上まぶたの皮膚のたるみを手術で整えるときの考え方
上眼瞼たるみ取りは、余剰皮膚と皮下組織の重さを減らし、まつ毛へのかぶりと二重ラインを整える手術です。本症例では術前からDay 1、Day 7、術後3ヶ月までを追い、腫れが引いて上まぶたがすっきりする経過を確認しました。
Medical Information
この記事について
- 執筆医・監修医
- 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
- 監修日
- 2026年8月9日
- 公開日
- 2025年9月26日
- 実質更新日
- 2026年8月9日


Contents
目次
術後3ヶ月:まつ毛へのかぶりが減り、二重ラインが見えやすくなりました
画像上が術前、下が術後3ヶ月です。術前は上まぶたの皮膚と皮下組織が二重の折れ込みに重なり、まつ毛側へかぶっていました。術後はかぶりが減って二重ラインが見えやすくなり、目元が明るい印象になっています。
この症例で行ったのは、上眼瞼たるみ取りです。重みの原因となる余剰皮膚と皮下組織を切開で取り除き、左右の二重ラインと開瞼時の形を整えました。
余剰皮膚のかぶりへ上眼瞼形成術を選ぶ理由として、術後に視野が広がり、頭痛と視覚に関連する生活の質が改善したとの報告がありました(参考文献1)。
Day 1・Day 7・Day 90で見る腫れと二重ラインの経過
2枚目は上から術前、Day 1、Day 7、Day 90です。Day 1は切開線の赤みと腫れがあり、片側では赤紫色の内出血も見えます。Day 7には赤みと腫れが軽くなり、二重ラインが現れています。
Day 90では切開線の色と腫れが落ち着き、1枚目の術後3ヶ月と同じく、まつ毛への皮膚のかぶりが減った状態を確認できます。手術直後の幅ではなく、腫れが引いた時点の二重ラインと左右差を見て仕上がりを評価します。
Day 1からDay 90まで腫れと二重ラインを追う理由として、皮膚のみを切除した場合は皮膚と眼輪筋を切除した場合よりDay 7の浮腫、血腫、かゆみ、痛みが少なく、Day 30とDay 90には差がなかったとの報告がありました(参考文献4)。
まぶたの重さを減らすには、折れ込みだけでなく余剰組織を見ます
上まぶたは薄い組織で構成され、まぶたを持ち上げる仕組みに対して皮膚と皮下組織の重さが増えると、開瞼の負担になります。余剰組織を取り除くと、まつ毛へのかぶりが減り、目を開けやすくなります。
年齢とともに皮膚の余りや厚みが増え、二重の線が崩れてきた方では、糸で折れ込みを作る埋没法だけでは組織の重さは減りません。二重ラインだけでなく重たさも整えたい場合は、余剰皮膚と皮下組織を取り除く切開法を検討します。
上眼瞼たるみ取りと眼瞼下垂手術は、治す対象が異なります
眼瞼下垂手術は、上まぶたの縁が瞳に重なり、目を開けづらい、上方の視野が狭いといった機能障害を改善する手術です。挙筋腱膜など、まぶたを上げる仕組みを評価して手術内容を決め、病態と機能所見が保険診療の対象となるかを判断します。
上眼瞼たるみ取りの切開法は、一重を二重にしたい、二重の線が崩れた、皮膚がかぶって厚く見えるといった形の悩みを整える手術です。皮膚・皮下組織の切除を中心に、眼瞼下垂手術とは内部組織の扱いと固定する位置を分けて設計します。
眼瞼下垂手術でも二重ラインと左右差を整え、切開法でも余剰組織の重さが減ることで開けやすさにつながります。見た目と機能のどちらが主訴かを決めたうえで、必要なら両方の要素を同じ手術計画に組み込みます。
眉の代償・まぶたを上げる力・閉じる機能を手術前に確認します
診察では眉を力まずに開けた状態に戻し、皮膚のかぶり、まぶたの縁の高さ、上眼瞼挙筋の動き、二重ラインを左右別に見ます。額のしわや眉の挙上が強い場合は、皮膚の重さを額の筋肉で補っていないかも確認します。
さらに、目を完全に閉じられるか、ドライアイやコンタクトレンズの使用、眼科疾患、過去のまぶた手術を確認します。皮膚を取りすぎず、閉瞼と眼表面を保ちながら、余剰皮膚切除だけでよいか、眼瞼下垂の修正まで必要かを決めます。
閉瞼とドライアイを手術計画に含める理由として、術後のドライアイは自覚症状の悪化がない報告が多く、悪化しても一時的だったほか、視機能、満足度、日常生活が改善したとの報告がありました(参考文献2)。
Clinical View
診療で確認するポイント
- まず眉を自然な位置に戻し、上まぶたの皮膚を持ち上げたときの開きと、まぶたの縁そのものの高さを比べ、皮膚余剰と眼瞼下垂を分けます。
- 皮膚余剰が主因なら二重ラインと閉瞼を保てる範囲で上眼瞼たるみ取りを設計し、挙筋腱膜の問題や強い額の代償があれば眼瞼下垂手術を組み込みます。
- Day 1、Day 7は創部・内出血・閉瞼を確認し、腫れが落ち着く術後3ヶ月には二重ライン、まつ毛へのかぶり、左右差、ドライアイ症状を改めて評価します。
Comparison
治療選択の比較
| 治療・対応 | 向く状態 | 向かない/慎重な状態 | 回数の目安 | ダウンタイム | 費用(税込) | 承認状況 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 上眼瞼皮膚切除 | 瞼縁位置は保たれ皮膚余剰が主因 | 挙筋機能低下、眉毛下垂、重いドライアイが主因 | 通常1回 | 腫れ、内出血、瘢痕、左右差、閉瞼不全、ドライアイ等 | 当院料金表に個別掲載なし。診療区分と見積りを確認 | 術式・美容目的か機能障害かを個別判断 |
| 眼瞼下垂手術 | 瞼縁低下・挙筋機能や腱膜異常がある場合 | 皮膚余剰だけで開瞼機能が保たれる場合 | 通常1回 | 腫れ、出血、左右差、過矯正・低矯正、閉瞼不全等 | 保険適用条件を満たす場合は診療報酬に準拠 | 保険適用は診察と機能所見で判断 |
| 眉毛下切開・経過観察 | 眉毛下垂や外側皮膚余剰が主、または手術を急がない場合 | 挙筋機能低下が主因で単独では不足する場合 | 通常1回または経過観察 | 瘢痕、知覚変化、眉位置変化、左右差等 | 当院料金表に個別掲載なし | 術式と適応を個別説明 |
費用の目安
- 当院料金表に上眼瞼皮膚切除・眉毛下切開の個別自費料金掲載は確認できませんでした。
- 眼瞼下垂は機能所見により保険診療となる場合があり、診察後に診療区分と自己負担額を説明します。
リスク・副作用・注意点
- 腫れ、内出血、疼痛、感染、瘢痕、知覚変化、左右差が起こり得ます。
- 過矯正・低矯正、閉瞼不全、ドライアイ悪化、二重線・眉位置の変化が起こり得ます。
- 視力低下、強い眼痛、急な腫れは緊急評価が必要です。
皮膚余剰、眼瞼下垂、眉毛下垂を分け、過剰切除を避けます。
Doctor Review
執筆・監修
執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)
References
参考にした一次情報・ガイドライン
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上眼瞼形成術の機能的アウトカム
研究デザイン: 上眼瞼形成術後の客観的・患者報告機能を扱った系統的レビュー / 対象: 3,525報をスクリーニングし、皮膚切除を含む単独の上眼瞼形成術を扱ったRCT、比較試験、コホート、10人以上の症例集積28研究を採用 / 結果: 術後の視野拡大、頭痛の減少、視覚関連QOLの改善が報告された。まぶたの知覚は一時的に低下し、回復時期は研究間で異なった。 / 限界: 術式と評価指標が不均一でメタ解析はできず、眉の高さ、ドライアイ、乱視、コントラスト感度、眼瞼運動の結果は一致していない。本症例の切除範囲や3ヶ月時点の変化を直接検証した研究ではない。
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上眼瞼形成・眼瞼下垂手術後のQOL
研究デザイン: 妥当性が検証されたQOL尺度を用いた研究の米国眼科学会エビデンスレビュー / 対象: 773報から20研究を採用(レベルI 3研究、II 8研究、III 9研究)。上眼瞼形成術、眼瞼下垂修正、両者の併用、一部は眉毛下垂修正を含む / 結果: ドライアイを扱った7研究のうち5研究で自覚症状の悪化はなく、1研究では症状が一時的だった。ほかの研究では視機能、患者満足度、外見への意識、日常生活、眼症状、頭痛などの改善が報告された。 / 限界: 術式が混在し、乾燥の評価方法と追跡期間も異なるため、個別術式の効果量や術前ドライアイが強い患者の安全性を確定できない。
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診療報酬情報提供サービス
保険診療の最新確認先。
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Upper eyelid blepharoplasty techniques and results
研究デザイン: 上眼瞼形成術の術式、機能・整容結果、合併症を扱った系統的レビュー。20研究を採用し9研究をメタ解析 / 対象: 眼瞼皮膚弛緩または眼周囲加齢に対する6種類の上眼瞼形成術。術後早期症状の比較は、皮膚のみの切除と皮膚・眼輪筋切除を比べた採用研究1件 / 結果: 採用された比較研究では、皮膚のみ切除群は皮膚・眼輪筋切除群よりDay 7の浮腫、血腫、かゆみ、痛みが少なく、Day 30とDay 90には差がなかったとの報告がありました。 / 限界: 術式と評価項目は研究間で異なり、整容結果の客観的評価も限られる。早期症状の結果は採用研究1件で、本症例の内部処理内容や個別の回復速度を示さない。
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眼瞼下垂診療ページ
当院の診療内容と受診導線。
よくあるご質問
Q. 上眼瞼たるみ取りと眼瞼下垂手術はどう違いますか?
上眼瞼たるみ取りは余剰皮膚・皮下組織と二重ラインを整える手術です。眼瞼下垂手術は、まぶたの縁が低く、開けづらさや視野障害がある場合に、まぶたを上げる仕組みを修正します。
Q. 保険診療になりますか?
眼瞼下垂による開けづらさや視野障害など、機能所見がある場合に保険診療を検討します。二重ラインや厚ぼったさなど、見た目を整える上眼瞼たるみ取りは自費診療です。
Q. 腫れと内出血はどのように引きますか?
本症例ではDay 1に赤み・腫れ・内出血があり、Day 7には軽くなり、Day 90では切開線の色と腫れが落ち着いています。程度と回復時期には個人差があります。
Q. 埋没法でまぶたの重さも軽くなりますか?
埋没法は糸で二重の折れ込みを作りますが、余剰皮膚や皮下組織を取り除く手術ではありません。重さの主因が余剰組織であれば切開法を検討します。
Q. ドライアイがあっても手術できますか?
症状、涙液、閉瞼機能、コンタクトレンズ使用、眼科疾患を確認します。皮膚切除で閉じにくさが生じると乾燥が強くなるため、切除量と術式を調整し、必要に応じて眼科と連携します。
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