肝斑が疑われる色調へアドバテックス2回を行った症例
両頬に左右対称の面状色調があり、濃い部分を含む肝斑が疑われた症例へADVATxを2回行いました。左右の斜位写真では、頬骨部から広がる濃い色調が淡く見えます。刺激を抑えた照射と遮光・外用を組み、2回時点の反応から次の範囲を決めます。
Medical Information
この記事について
- 執筆医・監修医
- 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
- 監修日
- 2026年8月9日
- 公開日
- 2026年4月8日
- 実質更新日
- 2026年8月9日

Contents
目次
左右の斜位でADVATx 2回後の初期変化を比較
上段と下段は両頬それぞれの斜位で、各段の左が治療前、右がアドバテックス(ADVATx)レーザー2回後です。治療前は頬骨部から外側頬へ、境界がぼやけた灰褐色から褐色の面状色調が広がり、その中に濃く見える部分があります。
2回後は、両頬とも面状色調の中で濃く見えていた部分が淡くなり、頬全体の色調がそろって見えます。この症例は濃い点状斑を除く治療ではなく、肝斑が疑われる面の初期反応を2回時点で確認した経過です。
肝斑の面は刺激を抑えた治療を積み重ねます
肝斑は紫外線や可視光、摩擦などによる炎症反応が繰り返し関わります。両頬の面状色調を同じ斜位で記録し、遮光、摩擦を抑えた洗顔、刺激反応に合わせた外用を毎日の土台にします。
機器治療は一度に強い反応を出すのではなく、赤み、熱感、乾燥が落ち着く範囲で積み重ねます。2回後に濃い部分と周囲の面状色調を比べ、同じ範囲を続けるか、外用を調整して皮膚を整えるかを決めます。
刺激を抑えた肝斑治療を遮光と外用から始める理由として、トリプル配合外用の色素改善は約6週で最大に達し、週2回の維持療法は漸減法と同等以上に再燃を遅らせたとの報告がありました(参考文献1)。
589nm・1319nmは面状色調に重なる所見から配分します
589nmはヘモグロビンへ反応しやすいため、肝斑が疑われる面に圧迫で薄くなる赤みや細い血管が重なる範囲を確認します。1319nmは真皮と皮脂腺へ熱を加える波長で、皮脂、毛穴、質感も同時に扱う範囲へ役割を持たせます。
この症例では2回後の面状色調を評価し、褐色の濃さ、血管性の赤み、皮脂・質感を別々に記録します。各波長の目的を分けることで、色が淡く見えた部位へ同じ照射を重ね続けず、残る所見へ次の設定を合わせます。
面状色調へ589/1319nmを複数回用いた後も経過を追う理由として、色素沈着と肌質は最終照射4週後と12週後の両方で治療前より改善したとの報告がありました(参考文献2)。
面状色調に重なる赤み・血管も確認します
左右対称の褐色調を確認した後、軽く圧迫したときに薄くなる面状紅斑、頬骨部の細い血管、洗顔や温度変化で増えるほてりを重ねて記録します。血管所見がある範囲を589nmの候補にし、褐色調だけが残る範囲とは分けます。
2回後は、斜位写真の色調だけでなく、同じ照明下の紅斑と血管の見え方も比較します。褐色と赤みが同じ範囲で動いたか、片方だけが残ったかによって、次回の589nm照射範囲と肝斑外用の役割を更新します。
肝斑の面で血管所見を確認する理由として、病変部は周囲の皮膚より赤みの指標が高く、真皮血管の数と大きさが増え、血管数と色素の程度にも関連があったとの報告がありました(参考文献3)。
2回後を次の照射範囲を決めるチェックポイントにします
2回後は、濃く見えていた面状部分、周囲の淡い褐色調、赤みの3項目を左右の斜位で比べます。色調が淡くなり、刺激反応が落ち着いていれば、残る範囲へ照射を絞って次の治療を進めます。
赤みや乾燥が残る場合は、遮光と保湿を続け、外用の頻度を調整します。皮膚が落ち着いた時点の色調を新しい基準写真にし、面状色調の再増加と新しい点状斑を分けて追います。
ADVATxの機器仕様と国内での位置づけ
ADVATxは589nmと1319nmを搭載する非蒸散性レーザーです。米国FDAの510(k) K250189では、589nmと1319nmについて波長ごとの使用目的が記載されています。
日本では未承認医療機器で、当院では医師の責任のもと適法な輸入手続きを経て自由診療に使用しています。米国でのクリアランス、本症例の2回経過、国内の料金とリスクを区別して説明します。
米国FDAの510(k) K250189では、ADVATxの589nmに良性血管病変と良性色素性病変、1319nmに小じわ、萎縮性ニキビ跡、軽度から中等度の炎症性ニキビが記載されています(参考文献4)。
Clinical View
診療で確認するポイント
- 当院では、両頬を同じ距離の斜位で撮影し、頬骨部から広がる面状色調、その中の濃い部分、圧迫で薄くなる赤みを別々に記録します。
- 遮光・摩擦を抑えた洗顔・外用を土台にし、血管性の赤みへ589nm、皮脂・毛穴・質感も対象になる範囲へ1319nmを配分します。
- 2回後は濃い面状部分が淡くなった範囲と刺激反応を左右で比べ、照射を続ける範囲、外用を調整する範囲、経過を追う範囲を更新します。
Comparison
治療選択の比較
| 治療・対応 | 向く状態 | 向かない/慎重な状態 | 回数の目安 | ダウンタイム | 費用(税込) | 承認状況 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 遮光・肝斑外用 | 両頬へ左右対称に広がる面状色調と、光・摩擦で変動する肝斑 | 盛り上がり、出血、急な形の変化がある病変 | 毎日継続し、数週単位で色調と刺激を再評価 | 外用による赤み、乾燥、皮むけ、刺激性皮膚炎 | 処方・製品により異なる | 要確認 |
| ADVATx 589+1319nm全顔 | 肝斑が疑われる面状色調に血管性の赤み、皮脂・毛穴・質感変化が重なる状態 | 日焼け直後、強い皮膚炎・感染、診断未確定の色素病変 | 本症例は2回時点で初期評価。通常は前回反応を見て複数回 | 痛み、赤み、ほてり、腫れ、乾燥、刺激感、色素沈着、水疱、熱傷 | 全顔・スポット照射込み 1回30,000円/5回139,000円 | 要確認 |
費用の目安
- ADVATx 589+1319nm全顔・スポット照射込み:1回30,000円/5回139,000円(税込)
自由診療・税込です。肝斑の処方薬・外用製品の費用は含みません。照射範囲、回数、併用治療により総額が変わります。
リスク・副作用・注意点
- ADVATxでは、照射中の痛み、照射後の赤み、ほてり、腫れ、乾燥、刺激感が生じることがあります。
- ADVATxでは、色素沈着、水疱、熱傷が起こることがあります。日焼け直後、照射部位に感染や強い皮膚炎がある場合は照射できないことがあります。
- 肝斑の外用では、乾燥、赤み、皮むけ、かゆみ、刺激性皮膚炎が生じることがあります。
- 国内承認・適応: ADVATxは日本国内で医薬品医療機器等法上の承認を受けていない医療機器です。当院では医師の責任のもと、適法な輸入手続きにより入手しています。米国FDAのK250189では、589nmについて良性血管病変・良性色素性病変など、1319nmについて小じわ・萎縮性ニキビ跡・軽症から中等症の炎症性ニキビなどの使用目的で510(k)クリアランスを取得していますが、米国でのクリアランスは日本の承認とは異なります。未承認医療機器による健康被害は、医薬品副作用被害救済制度等の対象外となる場合があります。
両頬の面状色調と赤みを同じ斜位で追い、照射後の刺激が落ち着いた時点で次の範囲を決めます。
Doctor Review
執筆・監修
執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
References
参考にした一次情報・ガイドライン
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Topical and Systemic Therapies in Melasma: A Systematic Review
研究デザイン: 肝斑の外用・内服治療を扱った比較研究・無作為化比較試験174件を評価し、Oxford Centre for Evidence-Based Medicineの基準で推奨度を判定した系統的レビュー。 / 対象: 研究ごとに対象数、皮膚型、重症度、治療期間が異なり、レビュー本文では総人数を集計していない。 / 結果: SPF30以上でUVA・UVB・可視光を覆う日焼け止めと、ハイドロキノン、トリプル配合外用などが初期治療として推奨された。トリプル配合外用の色素改善は約6週で最大に達し、週2回の維持療法は漸減法と同等以上に重症肝斑の再燃を遅らせたとの報告がありました。 / 限界: 病型、肌色、評価尺度、追跡期間、再発評価、外用成分と濃度の異質性が大きい。ADVATx、589nm・1319nm照射、この症例の2回経過を直接比較していない。研究費・支援なし、著者は利益相反なしと申告。原著全文を2026年8月9日に再確認した。
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A Single-Center, Open-Label, Prospective Study of a 589/1319 nm Dual Wavelength Laser for the Treatment of Facial Hyperpigmentation
研究デザイン: 589nm・1319nmのデュアル波長レーザーを3〜5週間隔で最大3回行い、最終照射4週後と12週後を評価した単施設非盲検前向き単群研究。 / 対象: Fitzpatrick II〜IVで顔面の色素沈着がある健康な女性17人。平均年齢43.4歳。 / 結果: 最終照射4週後と12週後の両方で、医師評価による色素沈着と肌質が治療前より有意に改善し、有害事象は自然軽快する一過性の紅斑だったとの報告がありました。 / 限界: 小規模・単施設・非盲検・対照群なしで、対象は女性に限られる。最大3回の照射で、肝斑と診断された集団、この症例の2回経過を直接検証していない。PubMed抄録を2026年8月9日に確認し、原著全文は取得できなかった。PubMed・JDD抄録で資金提供と利益相反の記載を確認できなかった。
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The vascular characteristics of melasma
研究デザイン: 肝斑病変部と周囲の非病変部について、色彩計の赤み指標、免疫組織化学、画像解析で血管数・血管径・VEGF発現を比較した観察研究。 / 対象: 肝斑のある韓国人女性50人。病変部と同じ顔面の周囲皮膚を比較。 / 結果: 肝斑病変部は周囲皮膚よりa*値が有意に高く、真皮血管の数と大きさ、VEGF発現が有意に増加した。血管数と色素の程度にも有意な関連があったとの報告がありました。 / 限界: 病理・観察研究で、血管の増加と肝斑の因果関係、589nm照射の治療効果、ADVATx 2回の経過を示さない。対象は韓国人女性に限られる。PubMed抄録を2026年8月9日に確認し、原著全文は取得できなかった。研究資金・利益相反は抄録で確認できる範囲に限られる。
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510(k) Summary for AdvaTx K250189
研究デザイン: 米国FDAの510(k)クリアランス文書と機器仕様。臨床研究ではなく、既承認機器との実質的同等性に基づく審査。 / 対象: 該当なし(医療機器の規制・技術資料)。 / 結果: 589nmは良性血管病変と良性色素性病変、1319nmは小じわ、萎縮性ニキビ跡、軽度から中等度の炎症性ニキビを使用目的として記載。波長は589nmと1319nm。 / 限界: 米国の510(k)資料で、日本国内の承認を意味しない。本症例の肝斑や2回治療の効果を示す患者研究ではない。 / 利益相反: 規制当局資料のため、臨床研究の利益相反情報は該当しない。
よくあるご質問
Q. この症例ではADVATxを何回行いましたか?
ADVATxを2回行い、両頬それぞれの斜位で治療前後を比較しています。頬骨部から広がる面状色調のうち、濃く見えていた部分が淡くなった初期経過です。
Q. なぜ2回後に一度評価するのですか?
面状色調、赤み、熱感や乾燥の戻り方を比べ、次に照射する範囲を絞るためです。色調が動いた部位と残る部位を分け、同じ治療を一律に重ねないようにします。
Q. 589nmと1319nmは肝斑が疑われる肌でどう使い分けますか?
589nmは面状の赤みや細い血管、1319nmは皮脂、毛穴、肌の質感も同時に扱う範囲へ配分します。褐色調、赤み、皮脂・質感を別々に追って次回の照射内容を決めます。
Q. 治療中のホームケアは何を続けますか?
紫外線・可視光への遮光、摩擦を抑えた洗顔、保湿を続けます。外用は赤みや皮むけが増えない頻度に調整し、照射後の刺激が落ち着いた色調を基準にします。
Q. ADVATxの料金と承認状況を教えてください。
589+1319nmの全顔治療はスポット照射込みで1回30,000円、5回139,000円です。ADVATxは国内未承認医療機器で、米国FDA 510(k) K250189のクリアランスは日本の承認とは異なります。未承認機器による健康被害は救済制度の対象外となる場合があります。
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