医師解説ヒアルロン酸

おでこの丸みをヒアルロン酸1.5ccで整える考え方

前額の凹み方が異なる二症例に、ジュビダームビスタ ボリューマXCを各1.5cc使用し、膨らませすぎない丸みへ整えました。正面と左右斜位の治療前後から、同じ量でも症例ごとに異なる終了点を説明します。

Medical Information

この記事について

監修日
2026年8月9日
公開日
2022年3月26日
実質更新日
2026年8月9日

Contents

目次

  1. 症例1は、額中央から外側へ続く浅い凹凸を整えています
  2. 症例2は、斜位で目立つ額外側の影を丸みへつなげています
  3. 同じ1.5ccでも、二症例の終了点は同じではありません
  4. 前額の曲面と血管走行を重ね、腫れが引いてから再評価します
  5. 診療で確認するポイント
  6. 治療選択の比較
  7. 費用の目安
  8. リスク・副作用・注意点
  9. 関連記事
  10. 関連施術・関連症状のご案内
  11. 執筆・監修
  12. 参考にした一次情報・ガイドライン
  13. よくあるご質問

症例1は、額中央から外側へ続く浅い凹凸を整えています

症例1の比較は、各段の左が治療前、右が治療後です。上段と下段は左右からの斜位、中段は正面で、治療前は前額中央から外側へ移る途中に浅い凹凸があり、斜位で光が途切れて見えます。

ヒアルロン酸製剤のジュビダームビスタ ボリューマXCを1.5cc使用し、局所麻酔とカニューレを併用しました。治療後は中央だけが高くなるのではなく、眉上から額中央・外側へ続く曲面がなだらかになり、正面でも左右の光がつながっています。

前額の凹凸は、初めから大きな量で全体を膨らませず、正面と斜位で必要な曲面を少量から確認します。別のHA製剤による前額治療では、初回平均0.92mLで1か月時97.5%が改善と評価され、本人評価では12か月時にも54.7%で改善が残ったとの報告がありました(参考文献1)。

症例2は、斜位で目立つ額外側の影を丸みへつなげています

症例2も、各段の左が治療前、右が治療後で、上段と下段が左右斜位、中段が正面です。治療前は正面で大きな凹みには見えませんが、斜位では額中央から外側へ移る部分に影が入り、曲面がいったん平らに見えます。

この症例にもボリューマXCを1.5cc使用し、局所麻酔とカニューレを併用しました。治療後は額中央から外側へ光が連続し、左右斜位のどちらから見ても、もとの骨格を残した自然な丸みになっています。

同じ1.5ccでも、二症例の終了点は同じではありません

症例1では中央から外側に広がる浅い凹凸、症例2では斜位で強くなる外側の影が治療の中心です。正面だけで量を決めず、左右斜位で眉上から生え際まで光が途切れる位置を見つけ、その位置がなだらかにつながった所を終了点にします。

二症例とも使用量は1.5ccですが、部位別の配分は元素材に示されていません。診療では量を症例間でそのまま当てはめず、額中央の高さ、外側の影、左右差を治療中にも見直します。

前額の曲面と血管走行を重ね、腫れが引いてから再評価します

前額には眼窩上動脈・滑車上動脈・浅側頭動脈前頭枝が走ります。カニューレを使用しても血管内注入の可能性はなくならないため、注入歴と手術歴を確認し、注入中は皮膚色、痛み、見え方の変化を観察します。

治療後は軽い発赤、腫れ、頭痛が数日以内にみられることがあります。発赤や頭痛が続く、通常と異なる強い痛みがある、皮膚が青白い・暗紫色・網目状に変わる、見え方に異常がある場合は、予定日を待たずに連絡し、必要な追加処置を行います。

前額の曲面を広げるときは、眼窩上動脈・滑車上動脈・浅側頭動脈前頭枝の位置を同時に確認します。これら3本の主要動脈を描出して避けたHA注入では、動脈性合併症を認めなかったとの報告がありました(参考文献2)。

ジュビダームビスタ ボリューマXCは、中顔面・下顎部・こめかみの減少したボリューム増大には国内承認されていますが、二症例の前額への使用は国内承認範囲外です(参考文献3)。

Clinical View

診療で確認するポイント

  • 二症例とも、正面で額中央と外側の凹凸、左右の光、眉上との境界を記録し、左右斜位で影が途切れる位置を確認します。
  • 症例1は中央から外側へ広がる浅い凹凸、症例2は斜位で目立つ外側の影を中心に、同じ1.5ccでも異なる終了点を設定します。
  • 前頭筋の動き、過去の注入・手術歴、眼窩上動脈・滑車上動脈・浅側頭動脈前頭枝の位置を曲面の設計へ重ねます。
  • 治療後は腫れが落ち着いた時点で同じ三方向を撮影し、中央だけの張り出し、左右差、残る外側の影を再評価します。

Comparison

治療選択の比較

治療・対応 向く状態 向かない/慎重な状態 回数の目安 ダウンタイム 費用(税込) 承認状況
前額1.5cc(二症例) 正面では軽く、左右斜位で中央から外側の凹凸や影が見える状態 前額に十分な投影があり、追加すると中央だけが強く張り出す状態 各症例は1.5cc。腫れが落ち着いてから正面・左右斜位を再評価 発赤、腫れ、痛み、頭痛、内出血、左右差、凹凸・硬結。まれに血管閉塞、壊死、視覚障害、脳卒中 2本154,000円+前額施術料22,000円+カテラン針11,000円、計187,000円 製剤は国内承認品。前額への使用は国内承認範囲外
前額1ccの局所治療 眉上や額中央の限られた浅い凹みを、全体の投影を大きく変えずに補う状態 中央から外側まで広い曲面の不足があり、局所だけでは段差が残る状態 1回後に正面・斜位・側面で再評価 発赤、腫れ、痛み、頭痛、内出血、左右差、凹凸・硬結。まれに血管閉塞、壊死、視覚障害、脳卒中 1本77,000円+前額施術料22,000円。カテラン針使用時は11,000円を加算 製剤は国内承認品。前額への使用は国内承認範囲外
こめかみ・前額2ccの連続治療 こめかみから額外側へ境界があり、上顔面の曲線を一続きに整えたい状態 凹みが前額内に限られ、こめかみへの追加が輪郭幅を広げる状態 掲載症例は総量2cc。腫れが落ち着いてから三方向で再評価 発赤、腫れ、痛み、頭痛、内出血、左右差、凹凸・硬結。まれに血管閉塞、壊死、視覚障害、脳卒中 2本154,000円+前額施術料22,000円+カテラン針11,000円、計187,000円 こめかみは製剤の国内承認範囲。前額は承認範囲外

費用の目安

  • ジュビダームビスタ ボリューマXC:1本1cc 77,000円(税込)
  • 前額施術料:22,000円(税込)
  • カテラン針使用料:11,000円(税込)
  • 本症例と同じ1.5ccは2本を使用するため、154,000円+前額施術料22,000円+カテラン針11,000円=合計187,000円(税込)

すべて税込・自由診療です。1.5ccには2本が必要で、captionに記載されたカニューレ併用を現在料金へ当てはめた計算例です。

リスク・副作用・注意点

  • 注入後数日以内に収まる軽い発赤、腫れ、痛み、頭痛、内出血が起こることがあります。発赤や頭痛が続く場合は追加処置が必要になることがあります。
  • 左右差、凹凸、硬結、違和感、アレルギー、感染、遅発性の炎症・結節が起こることがあります。
  • まれに血管閉塞、皮膚障害・壊死、視力・視野障害、失明、脳卒中などの重い合併症が起こる可能性があります。
  • 通常と異なる強い痛み、皮膚の青白化・暗紫色または網目状の変化、見え方の異常、強い頭痛がある場合は直ちにご連絡ください。
  • 国内承認・適応: 症例で使用したジュビダームビスタ ボリューマXCは、成人の中顔面・下顎部・こめかみにおける減少したボリュームの増大を目的とする国内承認医療機器です(承認番号22800BZX00338000)。二症例の前額への注入は国内承認範囲外の適応外使用です。承認製品を承認範囲外で使用した場合、健康被害救済制度等の対象外となる場合があります。

Doctor Review

執筆・監修

執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)

References

参考にした一次情報・ガイドライン

  1. Del Cueto SR, Galvez FU, Gritti A, et al. An Evaluation of VYC-17.5L for Forehead Contouring: A Prospective, Open-Label, Post-Marketing Study. J Cosmet Dermatol. 2025;24(3):e70093. doi:10.1111/jocd.70093. PMID:40026273; PMCID:PMC11874166.

    An Evaluation of VYC-17.5L for Forehead Contouring: A Prospective, Open-Label, Post-Marketing Study

    研究デザイン: フランス1施設で行われた12か月の前向き・非盲検・単群・市販後研究。初回注入後、14日目に任意の追加注入を認めた。 / 対象: 前額の輪郭不整がある成人80人を登録し、75人が12か月まで完了した。平均年齢55.4歳、女性91.3%で、初回注入量は平均0.92mL、26人の追加注入量は平均0.56mLだった。 / 結果: 医師GAISで改善または著明改善と評価された割合は1か月時97.5%だった。本人GAISは1か月時87.3%、12か月時54.7%で、FACE-Qの顔貌満足度と三次元写真の前額容量は12か月時も治療前より改善していた。 / 限界: 対照群のない1施設研究で、女性とFitzpatrick II〜IIIが多く、前額輪郭の妥当性検証済み尺度を使用していない。使用製剤はVYC-17.5Lで、本症例のボリューマXC 1.5cc、カニューレ併用、二症例の写真変化を検証した研究ではない。

  2. Lee W, Kim TH, Yang EJ. Mapping High-Risk Arteries Using Doppler Ultrasound for Forehead Contouring in Korean Patients. Dermatol Surg. 2024;50(11):1029-1033. doi:10.1097/DSS.0000000000004292. PMID:39082612.

    Mapping High-Risk Arteries Using Doppler Ultrasound for Forehead Contouring in Korean Patients

    研究デザイン: ドプラ超音波で前額の皮膚・皮下脂肪・帽状腱膜と主要動脈を描出し、血管を避けてHAフィラーを注入した前向き症例集積。 / 対象: 韓国人34人。HAフィラーの平均注入量は2.85mLだった。 / 結果: 眼窩上動脈、滑車上動脈、浅側頭動脈前頭枝を全例で追跡して避け、感染、血腫、内出血、結節、皮膚壊死、失明を評価した範囲で動脈性合併症を認めなかった。 / 限界: 対照群のない小規模症例集積で、追跡期間と評価時点はPubMed抄録に示されない。まれな血管閉塞の発生率、カニューレの安全性、ボリューマXC 1.5ccの結果を示す研究ではない。

  3. アラガン・ジャパン株式会社. ジュビダームビスタ ボリューマXC 添付文書. 2023年8月(第1版). 医療機器承認番号:22800BZX00338000.

    ジュビダームビスタ ボリューマXC 添付文書

    研究デザイン: PMDA公開の国内承認医療機器添付文書。 / 対象: 適用対象は成人。使用目的は中顔面・下顎部・こめかみにおける減少したボリュームの増大。 / 結果: 皮下または骨膜上深部への注入として承認され、血管内注入を禁止し、誤注入による視力異常、失明、脳卒中、壊死等に注意を求めている。 / 限界: 添付文書は承認範囲と安全情報を示す資料で、二症例の前額1.5ccの輪郭変化、部位別配分、持続期間を検証した研究ではない。

  4. 厚生労働省

    医療広告ガイドライン

    自由診療の費用、主なリスク・副作用、未承認機器等の表示を確認する公的資料です。

よくあるご質問

Q. 二症例では、どの製剤を何cc使用しましたか?

二症例とも、ジュビダームビスタ ボリューマXCを1.5cc使用し、局所麻酔とカニューレを併用しました。

Q. 二症例で同じ1.5ccなら、注入する場所も同じですか?

同じではありません。症例1は中央から外側へ広がる浅い凹凸、症例2は斜位で目立つ外側の影が中心です。部位別の配分は、正面と左右斜位の曲面を見ながら決めます。

Q. 1.5cc使用した場合の現在料金はいくらですか?

ボリューマXCは1本1cc 77,000円で、1.5ccには2本が必要です。2本154,000円、前額施術料22,000円、カテラン針使用料11,000円を合わせた現在の料金例は187,000円(税込)です。

Q. ボリューマXCはおでこへの使用が国内承認されていますか?

ボリューマXCは成人の中顔面・下顎部・こめかみの減少したボリューム増大には国内承認されています。前額への使用は国内承認範囲外の適応外使用です。

Q. 治療後にすぐ連絡した方がよい症状はありますか?

通常と異なる強い痛み、皮膚の青白化・暗紫色または網目状の変化、見え方の異常、強い頭痛がある場合は、血流障害の可能性があるため直ちにご連絡ください。

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