ヒアルロン酸はどのくらい持つ?1年半後の変化から考えるポイント
ヒアルロン酸は1年半で一度に消えるのではなく、製剤と部位によって残り方が異なります。この症例では額・頬・顎へボリューマXC 9cc、唇へボルベラXC 1ccを注入。治療前と1年半後を正面・左右斜位で比べると、額から頬の丸みとフェイスラインの支えが保たれていました。
Medical Information
この記事について
- 執筆医・監修医
- 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
- 監修日
- 2026年8月9日
- 公開日
- 2026年1月8日
- 実質更新日
- 2026年8月9日



Contents
目次
正面では額・頬・顎のつながりが1年半後も保たれています
この症例では、額・頬・顎へジュビダームビスタ ボリューマXCを9本、唇へジュビダームビスタ ボルベラXCを1本、合計10本10cc使用しました。正面写真は左が治療前、右が1年半後です。
1年半後は、額の中央から外側へ続く丸み、前頬の位置、顎先へ向かう輪郭が治療前よりなだらかにつながっています。単に一部分を大きくするのではなく、額・頬・顎の支えを同時に整えたことで、フェイスラインが明瞭になり、自然で元気な印象が保たれています。
当院ではボリューマXCの経過を見る目安を1年半〜2年と案内していますが、追加時期は年数だけで決めません。治療前と同じ正面写真を比べ、残っている丸みと、再び気になり始めた影を分けて確認します。
1年半後に全量を入れ直さず、残る支えから確認する理由として、Voluma治療後78週の中顔面では81.7%に1段階以上の改善が残り、追加治療の基準を満たした割合は40%だったとの報告がありました(参考文献1)。
ボリューマXCは、21歳以上の成人の中顔面・下顎部・こめかみにおける減少したボリュームの増大を目的とする国内承認製品です。本症例の額への使用は承認範囲外です(参考文献4)。
左斜位では額から頬、顎先までの投影を追います
左斜位では、額からこめかみへ移る曲面、頬骨下の影、顎先から下顎縁へ続く線を比べます。1年半後も額と頬の段差がなだらかで、頬の位置と顎先の投影が治療前より保たれています。
ボリューマXC 9ccは額・頬・顎を合わせた総量です。1年半後の診察では、最初の部位別配分を機械的に再現するのではなく、左右斜位で残る支えを触診し、額の曲面、頬の影、顎先のうち再び変化した部位だけを追加候補にします。
同じ時期でも部位ごとに追加の要否を分ける理由として、HAのMRI信号は外側顔面と中顔面で27か月後にも残る一方、顎では19か月後にほぼ消失したとの報告がありました(参考文献3)。
右斜位と唇は、顔面の支えと分けて再評価します
右斜位でも、額から頬へ続く丸み、前頬の位置、顎先からフェイスラインへ続く輪郭を治療前と1年半後で比べます。左右の斜位をそろえて見ると、一方向の写真だけでは分かりにくい左右差や、局所的に戻った影を見つけやすくなります。
唇には、柔らかく動く部位に合わせてボルベラXCを1本1CC使用しました。唇は会話や食事でよく動き、額・頬・顎に使ったボリューマXCとは製剤も部位も異なるため、形、左右差、乾燥感、触れたときの硬さを別に確認します。
頬と唇の経過を分けて確認する理由として、鼻唇溝と比べた中顔面・口周囲・口唇では、腫れは73.4%対17.1%、しこり・凹凸は32.1%対2.9%と多かったとの報告がありました(参考文献2)。
唇を顔面各部と分けて追う理由として、ボルベラXCの口唇充実度が1段階以上改善した割合は6か月で71.1%、12か月で65.3%だったとの報告がありました(参考文献5)。
1年半後は同じ10ccを重ねず、残った支えから決めます
再診では、まず治療前と現在を同じ正面・左右斜位で比べます。額・頬・顎に支えが残り、顔全体のバランスが保たれていれば経過観察とし、再び気になった部位があれば、その影が容量低下、体重変化、むくみ、表情の違いのどれで強く見えるかを確認します。
2回目以降に追加する場合も、最初と同じ10ccを前提にしません。額の丸み、頬の位置、顎先の投影、唇の形を別々に評価し、戻った部位へ必要な量だけ補います。これにより、残っている支えを生かしながら、顔全体が重く見えないところで止められます。
Clinical View
診療で確認するポイント
- 治療前と1年半後を同じ正面・左右斜位で並べ、額の丸み、前頬の位置、顎先の投影、フェイスラインを順に確認します。
- ボリューマXCを使用した額・頬・顎と、ボルベラXCを使用した唇は、製剤と動きが異なるため別々に触診し、左右差と硬さも見ます。
- 顔全体の支えが保たれていれば経過観察とし、再び気になった影がある場合は、戻った部位だけを追加候補にします。
- 追加後も正面と左右斜位で再評価し、額・頬・顎・唇のいずれか一部だけが強調されない位置で止めます。
Comparison
治療選択の比較
| 治療・対応 | 向く状態 | 向かない/慎重な状態 | 回数の目安 | ダウンタイム | 費用(税込) | 承認状況 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 経過観察 | 1年半後も額・頬・顎・唇の支えと全顔バランスが保たれている状態 | 再び気になる影、明らかな左右差、機能や痛みに関わる変化がある状態 | 治療前と同じ正面・左右斜位で定期的に再評価 | なし | 診察のみ。処置を行う場合は施術料金が発生 | 医療処置なし |
| ボリューマXCを戻った部位へ追加 | 額・頬・顎のうち、残存する支えを生かしながら局所の容量低下だけを補いたい状態 | むくみ、炎症、感染、既存製剤の過剰や硬結が主な状態 | 通常1回。腫れが落ち着いてから正面・左右斜位で再評価 | 赤み、腫れ、内出血、圧痛、左右差、凹凸など。まれに血管閉塞、皮膚壊死、視覚障害 | 1cc 77,000円。前額を施術する場合は22,000円を加算 | 中顔面・下顎部・こめかみは国内承認目的。額は承認範囲外 |
| ボルベラXCで唇を調整 | 唇の輪郭・充実度が先に戻り、額・頬・顎の支えは保たれている状態 | 口唇ヘルペス、感染、強い腫れ、既存製剤の過剰や硬結がある状態 | 通常1回。安静時と会話時の形を再評価 | 赤み、腫れ、内出血、圧痛、左右差、しこりなど。まれに血管閉塞 | 1cc 77,000円 | 成人の口唇増大を目的として国内承認 |
費用の目安
- ジュビダームビスタ ボリューマXC/ボルベラXC:1本1cc 77,000円
- 本症例の初回治療と同じ10cc:770,000円
- 前額施術料:22,000円。本症例と同じ初回治療の合計は792,000円
- カテラン針:使用する場合11,000円。本症例と同じ10cc・前額施術料に加えると803,000円
すべて税込・自由診療です。カテラン針11,000円は使用する場合のみ加算されます。
リスク・副作用・注意点
- 痛み、赤み、腫れ、内出血、圧痛、左右差、凹凸、硬さ、アレルギー、感染など
- 遅発性反応、遅発性結節、肉芽腫、既存製剤の移動・過剰感など
- まれな重い合併症として血管閉塞、皮膚障害・壊死、視力・視野障害、失明、脳梗塞など
- 唇では一時的な腫れ、しこり、左右差、口唇ヘルペスの再活性化など
- 国内承認・適応: ジュビダームビスタ ボリューマXCは、21歳以上の成人の中顔面・下顎部・こめかみにおける減少したボリュームの増大を目的とする国内承認医療機器です(承認番号22800BZX00338000)。本症例の額への使用は承認範囲外です。ジュビダームビスタ ボルベラXCは、成人の顔面のしわ・溝、陥凹の修正と口唇増大を目的とする国内承認医療機器です(承認番号23000BZX00331000)。承認範囲外の使用では、医薬品副作用被害救済制度・生物由来製品感染等被害救済制度の対象外となる場合があります。
強い痛み、白色・紫色や網目状の皮膚色変化、視力・視野の異常、強い頭痛がある場合は血流障害を疑うため直ちにご連絡ください。
Doctor Review
執筆・監修
執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
References
参考にした一次情報・ガイドライン
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Efficacy and safety of a hyaluronic acid filler in subjects treated for correction of midface volume deficiency: a 24 month study
研究デザイン: 中顔面の容量不足へVolumaを注入し、24か月追跡した前向き多施設単群研究 / 対象: オーストラリア6施設で治療した30〜60歳の103人。78週評価は82人、104週評価は72人 / 結果: 78週に医師評価で1段階以上改善していた割合は81.7%。82人中33人(40%)が78週の追加治療基準を満たした。追加治療を受けず104週を完了した45人では43人(95.6%)に1段階以上の改善が残った。 / 限界: 対照群がなく、脱落と完遂者解析の影響がある。旧Volumaによる中顔面の結果で、日本のボリューマXC、額・顎・唇、9cc+1ccの全顔症例へそのまま適用できない。Allergan Australiaが資金と製剤を提供し、複数著者が有償研究者、2著者が同社社員だった。PMC全文を2026年8月9日に再確認した。
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Adverse Events Reported From Hyaluronic Acid Dermal Filler Injections to the Facial Region: A Systematic Review and Meta-Analysis
研究デザイン: 顔面HAフィラー19臨床研究のシステマティックレビュー・メタ解析 / 対象: 米国またはカナダの成人を対象とした14種類のHA製剤による19研究。鼻唇溝と中顔面・口周囲・口唇を比較 / 結果: 腫れは鼻唇溝17.1%に対して他部位73.4%、しこり・凹凸は2.9%に対して32.1%、硬さは0.01%に対して29.6%で、部位間差があった。 / 限界: 製剤、部位、注入法、評価法の異質性が大きく、額・顎を独立して評価していない。まれな血管閉塞の発生率を評価できず、本症例の個別リスクを示さない。1著者がAllerganから個人的報酬を申告し、結果は同社の承認を受けたものではないと記載。PMC全文を2026年8月9日に再確認した。
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Long-term MRI Follow-up of Hyaluronic Acid Dermal Filler
研究デザイン: 異なる顔面部位へHAフィラーを注入し、MRIで長期追跡した症例報告 / 対象: 1人。外側顔面皮下脂肪、中顔面深部脂肪、顎の深部・表層へHAフィラーを注入 / 結果: 外側顔面と中顔面では27か月後もHAに一致するMRI信号が残り、顎では19か月後にほぼ消失した。移動は認めなかった。 / 限界: 1症例で、MRI信号の残存は見た目の効果や触診所見と同義ではない。製剤と量が本症例と異なり、額・唇を評価していない。著者は本稿に関する金銭的利害なしと申告。PMC全文を2026年8月9日に再確認した。
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ジュビダームビスタ ボリューマXC 添付文書
研究デザイン: PMDA公開の国内承認医療機器添付文書 / 対象: 適用対象は21歳以上の成人。使用目的は中顔面、下顎部、こめかみにおける減少したボリュームの増大 / 結果: 皮下または骨膜上深部への注入として承認され、血管内注入を禁止し、誤注入による皮膚壊死、視力異常・失明、脳梗塞等への注意を求めている。 / 限界: 承認範囲と安全情報を示す資料で、額への適応、9ccの部位別配分、1年半の持続、全顔の見た目の変化を検証した資料ではない。PDF全6頁を2026年8月9日に再確認した。
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ジュビダームビスタ ボルベラXC 添付文書
研究デザイン: 米国で実施された多施設共同、無作為化、評価者盲検、無治療対照試験を含むPMDA承認資料 / 対象: 口唇の充実を希望した成人。ボルベラXC群168人、無治療対照群56人を比較し、12か月まで追跡 / 結果: 口唇充実度が1段階以上改善した割合は6か月で71.1%、12か月で65.3%だった。 / 限界: 米国の承認試験で、本症例の唇1cc、1年半後、ボリューマXCとの全顔併用を直接評価していない。企業提出の承認資料であり、製造販売元が試験を実施・申請した。PMDA添付文書を2026年8月9日に再確認した。
よくあるご質問
Q. この症例で使用した製剤、量、部位を教えてください。
ジュビダームビスタ ボリューマXCを額・頬・顎へ9本、ジュビダームビスタ ボルベラXCを唇へ1本使用しました。1本1ccで、合計10ccです。9ccの部位別配分は診察時の全顔バランスに合わせて設計しました。
Q. ヒアルロン酸は1年半後にすべてなくなりますか?
この症例では1年半後も額・頬・顎の丸みと支えが保たれていました。残り方は製剤、部位、注入量、表情や体重変化で異なるため、年数だけで入れ直さず、治療前写真と触診から追加の要否を決めます。
Q. 長く見た目が保たれるのは、ヒアルロン酸が自分の組織へ置き換わるからですか?
見た目の維持には残存する架橋ヒアルロン酸と周囲組織の反応が関わります。当院では『何割が自分の組織になったか』を数字で決めず、写真と触診で各部位の容量と支えを評価します。
Q. この症例と同じ初回治療の現在の料金はいくらですか?
ヒアルロン酸10ccは770,000円、前額施術料22,000円を加えた合計は792,000円です。カテラン針を使用する場合は11,000円が加わり、合計803,000円です。すべて税込・自由診療です。
Q. ボリューマXCとボルベラXCは国内承認されていますか?
いずれも国内承認医療機器です。ボリューマXCは21歳以上の成人の中顔面・下顎部・こめかみの減少したボリューム増大が承認目的で、額への使用は承認範囲外です。ボルベラXCは成人の顔面のしわ・溝、陥凹の修正と口唇増大が承認目的です。強い痛み、白色・紫色や網目状の皮膚色変化、見え方の異常が出た場合は直ちにご連絡ください。
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