医師解説ヒアルロン酸

頬骨弓・下顎・ほうれい線・目周りをヒアルロン酸4ccで再調整した2年半の経過

2年半前の初診時から定期的にメンテナンスを続け、今回はボリューマXC 2本とボラックスXC 2本、合計4ccを頬骨弓・下顎・ほうれい線・目周りへ使用した症例です。正面と斜位で、フェイスラインと顔全体のバランスを振り返ります。

Medical Information

この記事について

監修日
2026年8月9日
公開日
2026年5月10日
実質更新日
2026年8月9日

Contents

目次

  1. 定期的なメンテナンスに今回4ccを加え、2年半の変化を正面で見ます
  2. 斜位では、頬骨弓・目周り・ほうれい線・下顎のつながりを確認します
  3. 製剤の承認範囲と血管安全は、部位ごとに分けます
  4. 診療で確認するポイント
  5. 治療選択の比較
  6. 費用の目安
  7. リスク・副作用・注意点
  8. 関連記事
  9. 関連施術・関連症状のご案内
  10. 執筆・監修
  11. 参考にした一次情報・ガイドライン
  12. よくあるご質問

定期的なメンテナンスに今回4ccを加え、2年半の変化を正面で見ます

正面は左が初診時、右が定期的なメンテナンスと今回の再調整後です。2年前と比べてリフトアップし、顔のバランスが整った経過として示されています。頬骨弓から外側頬、口元、下顎までを一枚のフェイスラインとして確認します。

今回使用したヒアルロン酸製剤は、1本1CCのジュビダームビスタ ボリューマXC 2本とボラックスXC 2本で、合計4ccです。2製剤を頬骨弓・下顎・ほうれい線・目周りの4領域へ使用した全体計画として、部位ごとの変化を正面と斜位で確認します。

2年半の経過では、これまでの治療が残っている部位と、新たに支えを補う部位を同じ正面で見直します。過去と同じ量を一律に足すのではなく、頬の高さ、口元へ下る影、下顎の輪郭を比べ、今回の終了点を決めます。

2年半後の再調整で部位ごとに残存を見直す理由として、外側のこめかみ・頬と中顔面ではヒアルロン酸の信号が27か月時も確認され、あご周囲では19か月時に大部分が消失していたとの報告がありました(参考文献1)。

斜位では、頬骨弓・目周り・ほうれい線・下顎のつながりを確認します

斜位も左が初診時、右が今回の再調整後です。頬骨弓から目周りへ続く上中顔面、ほうれい線から口元へ下る影、下顎の外側輪郭を同じ角度で追うと、どの領域が顔全体のバランスに関わるかを確認しやすくなります。

頬骨弓は外側頬の支え、下顎はフェイスラインの終点、ほうれい線は中顔面から口元へ続く折れ目、目周りは光の当たり方で変わる影として分けます。この症例では4領域を一緒に再調整し、特定の一部位だけを強調せず、正面と斜位の両方でまとまりを確認しています。

ボリューマXC 2ccとボラックスXC 2ccは、硬さと形を保つ性質が同じではありません。製剤名だけで部位を固定せず、動きのある目周り・ほうれい線と、輪郭を支える頬骨弓・下顎を分け、表情時の違和感や輪郭の過不足が出ない位置で再評価します。

頬骨弓から中顔面の支えを同じ角度で確認する理由として、ボリューマによる頬の体積変化は6か月時に1.83mLで未処置の0.11mLを上回り、医師評価98.2%、本人評価93.8%が改善したとの報告がありました(参考文献2)。

下顎を斜位で再評価する理由として、ボラックスXCによるあご・輪郭治療では、24週時の横顔角度変化が2.97度で未処置の0.09度を上回り、医師評価92.6%、未処置4.2%が改善したとの報告がありました(参考文献3)。

製剤の承認範囲と血管安全は、部位ごとに分けます

ボリューマXCは成人の中顔面・下顎部・こめかみにおける減少したボリューム増大、ボラックスXCは成人の顔面におけるボリューム回復・増大を目的とする国内承認製剤です。どちらも承認された使用層は皮下または骨膜上深部で、血管内へは注入しません。

目周りは両製剤の承認範囲に含まれないため、この領域への使用は適応外です。頬骨弓・下顎・ほうれい線も、使用する製剤と注入する層を分けて承認条件を確認します。

頬骨弓、ほうれい線、目周り、下顎では注意する血管が異なります。注入中と注入後は皮膚色、痛み、毛細血管再充満、見え方を確認し、急な強い痛み、蒼白、網目状の色調変化、視覚異常があれば直ちに対応します。

ボリューマXCは成人の中顔面・下顎部・こめかみにおける減少したボリューム増大を承認目的としますが、目周りは承認範囲に含まれません(参考文献4)。

ボラックスXCは成人の顔面における減少したボリュームの回復・増大を承認目的としますが、目周り・口唇・眉間は承認範囲に含まれません(参考文献5)。

Clinical View

診療で確認するポイント

  • 最初に2年半の治療履歴を時系列に並べ、初診時から保たれている支えと、今回あらためて整える領域を正面で分けます。
  • 次に斜位で頬骨弓から目周り、ほうれい線、下顎へ続く影を追い、一部位だけを大きくせず顔全体のつながりを決めます。
  • 今回はボリューマXC 2ccとボラックスXC 2ccの合計4ccを用い、製剤の硬さ、部位の動き、承認範囲を照らして4領域を再調整します。
  • 最後に同じ正面と斜位へ戻り、頬の高さ、口元へ下る影、フェイスライン、表情時の自然さが同時に保たれる位置を終了点にします。

Comparison

治療選択の比較

治療・対応 向く状態 向かない/慎重な状態 回数の目安 ダウンタイム 費用(税込) 承認状況
ボリューマXC 2cc 頬骨弓から中顔面の支え、下顎部など、なだらかな体積回復を考える状態 目周りへの使用、活動性の炎症・感染、原因不明の硬結、追加で重さが目立つ状態 今回2本を使用。正面・斜位で他領域とのつながりを再評価 赤み、腫れ、内出血、圧痛、左右差、凹凸など。まれに血管閉塞、皮膚壊死、視覚障害 2本154,000円(税込) 中顔面・下顎部・こめかみの減少したボリューム増大に国内承認。目周りは承認範囲外
ボラックスXC 2cc 下顎など、輪郭の支えと形を保つ性質が必要な状態 目周り・口唇・眉間への使用、活動性の炎症・感染、原因不明の硬結がある状態 今回2本を使用。頬骨弓・ほうれい線・目周りを含む顔全体と再評価 赤み、腫れ、内出血、圧痛、左右差、硬さ、凹凸など。まれに血管閉塞、皮膚壊死、視覚障害 2本154,000円(税込) 成人の顔面のボリューム回復・増大に国内承認。目周り・口唇・眉間は承認範囲外
2製剤4ccで4領域を再調整 2年半の経過で、頬骨弓・下顎・ほうれい線・目周りを顔全体として再評価する状態 一部位だけの小さな修正で足りる状態、むくみ・皮膚弛緩・表情筋が主因の状態 今回1回。正面・斜位で部位ごとの支えと全顔バランスを再評価 4領域それぞれの赤み、腫れ、内出血、圧痛、左右差に加え、まれに血管合併症 4本308,000円。カテラン針を使用する場合は合計319,000円 目周りは適応外。その他の領域も使用製剤と注入層ごとに承認条件を確認

費用の目安

  • ジュビダームビスタ ボリューマXC・ボラックスXC:各1本1cc 77,000円(税込)
  • 本症例と同じ合計4本:308,000円(税込)
  • カテラン針使用料:11,000円(税込)。使用する場合の合計例319,000円

すべて自由診療です。本症例のボリューマXC 2本とボラックスXC 2本は合計308,000円です。カテラン針を使用する場合のみ11,000円が加わります。前額を治療していないため前額施術料は加えません。

リスク・副作用・注意点

  • 内出血、一時的な腫れ・痛み、赤み、圧痛、左右差、凹凸、違和感、アレルギー、感染など
  • 遅発性反応、遅発性結節、硬さ・しこり、部位ごとの輪郭の過不足など
  • まれに血管閉塞、皮膚虚血・壊死、視力・視野障害、失明、脳卒中など
  • 国内承認・適応: ジュビダームビスタ ボリューマXCは国内承認の高度管理医療機器(承認番号22800BZX00338000)で、成人の中顔面・下顎部・こめかみにおける減少したボリューム増大を目的に使用します。ボラックスXCも国内承認の高度管理医療機器(承認番号30200BZX00254000)で、成人の顔面における減少したボリュームの回復・増大を目的に使用します。いずれも承認された使用層は皮下または骨膜上深部です。本症例の目周りへの使用は承認範囲外です。頬骨弓・下顎・ほうれい線は使用製剤と注入層ごとに承認条件を確認します。

急に増す強い痛み、皮膚の青白化、紫色・網目状の変化、見え方の異常がある場合は直ちにご連絡ください。

Doctor Review

執筆・監修

執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)

References

参考にした一次情報・ガイドライン

  1. Master M, Roberts S. Long-term MRI Follow-up of Hyaluronic Acid Dermal Filler. Plast Reconstr Surg Glob Open. 2022;10(4):e4252. doi:10.1097/GOX.0000000000004252. PMID:35433153; PMCID:PMC9007185.

    Long-term MRI Follow-up of Hyaluronic Acid Dermal Filler

    研究デザイン: 複数回の顔面ヒアルロン酸注入後に、2日、19か月、21か月、27か月のMRIで部位別の信号を追った症例報告。 / 対象: 中顔面のボリューム減少、フェイスライン、あごへ3回に分けて異なる製剤を使用した47歳男性1人。3回目は外側のこめかみ・頬とあごへ合計4mLを使用した。 / 結果: 外側のこめかみ・頬と中顔面では27か月時もヒアルロン酸に一致する信号が確認された。あご周囲では19か月時に大部分が消失し、27か月時にはオトガイ部に少量の信号が残った。 / 限界: 1人の症例で、部位・製剤・量・注入時期が本症例と異なる。個人ごとの持続期間、今回の4cc配分、2年半の外観変化を直接示さない。著者は関連する金銭的利益相反なしと申告した。NCBI PMC原著全文とPubMed書誌を2026年8月9日に確認した。

  2. Li D, Wang X, Wu Y, et al. A Randomized, Controlled, Multicenter Study of Juvéderm Voluma for Enhancement of Malar Volume in Chinese Subjects. Plast Reconstr Surg. 2017;139(6):1250e-1259e. doi:10.1097/PRS.0000000000003355. PMID:28538556; PMCID:PMC5444429.

    A Randomized, Controlled, Multicenter Study of Juvéderm Voluma for Enhancement of Malar Volume in Chinese Subjects

    研究デザイン: 未治療対照を置いた前向き多施設無作為化比較試験。三次元画像で両側頬部の体積変化を6か月時に評価した。 / 対象: 18歳以上の中国人146人。ボリューマ処置群119人、未治療対照群27人。中顔面への注入量中央値は2mLだった。 / 結果: 6か月時の頬部体積変化は処置群1.83mL、対照群0.11mL。GAIS改善率は医師98.2%、本人93.8%だった。 / 限界: 中国人の中顔面を対象とする試験で、本症例の頬骨弓・下顎・ほうれい線・目周りへの合計4ccや2年半の複合経過を直接検証しない。Allerganが研究を支援し、著者に同社の治験担当、社員、株主が含まれる。NCBI PMC原著全文とPubMed書誌を2026年8月9日に確認した。

  3. Xie Y, Li Q, Zhao H, et al. VYC-25L Is Safe and Effective for Enhancing the Chin and Jawline by Correcting Chin Retrusion in Chinese Adults. Aesthet Surg J. 2025;45(7):699-708. doi:10.1093/asj/sjaf033. PMID:40246546; PMCID:PMC12168443.

    VYC-25L Is Safe and Effective for Enhancing the Chin and Jawline by Correcting Chin Retrusion in Chinese Adults

    研究デザイン: 中国7施設で行われた第3相・2対1無作為化・24週未治療対照試験。4週時の追加治療を認め、52週まで追跡した。 / 対象: 成人150人を割り付け、修正ITT解析は処置群97人、未治療群51人。平均年齢31.2歳、平均使用量2.4mLだった。 / 結果: 24週時のG-Sn-Pog角度変化は処置群2.97度、未治療群0.09度。GAIS改善率は処置群92.6%、未治療群4.2%で、効果は52週まで維持された。 / 限界: あご後退を対象とする試験で、本症例の下顎全体、4領域合計4cc、2年半のメンテナンス経過を直接検証しない。Allergan Aestheticsが資金提供し、著者に同社の顧問・社員・株式保有者を含む。NCBI PMC原著全文とPubMed書誌を2026年8月9日に確認した。

  4. アッヴィ合同会社. ジュビダームビスタ ボリューマXC 電子添文. 2023年8月(第1版). 医療機器承認番号22800BZX00338000.

    ジュビダームビスタ ボリューマXC 電子添文

    研究デザイン: PMDA公開の国内承認医療機器電子添文。使用目的、使用方法、禁忌、警告、有害事象、臨床成績を収載する公的資料。 / 対象: 成人の中顔面・下顎部・こめかみにおける減少したボリュームを増大する目的で、皮下または骨膜上深部へ使用する。 / 結果: 血管内注入を禁止し、眼窩周囲を承認範囲に含めない。視力異常、皮膚の青白化、異常な痛みがあれば直ちに注入を止めるよう警告する。 / 限界: 電子添文は承認範囲と安全情報を示す資料で、本症例のボリューマXC 2ccの部位別配分、治療順序、画像変化を検証する研究ではない。PMDA公式PDFを2026年8月9日に確認した。

  5. アッヴィ合同会社. ジュビダームビスタ ボラックスXC 電子添文. 2023年8月(第1版). 医療機器承認番号30200BZX00254000.

    ジュビダームビスタ ボラックスXC 電子添文

    研究デザイン: PMDA公開の国内承認医療機器電子添文。使用目的、使用方法、禁忌、警告、有害事象、臨床成績を収載する公的資料。 / 対象: 成人の顔面における減少したボリュームの回復・増大を目的に、皮下または骨膜上深部へ使用する。 / 結果: 血管内注入を禁止し、口唇・眉間・眼窩周囲を承認範囲に含めない。視力異常、皮膚の青白化、異常な痛みがあれば直ちに注入を止めるよう警告する。 / 限界: 電子添文は承認範囲と安全情報を示す資料で、本症例のボラックスXC 2ccの部位別配分、治療順序、画像変化を検証する研究ではない。PMDA公式PDFを2026年8月9日に確認した。

よくあるご質問

Q. この症例では、どの製剤を何cc使いましたか?

1本1CCのジュビダームビスタ ボリューマXCを2本、ボラックスXCを2本、合計4cc使用しました。使用部位は頬骨弓・下顎・ほうれい線・目周りです。

Q. 右の写真は、今回4ccだけの変化ですか?

左は2年半前の初診時、右は定期的なメンテナンスを続けたうえで今回4ccを再調整した後の経過です。初診時からの変化全体を、今回4ccだけの効果として切り分ける写真ではありません。

Q. なぜボリューマXCとボラックスXCを組み合わせるのですか?

頬骨弓・目周り・ほうれい線・下顎では、必要な支え、動き、輪郭の作り方が異なるためです。2製剤の硬さや形の保ち方を部位の所見に合わせ、合計4ccの範囲で顔全体のつながりを確認します。

Q. この症例と同じヒアルロン酸4ccの料金はいくらですか?

現在は1本1cc 77,000円で、4本は308,000円です。カテラン針を使用する場合は11,000円が加わり、合計319,000円です。

Q. 頬骨弓・下顎・ほうれい線・目周りはすべて国内承認の使い方ですか?

目周りはボリューマXC・ボラックスXCとも承認範囲に含まれず、適応外使用です。頬骨弓・下顎・ほうれい線は、使用製剤と注入層を分けて承認条件を確認します。

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