医師解説ヒアルロン酸

唇の形と面長感をヒアルロン酸4ccで整える考え方

他院で上唇へ2cc注入後、外側の厚みに対して中央の上口唇結節が小さく、口を閉じにくかった方です。ボルベラXC 0.6ccで上唇の曲線を整え、ボリューマXC 3ccを頬・フェイスラインへ使用し、口元と面長感を同時に見直しました。

Medical Information

この記事について

監修日
2026年8月9日
公開日
2021年12月23日
実質更新日
2026年8月9日

Contents

目次

  1. 正面では上唇中央と外側の厚みを分けて見ます
  2. ボルベラXC 0.6ccは上唇中央の形を整えるために使います
  3. 斜位では頬とフェイスラインへ3ccを配分した変化を見ます
  4. 反対側の斜位で口元と全顔の配分を見直します
  5. 4cc症例の内訳と治療後の確認点
  6. 診療で確認するポイント
  7. 治療選択の比較
  8. 費用の目安
  9. リスク・副作用・注意点
  10. 関連記事
  11. 関連施術・関連症状のご案内
  12. 執筆・監修
  13. 参考にした一次情報・ガイドライン
  14. よくあるご質問

正面では上唇中央と外側の厚みを分けて見ます

治療前は、他院で上唇へヒアルロン酸2ccを注入した後の状態でした。外側に厚みが集まる一方、中央の上口唇結節は小さく、前歯が隙間から見えそうになるため、唇を閉じるときに力が必要でした。

正面では、単に上唇全体の厚みを増やすのではなく、中央の高さ、キューピッド弓から口角までの曲線、安静時の口唇閉鎖を確認します。治療後は中央から外側へ続く上唇の曲線がなだらかになり、口元の左右バランスも整っています。

ボルベラXC 0.6ccは上唇中央の形を整えるために使います

修正では、既にある外側の厚みを前提に、ジュビダームビスタ ボルベラXC 0.6ccを上唇中央へ配分しました。中央の上口唇結節を作り、左右へ連続する曲線を整えることで、上唇全体へさらに2ccを重ねる設計とは分けています。

口唇は表情と食事でよく動くため、治療直後の厚みだけで終了点を決めません。安静時に無理なく口が閉じるか、発音や笑顔で中央だけが強く出ないかを確認し、腫れが落ち着いた後にも輪郭を見直します。

上唇中央を少量ずつ整え、時間経過を見て追加を決める理由として、ボルベラXCと同じVYC-15Lによる口唇治療では、3か月時の改善率80.3%、1年まで60%超の改善が維持されたとの報告がありました(参考文献1)。

斜位では頬とフェイスラインへ3ccを配分した変化を見ます

面長感に対しては、ジュビダームビスタ ボリューマXC 3ccを頬とフェイスラインへ使用しました。一方の斜位では、頬の前方投影と外側の輪郭、口角から顎へ続く下顔面の線を同時に比べます。

治療後は、頬に立体感が加わり、フェイスラインの輪郭がなだらかになっています。上唇の0.6ccとは目的を分け、顔全体の横方向の支えを頬・フェイスラインで補うことで、口唇だけを大きくして縦長感を調整しようとしない構成です。

ジュビダームビスタ ボリューマXCは、成人の中顔面・下顎部・こめかみにおける減少したボリュームの増大を目的とする国内承認医療機器です(参考文献4)。

反対側の斜位で口元と全顔の配分を見直します

反対側の斜位でも、上唇中央の曲線、頬の投影、フェイスラインのつながりを順に確認します。片側だけ頬の高さや口唇の厚みが強くならないよう、正面と両斜位を往復して終了点を決めます。

顔全体の総量が同じでも、よく動く口唇と支持を作る頬では、直後の見え方と時間経過が同じではありません。部位別に三次元計測したHA注入では、12週後の容量維持が頬・中顔面79.2%、口唇37.2%で、治療部位ごとに再評価を分ける必要があるとの報告がありました(参考文献2)。

4cc症例の内訳と治療後の確認点

症例名は4ccですが、施術詳細に記録された使用量は、ボリューマXC 3ccとボルベラXC 0.6ccの計3.6ccです。口唇へ4ccを使用した症例ではなく、口唇と頬・フェイスラインへ製剤の役割を分けた全顔治療です。

治療後は腫れ、内出血、圧痛、左右差に加え、注入部のしこり感が1〜2か月続くことがあります。通常と異なる強い痛み、皮膚の白色化・紫色や網目状の変化、冷たさ、見え方の異常がある場合は直ちにご連絡ください。

ジュビダームビスタ ボルベラXCは、成人の顔面のしわ・へこみ修正と口唇増大を目的とする国内承認医療機器です(参考文献3)。

Clinical View

診療で確認するポイント

  • 他院注入後の口唇では、上唇中央・外側・口角の厚み、安静時の口唇閉鎖、笑顔での曲線を正面から確認します。
  • この症例は外側の厚みを増やさず、ボルベラXC 0.6ccを上唇中央の曲線へ配分し、口を閉じた状態まで確認しました。
  • 面長感は口唇量だけで調整せず、ボリューマXC 3ccを用いた頬の投影とフェイスラインの支えを両斜位で別に評価します。
  • 最後に正面と両斜位を並べ、上唇、頬、フェイスラインの左右差を確認し、部位ごとに腫れが落ち着いた後の形を再評価します。

Comparison

治療選択の比較

治療・対応 向く状態 向かない/慎重な状態 回数の目安 ダウンタイム 費用(税込) 承認状況
ボルベラXCで上唇中央を修正 上唇外側の厚みに対して中央の上口唇結節が小さく、曲線と口唇閉鎖を整えたい状態 外側を含む上唇全体が十分に厚く、追加で口唇閉鎖が悪化する状態 1回後に腫れが落ち着いてから形と閉じやすさを再評価 腫れ、内出血、圧痛、左右差、しこり・硬さ。まれに血管閉塞、壊死、視覚障害 1本1cc 77,000円+唇施術料11,000円、計88,000円 口唇増大を目的とする国内承認品(23000BZX00331000)
ボリューマXCで頬・フェイスラインを支持 頬の投影と下顎部の支えを補い、面長感を横方向のバランスから整える状態 頬・下顎部に十分なボリュームがあり、追加で横幅や重さが強くなる状態 1回後に正面・両斜位で再評価 腫れ、内出血、圧痛、左右差、凹凸・硬結。まれに血管閉塞、壊死、視覚障害 3本3cc 231,000円 中顔面・下顎部のボリューム増大を目的とする国内承認品(22800BZX00338000)
本症例と同じ4本の全顔配分 口唇中央の形と頬・フェイスラインの支持を別々に調整する状態 総量だけを基準に一部位へ集中注入しようとする状態 同日治療後、口唇と頬を部位別に再評価 各部位の腫れ、内出血、圧痛、左右差、しこり・硬結など 4本308,000円+唇施術料11,000円、計319,000円。カテラン針使用時は11,000円加算 ボルベラXCは口唇、ボリューマXCは中顔面・下顎部で国内承認

費用の目安

  • ヒアルロン酸:1本1cc 77,000円(税込)
  • 本症例と同じ4本:308,000円(税込)
  • 涙袋・唇施術料:11,000円(税込)
  • 4本+唇施術料の現在の基本料金例:319,000円(税込)
  • カテラン針を使用する場合:11,000円(税込)追加

症例名は4ccですが、施術詳細の合計はボリューマXC 3cc+ボルベラXC 0.6ccの3.6ccです。製剤は1cc単位のため、現在料金は4本分で計算します。

リスク・副作用・注意点

  • 腫れ、赤み、痛み、圧痛、内出血、左右差、凹凸、違和感、しこり・硬さが起こり、しこり感が1〜2か月続くことがあります。
  • アレルギー、感染、遅発性の炎症・結節、口唇の過修正や閉じにくさが起こることがあります。
  • まれに血管閉塞、皮膚障害・壊死、視力・視野障害、失明、脳卒中などの重い合併症が起こる可能性があります。
  • 通常と異なる強い痛み、皮膚の白色化・紫色または網目状の変化、冷たさ、見え方の異常がある場合は直ちにご連絡ください。
  • 国内承認・適応: ジュビダームビスタ ボルベラXCは成人の顔面のしわ・へこみ修正と口唇増大を目的とする国内承認医療機器(23000BZX00331000)、ジュビダームビスタ ボリューマXCは成人の中顔面・下顎部・こめかみの減少したボリューム増大を目的とする国内承認医療機器(22800BZX00338000)です。本症例の上唇、頬・下顎部の治療目的は各承認範囲に沿います。

Doctor Review

執筆・監修

執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)

References

参考にした一次情報・ガイドライン

  1. Geronemus RG, Bank DE, Hardas B, Shamban A, Weichman BM, Murphy DK. Safety and Effectiveness of VYC-15L, a Hyaluronic Acid Filler for Lip and Perioral Enhancement: One-Year Results From a Randomized, Controlled Study. Dermatol Surg. 2017;43(3):396-404. doi:10.1097/DSS.0000000000001035. PMID:28157728.

    Safety and Effectiveness of VYC-15L, a Hyaluronic Acid Filler for Lip and Perioral Enhancement: One-Year Results From a Randomized, Controlled Study

    研究デザイン: 前向き多施設無作為化比較試験。VYC-15Lとリドカイン含有NASHAを比較し、任意の30日タッチアップ後に1年間追跡した。 / 対象: 口唇充足度がminimal〜moderateの成人225人。 / 結果: 3か月時の口唇充足度改善率はVYC-15L 80.3%、対照70.8%で、VYC-15Lは1年まで60%超の改善率を維持した。3か月時のFACE-Q口唇満足度改善は96.1%だった。 / 限界: 他院で上唇へ2cc注入後の修正症例ではなく、本症例の0.6cc、中央への配分、頬・フェイスラインとの同日治療を評価していない。PubMed抄録範囲を確認し、原著全文へはアクセスできていない。

  2. Davis HD, Mazzaferro D, Habarth-Morales TE, et al. A Large Prospective Volumetric and Patient-Reported Outcome Analysis of Hyaluronic Acid Facial Fillers. Plast Reconstr Surg. 2025;156(4):550-559. doi:10.1097/PRS.0000000000012135. PMID:40178806.

    A Large Prospective Volumetric and Patient-Reported Outcome Analysis of Hyaluronic Acid Facial Fillers

    研究デザイン: 三次元画像とFACE-Qを用い、治療直後、2・4・12週に8顔面領域の容量を追った前向き研究。 / 対象: 40〜65歳の女性101人。頬、鼻唇溝・マリオネットライン、口唇縁へ部位別に異なるRestylane製剤を使用した。 / 結果: 12週後の容量維持は全顔65.5%、頬・拡張中顔面79.2%、上口周囲62.7%、口唇37.2%で、顔貌・治療部位・心理社会機能の患者報告アウトカムも改善した。 / 限界: 単一施設の女性のみを対象とし、無治療対照はない。使用製剤はボルベラXC・ボリューマXCではなく、本症例の3.6cc配分、他院注入後の修正、面長感を直接検証していない。PubMed抄録範囲を確認し、原著全文へはアクセスできていない。

  3. アラガン・ジャパン株式会社. ジュビダームビスタ ボルベラXC 添付文書. 2023年8月(第1版). 医療機器承認番号:23000BZX00331000.

    ジュビダームビスタ ボルベラXC 添付文書

    研究デザイン: PMDA公開の国内承認医療機器添付文書。 / 対象: 成人。顔面のしわ・へこみ修正と口唇増大を目的に使用する。 / 結果: 口唇粘膜内・皮下注入による口唇増大が承認され、血管内注入を禁止し、過修正や血管障害に注意を求めている。 / 限界: 添付文書は承認範囲と安全情報を示す資料で、本症例の0.6ccによる上口唇修正や他院注入後の変化を検証する研究ではない。

  4. アラガン・ジャパン株式会社. ジュビダームビスタ ボリューマXC 添付文書. 2023年8月(第1版). 医療機器承認番号:22800BZX00338000.

    ジュビダームビスタ ボリューマXC 添付文書

    研究デザイン: PMDA公開の国内承認医療機器添付文書。 / 対象: 成人。中顔面・下顎部・こめかみにおける減少したボリューム増大を目的に使用する。 / 結果: 皮下・骨膜上深部への注入として承認され、1注入部位2mL以下、血管内注入禁止、血管障害等の注意を示している。 / 限界: 添付文書は承認範囲と安全情報を示す資料で、本症例の頬・フェイスラインへの3cc配分や面長感の変化を検証する研究ではない。

よくあるご質問

Q. この症例では、どの製剤を何cc使いましたか?

ジュビダームビスタ ボルベラXC 0.6ccを上唇の修正、ジュビダームビスタ ボリューマXC 3ccを頬・フェイスラインに使用しました。施術詳細の合計は3.6ccで、症例名の4ccは概数です。

Q. 他院で上唇へ2cc入れた後、なぜ中央を整えたのですか?

治療前は外側へ厚みが集まり、中央の上口唇結節が小さく、口を閉じるときに力が必要でした。既存の外側の厚みを増やさず、中央から左右へ続く曲線を0.6ccで整えました。

Q. 同じ製剤4本を使った場合の現在の料金はいくらですか?

ヒアルロン酸は1本1cc 77,000円で4本は308,000円、唇施術料は11,000円のため、基本料金は合計319,000円です。カテラン針を使用する場合は11,000円が加算されます。すべて税込・自由診療です。

Q. ボルベラXCとボリューマXCの国内承認範囲を教えてください。

ボルベラXCは成人の顔面のしわ・へこみ修正と口唇増大、ボリューマXCは成人の中顔面・下顎部・こめかみの減少したボリューム増大に国内承認されています。本症例の上唇、頬・下顎部の目的は各承認範囲に沿います。

Q. 治療後にすぐ連絡した方がよい症状はありますか?

通常と異なる強い痛み、皮膚の白色化・紫色または網目状の変化、冷たさ、見え方の異常がある場合は、血流障害の可能性があるため直ちにご連絡ください。

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