医師解説

ヒアルロン酸でおでこ・頬・顎のバランスをどう整えるか

この症例では、ヒアルロン酸製剤のジュビダームビスタ ボリューマXCを計4cc使い、おでこ・頬・顎の輪郭を整えました。正面と左右斜位で、額の丸み、頬の支え、顎の投影と左右差を見比べ、上顔面から下顔面までが自然につながる位置を決めます。

Medical Information

この記事について

監修日
2026年8月9日
公開日
2022年7月24日
実質更新日
2026年8月9日

Contents

目次

  1. ボリューマXC 4ccで、おでこ・頬・顎を全顔で整えた症例
  2. 左斜位で、額の丸みとこめかみへ続く曲面を確認します
  3. 右斜位で、頬の支えと顎の投影をつなげます
  4. 注入後は腫れが引いてから、正面と左右斜位をもう一度比べます
  5. 診療で確認するポイント
  6. 治療選択の比較
  7. 費用の目安
  8. リスク・副作用・注意点
  9. 関連記事
  10. 関連施術・関連症状のご案内
  11. 執筆・監修
  12. 参考にした一次情報・ガイドライン
  13. よくあるご質問

ボリューマXC 4ccで、おでこ・頬・顎を全顔で整えた症例

治療前後を正面から比較しています。使用した製剤はジュビダームビスタ ボリューマXCで、おでこ・頬・顎へ合計4ccを使用しました。

治療後は、額の中央から外側へ丸みがつき、頬と顎から顎下へ続く輪郭がまとまって見えます。患者さまからは、額を気にせず前髪をかき上げられるようになったと感想をいただきました。

左斜位で、額の丸みとこめかみへ続く曲面を確認します

額は、正面の幅だけでなく、眉上から生え際へ向かう前方投影と、外側からこめかみへ続く曲面で見ます。左斜位では、額の中央だけが突出していないか、眉上に急な段差がないか、頬と顎まで含めた横顔の重心を確認できます。

この症例の治療部位はおでこ・頬・顎です。こめかみは、額の外側から頬へつながる輪郭を確認する観察部位として評価します。

額・頬・顎の優先順位を顔型と治療前の特徴から決める理由として、顔型と治療前の特徴に応じて介入を変え、個別の治療計画を作ることに全員が合意したとの報告がありました(参考文献1)。

右斜位で、頬の支えと顎の投影をつなげます

右斜位では、目の下から頬へ続く面、口横へ向かう頬の傾き、顎先の前方投影を一続きで見ます。治療後は、額の丸みと頬の支えがつながり、顎先から顎下へ続く線が明瞭に見えます。

正面と左右斜位を並べると、片側だけで輪郭が整って見える位置を避けながら、左右差を比べられます。4ccという総量を各部位へ均等に分けるのではなく、額・頬・顎で不足する投影と支持に合わせて配分します。

注入後は腫れが引いてから、正面と左右斜位をもう一度比べます

当院では、最初に全顔の印象を大きく変える支持不足を一つ選び、注入のたびに正面と左右斜位を見直します。必要量を少しずつ分け、左右差と輪郭が自然につながる位置で止め、腫れが引いた状態を基準に追加の要否を決めます。

この症例で案内した主な経過は、1週間程度の内出血と、1〜2か月ほど注入部に感じることがあるしこりです。通常と異なる強い痛み、皮膚の青白化や網目状変色、視覚異常がある場合は、直ちに連絡が必要です。

複数部位を治療した後に腫れが引いた状態で再評価する理由として、腫れの報告割合は鼻唇溝17.1%に対し中顔面・口周囲・口唇73.4%、しこり・凹凸は2.9%に対し32.1%との報告がありました(参考文献2)。

ボリューマXCは、国内添付文書では成人の中顔面・下顎部・こめかみで減少したボリュームを増大するため、皮下または骨膜上深部へ注入する製剤と記載されています(参考文献3)。前額はこの承認部位に含まれず、本症例の前額注入は承認範囲外です。

Clinical View

診療で確認するポイント

  • 診察では、生え際から眉上までの額の前方投影と左右差、こめかみへのつながり、頬の支持、顎先の投影を正面と左右斜位で記録します。
  • こめかみは額の丸みを評価する連続部位として観察し、治療は症例の施術内容どおりおでこ・頬・顎に絞って評価します。
  • 最も全顔の印象を変える部位から少量ずつ補い、その都度、額・頬・顎の重心と左右差を見直して次の注入部位を決めます。
  • 治療直後の腫れと輪郭の変化を分けるため、腫れが引いた時点でも正面と左右斜位を撮影し、追加量の要否を判断します。

Comparison

治療選択の比較

治療・対応 向く状態 向かない/慎重な状態 回数の目安 ダウンタイム 費用(税込) 承認状況
ボリューマXC(中顔面・下顎部) 頬の支持不足、顎・下顎部の投影不足や輪郭の段差 活動性の炎症・感染、成分またはアミド型局所麻酔薬への過敏症歴 1回後に正面・左右斜位で再評価し、必要時のみ追加 痛み、腫れ、内出血、左右差、硬結・しこり。まれに血管閉塞、壊死、視覚障害 1本1cc 77,000円。使用量に応じる 国内承認。承認番号22800BZX00338000
ボリューマXC(前額への使用) 額の前方投影や外側への曲面を補う必要がある状態 眉間・眼窩周囲、血管走行や既往注入を確認できない状態、活動性の炎症・感染 1回ごとに正面・左右斜位と皮膚反応を再評価 痛み、腫れ、内出血、左右差、凹凸・しこり。血管閉塞による壊死・視覚障害 1本1cc 77,000円+前額施術料22,000円 前額は国内承認範囲外
部位を分けた追加注入 初回の腫れが引いた後に左右差や残る支持不足を見直したい状態 感染・皮膚炎がある、強い痛みや皮膚色変化など緊急評価が必要な状態 初回後に再評価し、必要部位だけ追加 追加のたびに腫れ、内出血、左右差、しこりなど 追加本数×1本1cc 77,000円。残注入は1回3,800円 使用製剤と注入部位ごとに承認範囲を説明

費用の目安

  • ジュビダームビスタ ボリューマXC 1本1cc:77,000円(税込)
  • 本症例と同じ4ccの製剤費:308,000円(税込)
  • 前額施術料:22,000円(税込)
  • カテラン針を使用する場合:11,000円(税込)

本症例と同じ4ccでは製剤費308,000円に前額施術料22,000円が加わります。カテラン針を使用する場合は11,000円が加わります。

リスク・副作用・注意点

  • 症例案内では、1週間程度の内出血と、1〜2か月ほど注入部にしこりを感じることがあると説明しています。
  • 痛み、赤み、腫れ、圧痛、左右差、凹凸、硬結・結節、感染、遅発性の炎症が起こることがあります。
  • 血管内への誤注入や血管・神経の圧迫により、血管閉塞、皮膚壊死、視力障害・失明、脳卒中が起こる可能性があります。
  • 通常と異なる強い痛み、皮膚の青白化・網目状変色、視覚異常がある場合は、直ちに注入を止めて緊急対応します。
  • 国内承認・適応: ジュビダームビスタ ボリューマXCは、成人の中顔面・下顎部・こめかみの減少したボリュームを増大する目的で国内承認されています(承認番号22800BZX00338000)。前額は承認部位に含まれないため、本症例の前額注入は国内承認範囲外です。承認範囲外の使用では、医薬品副作用被害救済制度・生物由来製品感染等被害救済制度の対象外となる場合があります。

Doctor Review

執筆・監修

執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)

References

参考にした一次情報・ガイドライン

  1. Chao YY, Chhabra C, Corduff N, et al. PAN-ASIAN CONSENSUS—Key Recommendations for Adapting the World Congress of Dermatology Consensus on Combination Treatment with Injectable Fillers, Toxins, and Ultrasound Devices in Asian Patients. J Clin Aesthet Dermatol. 2017;10(8):16-27.

    PAN-ASIAN CONSENSUS—Key Recommendations for Adapting the World Congress of Dermatology Consensus on Combination Treatment with Injectable Fillers, Toxins, and Ultrasound Devices in Asian Patients

    研究デザイン: アジア人の上顔面・中顔面・下顔面に対する注入治療などを検討した専門家コンセンサス / 対象: アジア各地域の美容医療専門医11人。賛同70〜90%を中等度、90%以上を強い合意と定義した。 / 結果: 顔型と治療前の特徴に応じて介入を変え、個別の治療計画を作ることに全員が合意した。理想とする輪郭も、治療前の特徴に応じて異なる介入で作るとした。 / 限界: 患者を治療して効果量を比較した試験ではなく、製剤別・部位別の注入量、施術順序、ボリューマXC 4ccの結果を決めない。論文への資金提供はなかったが、複数著者がAllergan、Galderma、Merzなどの講演・助言・研究に関する利益相反を開示している。

  2. Colon J, Mirkin S, Hardigan P, Elias MJ, Jacobs RJ. Adverse Events Reported From Hyaluronic Acid Dermal Filler Injections to the Facial Region: A Systematic Review and Meta-Analysis. Cureus. 2023;15(4):e38286.

    Adverse Events Reported From Hyaluronic Acid Dermal Filler Injections to the Facial Region: A Systematic Review and Meta-Analysis

    研究デザイン: 顔面ヒアルロン酸注入の有害事象を部位別に集計したシステマティックレビュー・メタ解析 / 対象: 米国またはカナダで成人の美容目的顔面注入を扱った無作為化試験・臨床試験19研究。14種類のヒアルロン酸製剤を含む。 / 結果: 腫れは鼻唇溝17.1%、中顔面・口周囲・口唇73.4%、しこり・凹凸は2.9%と32.1%だった。 / 限界: 製剤、注入量、針・カニューレ、部位、追跡方法が不均一で、腫れI2=98.0%、しこり・凹凸I2=96.3%と異質性が大きい。前額・頬・顎4cc症例の個別リスクや、血管閉塞・視覚障害などまれな事象の発生率を算出できない。著者1人がAllerganから個人的報酬を受けたと開示している。

  3. アラガン・ジャパン株式会社. ジュビダームビスタ ボリューマXC 電子添文. 2023年8月(第1版). 医療機器承認番号22800BZX00338000.

    ジュビダームビスタ ボリューマXC 電子添文

    研究デザイン: PMDA公開の国内医療機器電子添文 / 対象: 中顔面・下顎部・こめかみの減少したボリュームを増大する治療を受ける成人 / 結果: 中顔面・下顎部・こめかみで減少したボリュームを増大する目的で、皮下または骨膜上深部へ注入する。血管内注入を禁じ、視力異常、皮膚青白化、異常な痛みなどがあれば直ちに注入を止めるよう警告している。 / 限界: 電子添文は前額への使用、ボリューマXC 4ccの部位別配分、全顔の注入順序を評価した比較試験ではない。

  4. 厚生労働省

    医療広告ガイドライン

    自由診療の費用、主なリスク・副作用、未承認機器等の表示を確認する公的資料です。

よくあるご質問

Q. この症例では、どの製剤を何cc使いましたか?

ジュビダームビスタ ボリューマXCを、おでこ・頬・顎へ合計4cc使用しました。写真は正面、左斜位、右斜位の治療前後です。部位ごとの配分量と撮影時期は示されていません。

Q. 4ccが全顔治療の標準量ですか?

標準量ではありません。額の丸み、頬の支持、顎の投影、左右差を正面と左右斜位で確認し、必要な部位と総量を決めます。

Q. こめかみにもヒアルロン酸を注入した症例ですか?

この症例で示している治療部位は、おでこ・頬・顎です。こめかみは、額の外側から頬へ続く曲面を評価する観察部位として確認します。

Q. ボリューマXCの前額注入は国内承認の範囲ですか?

ボリューマXCは、成人の中顔面・下顎部・こめかみの減少したボリュームを増大する目的で国内承認されています。前額は承認部位に含まれないため、この症例の前額注入は国内承認範囲外です。強い痛み、皮膚色の変化、視覚異常があれば直ちにご連絡ください。

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