医師解説

男性のヒアルロン酸治療で自然な輪郭変化を目指す考え方

この男性症例では、約10年前の印象に近づけることを目標に、目の下のクマ感とほうれい線の影を軽くして全顔をリフトアップしました。頬骨・顎・下顎縁の骨格感を残し、施術を感じさせない輪郭を目指します。

Medical Information

この記事について

監修日
2026年8月9日
公開日
2026年1月10日
実質更新日
2026年8月9日

Contents

目次

  1. 正面では目の下とほうれい線の影を軽くします
  2. 斜位では頬骨・顎・下顎縁の直線性を残します
  3. 複数の支持点へ少量ずつ配り、施術感を抑えます
  4. 診療で確認するポイント
  5. 治療選択の比較
  6. 費用の目安
  7. リスク・副作用・注意点
  8. 関連記事
  9. 関連施術・関連症状のご案内
  10. 執筆・監修
  11. 参考にした一次情報・ガイドライン
  12. よくあるご質問

正面では目の下とほうれい線の影を軽くします

この症例は、年齢感を約10年戻した印象を目標に、目の下のクマ感とほうれい線を薄くし、顔全体を持ち上げる方針でヒアルロン酸治療を行いました。左の施術前と右の施術後を比べると、目の下から前頬への影と、鼻の横から口角へ続く溝がやわらいでいます。

男性の輪郭では、影をすべて消して丸くするのではなく、頬骨、鼻、顎、下顎縁が作る凹凸を残します。正面で頬を横へ広げず、目の下の疲れた印象とほうれい線の深さだけを軽くすると、髭や骨格が作る凛々しさを保ったまま若い頃の印象へ近づけられます。

治療目標は、周囲に美容施術を受けたと感じさせず、一昔前の自分へ戻る程度の変化です。正面写真で左右の目の下、前頬、ほうれい線、口角、顎の影を比較し、一か所だけが目立って膨らまない量へ調整します。

斜位では頬骨・顎・下顎縁の直線性を残します

右斜位では、施術後に目の下から頬への段差がなだらかになり、ほうれい線の影が軽く見えます。一方で、頬を球状に大きくせず、鼻先から口元・顎へ続く側面の骨格線と下顎縁の角度を残しています。

当院では、目の下の影を眼窩縁の支持不足、前頬の凹み、脂肪の膨らみ、皮膚色に分けます。ほうれい線は、前頬の下垂、鼻翼基部の凹み、口元の動きを見て、ヒアルロン酸で支える場所を線の上だけに限定しません。

男性では皮膚の厚さ、髭の生える範囲、咬筋の強さ、頬骨・顎の投影を正面と斜位で重ね、本人が残したい輪郭を先に決めます。柔らかい丸みを加える場所と、直線的な輪郭を保つ場所を分けてデザインします。

男性の直線的な輪郭を残しながら部位ごとの投影を選ぶ理由として、元の顔型に応じて治療を変え、直線的で明瞭な顎を目標とする設計が提案されたとの報告がありました(参考文献1)。

複数の支持点へ少量ずつ配り、施術感を抑えます

1CCの製剤を一つのほうれい線へ使い切る前提にせず、目の下、前頬、鼻翼基部、ほうれい線、顎など、影が始まる支持点へ少量ずつ配ります。正面で幅が出すぎないか、斜位で頬が丸く出ないか、側面で顎が前へ出すぎないかを注入途中にも確認します。

注入後は、目の下から頬のつながり、ほうれい線、顎から下顎縁の連続性を同じ角度で再評価します。腫れが引いた後に残る影だけを見直し、最初から大きく変えるより段階的に仕上げます。

目の下、前頬、口元へ量を分け、部位ごとに腫れと凹凸を見直す理由として、腫れの報告割合は鼻唇溝17.1%に対し中顔面・口周囲・口唇73.4%、しこり・凹凸は2.9%に対し32.1%だったとの報告がありました(参考文献2)。

Clinical View

診療で確認するポイント

  • 正面と右斜位を同じ条件で撮影し、本人が気になる目の下・ほうれい線と、残したい頬骨・顎・下顎縁の輪郭を写真上で決めます。
  • 目の下は眼窩縁の支持、前頬の凹み、脂肪突出、皮膚色を分け、ほうれい線は前頬・鼻翼基部・口元の動きを見て影の起点を特定します。
  • 皮膚の厚さ、髭、咬筋の強さ、頬骨と顎の投影を確認し、丸みを加える場所と直線性を保つ場所へヒアルロン酸を少量ずつ配分します。
  • 注入途中と治療後に正面・斜位を見比べ、頬の横幅、目の下から頬の段差、顎の前方投影が強くなりすぎていない範囲で仕上げます。

Comparison

治療選択の比較

治療・対応 向く状態 向かない/慎重な状態 回数の目安 ダウンタイム 費用(税込) 承認状況
目の下・前頬のヒアルロン酸 眼窩縁の支持不足と前頬の凹みによる影・疲れた印象が主な状態 色素・血管によるクマ、脂肪突出、持続する浮腫が主な状態 通常1回。腫れが引いた後に正面・斜位を再評価 腫れ、内出血、むくみ、左右差、凹凸、チンダル現象。血管障害では視力障害の危険 ヒアルロン酸 1本1cc 77,000円。カテラン針使用時11,000円 製剤ごとに承認範囲が異なる。ボリューマXCは中顔面への使用が国内承認されていますが、眼窩周囲へは注入しません
鼻翼基部・ほうれい線のヒアルロン酸 鼻翼基部の凹み、前頬の支持低下、中等度以上の鼻唇溝が主な状態 筋肉の動きだけが主因、活動性の炎症・感染、容量追加で口元が重くなる状態 通常1回。正面と斜位で溝と頬の膨らみを再評価 痛み、腫れ、内出血、しこり、左右差。まれに血管閉塞、皮膚壊死 ヒアルロン酸 1本1cc 77,000円。カテラン針使用時11,000円 ボリフトXCは成人の中等度から重度のしわ・溝(鼻唇溝等)への使用が国内承認
顎・下顎ラインのヒアルロン酸 顎の投影不足、下顎部の凹み、フェイスラインの連続性不足が主な状態 脂肪・皮膚余剰だけが主なもたつき、顎を前へ出すと顔貌が不調和になる状態 通常1回。側面で顎の投影、斜位で下顎縁を再評価 痛み、腫れ、内出血、圧痛、左右差、しこり。まれに血管閉塞、皮膚壊死 ヒアルロン酸 1本1cc 77,000円。カテラン針使用時11,000円 ボリューマXCは成人の減少した下顎部ボリュームの増大を目的に国内承認

費用の目安

  • ヒアルロン酸注入 1本1cc 77,000円
  • カテラン針を使用する場合 11,000円
  • 額を治療する場合の前額施術料 22,000円

この記事で扱うヒアルロン酸注入は自由診療です。

リスク・副作用・注意点

  • 注入部には痛み、発赤、腫脹、内出血、硬結、凹凸、感染、遅発性小結節が生じることがあります。
  • 血管内への誤注入または組織圧迫により、皮膚壊死、視力障害・失明、脳卒中などの重篤な合併症が起こる可能性があります。
  • ボリューマXCは眼窩周囲へ注入しません。ボリフトXCも眼窩縁下方・眼窩周囲など側副血行路が乏しい領域では特に慎重な使用が必要です。
  • 国内承認・適応: ジュビダームビスタ ボリューマXCは成人の中顔面・下顎部・こめかみの減少したボリュームを増大する目的で国内承認されています(承認番号22800BZX00338000)。ボリフトXCは成人の中等度から重度のしわ・溝(鼻唇溝等)の修正を目的に国内承認されています(承認番号23000BZX00159000)。眼瞼への使用は承認範囲に含まれません。

Doctor Review

執筆・監修

執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)

References

参考にした一次情報・ガイドライン

  1. Chao YY, Chhabra C, Corduff N, et al. PAN-ASIAN CONSENSUS-Key Recommendations for Adapting the World Congress of Dermatology Consensus on Combination Treatment with Injectable Fillers, Toxins, and Ultrasound Devices in Asian Patients. J Clin Aesthet Dermatol. 2017;10(8):16-27.

    Pan-Asian consensus recommendations for facial aesthetic treatment

    研究デザイン: アジア人の顔面美容治療について11人の専門医が行ったコンセンサス / 対象: アジア各地域の専門医11人。70〜90%の賛同を中等度、90%以上を強い合意、全員一致を絶対的合意と定義 / 結果: 元の顔型に応じて異なる治療を選ぶ方針が示され、本文ではアジア人男性は幅広く四角い顎より、直線的で明瞭な顎を好むと報告されました。 / 限界: 患者を対象にした比較試験ではなく、男性だけの投票結果、満足度、注入量、効果量は示していません。男性の顎形状に関する記述には既報の文化的・形態的知見が含まれます。複数の著者が注入製剤・機器メーカーとの関係を開示しています。

  2. Colon J, Mirkin S, Hardigan P, Elias MJ, Jacobs RJ. Adverse Events Reported From Hyaluronic Acid Dermal Filler Injections to the Facial Region: A Systematic Review and Meta-Analysis. Cureus. 2023;15(4):e38286. doi:10.7759/cureus.38286.

    Adverse events reported from hyaluronic acid dermal filler injections to the facial region: a systematic review and meta-analysis

    研究デザイン: ヒアルロン酸フィラーの顔面注入を扱った無作為化試験・臨床試験19件のシステマティックレビューとメタ解析 / 対象: 2000〜2022年に米国またはカナダで実施された、18歳以上の健康な男女を対象とする19試験。14種類のヒアルロン酸製剤を含む / 結果: 腫れの報告割合は鼻唇溝17.1%に対し、中顔面・口周囲・口唇73.4%でした。しこり・凹凸は2.9%対32.1%、硬さは0.01%対29.6%で、いずれも部位間に有意差がありました。 / 限界: 製剤、注入量、注射針・カニューレ、部位、追跡期間が異なり、腫れの解析はI2=98.0%、しこり・凹凸はI2=96.3%と異質性が高い結果です。臨床試験中心のため、まれな血管閉塞、失明、壊死の発生率を評価できません。男性だけ、目の下だけを比較した解析ではありません。

  3. PMDA

    医療機器の承認審査に関する情報

    販売名、承認番号、承認範囲を確認する公的情報です。

  4. 厚生労働省

    医療広告ガイドライン

    自由診療の費用、主なリスク・副作用、未承認機器等の表示を確認する公的資料です。

よくあるご質問

Q. 男性のヒアルロン酸治療では、どのような輪郭を目指しますか?

この症例では、目の下とほうれい線の影を軽くしながら、頬骨・顎・下顎縁の凹凸と直線性を残しました。正面の疲れた印象だけを減らし、周囲に施術を感じさせない変化を目標にします。

Q. 「10歳若くする」とは、どのようにデザインするのですか?

年齢を数値で保証する意味ではなく、この症例では一昔前の本人に近づける治療目標です。過去の顔貌と正面・斜位の写真を見ながら、目の下、前頬、ほうれい線の影を軽くし、骨格線は残します。

Q. 目の下のクマ感には、必ずヒアルロン酸を入れますか?

眼窩縁の支持不足や前頬の凹みによる影なら候補になります。脂肪突出、色素、血管、浮腫が主な場合はヒアルロン酸だけで対応せず、原因に合う治療へ分けます。

Q. 男性の輪郭治療の費用はいくらですか?

ヒアルロン酸は1本1cc 77,000円です。カテラン針を使う場合は11,000円、額を治療する場合は前額施術料22,000円が加わります。複数本を使用する場合は本数分の料金です。

Q. どの症状が出たら、すぐに連絡が必要ですか?

強い痛み、皮膚が白くなる・紫色になる変化、視力低下や見え方の異常は血管障害の可能性があるため直ちに当院へ連絡してください。急な視力障害や神経症状は救急受診が必要です。

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