、紫色・網目状の変化、見え方の異常がある場合は直ちにご連絡ください。
Doctor Review
執筆・監修
執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
References
参考にした一次情報・ガイドライン
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A Randomized, Controlled, Multicenter Study of Juvéderm Voluma for Enhancement of Malar Volume in Chinese Subjects
研究デザイン: 未治療対照を置いた前向き多施設無作為化比較試験。三次元画像で両側頬部の体積変化を6か月時に評価した。 / 対象: 18歳以上の中国人146人。ボリューマ処置群119人、未治療対照群27人。中顔面への注入量中央値は2mLだった。 / 結果: 6か月時の頬部体積変化は処置群1.83mL、対照群0.11mL。GAIS改善率は医師98.2%、本人93.8%だった。 / 限界: 中国人の中顔面を対象とする試験で、本症例のこめかみ・頬・あご合計4cc、部位別配分、画像上の輪郭変化を直接検証しない。Allerganが研究を支援し、著者に同社の治験担当、社員、株主が含まれる。NCBI PMC原著全文とPubMed書誌を2026年8月9日に確認した。
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Improvement in Temple Hollowing with VYC-20L Hyaluronic Acid Filler: A Multicenter Randomized Controlled Trial of Safety and Effectiveness
研究デザイン: 米国15施設で行われた評価者盲検・2対1無作為化・3か月未治療対照試験。治療群を13か月まで追跡した。 / 対象: 両側に軽度から重度のこめかみ凹みがある成人171人。113人を治療群、58人を未処置群へ割り付けた。 / 結果: 3か月時に両側が1段階以上改善した割合は治療群80.4%、未処置群13.5%。13か月時も73.3%が改善を保った。 / 限界: 治療群の65.2%が追加治療を受け、初回と追加を合わせた両側総量中央値は3.65mLだった。本症例のこめかみ・頬・あご合計4ccや個別配分を検証しない。参加者は主に白人女性で、Allergan Aesthetics/AbbVieが資金、設計、解析、解釈、出版レビューに関与し、著者に同社社員、株式保有者、顧問等を含む。NCBI PMC原著全文とPubMed書誌を2026年8月9日に確認した。
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ジュビダームビスタ ボリューマXC 電子添文
研究デザイン: PMDA公開の国内承認医療機器電子添文。使用目的、警告、使用方法、有害事象、臨床成績を収載する公的資料。 / 対象: 成人の中顔面・下顎部・こめかみにおける減少したボリュームを増大する目的で、皮下または骨膜上深部へ使用する。 / 結果: 3部位を承認部位とし、血管内注入を禁止する。視力異常、皮膚青白化、異常な痛みがあれば直ちに注入を止めるよう警告している。 / 限界: 電子添文は承認範囲と安全情報を示す資料で、本症例の4cc配分、注入層・器具、画像変化を検証する研究ではない。PMDA公式PDF全6頁を2026年8月9日に確認した。
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Guideline for the Management of Hyaluronic Acid Filler-induced Vascular Occlusion
研究デザイン: 架橋ヒアルロン酸フィラーによる血流障害の認識、段階評価、初期対応に関する診療指針。 / 対象: 患者集団を登録して効果を比較した研究ではなく、血管閉塞を疑う臨床所見と対応を対象とする。 / 結果: 急に増す強い痛み、蒼白、暗紫色、網目状変化、毛細血管再充満時間の遅延を評価し、蒼白または網目状変化があれば直ちに治療するよう推奨した。 / 限界: まれな合併症のため根拠の多くは理論、症例経験、専門家合意に基づき、本症例の3部位4cc、個別の治療結果を比較した試験ではない。著者全員はCMAC創設理事で、論文への資金提供はなく、内容に関する利益相反はないと申告した。NCBI PMC原著全文とPubMed書誌を2026年8月9日に確認した。
よくあるご質問
Q. この症例では、どの製剤をどこへ何cc使いましたか?
ジュビダームビスタ ボリューマXCを、こめかみから頬、あごのラインへ合計4cc使用しました。4ccは症例全体の使用量で、3部位へ均等に分ける基準ではありません。
Q. たるみ治療ではなくヒアルロン酸を選んだのはなぜですか?
皮膚のハリは保たれ、強いたるみよりも皮下脂肪の少なさによる凹みと骨格の線が目立っていたためです。正面と斜位で凹みの位置を確認し、減らす治療ではなく、骨格周囲の不足を補う治療を選びました。
Q. こめかみ・頬・あごを一緒に見る理由は何ですか?
こめかみだけを補うと頬骨下の影が残り、頬だけを補うとあごとの境界が目立つことがあります。上顔面から中顔面、下顔面までの曲面を両側の斜位で追い、3部位の境界をつなげます。
Q. この症例と同じボリューマXC 4ccの料金はいくらですか?
現在は1本1cc 77,000円で、4本は308,000円です。カテラン針を使用する場合は11,000円が加わり、合計319,000円です。
Q. こめかみ・頬・あごへのボリューマXCは国内承認ですか?
ボリューマXCは、成人の中顔面・下顎部・こめかみにおける減少したボリュームの増大を目的に、皮下または骨膜上深部へ使用する国内承認医療機器です。承認番号は22800BZX00338000です。
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