肝斑・頬の赤み・鼻の血管病変へADVATx 4回を行った症例
茶色い肝斑に頬の赤みや細い血管、鼻の血管病変が重なると、色素だけを追わない設計が必要です。この症例では病変ごとの血管性所見を確認しながらADVATxを4回行い、全体と限局病変を分けて経過を見ました。
Medical Information
この記事について
- 執筆・監修
- 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
- 公開日
- 2026年8月8日
- 確認日
- 2026年08月13日
肝斑・毛細血管拡張・血管病変が混在する症例
治療前は頬の肝斑に細かな毛細血管拡張を伴う赤みがあり、鼻筋と鼻横には限局した血管病変がありました。頬全体には全顔照射、鼻筋と鼻横の限局病変にはスポット照射を組み合わせました。

肝斑に重なる血管成分を治療設計へ入れる
頬は589nm・1319nmで赤みと真皮を治療し、鼻の個別病変はスポット照射で薄くしていきます。
肝斑部の血管成分を色素と別に観察する判断を補う資料として、肝斑病変部は周囲正常皮膚よりa*値(赤み)が有意に高かった。 病変部では真皮血管の数と大きさが有意に増加(参考文献2)。
4回の途中経過を次の治療判断に使う
ADVATxは589nmと1319nmを目的に合わせて用います。
4回後に赤みや病変が薄く見えても、肝斑の再燃、紫外線、摩擦、外用の刺激を確認し、同じ設定を漫然と続けません。
顔面の色素沈着と肌質を照射ごとに分けて追う判断を補う資料として、589nm・1319nmを最大3回照射した女性17人で、最終照射4週後と12週後に医師評価の色素沈着と肌質が治療前より改善し、有害事象は一過性紅斑でした(参考文献1)。
鼻の赤い病変は診断を先に確かめる
赤い隆起や点状病変には、毛細血管拡張、くも状血管腫、老人性血管腫、炎症性病変などがあります。急な増大、出血、びらん、色調の不均一があれば、照射前に皮膚腫瘍として評価します。
当院での診療の考え方
- 589nm・1319nmで頬全体の赤み・炎症・真皮を治療し、鼻筋と小鼻の目立つ血管性病変には細かなスポット照射を組み合わせます。
- 全顔照射に必要なスポット照射は追加料金なしで行い、4回の経過で頬の赤みと鼻の限局病変に残る部分へ照射範囲を調整します。
- 肝斑の遮光・摩擦対策と外用を続けながら、赤み・炎症をADVATxで整え、残る色素には別の色素治療や導入治療を組み合わせます。
治療の比較
| ADVATx | 赤み・血管・炎症・真皮の所見 | 強い日焼け・皮膚炎・光過敏 | 4回(当該症例) | 赤み、熱感、乾燥、水疱、熱傷 | ADVATx 全顔1回30,000円/5回139,000円(スポット込) |
費用・リスク・承認状況
費用
- ADVATx 全顔1回30,000円/5回139,000円(スポット込)
- 589nm医師スポット 1cm²まで6,600円、超過1cm²ごと4,400円
主なリスク
- 赤み、腫れ、熱感、乾燥、刺激感、色素沈着、水疱、熱傷
ADVATxは日本国内未承認医療機器です。医師の責任で適法な輸入手続きにより入手し、未承認機器による健康被害は医薬品副作用被害救済制度等の対象外となる場合があります。
よくある質問
頬の肝斑と鼻の赤い病変は同じ評価ですか?
頬は面状の色素と赤み、鼻は限局病変の径・隆起・圧迫時の退色を確認します。
ADVATx 4回では何を確認しますか?
頬全体の赤み、線状血管、鼻の限局病変の色調をそれぞれ確認します。
肝斑に赤みが重なる場合の注意点は?
遮光・摩擦対策・外用を続け、照射後に色素が濃くなる反応がないかも追います。
鼻の血管性病変は照射前に何を確認しますか?
急な増大、出血、びらん、色調の不均一を確認し、必要なら皮膚腫瘍として診断を優先します。
参考文献
参考文献1:A Single-Center, Open-Label, Prospective Study of a 589/1319 nm Dual Wavelength Laser for the Treatment of Facial Hyperpigmentation
- 研究デザイン
- 単施設・非盲検・前向き単群研究。3〜5週間隔で最大3回照射し12週後まで評価。
- 対象
- Fitzpatrick II〜IVで顔面色素沈着のある女性17人。
- 主な結果
- 589nm・1319nmを最大3回照射した女性17人で、最終照射4週後と12週後に医師評価の色素沈着と肌質が治療前より改善し、有害事象は一過性紅斑でした。
- 限界
- 小規模、単施設、対照群なしで、肝斑・血管腫の治療効果や4〜5回の併用治療を評価していません。
- COI・資金
- PubMed抄録の範囲で資金・利益相反の詳細を詳細記載なし。
参考文献2:The vascular characteristics of melasma
- 研究デザイン
- 同一患者内の病変部と病変周囲正常皮膚を比較する観察的病理・免疫組織化学研究。色差計a*、factor VIIIa-related antigen、VEGFを評価。
- 対象
- 肝斑のある韓国人女性50人から、顔面病変部と非病変部の皮膚検体を採取。
- 主な結果
- 肝斑病変部は周囲正常皮膚よりa*値(赤み)が有意に高かった。 病変部では真皮血管の数と大きさが有意に増加。
- 限界
- 横断的な病変内比較であり、血管増加が肝斑を生じさせる因果関係は証明しない。 韓国人女性のみで、男性・他民族・多様な皮膚型への一般化に限界。 病変部と周囲皮膚は日光曝露などを完全には独立して比較できない。
- COI・資金
- PubMedではResearch Support, Non-U.S. Gov'tとして索引されるが、公開レコードに機関名・助成番号なし。 PubMedレコードおよび公開抄録にCOI記載なし。
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