こめかみと頬へヒアルロン酸5ccを配分し、頬こけとほうれい線を考える
頬のハリが強く顔全体の脂肪が少ないため、こめかみと頬のくぼみが頬骨を強く見せていた症例です。ボリューマXC合計5ccをこめかみから頬へ配分し、頬の丸みとほうれい線の見え方を正面・斜位で確認します。
Medical Information
この記事について
- 執筆医・監修医
- 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
- 監修日
- 2026年8月9日
- 公開日
- 2025年10月19日
- 実質更新日
- 2026年8月9日


Contents
目次
正面では、頬のハリとその周囲のくぼみを分けて見ます
正面は左が施術前、右が施術後です。施術前は頬のハリが強い一方、顔全体の脂肪が少なく、こめかみと頬骨の周囲に影があるため、頬骨の輪郭が先に見えていました。
この症例では1本1CCのヒアルロン酸製剤ジュビダームビスタ ボリューマXCを合計5cc使用しました。施術後はこめかみから頬へ続く影がやわらぎ、頬骨の高い部分だけをさらに高くせず、その周囲をなだらかな丸みに整えています。
頬の丸みを正面と斜位の両方で確認する理由として、ボリューマによる頬の体積変化は6か月時に1.83mLで未処置の0.11mLを上回り、医師評価98.2%、本人評価93.8%が改善したとの報告がありました(参考文献1)。
斜位では、こめかみから頬を整え、ほうれい線まで確認します
斜位も左が施術前、右が施術後です。施術前はこめかみのくぼみから外側頬へ段差があり、頬骨下の影とほうれい線が同じ方向に続いて見えます。施術後は側頭部から頬トップまでの曲面がなだらかになり、頬全体に丸みが出ています。
治療はこめかみから始め、その後に頬全体を整えました。上顔面のくぼみを残したまま頬だけを丸くせず、こめかみと頬の境界を先に見直してから中顔面の終了点を決めます。合計5ccはこの症例全体の使用量で、2部位へ均等に配分する基準ではありません。
ほうれい線は直接注入した部位としてではなく、頬トップの位置と丸みを整えた後に見え方を確認した隣接部位です。施術後は頬の高い位置から口元へ下る影が短くなり、ほうれい線も施術前より目立ちにくく見えます。
ボリューマXCは中顔面とこめかみの減少したボリューム増大に国内承認されています。こめかみと頬では確認する血管走行が異なるため、部位を移るたびに皮膚色、痛み、左右差を確認します。
こめかみを頬より先に確認する理由として、ボリューマXCをこめかみに使用した経過では、両側が1段階以上改善した割合は3か月時80.4%、未処置13.5%で、13か月時も73.3%が改善を保ったとの報告がありました(参考文献2)。
頬を整えた後にほうれい線も同じ角度で確認する理由として、別のヒアルロン酸製剤を頬へ使用した経過では、隣接するほうれい線の最大深度が3か月時に30.4%減少したとの報告がありました(参考文献3)。
ジュビダームビスタ ボリューマXCは、成人のこめかみ・中顔面における減少したボリュームを増大する目的で、皮下または骨膜上深部へ使用する国内承認医療機器です(参考文献4)。ほうれい線への直接注入は承認部位に含まれません。
強い痛みや皮膚色の変化を早く確認する理由として、ヒアルロン酸による血流障害では、急に増す痛み、蒼白、その後の網目状の暗紫色変化を認めた段階で直ちに評価と治療を始めるとの報告がありました(参考文献5)。
Clinical View
診療で確認するポイント
- 最初に正面で、頬そのものの高さと、こめかみ・頬骨下の影によって強調された頬骨感を分けます。
- 次に斜位でこめかみから外側頬へ続く段差を確認し、この症例ではこめかみを先に整えてから頬全体の丸みを再評価します。
- 頬を整えた後は正面と斜位へ戻り、頬トップの位置、頬骨下の影、隣接するほうれい線の見え方を一緒に確認します。
- こめかみから頬の曲面が途切れず、頬骨感がやわらぎ、口元までの影が短く見える位置を終了点にします。
Comparison
治療選択の比較
| 治療・対応 | 向く状態 | 向かない/慎重な状態 | 回数の目安 | ダウンタイム | 費用(税込) | 承認状況 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| こめかみへのボリューマXC | こめかみのくぼみが外側頬との境界を強くし、頬骨のハリを目立たせる状態 | こめかみのボリュームが十分、活動性の炎症・感染、原因不明の硬結がある状態 | 1回後に正面・斜位で頬とのつながりを再評価し、必要な場合のみ追加 | 赤み、腫れ、内出血、圧痛、左右差、違和感など。まれに血管閉塞、皮膚壊死、視覚障害 | 使用本数×1本1cc 77,000円 | こめかみの減少したボリューム増大に国内承認 |
| 頬へのボリューマXC | 頬骨周囲の脂肪が少なく、頬骨下の影とコケ感が頬のハリを強調する状態 | 頬のボリュームが十分、むくみや皮膚のゆるみが主、追加で頬だけが重く見える状態 | こめかみ調整後に頬全体を整え、正面・斜位で再評価 | 赤み、腫れ、内出血、圧痛、左右差、凹凸など。まれに血管閉塞、皮膚壊死、視覚障害 | 使用本数×1本1cc 77,000円 | 中顔面の減少したボリューム増大に国内承認 |
| 頬治療後にほうれい線を再評価 | 頬トップの低さや頬のコケと連続して、ほうれい線の影が強く見える状態 | 頬を整えても深い折れ目が残る、口元の動きや皮膚の刻みが主な状態 | こめかみ・頬の終了後に同じ正面・斜位で見え方を確認 | 本症例ではほうれい線へ直接注入せず、こめかみ・頬のダウンタイムを伴う | 本症例はこめかみ・頬への合計5本で385,000円 | 頬は中顔面として承認部位。ボリューマXCのほうれい線への直接注入は承認範囲外 |
費用の目安
- ジュビダームビスタ ボリューマXC:1本1cc 77,000円(税込)
- 本症例と同じ5本:385,000円(税込)
- カテラン針使用料:11,000円(税込)。使用する場合の合計例396,000円
すべて自由診療です。本症例の製剤本数5本は385,000円です。カテラン針を使用する場合のみ11,000円が加わります。本症例に前額施術料は加えません。
リスク・副作用・注意点
- 内出血、一時的な腫れ・痛み、赤み、圧痛、左右差、凹凸、違和感、アレルギー、感染など
- 遅発性反応、遅発性結節、硬さ・しこり、部位ごとの輪郭の過不足など
- まれに血管閉塞、皮膚虚血・壊死、視力・視野障害、失明、脳卒中など
- 国内承認・適応: ジュビダームビスタ ボリューマXCは国内承認の高度管理医療機器(承認番号22800BZX00338000)で、成人の中顔面・下顎部・こめかみにおける減少したボリュームを増大する目的で、皮下または骨膜上深部へ使用します。本症例で記載されたこめかみと頬は承認部位に含まれ、治療計画では部位と使用層の両方を承認条件に照らして確認します。ほうれい線への直接注入は承認範囲外で、本症例では行っていません。
急に増す強い痛み、皮膚の青白化、紫色・網目状の変化、見え方の異常がある場合は直ちにご連絡ください。
Doctor Review
執筆・監修
執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
References
参考にした一次情報・ガイドライン
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A Randomized, Controlled, Multicenter Study of Juvéderm Voluma for Enhancement of Malar Volume in Chinese Subjects
研究デザイン: 未治療対照を置いた前向き多施設無作為化比較試験。三次元画像で両側頬部の体積変化を6か月時に評価した。 / 対象: 18歳以上の中国人146人。ボリューマ処置群119人、未治療対照群27人。中顔面への注入量中央値は2mLだった。 / 結果: 6か月時の頬部体積変化は処置群1.83mL、対照群0.11mL。GAIS改善率は医師98.2%、本人93.8%だった。 / 限界: 中国人の中顔面を対象とする試験で、本症例のこめかみ・頬合計5cc、こめかみ先行、ほうれい線の隣接変化を直接検証しない。Allerganが研究を支援し、著者に同社の治験担当、社員、株主が含まれる。NCBI PMC原著全文とPubMed書誌を2026年8月9日に確認した。
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Improvement in Temple Hollowing with VYC-20L Hyaluronic Acid Filler: A Multicenter Randomized Controlled Trial of Safety and Effectiveness
研究デザイン: 米国15施設で行われた評価者盲検・2対1無作為化・3か月未治療対照試験。治療群を13か月まで追跡した。 / 対象: 両側に軽度から重度のこめかみ凹みがある成人171人。113人を治療群、58人を未処置群へ割り付けた。 / 結果: 3か月時に両側が1段階以上改善した割合は治療群80.4%、未処置群13.5%。13か月時も73.3%が改善を保った。 / 限界: 治療群の65.2%が追加治療を受け、初回と追加を合わせた両側総量中央値は3.65mLだった。本症例のこめかみ・頬合計5ccや施術順を検証しない。参加者は主に白人女性で、Allergan Aesthetics/AbbVieが資金、設計、解析、解釈、出版レビューに関与し、著者に同社社員、株式保有者、顧問等を含む。NCBI PMC原著全文とPubMed書誌を2026年8月9日に確認した。
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Cohesive Polydensified Matrix® hyaluronic acid volumizer injected for cheek augmentation has additional positive effect on nasolabial folds
研究デザイン: 頬の増大を希望する成人を12か月追跡した前向き・非盲検・市販後非介入観察研究。ほうれい線を光学三次元計測した。 / 対象: 成人18人。女性94.4%、年齢中央値52歳。上頬または下頬へCPM-HA-VLを片側平均2.5±1.1mL使用した。 / 結果: 頬の充実度改善は12か月まで保たれ、隣接するほうれい線の最大深度は3か月時に30.4%減少した。 / 限界: 対照群のない少数観察研究で、使用製剤はCPM-HA-VLでありボリューマXCではない。本症例のこめかみ先行、合計5cc、個別の画像変化を検証しない。Merz Pharmaceuticalsがメディカルライティングを支援し、筆頭著者はMerzを含む複数企業の講演者・アドバイザーと開示した。PubMed書誌・抄録とPMC公開情報を2026年8月9日に確認した。
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ジュビダームビスタ ボリューマXC 電子添文
研究デザイン: PMDA公開の国内承認医療機器電子添文。使用目的、警告、使用方法、有害事象、臨床成績を収載する公的資料。 / 対象: 成人の中顔面・下顎部・こめかみにおける減少したボリュームを増大する目的で、皮下または骨膜上深部へ使用する。 / 結果: こめかみと中顔面を承認部位とし、ほうれい線への直接注入は承認部位に含めない。血管内注入を禁止し、視力異常、皮膚青白化、異常な痛みがあれば直ちに注入を止めるよう警告する。 / 限界: 電子添文は承認範囲と安全情報を示す資料で、本症例の5cc配分、施術順、注入層・器具、画像変化を検証する研究ではない。PMDA公式PDF全6頁を2026年8月9日に確認した。
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Guideline for the Management of Hyaluronic Acid Filler-induced Vascular Occlusion
研究デザイン: 架橋ヒアルロン酸フィラーによる血流障害の認識、段階評価、初期対応に関する診療指針。 / 対象: 患者集団を登録して効果を比較した研究ではなく、血管閉塞を疑う臨床所見と対応を対象とする。 / 結果: 急に増す強い痛み、蒼白、暗紫色、網目状変化、毛細血管再充満時間の遅延を評価し、蒼白または網目状変化があれば直ちに治療するよう推奨した。 / 限界: まれな合併症のため根拠の多くは理論、症例経験、専門家合意に基づき、本症例の2部位5cc、個別の治療結果を比較した試験ではない。著者全員はCMAC創設理事で、論文への資金提供はなく、内容に関する利益相反はないと申告した。NCBI PMC原著全文とPubMed書誌を2026年8月9日に確認した。
よくあるご質問
Q. この症例では、どの製剤をどこへ何cc使いましたか?
ジュビダームビスタ ボリューマXCを、こめかみと頬へ合計5cc使用しました。5ccは症例全体の使用量で、2部位へ均等に分ける基準ではありません。
Q. なぜこめかみから先に整えたのですか?
こめかみのくぼみを残して頬だけを丸くすると、側頭部と頬の境界が強く見えることがあるためです。こめかみから外側頬へ続く曲面を先に整え、その後に頬全体の丸みを斜位で確認します。
Q. ほうれい線へ直接ヒアルロン酸を入れた症例ですか?
この症例の注入部位はこめかみと頬です。ほうれい線は、頬トップと頬全体の丸みを整えた後に見え方がどう変わるかを確認した隣接部位です。
Q. この症例と同じボリューマXC 5ccの料金はいくらですか?
現在は1本1cc 77,000円で、5本は385,000円です。カテラン針を使用する場合は11,000円が加わり、合計396,000円です。
Q. こめかみ・頬へのボリューマXCは国内承認ですか?
ボリューマXCは、成人のこめかみ・中顔面における減少したボリュームの増大を目的に、皮下または骨膜上深部へ使用する国内承認医療機器です。承認番号は22800BZX00338000です。ほうれい線への直接注入は本症例では行っていません。
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