プルリアルシルクの適応と治療間隔の考え方
プルリアルシルクは、PN 15mgを2mLに含む皮内注入製剤です。目・口周りなどの繊細な部位や、乾燥、小じわ、毛穴、赤みを伴う肌質変化に用い、当院では約1か月ごと3回を1クールの目安にします。
Medical Information
この記事について
- 執筆医・監修医
- 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
- 監修日
- 2026年8月9日
- 公開日
- 2026年5月31日
- 実質更新日
- 2026年8月9日






Contents
目次
毛穴・小じわ・赤みを伴う肌質変化に使います
プルリアルシルクは、毛穴、小じわ、赤み、乾燥、ハリの低下を一緒に整えたいときに用いるPN(ポリヌクレオチド)製剤です。深い凹みを持ち上げたり輪郭へボリュームを足したりする注入ではなく、皮膚表面の細かな質感と、薄い皮膚のうるおい・しなやかさを目標にします。
診察では、目・口周りのちりめんじわ、頬の毛穴、乾燥に伴う細かな凹凸、炎症後に残る赤みを見ます。強い陥凹や癒着が主所見のニキビ跡は別の治療を先に考え、凹みが軽く赤み・乾燥・小じわが目立つ場合にプルリアルシルクを組み込みます。
PNのみを15mg含み、繊細な部位へ皮内注入します
プルリアルシルクはルクセンブルクのMD Skin Solutions社が開発した、1シリンジ2mLの滅菌済み皮内注入用ゲルです。主成分はサーモン由来のPN 15mg、濃度は7.5mg/mLで、ヒアルロン酸とマンニトールは製品自体に含まれません。欧州のCEマークを取得しています。
目周り、口周り、首、デコルテなど、薄く繊細な皮膚へ30G針で少量ずつ皮内注入します。目周りでは、しわの走行に沿って小さな膨疹ができる深さへ分散し、2mLを左右へ約1mLずつ配る方法が一例です。局所の凹みを一か所で膨らませるのではなく、注入点を分散して皮膚全体を均等に扱います。
当院では、うるおい・ハリに加えて小じわと毛穴を目標にする配合例として、プルリアルシルクにヒアルロン酸1ccとコアトックス少量を加えることがあります。これはプルリアルシルク本来の成分ではなく、部位、乾燥、表情じわ、毛穴の組み合わせに応じて選ぶ別の治療設計です。
薄い目周りへPNを皮内注入し、水分・弾力・粗さ・毛穴を同じ軸で追う理由として、PNと非架橋ヒアルロン酸を2週ごと3回注入すると、主観評価とGAISに差はなかった一方、PNでは弾力・水分、粗さ・毛穴容積の改善率が高い時点があり、重篤な有害事象はなかったとの報告がありました(参考文献2)。
PNは線維芽細胞と皮膚の修復環境を支えます
PNは、真皮の線維芽細胞が働く環境を支え、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸など、ハリ・弾力・水分保持に関わる細胞外基質の産生を助けると考えられています。これにより、乾燥した皮膚のうるおい、薄い皮膚のしなやかさ、細かな凹凸の改善を徐々に目指します。
さらに、刺激後の炎症反応を落ち着かせ、細胞増殖と組織修復が進む環境を支える働きが期待されています。毛穴だけ、赤みだけを単独で処理するのではなく、小じわ、乾燥、質感が同時に変化する経過を同じ写真で追います。
凹みが主体ならジュベルック、赤み・乾燥・小じわならプルリアルを考えます
皮脂が多く、ボックスカー型などの凹んだニキビ跡や肌の凹凸が主所見なら、ジュベルックを優先し、癒着がある凹みにはサブシジョンを組み合わせます。凹みは強くない一方で、赤み、肌のゆらぎ、乾燥、ハリ・弾力の低下、毛穴、ちりめんじわが主所見なら、プルリアルシルクを選びます。
一人の顔に凹みと乾燥・赤みが併存する場合は、深い凹みへジュベルックやサブシジョン、薄い目・口周りや乾燥部位へプルリアルシルクという順に部位を分けます。同じ注入剤を全顔へ均一に入れるのではなく、所見ごとに深さと製剤を変えます。
約1か月ごと3回を1クールにし、1〜3日の注射痕を見ます
当院では、約1か月ごとに3回程度を1クールの目安にします。1回目は注入後の膨疹、赤み、点状出血、内出血と、1か月後の乾燥・小じわ・毛穴を記録し、同じ部位へ2回目、3回目を重ねます。2クール目以降は、3回後に残った所見と生活予定を見て間隔を延ばします。
注射による赤みや点状出血は、多くが軽度で1〜3日程度です。腫れ、内出血、痛みも起こり、まれに感染、結節、アレルギー、血流障害が生じるため、強い痛み、皮膚色の変化、熱感が続く場合は早く診察します。
PNはサーモン由来のため、魚や魚卵のアレルギー歴は施術前に確認します。活動性の皮膚炎、膿疱、ヘルペスなど注入部位に感染がある時期は、皮膚が落ち着いてから治療計画へ戻します。
約4週ごとに質感と弾力を再評価して次の注入へ進む理由として、PN注入は4週間隔で行われることが多く、しわ・質感・弾力の改善がみられ、局所の痛み、浮腫、かゆみ、内出血、赤みなどは主に軽度で1週間以内に治まったとの報告がありました(参考文献1)。
注入部位と1クールの計画を決めてから予約します
初回は、毛穴・小じわ・赤み・乾燥・凹みの優先順位、目周りや口周りの皮膚厚、過去のヒアルロン酸・ボツリヌストキシン・肌育注射を確認し、2mLを配る部位と3回分の日程を決めます。予約は電話、LINE、ホームページから受け付けています。
Clinical View
診療で確認するポイント
- 診察では、乾燥、ちりめんじわ、毛穴、赤みを写真と触診で記録し、深い凹み・癒着が主所見か、薄い皮膚の質感変化が主所見かを最初に決めます。
- 目・口周りの薄い皮膚や、凹みが軽く赤み・乾燥が目立つ頬には、2mLを少量ずつ皮内へ分散し、ボリュームを作らず肌質の変化を追います。
- ボックスカー型の凹みや癒着が強ければジュベルックとサブシジョンを先に行い、残る乾燥・赤み・小じわへプルリアルシルクを追加します。
- 約1か月ごと3回の各回で、膨疹・赤み・点状出血が治まった日と、同じ照明の写真で見た小じわ・毛穴・赤みを照合し、3回後にメンテナンス間隔を決めます。
Comparison
治療選択の比較
| 治療・対応 | 向く状態 | 向かない/慎重な状態 | 回数の目安 | ダウンタイム | 費用(税込) | 承認状況 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| プルリアルシルク | 乾燥・小じわ・質感へのPN注入を検討する場合 | 魚由来成分アレルギー、感染、活動性皮膚炎、効果保証を求める場合 | 当院目安 約1か月ごと3回、その後再評価 | 膨疹、赤み、腫れ、内出血、痛み、感染、結節、アレルギー | 現行料金表に独立項目なし。使用量・範囲で費用が変動 | 要確認 |
| 非架橋ヒアルロン酸系スキンブースター | 水分・質感への注入を検討する場合 | 輪郭形成や強い凹みの補正を求める場合 | 製剤ごとに複数回 | 膨疹、腫れ、内出血、感染、血流障害等 | 製剤・使用量で異なる | 要確認 |
| 遮光・保湿・レチノール等 | 軽い乾燥・光老化、小じわの土台 | 注入と同等の短期変化を期待 | 毎日・数か月 | 刺激、かぶれ、乾燥 | 製品により異なる | 要確認 |
費用の目安
- プルリアルシルクは現行料金表に独立項目がありません。
- 費用は使用量・注入範囲・回数で変動します。
定額ではなく、使用量と注入範囲に応じて説明します。
リスク・副作用・注意点
- 膨疹、赤み、腫れ、点状出血、内出血、痛みが生じます。
- 感染、結節、アレルギー、血流障害など注入固有の合併症があります。
- 魚・魚卵アレルギー、活動性皮膚炎、感染がある場合は適応を慎重に判断します。
- 国内承認・適応: 国内未承認製剤です。自由診療として入手経路、国内承認品の有無、救済制度の対象外となる場合を説明します。
国内未承認製剤で、一般PNの報告を製品固有の安全率として転用しません。
Doctor Review
執筆・監修
執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
References
参考にした一次情報・ガイドライン
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美容医療におけるポリヌクレオチドの系統的レビュー
研究デザイン: 美容医療でのPN注入を対象にした系統的レビュー。異質性のためメタ解析は行われていない。 / 対象: 2010年から2024年1月までの9研究、219人。主な部位は目尻で、ほかに頬、ニキビ跡、ほうれい線、炎症後色素沈着部位などを含む。 / 結果: 複数研究でしわ、質感、弾力に統計学的改善があり、重篤な有害事象はなく、局所痛、浮腫、かゆみ、内出血、赤み、一過性刺激などは概ね1週間以内に治まったとの報告がありました。 / 限界: 9研究はいずれも評価項目、製剤、注入部位、注入法、量、間隔が不均一で、品質は低〜中等度だった。プルリアルシルク固有の約1か月ごと3回、院内配合、赤みへの効果、長期維持を確定する研究ではない。著者の一部にPN製剤企業・販売会社との関係が開示されている。
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目周りのPNと非架橋ヒアルロン酸のsplit-face比較
研究デザイン: 無作為化二重盲検・実薬対照split-face試験 / 対象: 27人。目周りの片側へPN、反対側へ非架橋ヒアルロン酸を2週ごとに計3回注入した。 / 結果: 主観評価とGAISの改善に群間差はなく、PN側は弾力・水分、粗さ・毛穴容積の改善率が高い評価時点があり、重篤な有害事象はなかったとの報告がありました。 / 限界: 27人の短期研究で、使用製剤はプルリアルシルクではない。全顔、口周り、首、赤み、3回を約1か月ごとに行う当院プロトコル、ヒアルロン酸・コアトックスとの院内配合を検証していない。出版社全文の公開アクセスは確認できず、注釈はPubMed抄録の範囲に限定した。
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Consensus report on PN-HPT
8専門家によるコンセンサス。比較試験ではない。
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未承認医療機器等の情報提供
国内未承認製剤の表示に関する公的資料。
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PN-HPT for Asian skin rejuvenation
アジア人30人の単群研究。
よくあるご質問
Q. プルリアルシルクには何が入っていますか?
1シリンジ2mLにサーモン由来PNを15mg、7.5mg/mLで含みます。製品自体にヒアルロン酸やマンニトールは含まれません。魚・魚卵アレルギーがある方は施術前に申告してください。
Q. どの部位へ、どのように注入しますか?
目周り、口周り、首、デコルテなど薄く繊細な部位へ、30G針で少量ずつ皮内注入します。目周りでは2mLを左右約1mLずつ分散し、しわの走行に沿って小さな膨疹ができる深さへ入れます。
Q. 何回、どのくらいの間隔で受けますか?
当院では約1か月ごと3回を1クールの目安にします。3回後の乾燥、小じわ、毛穴、赤みと、注射痕が治まるまでの日数を見て、2クール目やメンテナンスの間隔を延ばします。
Q. ジュベルックとはどう使い分けますか?
皮脂が多くボックスカー型など凹みのあるニキビ跡にはジュベルック、凹みが軽く赤み・乾燥・ハリ低下・毛穴・ちりめんじわが主所見ならプルリアルシルクを考えます。癒着した凹みにはサブシジョンを先に組み合わせます。
Q. プルリアルシルクは国内承認製剤ですか?
日本では未承認の医療機器です。欧州CEマークは日本の承認とは異なります。自由診療で使用し、当院で用いる製剤の入手経路、国内承認の同等製品の有無、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があることを施術前に説明します。
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