症例紹介

鼻根の限局した瘢痕をトライフィルプロ瘢痕モード1回で治療した症例

鼻根の限られた範囲に点在する凹みへ、トライフィルプロ瘢痕モードとジュベルックを併用した症例です。1回後の正面・斜位写真では、白い円内にある凹みの影と周囲との段差が浅く見えます。局所を1か所ずつ治療した経過と、鼻根での再評価を解説します。

Medical Information

この記事について

監修日
2026年8月9日
公開日
2025年5月3日
実質更新日
2026年8月9日

Contents

目次

  1. 正面では、鼻根に点在する凹みの影を比較します
  2. 斜位では、凹みの縁と光の落ち方を確認します
  3. 炭酸ガスで局所を剥離し、同じ範囲へジュベルックを届けます
  4. 鼻根では治療点を絞り、回復後の影と硬さを再評価します
  5. 診療で確認するポイント
  6. 治療選択の比較
  7. 費用の目安
  8. リスク・副作用・注意点
  9. 関連記事
  10. 関連施術・関連症状のご案内
  11. 執筆・監修
  12. 参考にした一次情報・ガイドライン
  13. よくあるご質問

正面では、鼻根に点在する凹みの影を比較します

治療前の正面写真では、白い円で示した鼻根に小さな凹みが点在し、正面からの光で影が見えます。トライフィルプロ瘢痕モードとジュベルックを併用し、医師が凹みを1か所ずつ治療しました。

施術は1回です。治療後の正面写真では、円内の影が浅くなり、凹みの縁から周囲の皮膚へ続く段差がなだらかに見えます。

斜位では、凹みの縁と光の落ち方を確認します

斜位写真では、鼻根へ斜めに入る光によって凹みの縁と底の影を確認できます。治療前は円内に局所的な引き込みが見え、1回後は同じ範囲の影が目立ちにくくなっています。

正面だけでなく斜位でも比較することで、色の変化ではなく、皮膚表面の段差がどの方向で残るかを見ます。次の治療は、回復後に残る縁の硬さと影の深さから決めます。

炭酸ガスで局所を剥離し、同じ範囲へジュベルックを届けます

瘢痕モードでは、医師が針先を真皮内へ留め、炭酸ガスを圧力をかけて噴射します。凹みの下にある硬い瘢痕組織を局所的に剥離し、皮膚が持ち上がるための空間を作ります。

続いてジュベルックを同じ範囲へ注入し、炭酸ガスで薬剤を周囲へ広げます。この症例では全顔へ均一に薬剤を届ける方法ではなく、鼻根の限られた凹みを1か所ずつ治療しています。

炭酸ガスによる局所剥離とジュベルックを同じ部位へ重ねる根拠として、トライフィルプロとジュベルックを1回使用すると、4週後に全例で瘢痕の深さと輪郭が改善し、満足度VASは7〜9だったとの報告がありました(参考文献1)。

鼻根では治療点を絞り、回復後の影と硬さを再評価します

鼻根は皮膚の直下に血管が走り、眼窩へつながる血管網にも近い部位です。治療前に凹みの範囲、皮膚の厚さ、触れたときの硬さ、既往の手術・注入歴を確認し、正常皮膚を広く処置せず治療点を絞ります。

施術後は赤み、腫れ、針跡、内出血、皮下気腫が落ち着いてから、正面・斜位と斜めからの光で影を再確認します。浅い引き込みが残る点には瘢痕モードの追加を検討し、深く広い癒着には手動サブシジョン、色や赤みが主に残る部位には色調に合う治療を選びます。

鼻根で治療点を絞る理由として、鼻背動脈は左右1本ずつではなく正中に太い1本として走る場合が28%あり、上方3分の2で浅い皮下血管網を形成する場合も38%だったとの報告がありました(参考文献2)。

Clinical View

診療で確認するポイント

  • 鼻根の限局瘢痕は、正面と左右斜位、斜めからの光で凹みの縁と影を記録し、皮膚を伸ばしたときの段差と触診での硬さを確認します。
  • 浅い局所癒着にはトライフィルプロ瘢痕モードで炭酸ガスによる剥離を行い、できた空間へジュベルックを届けます。
  • 腫れと皮下気腫が引いた後に同じ方向で再撮影し、局所の追加治療、深い層の手動サブシジョン、色調治療のどれを次に行うか決めます。

Comparison

治療選択の比較

治療・対応 向く状態 向かない/慎重な状態 回数の目安 ダウンタイム 費用(税込) 承認状況
トライフィルプロ瘢痕モード 鼻根など限られた範囲にあり、斜光や皮膚伸展で影が変わる浅い癒着性瘢痕 活動性の炎症・感染がある部位、色や赤みだけが主な部位、広く深い引き込み 1回後に影と硬さを再評価し、必要な点だけ追加 赤み、腫れ、内出血、疼痛、針跡、点状出血、皮下気腫、色素沈着 1か所・ジュベルック込み18,000円(税込) 要確認
手動サブシジョン 深く広い癒着があり、局所のガス剥離だけでは解除しにくい状態 浅い凹み、色や赤みだけが主な状態、活動性の炎症・感染 1回後に引き込みを再評価し、必要時に追加 赤み、腫れ、内出血、疼痛、血腫、感染、硬結、色素沈着 2×2cm 33,000円/5×5cm 66,000円(税込、薬剤別) 要確認
POTENZA RFマイクロニードリング 局所瘢痕の周囲に浅い凹凸、毛穴、質感の変化が広がる状態 一点の深い癒着だけが主な状態、活動性の炎症・感染 複数回を基本に写真で反応を評価 赤み、腫れ、点状出血、針跡、かさぶた、色素沈着 全顔1回66,000円/3回188,100円(税込、薬剤別) 要確認

費用の目安

  • トライフィルプロ シワ・瘢痕治療 1か所(ジュベルック込み):18,000円(税込)
  • 手動サブシジョン 2×2cm:33,000円/5×5cm:66,000円(税込、薬剤別)
  • POTENZA 瘢痕治療 全顔:1回66,000円/3回188,100円(税込、薬剤別)

掲載症例の治療は、トライフィルプロのシワ・瘢痕治療1か所・ジュベルック込み18,000円。手動サブシジョンとPOTENZAは、残る瘢痕の深さ・広がりに応じた比較選択肢として掲載した。

リスク・副作用・注意点

  • 赤み、腫れ、内出血、疼痛、熱感、針跡、点状出血、かさぶた、皮下気腫、色素沈着、感染
  • 併用するジュベルックによる過敏反応、硬結・結節、肉芽腫、血管障害、皮膚障害
  • 鼻根では血管走行に個人差があり、増強する痛み、白色・暗紫色変化、急な視機能変化は早期連絡の対象
  • 国内承認・適応: トライフィルプロは国内未承認の医療機器、ジュベルックは国内未承認の医薬品です。当院では医師が個人輸入して自由診療で使用しており、国内の医薬品副作用被害救済制度等の対象外となる場合があります。

施術当日の飲酒、激しい運動、サウナ、入浴は避け、治療部位への強い圧迫・マッサージと日焼けを控える。

Doctor Review

執筆・監修

執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)

References

参考にした一次情報・ガイドライン

  1. Yi KH, Rosellini I, Lee S, Lee HE. JPRAS Open. 2026;51:129-133. doi:10.1016/j.jpra.2026.05.001. PMID:42389218.

    Gas subcision with PDLLA (Juvelook): Evaluating a hybrid mechanical-biologic approach for atrophic acne scars

    研究デザイン: トライフィルプロとPDLLAを1回使用した前向き観察症例集積 / 対象: ローリング型・ボックスカー型を含む萎縮性ニキビ跡の5人、24〜38歳、Fitzpatrick III〜V型 / 結果: 全例で4週後に瘢痕の深さと輪郭が定性的に改善し、満足度VASは7〜9。重篤な有害事象はなく、軽い一過性紅斑・浮腫は数時間で軽快したとの報告がありました。 / 限界: 対照群のない5人の症例集積で、結果は定性的評価。炭酸ガス剥離とPDLLAの寄与を分離できず、鼻根瘢痕への結果や手動サブシジョンへの優越性は示さない。本文では4週、図説明では24週と追跡時点に不一致があるため、方法・結果と一致する4週評価のみを採用した。COIはなしと申告。PubMed抄録とPMC原著全文を2026年8月9日に確認した。

  2. Tansatit T, Apinuntrum P, Phetudom T. Aesthetic Plast Surg. 2017;41(1):191-198. doi:10.1007/s00266-016-0756-0. PMID:28032167.

    Facing the Worst Risk: Confronting the Dorsal Nasal Artery, Implication for Non-surgical Procedures of Nasal Augmentation

    研究デザイン: 固定法の異なる献体を用いた鼻背動脈の解剖研究 / 対象: 50鼻の解剖標本 / 結果: 両側性の鼻背動脈は34%、正中の単独で太い動脈は28%、上方3分の2に浅い皮下血管網として分布する型は38%。単独動脈の平均径は0.7±0.3mm、最大1.2mmとの報告がありました。 / 限界: 献体研究で、トライフィルプロやPDLLA注入後の有害事象率を評価していない。鼻背への増量注入を想定した解剖結果であり、本症例の血管走行を直接示さない。PubMed抄録を2026年8月9日に確認した。

  3. PMDA

    医療機器の承認審査に関する情報

    販売名、承認番号、承認範囲を確認する公的情報です。

  4. 厚生労働省

    医療広告ガイドライン

    自由診療の費用、主なリスク・副作用、未承認機器等の表示を確認する公的資料です。

よくあるご質問

Q. この鼻根瘢痕の症例では何を行いましたか?

鼻根に点在する限局瘢痕へ、トライフィルプロのシワ・瘢痕モードとジュベルックを併用して1回治療しました。正面と斜位で凹みの影を比較しています。

Q. トライフィルプロ瘢痕モードはどのような仕組みですか?

医師が凹みを1か所ずつ狙い、真皮内へ炭酸ガスを注入して硬い瘢痕組織を局所的に剥離します。できた空間へジュベルックを注入し、炭酸ガスで周囲へ広げます。

Q. 1回で治療は終わりますか?

掲載症例は1回後の経過です。赤み、腫れ、皮下気腫が落ち着いた後に影と硬さを見直し、浅い癒着には瘢痕モード、深く広い癒着には手動サブシジョンなど、残る層に合わせて追加治療を選びます。

Q. 鼻根の治療後に早めの連絡が必要な症状はありますか?

時間とともに強くなる痛み、白色・暗紫色の皮膚変化、急な見え方の異常、増える腫れ・出血、発熱や膿がある場合は早めにご連絡ください。

Q. 料金と国内承認状況を教えてください。

トライフィルプロのシワ・瘢痕治療は1か所・ジュベルック込みで18,000円(税込)です。トライフィルプロとジュベルックはいずれも国内未承認で、医師が個人輸入しています。国内の医薬品副作用被害救済制度等の対象外となる場合があります。

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