おでこの凹凸・まぶたの重さへボトックス・ヒアルロン酸・余剰皮膚切除を組み合わせた症例
おでこの凹凸としわ、眉の挙上・左右差、まぶたの重さが重なった眼瞼下垂の関連症例です。前頭筋へボトックス、額へヒアルロン酸、眼瞼の余剰皮膚切除を組み合わせ、目元と額を一続きで整えました。
Medical Information
この記事について
- 執筆医・監修医
- 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
- 監修日
- 2026年8月9日
- 公開日
- 2022年5月20日
- 実質更新日
- 2026年8月9日




Contents
目次
治療前後では、額の凹凸と目元の開き方を一緒に比べます
上段のBeforeでは、おでこの横じわと表面の凹凸があり、眉が高い位置に上がっています。下段のAfterでは、額の曲面がなだらかになり、眉とまぶたの位置が変わって目元がすっきり見えます。
この症例は、他院で埋没法と眉毛下皮膚切除を受けた既往があり、その後も気になる印象が残っていました。今回行ったのは、おでこのボトックス、おでこのヒアルロン酸、眼瞼の余剰皮膚切除です。目元だけ、または額だけに治療を絞らず、両方の変化を正面で確認しました。
眉を上げて目を開ける動きと、まぶたの重さを分けます
治療前の問題点として、おでこのしわ、眉の挙上、眉の左右差が示されています。まぶたが重いと、前頭筋で眉を持ち上げて視野を確保するため、額の横じわと眉の高い位置が同時に現れることがあります。
診察では眉を持ち上げた状態だけで判断せず、眉を休ませたときのまぶたのかぶさり、瞳孔との位置、挙筋機能、二重線、皮膚余剰を確認します。そのうえで、前頭筋の収縮をどこまで弱めても目元の開きが保てるかを決めます。
眉とまぶたの位置を見て注入範囲を決める理由として、額への3つの注入パターンはいずれも2週後に眉が低下しましたが、中央へ注入する方法は上方へ注入する方法より眉を下げ、上方への注入はしわ改善が弱い一方で眉下垂を防いだとの報告がありました(参考文献2)。
1ボトックス、2ヒアルロン酸、3余剰皮膚切除の役割を分けます
4つの写真は、左上のBeforeから右上、右下、左下のAfterへ、矢印123で変化を追っています。1はおでこのボトックス、2はおでこのヒアルロン酸、3は眼瞼の余剰皮膚切除に対応します。
ボトックスは前頭筋による眉の挙上と額の横じわを弱め、ヒアルロン酸は額の凹凸を補い、余剰皮膚切除は眉挙上で伸ばされた上まぶたの皮膚を整えます。筋収縮、立体形状、皮膚の余りという別の要素へ、それぞれ目的を分けた治療です。
前頭筋の動きと額の曲面を分けて見る理由として、別のヒアルロン酸製剤を用いた前額治療では、初回平均0.92mLで1か月時97.5%が改善と評価され、本人評価では12か月時54.7%に改善が残ったとの報告がありました(参考文献3)。
額と上まぶたでは、注入の安全と眼表面の回復を別々に追います
治療図は、1前頭筋へボトックス、2額の凹凸へヒアルロン酸、3眼瞼の余剰皮膚切除という対応を示します。前頭筋の動き、額の曲面、上まぶたの皮膚余剰という三つの治療標的を分け、額と目元の最終変化を一緒に見ます。
額のボトックス後は眉やまぶたの重さ、左右差、表情の違和感を確認します。ヒアルロン酸後は痛み、腫れ、内出血、凹凸に加え、皮膚の青白化、通常と異なる強い痛み、見え方の異常を緊急所見として分けます。余剰皮膚切除後は閉じにくさ、乾燥感、流涙、傷あと、左右差を経過で追います。
余剰皮膚切除後に乾燥感と眼表面を追う理由として、上眼瞼形成後は1か月と6か月でドライアイ症状スコアと角結膜染色が増え、涙液層破壊時間が短縮したとの報告がありました(参考文献1)。
現在の院内料金表にあるボトックスビスタは、65歳未満の成人における眉間または目尻の表情じわで国内承認されています。額の横じわへの使用は承認範囲外です(参考文献4)。
現在の院内料金表にあるジュビダームビスタ ボリューマXCは、中顔面・下顎部・こめかみのボリューム増大で国内承認されています。前額は承認部位に含まれず、血管内注入による皮膚壊死・視力障害などが警告されています(参考文献5)。
Clinical View
診療で確認するポイント
- 最初に眉を上げた状態と休ませた状態を比べ、前頭筋代償、眉の左右差、上まぶたの皮膚余剰、挙筋機能を分けます。
- 前頭筋で目を開けている場合は、ボトックス後にも必要な開眼を保てる範囲を先に決め、約2週間で眉とまぶたの位置を見直します。
- 額の凹凸は筋収縮が弱まった状態で曲面を確認し、ヒアルロン酸で補う範囲と、手術で扱う上まぶたの皮膚余剰を混同しません。
- 余剰皮膚切除後は開眼だけでなく、閉瞼、涙液、傷あと、左右差を確認し、最終的に額と目元が同じ正面像で自然につながることを評価します。
Comparison
治療選択の比較
| 治療・対応 | 向く状態 | 向かない/慎重な状態 | 回数の目安 | ダウンタイム | 費用(税込) | 承認状況 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 前頭筋へのボトックス | 前頭筋の収縮による額の横じわと眉の挙上が目立ち、眉を休ませても開眼が保てる状態 | 前頭筋で目を開ける代償が強い、眉やまぶたの重さが増すと機能に影響する状態 | 通常1回。約2週間で眉位置・左右差・開眼を再評価 | 痛み、腫れ、内出血、頭痛、眉・まぶたの重さ、左右差、表情の違和感など | 表情じわ1部位33,000円(税込) | ボトックスビスタは眉間・目尻で国内承認、額は適応外 |
| 額のヒアルロン酸 | 前頭筋の動きを見直した後も、額の局所的な凹凸や曲面不足が残る状態 | 筋収縮だけが主因、既往注入が不明、前額の血管リスクを許容できない状態 | 少量から1回。腫れが落ち着いた後に曲面を再評価 | 痛み、腫れ、内出血、左右差、凹凸、硬結、血管閉塞、皮膚壊死、視覚障害など | 1本1cc 77,000円+前額施術料22,000円。カテラン針使用時11,000円 | ボリューマXCを前額へ使用する場合は国内承認範囲外 |
| 眼瞼の余剰皮膚切除 | 眉を休ませたときに上まぶたの皮膚がかぶさり、皮膚余剰が重さ・視野・形の主因となる状態 | 挙筋機能低下が主因で皮膚切除だけでは開眼を補えない、乾燥・閉瞼不全リスクが高い状態 | 原則1回。抜糸後も傷あと、閉瞼、涙液、左右差を経過観察 | 痛み、腫れ、内出血、傷あと、左右差、閉瞼不全、乾燥、流涙、感染など | 機能障害と術式により保険・自費の扱いが異なる | 手術手技。保険適用は診断と術式に基づき判断 |
費用の目安
- 表情じわのボトックス:1部位33,000円(税込)
- ヒアルロン酸:1本1cc 77,000円(税込)
- 前額施術料:22,000円(税込)
- カテラン針使用料:11,000円(税込。使用した場合)
- 眼瞼の余剰皮膚切除:機能障害と術式により保険・自費の扱いが異なる
原症例にはボトックスの部位数、ヒアルロン酸の本数、針の使用、余剰皮膚切除の保険・自費区分が記載されていないため、症例総額は算出していません。総合料金表の切開法275,000円は二重形成術の料金であり、眼瞼下垂の余剰皮膚切除と同一料金として扱っていません。
リスク・副作用・注意点
- ボトックス:注射部の痛み、腫れ、内出血、頭痛、眉・まぶたの重さ、眼瞼下垂、左右差、表情の違和感、局所筋力低下など
- ヒアルロン酸:痛み、腫れ、内出血、左右差、凹凸、硬結、アレルギー、感染、遅発性炎症・結節など。まれに血管閉塞、皮膚壊死、視力・視野障害、失明、脳卒中
- 余剰皮膚切除:痛み、腫れ、内出血、傷あと、左右差、閉瞼不全、乾燥、流涙、知覚変化、感染、過矯正・矯正不足など
- 国内承認・適応: 原症例にはボツリヌストキシン製剤とヒアルロン酸製剤の販売名・量が記載されていません。現在の院内料金表にあるボトックスビスタ(承認番号22100AMX00398000)は65歳未満の成人における眉間・目尻の表情じわで国内承認され、額の横じわは適応外です。ジュビダームビスタ ボリューマXC(承認番号22800BZX00338000)は中顔面・下顎部・こめかみのボリューム増大で国内承認され、前額は承認範囲外です。眼瞼の余剰皮膚切除は手術手技で、保険適用は機能障害の診断と術式に基づきます。承認範囲外使用では医薬品副作用被害救済制度等の対象外となる場合があります。
前頭筋で開眼を代償している場合、ボトックス後に眉・まぶたが重く感じることがあります。ヒアルロン酸後の皮膚の青白化、通常と異なる強い痛み、視力・視野の異常は直ちにご連絡ください。
Doctor Review
執筆・監修
執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
References
参考にした一次情報・ガイドライン
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Effect of upper eyelid blepharoplasty on the ocular surface, tear film, and corneal microstructure
研究デザイン: 皮膚と眼輪筋の一部を切除する上眼瞼形成前後を比較した単施設前向き研究。 / 対象: 22人22眼を術前、1か月、6か月で評価。女性21人、平均年齢61歳だった。 / 結果: 1か月と6か月でドライアイ症状スコアと角膜フルオレセイン・リサミングリーン染色が増え、涙液層破壊時間が短縮した。Schirmer試験と角膜共焦点顕微鏡指標に有意差はなかった。 / 限界: 22眼・単一術者で、対照群がなく、本症例の余剰皮膚切除範囲、既往手術、ボトックス・ヒアルロン酸併用を検証しない。術式には眼輪筋切除が含まれ、本症例の手術範囲は不明である。原著全文とPubMed書誌を2026年8月9日に確認した。 / 利益相反: 原著本文の利益相反申告を2026年8月9日に確認した。
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The Impact of Upper Face Botulinum Toxin Injections on Eyebrow Height and Forehead Lines: A Randomized Controlled Trial and an Algorithmic Approach to Forehead Injection
研究デザイン: 前頭筋のV字、中央水平、上方水平という3注入パターンを比較し、標準化写真としわ尺度で眉高と額のしわを評価した無作為化比較試験。 / 対象: 各群15人、計45人・90眉。全群で眉下制筋にも注入し、注入前と2週後を比較した。 / 結果: 3群とも外側眉端を除く計測点で眉が低下した。中央水平パターンは上方水平パターンより眉を下げ、3パターンとも安静時・収縮時の額のしわを改善した。上方への注入はしわ改善が弱い一方で眉下垂を防いだ。 / 限界: 眉下制筋も全群で同時治療しており、前頭筋単独の影響ではない。眼瞼下垂や余剰皮膚切除を受ける患者に限定した研究ではなく、本症例の製剤、量、注入位置、治療順序を示さない。PubMed抄録と書誌情報を2026年8月9日に確認した。 / 利益相反: PubMed抄録に資金提供・利益相反の記載がなく、原著全文を取得できなかったため不明。
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An Evaluation of VYC-17.5L for Forehead Contouring: A Prospective, Open-Label, Post-Marketing Study
研究デザイン: フランス1施設で行われた12か月の前向き・非盲検・単群・市販後研究。初回注入後、14日目に任意の追加注入を認めた。 / 対象: 前額の輪郭不整がある成人80人を登録し、75人が12か月まで完了した。平均年齢55.4歳、女性91.3%で、初回注入量は平均0.92mL、26人の追加注入量は平均0.56mLだった。 / 結果: 医師GAISで改善または著明改善と評価された割合は1か月時97.5%だった。本人GAISは1か月時87.3%、12か月時54.7%で、FACE-Qの顔貌満足度と三次元写真の前額容量は12か月時も治療前より改善していた。 / 限界: 対照群のない1施設研究で、女性とFitzpatrick II〜IIIが多く、前額輪郭の妥当性検証済み尺度を使用していない。使用製剤はVYC-17.5Lで、本症例の製剤・量、ボトックスや余剰皮膚切除との組み合わせを検証しない。 / 利益相反: 著者にAllergan Aesthetics/AbbVieの治験担当、アドバイザー、講演・指導者、AbbVie社員が含まれ、社員は株式・オプションを保有する可能性があると申告している。論文著作権表示はAbbVie Inc.である。
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ボトックスビスタ注用50単位 電子添文
研究デザイン: PMDA公開の国内承認医薬品電子添文。効能・効果、用法・用量、禁忌、重大な副作用を示す公的資料。 / 対象: 65歳未満の成人における眉間または目尻の表情じわ。 / 結果: 眉間と目尻の表情じわが国内承認の美容目的であり、額の横じわは承認範囲に含まれない。眼瞼下垂、局所筋力低下、閉瞼不全、複視、眼乾燥などを含む副作用を記載する。 / 限界: 電子添文はボトックスビスタの承認範囲を示す資料で、本症例で使用した製剤、単位、注入位置、複合治療の結果を確定しない。PDFを2026年8月9日に確認した。
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ジュビダームビスタ ボリューマXC 電子添文
研究デザイン: PMDA公開の国内承認医療機器電子添文。承認目的、使用方法、警告、有害事象、臨床成績を記載する公的資料。 / 対象: 成人の中顔面・下顎部・こめかみにおける減少したボリュームを増大する目的で、皮下または骨膜上深部へ使用する。 / 結果: 前額は承認部位に含まれない。血管内注入を禁止し、血管閉塞、皮膚壊死、視力・視野障害、失明、脳卒中などを警告する。 / 限界: 電子添文はボリューマXCの承認範囲を示す資料で、本症例で使用したヒアルロン酸製剤、量、注入層、複合治療の結果を確定しない。PDF全6頁を2026年8月9日に確認した。
よくあるご質問
Q. この症例では、どの治療を組み合わせましたか?
おでこのボトックス、おでこのヒアルロン酸、眼瞼の余剰皮膚切除を組み合わせました。図では1ボトックス、2ヒアルロン酸、3余剰皮膚切除の順に、それぞれの役割が示されています。
Q. まぶたが重いとき、なぜ額の動きも見るのですか?
まぶたが重いと前頭筋で眉を持ち上げて目を開けるため、額のしわ、眉の高い位置、左右差が同時に現れることがあります。眉を休ませた状態で皮膚余剰と挙筋機能を確認してから、ボトックスの範囲を決めます。
Q. ボトックスとヒアルロン酸は、どの所見に使い分けますか?
前頭筋による眉挙上と横じわにはボトックス、筋収縮を弱めた後も残る額の凹凸にはヒアルロン酸を使い分けます。使用量は眉とまぶたの位置、額の曲面を見て決めます。
Q. 現在のボトックスと額ヒアルロン酸の料金はいくらですか?
表情じわのボトックスは1部位33,000円、ヒアルロン酸は1本1cc 77,000円、前額施術料は22,000円です。針を使用する場合はカテラン針使用料11,000円が加わります。余剰皮膚切除は機能障害と術式により保険・自費の扱いが異なります。
Q. 額のボトックスとヒアルロン酸は国内承認ですか?
現在の当院料金表にあるボトックスビスタは眉間・目尻の表情じわで国内承認され、額の横じわへの使用は適応外です。ボリューマXCは中顔面・下顎部・こめかみで国内承認され、前額への使用は承認範囲外です。
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