医師解説ヒアルロン酸

あごをヒアルロン酸1ccで整えて、シャープさ・フェイスライン・Eラインを考える

ジュビダームビスタ ボラックスXC 1ccをあごへ使用し、正面のシャープさ、斜位のフェイスライン、側面のEラインを順に整えた症例です。同じあご先でも角度によって見える課題が変わるため、3方向を一組にして終了点を決めます。

Medical Information

この記事について

監修日
2026年8月9日
公開日
2022年12月3日
実質更新日
2026年8月9日

Contents

目次

  1. 正面では、あご先のシャープさを確認します
  2. 斜位では、あご先から下顎へ続くフェイスラインを見ます
  3. 側面では、口元とあご先のEラインを確認します
  4. 腫れが落ち着いた後も同じ3方向で見直します
  5. 診療で確認するポイント
  6. 治療選択の比較
  7. 費用の目安
  8. リスク・副作用・注意点
  9. 関連記事
  10. 関連施術・関連症状のご案内
  11. 執筆・監修
  12. 参考にした一次情報・ガイドライン
  13. よくあるご質問

正面では、あご先のシャープさを確認します

正面の比較は上段がBefore、下段がAfterです。Beforeではあご先が丸く短く見え、Afterでは顔の中心線へ向かう輪郭と、あご先の終点が明瞭になっています。正面では前へ出す量だけでなく、あごの縦の長さ、横幅、左右の下顎ラインが中央へ集まる位置を一緒に見ます。

本症例では、ヒアルロン酸製剤のジュビダームビスタ ボラックスXCをあごへ総量1cc使用しました。あご先を細く見せるために幅だけを狭めるのではなく、口元からあごへ続く縦の中心と、左右の輪郭が自然につながる位置を終了点にしています。

あごの前方投影・縦の長さ・横幅を分けて診る理由として、形態に合わせてヒアルロン酸を使用した報告では、輪郭の変化は多くで6か月まで、一部で12か月まで確認されたとの報告がありました(参考文献1)。

本症例で使用したジュビダームビスタ ボラックスXCは、成人の顔面におけるボリューム回復・増大を目的として、皮下または骨膜上深部へ注入する国内承認製品です(参考文献2)。

斜位では、あご先から下顎へ続くフェイスラインを見ます

斜位も上段がBefore、下段がAfterです。Afterではあご先の前方投影が加わり、口角横からあご先、下顎下縁へ続く輪郭の終点が明瞭になっています。ここでは、あご先だけが前へ突出して見えないか、フェイスラインとの境目に不自然な段差がないかを確認します。

正面でシャープさが得られても、斜位であご先だけが尖って見える場合は足し過ぎです。1ccを使い終えることを目的にせず、正面と斜位を往復しながら、下顔面の幅と前方投影が同時に整う範囲を選びます。

あご先だけでなく下顔面・下顎輪郭を一緒に追う理由として、ボラックスXCであごの投影を整えた報告では、医師評価の改善は3か月時100.0%、18か月時52.5%で、下顔面・下顎輪郭の満足度は18か月時も78.2%に改善がみられたとの報告がありました(参考文献3)。

側面では、口元とあご先のEラインを確認します

側面も上段がBefore、下段がAfterです。Afterではあご先が前へ出て、鼻先とあご先を結ぶEラインに対する口元の位置が整い、下唇下からあご先へ続く曲線も明瞭になっています。

Eラインは横顔を確認する一つの目安です。側面だけで前方投影を増やすと、正面ではあごが長い、斜位では尖って見えることがあるため、最後に正面のシャープさと斜位のフェイスラインへ戻り、3方向で自然に見える位置を確認します。

横顔をEラインだけでなく顔面角も含めて追う理由として、あごへヒアルロン酸を使用した報告では、12か月後も平均顔面角が1.83度増加したとの報告がありました(参考文献4)。

腫れが落ち着いた後も同じ3方向で見直します

注入後は発赤、腫れ、痛み、内出血、硬さが輪郭へ影響します。落ち着いた後に同じ正面・斜位・側面で、あご先の中心、フェイスラインのつながり、口元との前後差を見直し、追加が必要かを判断します。

通常と異なる強い痛み、皮膚が白色・暗紫色や網目状に変わる、冷たさが続く、見え方に異常がある場合は、予定日を待たず直ちにご連絡ください。血流障害、感染、遅発性炎症を分け、必要な処置へつなげます。

Clinical View

診療で確認するポイント

  • 正面では、顔の中心線に対するあご先の位置、縦の長さ、横幅を確認し、下顔面の終点が左右対称に見える範囲を決めます。
  • 斜位では、口角横からあご先、下顎下縁へ続く輪郭を見て、前方投影とフェイスラインが段差なくつながるかを確認します。
  • 側面では、鼻先・上下口唇・あご先の前後関係と下唇下の曲線を見て、Eラインを一つの目安にします。
  • 本症例はボラックスXC 1ccをあごへ使用し、正面のシャープさ、斜位のフェイスライン、側面のEラインが同時に整う位置を終了点にしました。

Comparison

治療選択の比較

治療・対応 向く状態 向かない/慎重な状態 回数の目安 ダウンタイム 費用(税込) 承認状況
ボラックスXC 1ccであご先を整える 正面であご先が丸く短く見え、斜位でフェイスラインの終点、側面で口元に対する前方投影が控えめな状態 すでにあごの長さ・突出が十分な状態、主因が顎変形や咬合にある状態、注入部に活動性の炎症・感染がある状態 通常1回。腫れが落ち着いてから正面・斜位・側面で再評価 発赤、腫れ、痛み、内出血、硬さ・しこり、左右差など。まれに血管閉塞、皮膚障害、視覚障害 1本1cc 77,000円 ボラックスXCは成人の顔面におけるボリューム回復・増大を目的とする国内承認品
再評価後、残る方向だけを追加調整 腫れが落ち着いた後も、正面の左右差、斜位の輪郭の段差、側面の支え不足が残る状態 腫れが変化中の時期、すでに3方向の輪郭が整っている状態、強い痛みや皮膚色変化がある状態 初回後に同じ3方向で見直し、必要な場合のみ追加 追加注入に伴う発赤、腫れ、痛み、内出血、硬さ・しこり、左右差など 追加1本1ccごとに77,000円 ボラックスXCを顔面のボリューム回復・増大へ使用する場合は国内承認範囲

費用の目安

  • ヒアルロン酸注入:1本1cc 77,000円(税込)
  • カテラン針を使用する場合:11,000円(税込)追加

本症例の使用量はボラックスXC 1ccです。カテラン針の使用は症例記録から断定せず、使用する場合にのみ加算されます。すべて自由診療です。

リスク・副作用・注意点

  • 発赤、腫れ、痛み、圧痛、内出血、硬さ・しこり、左右差、凹凸など
  • アレルギー、感染、遅発性炎症、硬結、位置ずれなど
  • まれに血管閉塞、皮膚障害・壊死、視力・視野障害、失明、脳卒中など
  • 国内承認・適応: ジュビダームビスタ ボラックスXCは、成人の顔面におけるボリューム回復・増大を目的に、皮下または骨膜上深部へ注入する国内承認医療機器です。口唇、眉間、眼窩周囲は承認範囲に含まれません。医療機器承認番号は30200BZX00254000です。

通常と異なる強い痛み、白色・暗紫色や網目状の皮膚色変化、冷感、見え方の異常は待たずに連絡が必要です。

Doctor Review

執筆・監修

執筆医・監修医: 形成外科専門医 乜 也(にえ いえ)

References

参考にした一次情報・ガイドライン

  1. Chen B, Ma L, Wang J. Chin Augmentation With Hyaluronic Acid: An Injection Technique Based on Anatomical Morphology. Dermatol Surg. 2022;48(7):747-751. doi:10.1097/DSS.0000000000003459. PMID:35482662; PMCID:PMC9241653.

    Chin Augmentation With Hyaluronic Acid: An Injection Technique Based on Anatomical Morphology

    研究デザイン: 2018年1月から2021年5月までの診療記録を後ろ向きに評価した症例集積。あごの前方投影、縦の長さ、横幅に対応する形態指標を用い、直後、6か月、1年の経過と有害事象を評価した。 / 対象: 過去にあごの注入または手術を受けた人を除外した326人。平均年齢26.4歳、女性298人・男性28人で、注入量中央値は1.85mLだった。 / 結果: 全例で直後の形と輪郭が改善し、多くは6か月まで、一部は12か月まで変化が確認された。腫れ・痛み87.1%、内出血9.5%、左右差2.5%だった。 / 限界: 対照群がない後ろ向き研究で、評価者盲検化や標準化された患者報告尺度を用いていない。製剤は本症例のボラックスXCに限定されず、注入量中央値は1.85mLで、本症例の1ccや3方向の終了点を直接検証しない。著者は商業的支援者との重要な利害関係はないと申告した。PMC原著全文とPubMed書誌を2026年8月9日に確認した。

  2. アッヴィ合同会社. ジュビダームビスタ ボラックスXC 電子添文. 2023年8月(第1版). 医療機器承認番号:30200BZX00254000.

    ジュビダームビスタ ボラックスXC 電子添文

    研究デザイン: PMDA公開の国内承認医療機器電子添文。 / 対象: 成人。顔面におけるボリューム回復・増大を目的に使用し、口唇、眉間、眼窩周囲は適応に含まれない。 / 結果: 架橋ヒアルロン酸ナトリウム25mg/mLとリドカイン塩酸塩0.3wt%を含み、皮下または骨膜上深部への注入として承認されている。血管内注入を禁止し、血管障害、視力障害、失明、脳卒中、壊死等へ注意を求めている。 / 限界: 電子添文は承認範囲と安全情報を示す資料で、本症例の1cc配分、3方向の形態変化、撮影時期、持続期間を検証した研究ではない。PDF全6頁を2026年8月9日に確認した。

  3. Ogilvie P, Benouaiche L, Philipp-Dormston WG, et al. VYC-25L Hyaluronic Acid Injectable Gel Is Safe and Effective for Long-Term Restoration and Creation of Volume of the Lower Face. Aesthet Surg J. 2020;40(9):NP499-NP510. doi:10.1093/asj/sjaa013. PMID:31960896; PMCID:PMC7427156.

    VYC-25L Hyaluronic Acid Injectable Gel Is Safe and Effective for Long-Term Restoration and Creation of Volume of the Lower Face

    研究デザイン: 欧州10施設で行われた前向き・多施設・3対1無作為化・3か月待機対照試験。画像解析担当者のみ盲検化し、初回後に任意の追加注入、18〜24か月時に再処置を認めた。 / 対象: あごの後退がある成人120人を無作為化し、119人が初回処置を受けた。平均年齢46.2歳、女性91.7%、白人85.8%。初回・追加注入の総量中央値は被験群3.43mLだった。 / 結果: 3か月時の医師GAIS改善率は100.0%、18か月時は52.5%だった。本人の下顔面・下顎輪郭満足度が改善した割合は18か月時78.2%だった。 / 限界: 長期の無処置対照がなく、18か月以降は再処置を選んだ人が多いため選択バイアスがある。初回総量中央値は本症例の1ccより多く、本症例の斜位写真やフェイスラインの終了点を直接評価しない。Allerganが研究費、統計解析、メディカルライティングを提供し、著者に同社から研究費・謝金を受けた医師と同社社員を含む。PMC原著全文とPubMed書誌を2026年8月9日に確認した。

  4. Beer K, Stonehouse A, Dunn M. Hyaluronic Acid Soft Tissue Filler for the Treatment of the Hypoplastic Chin: An Observational Study. Dermatol Surg. 2020;46(8):1092-1101. doi:10.1097/DSS.0000000000002326. PMID:32011384. ClinicalTrials.gov Identifier:NCT02330016.

    Hyaluronic Acid Soft Tissue Filler for the Treatment of the Hypoplastic Chin: An Observational Study

    研究デザイン: 単施設・非盲検・1年間の観察研究。PubMed抄録とClinicalTrials.gov登録情報を確認した。 / 対象: あごの後退がある成人30人がジュビダームビスタ ボリューマXCの注入を受け、24人が12か月評価を完了した。 / 結果: 12か月時の平均顔面角はベースラインより1.83度増加した(95%信頼区間0.91〜2.75度)。本人のあご満足度と医師による全般的改善評価も改善した。 / 限界: 対照群のない小規模研究で6人が12か月評価を完了せず、本症例のボラックスXC、1cc、Eライン、3方向の終了点を直接検証しない。PubMed抄録とClinicalTrials.govは確認できたが原著全文へアクセスできず、詳細な注入手技と論文内COI記載は未確認。ClinicalTrials.govはスポンサー・研究責任者をKenneth Beer、協力機関をAllerganと記載している。2026年8月9日に確認した。

よくあるご質問

Q. この症例では、どの製剤を何cc使いましたか?

ジュビダームビスタ ボラックスXCをあごへ総量1cc使用しました。正面、斜位、側面の3方向で変化を比較しています。

Q. あごは、なぜ3方向から確認するのですか?

正面ではシャープさと左右差、斜位ではフェイスラインとのつながり、側面では口元とあご先の前後差が見えます。一方向だけで量を決めず、3方向すべてで自然に見える位置を終了点にするためです。

Q. Eラインだけを基準に注入量を決めますか?

Eラインは横顔を見る一つの目安です。側面で口元との前後差が整っていても、正面で長く見える、斜位で尖って見える場合があるため、顔の中心、下顔面の幅、フェイスラインも一緒に確認します。

Q. ボラックスXC 1ccの料金と国内承認状況を教えてください。

現在の通常料金は1本1cc 77,000円です。カテラン針を使用する場合は11,000円が加わります。ボラックスXCは成人の顔面におけるボリューム回復・増大を目的とする国内承認品です(30200BZX00254000)。

Q. 注入後、すぐに連絡が必要な症状はありますか?

通常と異なる強い痛み、白色・暗紫色や網目状の皮膚色変化、冷たさ、見え方の異常がある場合は、予定日を待たず直ちにご連絡ください。

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