医師解説

頬とおでこにヒアルロン酸で全顔バランスを整える考え方

この症例では、若い頃の写真を手がかりに、ジュビダームビスタ ボリューマXCを頬とおでこへ計5本(5cc)使用しました。頬のふっくら感と前額の丸みをつなぎ、正面・左右斜位で全顔の重心が自然に上がって見える位置を整えています。

Medical Information

この記事について

監修日
2026年8月9日
公開日
2026年1月11日
実質更新日
2026年8月9日

Contents

目次

  1. ボリューマXC 5ccで、頬のふっくら感とおでこの丸みを整えた症例
  2. 若い頃の写真から、本人らしいおでこの丸みを読み取ります
  3. 頬の支えを補い、前額から中顔面へ重心をつなげます
  4. 頬の支持を先に見て、おでこの投影を合わせ、全顔を再評価します
  5. 診療で確認するポイント
  6. 治療選択の比較
  7. 費用の目安
  8. リスク・副作用・注意点
  9. 関連記事
  10. 関連施術・関連症状のご案内
  11. 執筆・監修
  12. 参考にした一次情報・ガイドライン
  13. よくあるご質問

ボリューマXC 5ccで、頬のふっくら感とおでこの丸みを整えた症例

トータルフェイシャルトリートメントとして、ジュビダームビスタ ボリューマXCを頬とおでこへ合計5本(1本1CC、総量5cc)使用しました。正面の治療前後では、おでこに丸みが出て上顔面の光の反射がなめらかになり、頬はふっくらして顔の重心が上がって見えます。

頬だけ、おでこだけが強調される形ではなく、上顔面から中顔面までが一続きに見える自然な変化を目標にしました。治療後は、ヒアルロン酸を入れた印象を前面に出さず、年齢より若々しく見える全顔のまとまりが生まれています。

若い頃の写真から、本人らしいおでこの丸みを読み取ります

若い頃の写真から、もともとの前額中央の高さ、眉上から生え際へ続く曲面、外側からこめかみへ移る輪郭を読み取り、現在の左斜位と重ねました。この50代の症例では、全顔治療の目安として5本を用意し、頬とおでこの必要な範囲へ配分しています。

左斜位では、眉上から生え際へ向かう前方投影と、前額外側からこめかみへ移る傾斜を見ます。額の中央だけを高くするのではなく、正面の幅と斜めからの丸みが両立する曲面をつくり、頬との距離感を整えます。

前額の丸みは、治療直後だけでなく曲面が落ち着いた時点でも確認します。本症例とは異なる充填材ですが、180日後に凹凸が残った割合はHA併用群4.5%、CaHA単独群16.7%で、結節は全体の3.7%との報告がありました(参考文献1)。

頬の支えを補い、前額から中顔面へ重心をつなげます

右斜位では、目の下から前頬へ続く面、頬骨外側の高さ、口横へ向かう頬の傾きを見ます。治療後は頬にふっくら感が生まれ、おでこの丸みから頬へ視線が自然に流れ、全顔の重心が高く見えています。

頬への配分は、正面で不足して見えるふくらみと、斜位で影になる範囲を照合して決めます。頬を補うたびに前額とのバランスへ戻り、額の丸みが強すぎず、頬だけが横へ広がらない位置で全顔を見直します。

頬へボリューマXCを配分するのは、前頬と頬骨部の支えが正面と斜位の重心を作るためです。治療6か月後の頬容積変化は平均1.83mLで、未治療の0.11mLより大きく、改善率は医師評価98.2%、本人評価93.8%との報告がありました(参考文献2)。

頬の支持を先に見て、おでこの投影を合わせ、全顔を再評価します

同じ設計を行う際は、まず頬の支持不足を正面と左右斜位で補い、顔の重心がどこまで変わったかを見ます。次に、若い頃の写真を参考に前額の丸みを足し、前額外側からこめかみ、頬外側へ続く曲面を整えます。

前額には、滑車上動脈・眼窩上動脈・浅側頭動脈の枝が走ります。過去の注入歴、皮膚色、拍動を確認し、眉間と眼窩周囲を治療範囲から外して、血管走行に合わせて前額の範囲を決めます。

治療直後は正面・左右斜位で左右差と皮膚色を確認し、腫れが落ち着いた再診では同じ角度で、おでこの反射、こめかみへの連続、頬の高さを見直します。追加する場合は、残る段差が一つの角度だけでなく複数方向から確認できる範囲へ絞ります。

前額では、少量の血管内誤注入でも眼動脈系へ影響し得るため、眉間から眼窩へ続く血管走行を治療範囲へ重ねます。滑車上動脈の眉間から眼窩内分岐までの容量は0.04〜0.12mL、平均0.085mLとの報告がありました(参考文献3)。

ボリューマXCは、成人の中顔面・下顎部・こめかみの減少したボリュームを補う国内承認製剤です。中顔面では1段階以上の改善が6か月時85.6%、24か月時67.1%との報告がありました(参考文献4)。前額は承認部位に含まれないため、この症例のおでこへの使用は国内承認範囲外です。

Clinical View

診療で確認するポイント

  • 最初に若い頃の写真と現在の正面・左右斜位を並べ、本人らしい前額の丸み、頬の高さ、こめかみへ続く曲面を記録します。
  • 頬の支持を先に補って全顔の重心を見直し、その変化に合わせて前額中央と外側の投影を整えます。
  • 頬と前額へ配分するたびに、正面の顔幅、斜位の丸み、前額外側からこめかみへの段差を見比べ、5ccの中で自然に連続する位置を選びます。
  • 腫れが落ち着いた再診でも同じ三方向を撮影し、前額の反射と頬の高さが保たれているか、左右差や残る影があるかを基準に追加の要否を決めます。

Comparison

治療選択の比較

治療・対応 向く状態 向かない/慎重な状態 回数の目安 ダウンタイム 費用(税込) 承認状況
ボリューマXC(頬・中顔面) 前頬・頬骨部の支持不足で、正面や斜位の頬が平らに見える状態 活動性の炎症・感染、成分またはアミド型局所麻酔薬への過敏症歴、容量追加で頬幅が強調される状態 1回後に正面・左右斜位で再評価し、必要時のみ追加 痛み、腫れ、内出血、左右差、凹凸・硬結。まれに血管閉塞、壊死、視覚障害 1本1cc 77,000円。使用量に応じる 中顔面は国内承認。承認番号22800BZX00338000
ボリューマXC(前額) 眉上から生え際へ向かう前方投影や、前額外側の曲面を補う必要がある状態 眉間・眼窩周囲、活動性の炎症・感染、血管走行や既往注入を確認できない状態 1回ごとに正面・左右斜位と皮膚反応を再評価 痛み、腫れ、内出血、左右差、凹凸・硬結。血管閉塞による壊死・視覚障害 1本1cc 77,000円+前額施術料22,000円 前額は国内承認範囲外
頬を先に整え、前額を段階的に追加 頬の支持と前額の投影を別々に確認し、全顔の重心を少量ずつ整えたい状態 強い痛み、皮膚色の変化、視覚異常など緊急評価が必要な状態 頬の変化を確認後、前額の必要範囲を決め、腫れが落ち着いて再評価 各回に痛み、腫れ、内出血、左右差、凹凸・硬結など 使用本数×1本1cc 77,000円。前額施術料22,000円 使用部位ごとに承認範囲が異なり、頬は承認、前額は承認範囲外

費用の目安

  • ジュビダームビスタ ボリューマXC 1本1cc:77,000円(税込)
  • 本症例と同じ5ccの製剤費:385,000円(税込)
  • 前額施術料:22,000円(税込)
  • 本症例と同じ5cc+前額施術料の合計:407,000円(税込)
  • カテラン針を使用する場合:11,000円(税込)

本症例と同じ5ccでは製剤費385,000円に前額施術料22,000円が加わります。カテラン針を使用する場合は11,000円が加わります。

リスク・副作用・注意点

  • 内出血、一時的な腫れ・痛み、圧痛、左右差、凹凸、アレルギー、遅発性反応・遅発性結節、感染が起こることがあります。
  • 血管内への誤注入または血管・神経の圧迫により、血管閉塞、皮膚壊死、視力・視野障害、失明、脳卒中が起こる可能性があります。
  • 通常と異なる強い痛み、皮膚の青白化・紫色または網目状の変化、視力・視野の異常がある場合は、直ちに注入を止めて緊急対応します。
  • 国内承認・適応: ジュビダームビスタ ボリューマXCは、成人の中顔面・下顎部・こめかみの減少したボリュームを増大する目的で国内承認されています(承認番号22800BZX00338000)。前額は承認部位に含まれないため、本症例のおでこへの注入は国内承認範囲外です。承認範囲外の使用による健康被害は、医薬品副作用被害救済制度・生物由来製品感染等被害救済制度の対象外となる場合があります。

Doctor Review

執筆・監修

執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)

References

参考にした一次情報・ガイドライン

  1. Scardua N, Rovaris DP, Moreira KMS, Guimarães ALS, Scardua MT. Supraperiosteal Technique Protocol for Forehead Filling With a Mixture of Calcium Hydroxyapatite and Hyaluronic Acid: Double-Blind, Randomized Controlled Clinical Trial. J Cosmet Dermatol. 2024;23(12):4116-4122. doi:10.1111/jocd.16488. PMID:39099032; PMCID:PMC11626347.

    Supraperiosteal Technique Protocol for Forehead Filling With a Mixture of Calcium Hydroxyapatite and Hyaluronic Acid: Double-Blind, Randomized Controlled Clinical Trial

    研究デザイン: 前額の輪郭をCaHA単独とCaHA・HA併用で比較した二群並行・二重盲検無作為化比較試験 / 対象: ボツリヌストキシン治療後も前額の凹凸が残った132人。各群66人を30日、180日まで追跡した。 / 結果: 180日後に前額の凹凸が改善しなかった人はCaHA単独群11人、CaHA・HA併用群3人で、結節は単独群4人、併用群1人、全体の3.7%だった。 / 限界: 単施設で1回治療した研究で、使用製剤はRennova DiamondとRennova Ultra Deep、総混合液量は3.5mLだった。本症例のボリューマXC 5cc、頬との同時治療、前額への配分量、長期の血管合併症を評価していない。

  2. Li D, Wang X, Wu Y, et al. A Randomized, Controlled, Multicenter Study of Juvéderm Voluma for Enhancement of Malar Volume in Chinese Subjects. Plast Reconstr Surg. 2017;139(6):1250e-1259e. doi:10.1097/PRS.0000000000003355. PMID:28538556; PMCID:PMC5444429.

    A Randomized, Controlled, Multicenter Study of Juvéderm Voluma for Enhancement of Malar Volume in Chinese Subjects

    研究デザイン: 中国人の中顔面へJuvéderm Volumaを使用し、未治療対照と比較した前向き多施設無作為化比較試験 / 対象: 18歳以上の中国人146人。119人を処置群、27人を未治療対照群へ割り付け、6か月まで評価した。 / 結果: 注入量中央値2mLで、6か月後の頬容積変化は処置群平均1.83mL、未治療対照群0.11mLだった。6か月時の改善率は医師評価98.2%、本人評価93.8%だった。 / 限界: 中国人の中顔面だけを評価した研究で、本症例の前額治療、総量5ccの部位別配分、全顔の注入順序、若く見える年数を検証していない。

  3. Khan TT, Colon-Acevedo B, Mettu P, DeLorenzi C, Woodward JA. An Anatomical Analysis of the Supratrochlear Artery: Considerations in Facial Filler Injections and Preventing Vision Loss. Aesthet Surg J. 2017;37(2):203-208. doi:10.1093/asj/sjw132. PMID:27530765.

    An Anatomical Analysis of the Supratrochlear Artery: Considerations in Facial Filler Injections and Preventing Vision Loss

    研究デザイン: 新鮮献体の滑車上動脈を眉間から眼窩内まで剖出し、血管長・半径・容量を測定した解剖研究 / 対象: 新鮮献体6頭、12半顔。生体患者へのヒアルロン酸注入を追跡した研究ではない。 / 結果: 滑車上動脈の容量は0.04〜0.12mL、平均0.085mL、平均長51.75mm、平均半径0.72mmだった。 / 限界: 献体解剖から算出した血管容量であり、実際の患者における閉塞率、安全な注入量・器具・層、ボリューマXCの前額治療成績を比較していない。PubMed抄録で確認し、原著全文は取得していない。

  4. アッヴィ合同会社. ジュビダームビスタ ボリューマXC 電子添文. 2023年8月(第1版). 医療機器承認番号22800BZX00338000.

    ジュビダームビスタ ボリューマXC 電子添文

    研究デザイン: PMDA公開の国内医療機器電子添文。米国で行われた多施設共同・単盲検・無作為・未処置対照の前向き中顔面試験を収載 / 対象: 中顔面ボリューム不足がある成人。処置群235人を24か月まで追跡し、6か月時の評価は処置群208人、未処置対照36人だった。 / 結果: MFVDSで1段階以上改善した割合は6か月時に処置群85.6%、未処置対照38.9%だった。処置群では12か月85.2%、18か月71.5%、24か月67.1%だった。 / 限界: 中顔面の承認試験で、本症例の前額への使用、頬と前額への5ccの部位別配分、若い頃の写真を使った設計を検証していない。電子添文は眼窩周囲への注入を禁じている。

よくあるご質問

Q. この症例では、どの製剤を何cc使いましたか?

ジュビダームビスタ ボリューマXCを5本、合計5cc使用し、頬とおでこへ配分しました。写真は正面、左斜位、右斜位の治療前後です。

Q. なぜ若い頃の写真を見て注入範囲を決めるのですか?

もともとのおでこの丸み、頬の高さ、左右差を知り、別人の輪郭ではなく本人らしい全顔のバランスへ戻す手がかりにするためです。

Q. 50代なら、ヒアルロン酸5本が標準ですか?

5本はこの50代症例で全顔治療の目安にした総量です。若い頃の写真と現在の正面・左右斜位を比べ、頬の支持と前額の投影に必要な範囲へ配分します。

Q. ボリューマXCを頬とおでこへ使う場合の国内承認範囲を教えてください。

ボリューマXCは、成人の中顔面・下顎部・こめかみの減少したボリュームを増大する目的で国内承認されています。頬の中顔面は承認範囲ですが、前額は承認部位に含まれないため、この症例のおでこへの使用は国内承認範囲外です。

Q. この症例と同じ5ccの料金と、すぐに連絡が必要な症状を教えてください。

5ccの製剤費は385,000円で、前額施術料22,000円を合わせると407,000円です。カテラン針を使用する場合は11,000円が加わります。通常と異なる強い痛み、皮膚の白色化・紫色または網目状の変化、視力や見え方の異常がある場合は直ちにご連絡ください。

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